心はすべて数学である

  • 文藝春秋 (2015年12月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784163903798

作品紹介・あらすじ

ゲーデルの不完全性定理、無限との格闘、超越的なカオスの存在……。

心とは何かを解明するヒントは、数学の「不可能問題」へのアプローチにある。

解を導くのが不可能な問題を前に、科学はどのように立ち向かったか。

古今東西の数学者たちの試みに触れながら、

脳科学だけでは解明できない心の謎に数学的思考で挑む。



記憶や思考、推論といった心の働きに潜む数学的真理を説きつつ

「心」とは何かに迫った、孤高の数学者(カオス、複雑系)による思索の書。

みんなの感想まとめ

心の本質に迫る本書は、複雑系やカオス理論を通じて、心を数学的に理解しようとする挑戦を描いています。著者は、脳科学や工学の知見を活用し、心の働きがどのように数式で表現できるかを探求。特に、自己組織化や外...

感想・レビュー・書評

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  •  心理といえばとらえどころのないものと考えられることが多い。心は複雑で決して数学では捉えられないとも感じる。しかし、本書によれば、その本質は数学で説明できるという。
     コンピューターなどの工学の知識や、脳科学の成果なども参照して、それらが数式としてまとめられるといているのである。
     詳細な部分はまだ理解できないが、本書は哲学的な人間評価が根本にあると感じられる。人の行動には核となる原理が存在し、それが様々な形として現れるというのである。あくまで本質に迫ろうとする研究態度に感銘した。

  • 図書館に無し

  • 先日松岡正剛との対談本を読んだ津田一郎の著作。複雑系、カオスアトラクター、カントル集合、様々な数学的な道具立てでもって心の謎に迫る。カオスと記憶、その折りたたみ方などを始め、全体を通して非常に興味深い内容だとは思うのだが、「数学的言語」を上手く「一般の普通の言葉」に訳出できてない、そういう印象が強く残った。実際、脳と数学というのは普通想像する以上に近いものなのではないかと思っている。

  • 数学の概念を人間の心や心と脳の関係性に適用させその仕組みを解き明かそうとした本。
    脳内にカオスが存在することから、初期条件によって全てが決まる決定論的な概念だけでは脳内の処理は説明できなく、ここから人間の自由意志の存在についても言及されているのが面白かった。

  • 2016.05―読了

  • 難しくてほとんど理解できないが面白く読めた

  • デカルトが精神と物質はそれぞれ実体であるとして以来、心と身体(あるいは脳)の関係が問題となってきたが、この問題に正面から取り組んだものをはじめて読んだ。そしてかなり納得した。第2~4章を特に面白く読んだ。(5~6章は自分には難しかった。)心とは何かについて、独自の切り口で、なおかつ古今の思想を引きながら、誰にも納得のできるような筋道で論を展開している。他者とのつながりのなかで心は共有・伝播され、それに合わせて個々の脳が形成されていく。心が主で脳が従、という見方には、なるほどと思った。

  • 請求記号 410.4/Ts 34

  • 複雑系やカオスを研究する数学者である筆者が、「心」というものに数学の考え方から光を当てると、どのように捉えることができるかを考察した本。

    脳や神経系の物理的な構造を精密に観察しても、人間の心が生まれてくる過程は見えてこない。

    むしろ心というものを、外部環境からのインプットを基にシステムの働きを最大化させる、自己組織化のプロセスによって生まれるものと捉えるべきではないかというのが、数学者としての筆者のひらめきである。

    そして、そのような心の動きは、三体問題や二重振り子などの事象のように、複数のアトラクタの周囲の周期軌道の間を不安定に揺れ動くようなカオスの性質に近いものを持っているようにも見える。

    これは、ある程度は定常的で予測可能でありながら、突発的な予測不能の事態にも対応しなければいけないという、我々生命の脳が置かれた環境とも非常によく似ている。

    さらに、筆者は記憶、推論といった時間軸の要素を持つ要素が、無限に関する数学で扱われるカントル集合の概念を使うことによって、脳の中の空間的な神経ネットワークの構造の中に繰り込まれて記憶されていく姿を表現することができるのではないかということも述べている。

    筆者自身がエピローグでも書いているように、「ファクトよりもコンセプト」を重視しており、厳密な論理展開というよりは、直観的な推論を基に、「心とは何か」について考察を進めた本ではあるが、その分、想像力を膨らませながら読むことができた。

    複雑系の数学で光を当てることで、心の持つ創発的な側面や、外部環境との相互作用をしながら推論や自己の意識といったものを作り上げていくしなやかな姿を捉えることができるということが感じられて、面白かった。

  • ふむ

  • 数学

  • 難しい! 冒頭のp27で,感覚は具体的で感性は普遍的だとの記述がある.反対のような気がするが,丁寧な説明が続く.有限の事象を想像力の力で無限の世界に導く由.それに脳の海馬が関係するそうだ.カオスの話が出てきて,さらに難しくなる.荘子の因循主義やカントル集合が出てくる??? エピソード記憶がカントル集合で説明できる由.エピローグで全体を総括しており,これだけを読んでも良いのかな感じた.

