姫神

  • 文藝春秋 (2015年8月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784163903101

作品紹介・あらすじ

倭国、新羅、高句麗、百済の四カ国の平和を願う

聖徳太子の遣隋使プロジェクトが九州・宗像から動き出す!



時の大王は推古天皇、秀才の誉れ高い厩戸皇子(聖徳太子)は、争いの続く朝鮮半島情勢に心を痛めていた。仏教を篤く信仰する王子は、その教えと大陸からの僧の言葉に耳を傾け、四カ国がそろって隋に朝貢し、その庇護の下の安定した関係を築こうという壮大な計画をたてる。これが後に小野妹子を正使とした遣隋使の派遣へとつながっていく。

しかし、それをよく思わないのが蘇我の大臣の一派と、百済の花郎徒を中心とする一派であり、百済から倭へ使者として派遣された、円照は船中で襲われ命からがら海へ飛び込んだ。それを助けたのが宗像の豪族の娘で、祭祀を巫女として司る若い伽那だった。自身も父を新羅人にもち、10年前の新羅と百済の騒乱で両親を失った経歴をもつ伽那は、平和を願う気持が人一倍強い。厩戸皇子の思想に深く共感し、その理想を実現させようと周囲の人物たちを動かし、一族もそれに協力を誓うが、次々と計画を打ち壊すべく刺客が放たれ、彼らの身に危険が及んでいく。果たして四カ国が揃って、隋の都・洛陽へと無事に辿り着き、皇帝との面会はかなうのか――。

本書は九州出身の著者が、福岡文化連盟創立50周年と「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産登録支援として上演される舞台劇『姫神』のために書かれた長編。12月には博多座での公演が決定している。アジアの平和を願う祈りをこめつつも、信長ものなどで存分に発揮されてきた迫力ある戦闘シーン、個性的な人物造詣、それぞれの陰謀と策略が随所に織り込まれたエンターティメント性の高い歴史小説だ。

みんなの感想まとめ

和平を願う聖徳太子の遣隋使プロジェクトを軸に描かれる本作は、九州・宗像を舞台にした歴史小説です。物語は、太子の理想を実現しようと奮闘する厩戸皇子と、彼を支える宗像の巫女・伽那の視点から進行します。古代...

感想・レビュー・書評

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  • 聖徳太子が和平のために遣隋使、小野妹子を使者として九州地区の宗像一族と共に奮闘する。ストーリーは初心者向けで面白く、聖徳太子の住んでいた頃の出来事をか知る上では充分すぎるぐらいの題材で楽しく読めた。

  • 題材は悪くないのに、構成が下手だし、会話文に違和感がある。別の作家に書き直してほしいくらい。

  • 沖ノ島に興味を持ち、読んでみた。古代の話を小説として仕立てるのは、どんな小説家にとっても、あまりにも想像の部分が多すぎて、並大抵の工夫がなければ難しいだろうと思う。それを差し引いても著者の作風には「等伯」でも感じたが、いろいろ好きになれない点があって、読み終えるのに苦労した。相変わらず、登場人物らの、ことあるごとにすぐ「目にうっすらと涙を浮かべ」る描写の頻出など、全体的に登場人物の書き分けが類型的で、作話の技術としていかがなものかと思う。登場人物に演じさせた物語は、ファンタジーとしてみれば可も不可もないが、やはり展開の粗さ、辻褄合わせ感をあちこちで感じた。当時の朝鮮半島および日本をめぐる政治情勢をよく調べられているとは思うが、それらを物語の合間に教科書的な説明としてはさんでいる構成にも堅苦しさが残り、わざわざ小説仕立てにした効果をそいでいると思える。出身地を舞台にした小説の執筆に大胆に挑戦した労作だとは思うが。

  •  日経の文化欄(4/3付)に「今、古代史が熱い」的な記事があり、数冊の小説が紹介されていた。その中の1冊。著者の狙いは、

    「当時の都は渡来人が多く、現代のニューヨークのように国際的だった。グローバル化が進む日本で育った現代人は、こうした物語にロマンを感じるだろう」

    「日本の文化・文明は中国抜きには語れない。アジアの中の日本を描きたい。それは現代の中国や朝鮮半島との関係を考える上でも役立つはず」。

     とのこと。確かに、このご時世、朝鮮半島、中国大陸との関係を古代史の歴史観を持ちながら眺めるのは面白いし、ヒントとなるものがあるようにも感じる。

     時代は607年、2回目となる遣隋使の派遣前の大和朝廷国内外の様子を、九州の宗像一族の巫女を主人公に描く。あの「和を以て貴しとなす」の厩戸皇子こと聖徳太子が世の争いを抑止するために隋の冊封下に入ることを画策するというのが大筋。

     どうにも時代の要請というか、現代の意図が強く出過ぎたというか、古代史を借景に創造された夢物語の域を出ていない。
     出版社(文芸春秋)のサイトで見ると、

    “福岡文化連盟創立50周年と「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産登録支援として上演される舞台劇『姫神』のために書かれた長編“

