虚ろまんてぃっく

著者 :
  • 文藝春秋
3.46
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本棚登録 : 70
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903286

作品紹介・あらすじ

「日本社会の現状に対する鋭い洞察と、異議申し立て」(佐藤優氏)「近年の日本文学におけるもっとも高次な、また豊饒な果実の1つ」(若松英輔氏)と絶賛された傑作「ボラード病」で新境地を切り拓いた吉村萬壱氏。あれから一年、吉村氏の2005年以降の10の短篇・中篇を一挙収録した作品集。シュールな近未来ものあり、不条理な家族小説あり、不気味で、不穏で、グロテスク、吹き荒れる嵐のように暴走する想像力が、読者を真実の深淵へといざなう。鬼才の筆が炸裂する、圧倒的作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 10編からなる短編集。どの作品も人間のダークな部分をクローズアップして描かれていた。
    昨年、読んだ「ハリガネムシ」もいい意味での変態性が際立っていたが、それよりももっと増していた。

  • 表題の「虚ろまんてぃっく」の途中で、いったん挫折。

    そこで、ブクログのレビューを見て(今現在2レビューだけですが)、「家族ゼリー」をつい最後まで読む。オエっ。

    さらに途中飛ばして「大きな助け」
    とりあえず、読み終わる。

    帯に「不道徳きわまりない」「とてつもなく美学に反する」とあるが、うむ、確かに。

    でも、まだ読んでない吉村萬壱を読んでみようと思っている。

  • 現存する日本の作家で新刊が出たら矢も盾もたまらずみたいにがっつくのは吉村萬壱先生ただひとり。ほとんどは文芸誌掲載時に購入して読んでいたのだけど、再度こういう形で読むと一入。
    夏の友、大穴、大きな助け、が特にお気に入りで、大きな助けはすでに文芸誌のほうで何度も読み返している。読みやすい形状で手元に置いておけるということが嬉しい。コップ2030と大きな助けは私の地獄だ。

  • 短編集。
    あとがきに、これを書いた著者は頭がおかしいと思う、と当の吉村氏が書いていた。
    まぁ、おかしいかどうかわからないんだけど、最初から3作品読んで、ギブアップしてしまった。
    気持ち悪いのに、特段のカタストロフィも感じられない。
    ただただ気持ち悪いだけ…
    残念。

    しかし、題名カッコいいな。
    そこは最高。

  • これはなんだろう?正調の胸糞悪い作品。サド侯爵も当時はこんな感じだったのだろうか?「時計じかけのオレンジ」の拷問シーンみたいな感じ。見たくないものを見る。読みたくないものを読む屈折がある。一旦、がっつり気分悪くなることでトランポリン効果はあるかもしれない。

  • 不条理で、限りなく不道徳で、深い沼の底に沈んでゆくような感覚。なのに、なぜか読んでしまう。闇なのか、病みなのか。

  • 短編集。
    どの作品もカフカのように不条理に満ちていてシニカルに描かれている。文学的でありオチなどは特に無いものの読ませる力はあると思う。

  •  この本を読むコツは、登場人物、とくに主人公をすべて若松英輔みたいな人物と顔を想像して読むことだ。グーグルで検索し、ぜひ試してほしい。ぴったりと当てはまる。なので、この本を読む前に若松英輔の本を読んでおくことをお勧めする。もしよければ講演も聴きに行っておくとなお良い。この短編集に完璧に当てはまる。もし若松英輔が無理なのであれば、佐々木中でもよい。若松英輔の出している小説のタイトルを、著者名を佐々木中に変えても、なかなかわからないしかわらないところがあるからだ。
     「希望」という短編で、出てくる文字が「明日」というのは鮮やかだった。「家族ゼリー」は傑作。身内で慰め合うしかないんだよ! 素晴らしいと思う。とにかくうまい飯の場面がない。まずい飯しか出てこない。こんなにご飯をまずく書ける人はいないのではないか。
     あと、お婆さんとセックスしたり、いぼ痔だったり、汚いところをうまく書く。「樟脳風味枯木汁」も傑作。どれも楽しんで読んだ。人間が大好きで、いつも明るく、清潔で、国を愛する人が楽しめる小説です。むしろ、ひねくれている人は考え方が同じ過ぎて「わからない」のではないか。「ダイアナ」で、電車内でどちらが早く助けるか、一瞬奪い合うところの描写もよかった。
     「大きな助け」において、爆発する街の中、パトカーで移動する場面とか、一つ一つのシーンがしっかり浮かんで、描写も物語も暴走するところも、とにかく文章がめちゃくちゃ分かりやすいというのが、このぶっ飛んだ話を完璧にしている土台だと思った。
     飯がまずい、登場人物の息は臭い、鼻くそ・鼻毛はかならず出る、理屈や哲学を語るような女は大嫌い、男はセックスのことしか頭にない、海や水は汚染されている、労働はすべてブラック、教育は狂っている、空気中には毒とハエだらけ、行間に何一つホッとするところがないのが、読み進められる緊張感になっているのだと思う。
     よく、アンドロイドやグーグルのCM、マクドナルドのCM、世の中にはびこるちょっと良い話系のいくつか、世界で活躍する日本人……そんな、ちょっと良い話に溢れすぎていて、まったく人間が見えていないということを、理屈ではなく、文章による映像表現で大穴を開けようとした本だと思う。別に反体制とかではなく、どちらかといえば、アンチ広告代理店だろう、それが面白いから書いている。著者になって、快楽ではなく、快感でもって読める。広告代理店が、何かふわっと「空気読んでね」という、明るさと正しさを持つ情報を発信し続ける限り、美しい価値を持ち続ける小説集だと思う。

  • 凄まじい衝撃を受けすぎて、暫く読みたくないと思った。良き意味で。

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