アンソロジー 捨てる

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903651

感想・レビュー・書評

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  • アミの会(仮)アンソロジー、第一弾。

    テーマは【捨てる】ですが、「捨てたくないもの」「むしろ消えて欲しいもの」「捨てるのに困るもの」「捨てるべきなのかどうか悩むもの」「どちらが捨てたのか」「いずれは捨てるのだろうか」「捨て時はいつ」「本当には捨てない(謎かけみたい)」「形のないものを捨てる」「捨てる物に託す」など、いろいろ。
    やはり、今みんなが気にしているであろう、遺品整理や断捨離の話も出てきましたが、ヴァリエーションさまざまで面白かったです。
    え…っと、どこに【捨てる】が入っているのか?
    直接描かない高度なものもありましたが…

    『箱の中身は』大崎梢
    『蜜腺』松村比呂美
    『捨ててもらってもいいですか?』福田和代
    『forge’t me not』篠田真由美
    『四つの掌編』光原百合
    『お守り』新津きよみ
    『ババ抜き』永嶋恵美
    『幸せのお手本』近藤史恵
    『花子さんと、捨てられた白い花の冒険』柴田よしき

  • 「捨てる」がテーマの、短編×9のアンソロジー本。
    全員女性作家で、この会を「アミの会(仮)」と言うらしい。名だたる作家の集まり「雨の会」へのリスペクトを込めた会だとか。
    9人のうち作品を読んだことがあったのは多分、近藤史恵さんと新津きよみさんだけ。こういうアンソロジーは、新たに気になる作家を見つけるという意味でもとても良い形態の本だと思う。

    「捨てる」にも様々あるなぁ、と。
    人であったり物であったり思いであったり。
    意味合いとしてはその3つ全てである場合もある。人の思いが籠もった物を捨てる。そういうことは、現実にもたまにある。
    女性作家ならではの怖さがある作品もちらほら。女が何かを捨てる時って、思い残すことのないように残酷にすっぱりと…というイメージがある。未練を残すのは男の方が多いような。
    既に読んだことのある作家さん以外では、永嶋恵美さんと柴田よしきさんのがとくに好きだった。

    生きていると何かを捨てて次のステップに進まなきゃいけない時が必ずある。その時の罪の意識を覚えることもまた、人生には必要な痛みなのかもしれない。

  • アミの会のアンソロジーを読むのはこれで2冊目。今回は「捨てる」をテーマにしたお話が9篇。松村比呂美さんの『蜜腺』と長嶋恵美さんの『ババ抜き』がとってもインパクが強くて面白かったです。そして光原百合さんの『戻る人形』は怖かった。お人形には魂が宿ると誰かが言っていたような…このお話読んだらお人形を簡単に捨てるなんて出来ません。もし捨てるにしてもゴミ捨て場にポイッと捨てるのはやめましょう。捨てても戻って来ますからね(⁠*⁠﹏⁠*⁠;⁠)

  • 近藤史恵さんからたどり着いたアミの会(仮)のアンソロジーだったけど、予想以上にどれも好みだった。好きな作家さんと気の合うお仲間さんの作品だから、やっぱりどこか雰囲気似てたりするのかな。ゾッとするようなものからライトなものまで楽しめて満足。装丁もとても素敵。

  • 女性作家のみのアンソロジー。
    テーマは本のタイトルの通り。
    ほとんどはネガティブな作品が多いけど
    ある一人の少女の「捨てる」をテーマにした
    「箱の中身は」にはすごくぎゅっとくるものがありました。

    これは実は彼女の初恋なのです。
    でもその恋は、立場の相違上絶対に
    かなうものではなかったのです。
    (実際彼の親に彼女は嫌われています)