     とのこと。あぁ、“お芝居”なんだな。
     なので、かなりザックリ分かりやすく歴史的考察も端折って、人間関係も善悪の対比を判りやすく描いている。うん、舞台の上でのお芝居を見るなら、これくらい簡略化されているほうが分かりやすいだろう。

     遣隋使の派遣目的が、戦争の抑止力としての集団安全保障として隋の冊封下に入ること。
    戦後アメリカや、核の傘下にあったことを当然連想させる。まさか、今は中華思想に庇護にすがれとは言ってないと思うけど・・・。
     日中韓の関係を見直す、三国間の関係改善のため古代史を題材にする発想は面白いのだけどなぁ。

     奈良県人としては、あの時代の話は面白い。瀬戸内を旅して難波にたどり着き、二上山の上から奈良盆地を眺めた俯瞰の情景描写などは、手に取るように眼前に風景が浮かぶ。

    “八尾街道を東へ直進すれば龍田道、斑鳩宮に行くことができる。”
    “二上山に向かう細い道は、竹内街道と呼ばれる都と難波を結ぶ最古の官道。”

     こんな考古学的発掘、古代地理学的な表現はもっともっと描いて欲しかった(その点、お芝居用の簡単なストーリに終始してしまって、描き込みが足りない点が非常に不満)。

     とはいえ、当時、これから国家としての成長を果たそうと聖徳太子たちの奮闘努力には、老いゆく今の国体にはない若々しい力強さがあり、今よりよほどグローバルだったのだろうなと思わせる人的交流が、時代の活力を感じさせる。


     ともかく、他にも今、古代史を扱った本が次々と登場しているらしいので、もう少し読んでみようと思う分野。

  • 興味対象外の時代ですが、読んでる途中は面白く、スイスイ読めてしまいます。でも残りページが少なくなると、あれ、これちゃんとオチるの?と心配になり、それが実現しますw 連載モノなので、ある程度しょうがないんですかね。でも、それまでが面白かったので、評価3です。

  • 遣隋使
    時代背景が興味深い
    大和朝廷、対馬沖ノ島一帯の豪族、朝鮮半島
    それぞれの対立
    聖徳太子の政治にも隋との約束がらみとか

    ストーリーは単純で肩透かしかな
    ≪ 荒海を 超えてこの国 平和にと ≫

  •  方言が読みづらい・・・。直前に読んだ本は、バリバリ方言でも平気だったのに。作者の安部さんは筑後地域の人みたいだから、北九よりの筑前地域とは方言の感じも多少違うんだろうな。どのみち、遣隋使の時代の人が今と同じ言葉でしゃべってたわけないだろうし、ケチつけても仕方ないな。でも、天平の人が“寿司詰め”って何か変じゃない・・・?

  • 聖徳太子が、隋に派遣した小野妹子。
    太子が遣隋使を派遣するまでの経緯、国内の権力争い。
    そして、朝鮮半島での勢力争いなど、当時の中国、朝鮮、日本を、朝鮮半島で生まれた巫女、女神の成長とともに描く。
    各々の部族、そして権力者の争い、力で押してくるタイプのリーダーと切れ者の僧侶など、登場人物もなかなかに多彩。
    舞台劇のために描かれた作品ということで、終わり方に若干の唐突感はあるが、すっきりと面白かった。

  • 遣唐使の事情あれこれと,宗像一族の巫女伽耶と新羅の王族円照のほのかな恋だけど,あまりにもさらっとしていて,あっけなかった.

  • 沖の島を巡る姫神の世界、遣隋使プログラム等

    宗像一族、大和、新羅、百済、高句麗、任那

  • 607年の第2回遣隋使派遣(正使:小野妹子)の経緯を、宗像一族の若き姫巫女を主人公に描く。聖徳太子がこの遣隋使を派遣した目的が、倭国と朝鮮半島の三国とが隋の冊封下に入ることで戦争を抑止することにあったという著者の発想は壮大で面白いのだが…。隋や唐の冊封国になるためには仏教的政治を行うことが条件とされていたというのが興味深い。あと、中国では算盤を発明したのは関羽だという伝説があるというのも。

  • 遣隋使派遣にいたるまでのいきさつ。
    宗像一族の若き姫巫女がヒロイン。

    このご時勢のせいで、十七条憲法の
    「和を以って貴しとなし、諍うこと無きを宗とせよ」
    が胸にしみる。古来より和をもつことは、かくも難しい。
    日本が続けていた「不戦」は、本当に尊いものだと思う。たとえまやかしだとしてもだ。共に戦うのではなく、共に和平を、共に和平のふりをと願うのは夢物語か。

  • 遣隋使派遣に至る苦労。ヤング向けか。

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著者プロフィール

作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。

「2023年 『司馬遼太郎『覇王の家』 2023年8月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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