  • 人間の可能性を感じさせる、じっくりと読んでいただきたい書籍である。

    津田氏は「抽象化された普遍性」という共通項を数学と心に見出す。彼の専門は複雑系であるが脳科学にも造詣が深く、海馬の働きや写像マッピング、他者を通じた自己形成などはなにやら最新のITテクノロジー技術書を読んでいるようだ。

    数学者の方の本を読むと彼らの思考の柔軟さ、制限のなさにいつも驚かされる。自然現象を言語表現に落とし込んだニュートンや「証明できないことを証明」したゲーデルの不完全性定理などは冷静に捉えれば驚異的な発想力である。

    一見抽象的で乱雑な概念に対して、それこそカオスのような世界において、物事の真理を突き詰めてそれを再度普遍化する。昨今AI vs 人間といった構図が取沙汰されるが知能面においては人間の持つ良さとAIの持つ良さが今後両立していくように、この本を読むと思う。

  • ★科学道100 / 導かれたルール
    【所在・貸出状況を見る】
    http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11600264

  • 宝塚西図書館から借りた。

  • ・基本的には我々の思考は、離散的(つまりバラバラ)で有限なものしか扱うことができません。でも、そこに本当は連続体があると考えてみる。また、はるか彼方の一点に向かってどこまでも伸びてゆく線があると考える―それが無限です。もちろん、有限なものから連続体に近づくことができると考えるのは、過程でしかない。しかし有言からどうやって連続体という無限に想像力を近づけていくことができるのか、その思考がまさに人間の脳の思考の典型だと思っているのです。無限は数学の概念であるだけではありません。

    ・そもそも、なぜ神経系は記憶という装置を作ってしまったのか?これは大きな神秘であり、問いです。環境が完全にランダムで予測できないものだとすると、記憶はそもそも役に立ちません。すべての出来事を覚えておかなければならなくなる。でもそんなことは現実的に無理でしょう。すると記憶には意味がないので、神経系が有限の材料で記憶装置を作ろうとする状況は起きなかったと思います。そういう進化的なプレッシャーはかからなかったでしょう。一方で、予測可能なことだけが起きているとすると、これもまた記憶は必要ないことになる。例えば一定の間隔で太陽が昇り沈むという周期運動は記憶する意味がないわけです。まったく同じことが繰り返し起きるだけですから、あえて言えば、ごくごく小さい容量の記憶、反射という神経の記憶だけがあればよくて、複雑な記憶などはまったくいらない。
    この両極端を考えると、脳だけが複雑な記憶装置を作ったことの意味が見えてきます。自然や人間社会を含めた環境は完全に予測可能でもないし、かといって完全にランダムでもない。決定論的でもなく確率論的でもない。必然でもなければ偶然でもない。環境は途方もなく複雑なだけで、そうした偶有性(コンティンジェンシー)と呼ばれる出来事が起こる複雑な環境と向き合うために、脳は記憶という装置を持つようになったのでしょう。

  • 「心はすべて数学である」と言い切ってしまっているタイトルはちょっといただけない(本の中でも心=数学ということが証明されていない)けれども、少し変わった切り口から脳の仕組みや人の心を分析していて、興味深い考察も多い。特に人が認識したものを細切れにして点にまとめ、カントル集合的な構造を持ったカオスファクター間を転々とさせながら記憶を定着させていくという工程には腑に落ちるところがあった。度々引用される数学の専門的な知識に関しては理解が及ばず難しく感じられるけれども、一度目を通されてみると何かインスピレーションが得られるかもしれず一興です。

  •  新聞の書評欄をみて興味をもったので読んでみました。
     ともかくタイトルに強烈なインパクトがありますね。“心は数学”、一体何のことだろうと思ってしまいますが、こういったシンプルなテーゼで表される「概念」を著者は重視しています。
     ただ、正直なところ、本書は私にはかなり手強かったです。高校時代も、思考の方法論という程度の「数ⅡB」までしかやっていなくて、いわゆる「学問としての『数学』」の素養は全くないわけですから、こればかりは致し方ありません。確実なことは「私の頭の中が“カオス”状態になった」ということで、結局「心は数学」という著者の興味を惹く主張は、残念ながら私には理解できずじまいで終わったようです。
     もっと、基本的な「数学」を学んでおかないと・・・、残念です。

  • 心はすべて数学!? タイトルに魅了されて手に取った。その発想自体に胸が熱くなった。脳が心を作っているという従来の思い込みが覆された。
    論理は具体的であり、感性は普遍的である。
    そこにレトリックがみじんもないだけに、痺れた。

  • タイトルに書かれたことがしっくりいったかというとそうでもない。しかし、全般的に何か重要なことが書き連ねられているようには感じる。おそらく、津田先生の中では確信めいたものがあるのだろうが、まだ完成途中というところか。それにしても、津田先生のご興味はずいぶんと幅が広がったように思う。(すみません、えらそうな書き方で)数学史、科学史であったり哲学であったり文学であったり、25年前に比べると話題が断然豊富になった。そう、「カオス的脳観」からもう25年になるのだ。神田でウナギをご一緒させてもらったのが、いまも思い起こされる。本書の中で一点、連続して動いている時計の秒針が、ふとした瞬間止まって見えるという記述、私にもその経験がたびたびあるのです。不思議な感覚です。それも脳のなせる業だったのですね。

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著者プロフィール

岡山県生まれ。大阪大学卒業、京都大学大学院博士課程修了。理学博士(京都大学)。九州工業大学助教授(情報工学)、北海道大学教授(数学)などを経て、現在、中部大学創発学術院教授・副院長、AI数理データサイエンスセンター長。北海道大学名誉教授。複雑系科学研究の先駆者のひとり。カオス力学系をベースに、脳神経系のさまざまなダイナミクスの情報構造の解明に従事している。神経回路網のダイナミクスに関する研究により、日本神経回路学会学術賞、HFSP Program Awardなどを受賞。また、応用数学への貢献により、4年に一度の応用数理国際会議ICIAMにおいて総合講演に選出されるなどしている。著書に『心はすべて数学である』(文藝春秋)など。クロスカントリースキーが趣味。

「2021年 『数学とはどんな学問か? 数学嫌いのための数学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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