    そういう都合上、持っていてはいけないもの
    彼女はそれを捨てたわけです…

    いろいろこの作品は考えることがあると思いますよ。

    あとは嫁姑問題のおっかなーい作品の
    「蜜腺」という作品があります。
    まあ、これは「縁のあった夫関係すべて」を
    捨てる作品ですが…

    まあね、どう頑張っても夫側が悪いです。
    ママンダンナだしな(笑)
    マジこうなったらおしまいだかんね。

    ネガティブ系のやつはやっぱり面白かったです。

  • アンソロジーなので、普段手に取らない作家さんの作品も読めるので楽しかったです。
    「捨てる」というテーマで書かれた作品ですが、やはり好みのものとそうでもないものはありました。
    「蜜腺」や「ババ抜き」などが楽しめたにはいかにも私っぽいと思いますが、「箱の中身は」や「花子さんと、捨てられた白い花の冒険」も好きです。

  • タイトル通り「捨てる」にまつわる短編集。
    「捨てる」という行為は「選ぶ」という行為の裏返しだなあと。


    「密線」
    自分の祖母と父もこんな感じだったので、まさか見られてたのかと一瞬思うくらいビビった。愛情を得られないからこそ執着する、という構図は理屈じゃないのか。パート先で嫌な女社員が白眼視されるよう仕向けたり、姑へ静かに食虫植物のお菜入れたり、一見弱そうに見えて嫁さん超怖い。こんな人が職場にいたら細心の注意を払って距離を最大限にとりたくなること請け合い。

    「お守り」
    いい話?ダメな話?はっきりさせない所が謎を謎のままでという感じ。


    「ババ抜き」
    ルーブルの絵画「ハートのAを持つイカサマ師」を連想。
    阿鼻叫喚一歩手前の殺意が怖い。他人の物だからつまんでみたくなるのか。男じゃなくてスリルが欲しかったのか。

    「幸せのお手本」
    皮肉なタイトルの全方位アイタタ話。
    確かにそれは友達なくすよな~というお付き合いや、話し合いのないまま夫婦仲が崩れてく様子がイタくてリアル。でも自分だったら絶対こんな風にならない!って突き放せる所でもないのがまた。我が身のことがバイアスかかって一番見えてないってのが世の常だし。ヒリヒリ痛い。

    「花子さんと、捨てられた白い花の冒険」
    作者がエンタメホラー系だった気がしたので身構えながら読んだけどほどよくあっさり、笑いを持ってトリを務めてた。「幸せのお手本」の後だったから余計にほっとさせられたってのもあるか。逆だったら落ち込んだままの読み終わりだし。構成侮れないかも。

  • 捨てるをモチーフにした女流作家のアンソロジー
    これはお題がいいんだろうな、多彩でそれぞれの持ち味が出て、みなさん楽しそう。

    でするすると読んでしまって中身がなんだったか? (^^;;
    蜜腺はウツボカズラだったかしら......怖いような納得できるような
    捨ててもらっていいですか は 復員兵だったお祖父ちゃんの家を片付ける話
    ババ抜きは圧巻、こっわ〜〜(笑)

    箱の中身は / 大崎梢著
    蜜腺 / 松村比呂美著
    捨ててもらっていいですか? / 福田和代著
    forge´t me no`t / 篠田真由美著
    四つの掌編 戻る人形 / 光原百合著
    ツバメたち / 光原百合著
    バー・スイートメモリーへようこそ / 光原百合著
    夢捨て場 / 光原百合著
    お守り / 新津きよみ著
    ババ抜き / 永嶋恵美著
    幸せのお手本 / 近藤史恵著
    花子さんと、捨てられた白い花の冒険 / 柴田よしき著

    http://hon.bunshun.jp/articles/-/4273

  • 9人中7人が初めましての作家。こういう新しい出会いがあるのでアンソロジーは楽しい。それぞれどういう「捨てる」が出てくるか楽しみに読んだ。

    「捨てる」と言えばまず遺品整理が思い浮かぶ年頃なので、それを題材にした3篇が気になった。

    永島恵美「ババ抜き」
    ババ抜きは究極の捨てる。裏があり過ぎて恐ろしかった。

    柴田よしき「花子さんと、捨てられた白い花の冒険」
    捨てられるパンジーをもらった理由がわかるわかるで、花好き虫好きにはツボだった。ほんわかしつつもミステリーでおもしろかった。

  • いろんな方の作品が読めて良かった。

著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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