のろい男 俳優・亀岡拓次

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903590

作品紹介・あらすじ

映画「俳優 亀岡拓次」、2016年1月30日(土)テアトル新宿ほか全国公開!亀岡拓次、40歳。下着泥棒から火宅の作家まで、哀愁漂う男を演れば天下一。傑作シリーズ第二弾の本書では、大女優・松村夏子さんの胸を揉んだり、さっぽろテレビ塔で狙撃されたり、伊東で地元のおっちゃんたちと踊ったり、イカれたTVプロデューサーと保育園のニワトリを追いかけたり。ついに、ポルトガルの海辺の町で、郷愁の酔っぱらいになって……。川端賞作家・戌井昭人が贈る、脇役俳優の酒と仕事と恋の物語。新春、横浜聡子監督映画『俳優 亀岡拓次』公開!亀岡に安田顕、ヒロインに麻生久美子。新井浩文、染谷将太ら人気若手俳優から、山﨑努、三田佳子らベテラン俳優まで、豪華キャスト結集!

感想・レビュー・書評

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  • 作者の戌井さんが新聞でエッセイを書かれていてとても面白かったので、作品を読みたいと思い手に取りました。

    俳優・亀岡拓次シリーズの第2弾とのことです。

    主人公が俳優という設定なので、映画やテレビの世界の具体的な話がいろいろ紹介されていて興味深く読みました。

    大分へ映画の撮影に行った「かぼすと乳房」の話は、特に楽しかったです。

  • シリーズ第二作目であり第38回野間文芸新人賞受賞作。「映画にミラクルを起こす男」の活躍や生き方にまた出会えるのがうれしい。軽いタッチの中で著者のユーモアが炸裂し生き生きとした主人公らに会える第三作が待たれる。

  • 俳優・亀岡拓次、40歳。下着泥棒から火宅の作家まで、哀愁漂う男を演れば天下一。大女優の胸を揉み、さっぽろテレビ塔で狙撃され、ポルトガルの海辺で郷愁の酔っ払いになる…。

    このシリーズがすっかり気に入ってしまった。主人公のキャラが立っているのはもちろんだが、ペーソスというのだろうか、ストーリーに独特の雰囲気があるのがいい。続編に期待。
    (B)

  • 今作でも、主人公は犯罪者に扮したり、台詞もなくただ無惨に殺されたり…、特異な役を嬉々としてこなす。そう、現場での亀岡拓次はすこぶる男前。業界の評価はうなぎのぼり。カルトなファンは多く、その中には外国人監督もいたり。

    読み飽きさせないプロットとドライブ感。仕組まれた構成。なのに前作の方がはるかにオモロい。原因は明確。とにかくはっちゃけすぎ。前作に垣間見れた主人公の哀愁さ・小心さ・下心さはすっかり影を潜め、大胆で能動的過ぎる。躁気質なキャラになってしまっている。人物造形の振り幅の大きさに首をかしげてしまう。著者は続編を想定していなかったんだろうな。ゆえに過剰なケレンさを生んでしまった。今作から読んだ人には陽気なバイプレーヤーの奔放な振る舞いにくすくす笑いの連続であることは保証します。

  • 俳優・亀岡拓次の素朴なようで強烈な日々。彼の毎日は、いつまででも読んでいられるなぁ。

  • 味のある脇役俳優の亀岡拓治のエピソード集第2弾全6編でしたが、今回もどの短編も味のある話ばかりで面白かったですね!
    飄々として憎めない亀岡拓治という人物像がいいです!
    弱気な性格の亀岡が思わず勢いあまって、きれてしまったエピソードなんかも良かったです。
    第3弾が発売されることを期待したい!です。

  • 前回同様にこの素朴な雰囲気と亀岡の生活スタイル、この物語から漂ってくる様なにおいがたまらなく好きだ。
    続編が出たら絶対に読んでみたい!

  • 1作目に引き続いて、一気に読みました。
    さらに、いかがわしさがパワーアップして面白かったです。

    亀岡さんは出演作品数が多いのですよね?
    もっと色々な地方のエピソードが沢山あるはずですよね?
    続編待ってます。

  • 長年、独り身で、自分勝手にやってきた俳優亀岡拓次。貫禄もなければ生活感もない。普段ギャンブルをやっているわけはやらないが、昼間の競輪場へ行き、わけのわからないおっさん達の仲に入り「ああ自分もこんな感じでいいんだ」と安心感を得るのを小さな楽しみとする。背中には哀愁漂う間抜けさがある。生ぬるいビールを飲まされ、興奮もときめきもないお婆さんの胸を揉まされ1万3000円をぼったくられる。それでも名女優の乳房を思い出させてくれたからと寛厚温藉をみせる。浮かれた世相の裏側にある社会の暗部を浮き彫りにする。いかがわしさと猥雑が寧ろ救ってくれる。

  • 【最終レビュー】

    図書館貸出。1月末公開(2月鑑賞=前売券購入済)・映画化原作本。

    *映画『俳優 亀岡拓次』公式サイト

    http://kametaku.com/sp/index.html

    今はデジタルフィルムでの手法。

    ただ、著書から醸し出されていた『空気』は

    一昔前まで主流だった

    [8ミリフィルム(クルクルとフィルムが回る『独特の音』)]の[静寂な空間]で佇む中での

    〈淡さが絡みつつ漂うかのような『ノスタルジック的要素』〉

    著書の全体像からジンワリと流れてくるみたいな『感覚』を、自分の中で、感じ取りながら読み進めてました。

    『耳にしたことのある、実在の映画俳優・映画監督等』

    『映画の世界にしかない現場の「姿」』から伝わってくるもの

    『演技を通しての「内側から滲み出る」その人にしかない「人間像」』

    『映画鑑賞ノートが物語る「ふとしたことでの役割」』

    『自分は果たしてどんな人間なのかを「映画の現場の空気」の中で「模索」すること』

    『「現場の姿」がそのまま、映画館のスクリーンのみで生える「味わいのある空気」にも十分通じうるもの」

    拓次の姿を通して、自分はこのように捉えていました。

    〈映画の根本から見える様々な部分の「ひとつひとつ」〉を通して

    ―映画館鑑賞という趣味が持てたことの『ささやかかつ実直な喜び』―

    自分で再認識し直せたといった感じでした。

    これ以上はネタバレになるので、この辺りで終わることにします…

    後は、映画館の空気が漂う空間で、本編を鑑賞することにします。

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著者プロフィール

1971年東京都生まれ。劇作家・小説家。97年「鉄割アルバトロスケット」を旗揚げ。2009年小説『まずいスープ』で第141回芥川龍之介賞候補、14年『すっぽん心中』で第40回川端康成文学賞受賞、16年『のろい男 俳優・亀岡拓次』で第38回野間文芸新人賞受賞。

「2022年 『沓が行く。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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