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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784163904009
作品紹介・あらすじ
「なかったことには、ならない。」
「福島」が「フクシマ」になったあの日、原発に人生を奪われた。
だが、何としてでも生き抜いてやるーー。
【象は忘れない】
“象は非常に記憶力が良く、自分の身に起きたことは決して忘れない”(英語の諺)
あの日あの場所で何が起きたのか(「道成寺」)、
助けられたかもしれない命の声(「黒塚」)、
原発事故によって崩れてゆく言葉の世界(「卒都婆小町」)など、
エンターテイメントの枠を超え、研ぎ澄まされた筆致で描かれた五編。
著者プロフィール・柳広司(やなぎ・こうじ)
一九六七年生まれ。二〇〇一年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。歴史や文学作品をミステリと融合させた『吾輩はシャーロック・ホームズである』『はじまりの島』『新世界』などの作品を発表。二〇〇九年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞。ほかに『怪談』『ロマンス』『虎と月』『ナイト&シャドウ』『ソクラテスの妻』など著書多数。
みんなの感想まとめ
この作品は、福島の原発事故を背景に、失われた日常や故郷を取り戻すための叫びを描いています。著者は、事故によって引き起こされた人々の苦悩や恐怖を、研ぎ澄まされた筆致で表現し、読者に深い感情的な影響を与え...
感想・レビュー・書評
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叫びが詰まっている一冊。
10年前のあの日。目に見えない悪魔、人の手に負えない悪魔が暴れ出した。
当たり前の日々、美しき故郷がいとも簡単に悪魔だけでなく国、人にも奪われた叫びが恐怖が痛いほど詰まっていた。
随所での叫び、言葉が心を鋭い針で突き刺していく。
国はあの原発事故をなかったことにしたいのではないか…真偽はともかく、その言葉が一番突き刺さった。
あれからまもなく10年、まだ10年。
絶対安全神話、想定外なんてもうあり得ない。
負の遺産を現在進行形で受け止め続ける大切さ。
わかったふりは許されない現実を見た気分。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
チェルノブイリの事故で、溶けた燃料棒が固まってできた、
”象の足”と呼ばれる塊。
今現在も、ものすごい量の放射能を出し続け、
誰も近寄ることはできないという…。
#道成寺
原発は、絶対に壊れないと信じていた…。
福島第一原発の下請け会社の作業員。
事故直後、爆発を防ぐため、文字通り命がけの作業をさせられ被ばく。
線量計のカーン、カーン、カーンと激しく鳴り響く警報音…。
#黒塚
安全な場所へ避難したはずが、
強い放射能が流れる方向にそって移動してしまい、被ばく。
しかし国は、もっと前からその風向きを知っていた。
逃げても逃げても、目に見えない放射能に追いかけまわされる恐怖。
#卒塔婆小町
漁師という職を失い、人格までも変わってしまった夫から逃れ、
子供と東京で避難生活を送る妻。
#善知鳥
米軍のトモダチ作戦に参加し、極秘の任務に就いていた米兵。
助けられなかった命を悔やみ、PTSDに…。
#俊寛
住んでいた村が避難区域に指定され、ともに仮設住宅で暮らしていた仲間が、
避難指示区域解除の線引きによって、隔てられる。
道成寺・黒塚・卒塔婆小町・善知鳥・俊寛
すべて、強い情念のこもった歌舞伎や能の演目。
原発という、人間の力では太刀打ちできない巨大な怪物…。
あがいても、あがいても、どうすることもできない虚しさ…。
地震と津波は天災。
けれど原発事故は人災だとも言われていますよね。
本書では、米兵が日本という国を、
あれだけの被害者を出しながら、誰も罰せられない妙な国と表現していますが、
あまつさえ、再び原発を稼働させようとしている、
我慢強くて忘れっぽい国のようにも思えるのです。
『象は忘れない』
このタイトルに込められた意味を、深くかみしめています。-
またまたこんばんは(^-^)/
先日この本にコメントしようと思ったらちょっとバタバタ忙しくなってしまって。
満願と順番が逆になって...またまたこんばんは(^-^)/
先日この本にコメントしようと思ったらちょっとバタバタ忙しくなってしまって。
満願と順番が逆になってしまってごめんね。
この作品、すごく考えさせられそう。
原発問題って簡単に答えが出ないよね。
天空の蜂を読んだ時も色々考えたなぁ。
この作品も読んで色々知りたいな。
難しくはないよね?
2016/04/08 -
けいちゃん、こんばんは~♪
え~、そんなの全然気にしないでいいよ!
コメントしてくれるだけで、嬉しいもの♪
柳広司さん『ジョー...けいちゃん、こんばんは~♪
え~、そんなの全然気にしないでいいよ!
コメントしてくれるだけで、嬉しいもの♪
柳広司さん『ジョーカー・ゲーム』が好きで、読んでみたんだけど、本当に考えさせられた。
内容はね、難しくないし、すごく読みやすかったよ。
大好きな歌舞伎の演目が下敷きになっているんだけど、
それがとても怖いの。
#道成寺なんて、線量計のカーン、カーン、カーンって言う音に、
清姫が安珍を鐘に閉じ込めて焼き殺しちゃう場面が浮かんできちゃって。
電気のある生活に慣れ切っている自分が語るのもおこがましいんだけど、
いつかまた、大きな地震が来るっていわれてて、
フクシマの問題も何も解決していないのに、再稼働はいくらなんでもって…。
思うように進まない復興や、今も大変な思いをされている方々のことを思うと、
いいかげんなことは書けないなって、
何度も書き直したレビューなの。
うん!ぜひ、今度読んでみてね!2016/04/09
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ついこの間、日本全国を、それもどちらかと言えば過疎と言われる村をツアーで回っている音楽家から、昨年、福島県に呼ばれた時の話を聞かせてもらった。
その地に住む友達の畑のすぐそばに「除染の土」を何十トンと詰め込んだ袋(フレコンバッグという名をこの本で知った)を山の谷合に積み上げ、その上に通常の山土を詰め込んだ袋を積み重ねて、一見したところ単なる土の山的なものにしているとのこと。ただ、その汚染土を運び込む時に、その友人の耕作地の中を通り道として使うので、それはやめて欲しい、と抗議したところ
「今は、有事なので、我慢してください」
と言葉が返ってきたとのこと。
私たちは、私たちの国のことを
ちゃんと知る権利がある。
そのための一助として
次の人に、この一冊を手渡したい。 -
東日本震災で被害に遭った人たちの短編集。この作者ならではの淡々とした語り口が、いまいち感情が伝わらない。ただ、いくら伏字にしていても、すぐに町の名前は想像出来るし、その時間、そこにいた人がどんな思いだったかを知るには、いい本だと思う。震災から5年。改めて、震災を振り返り、いろいろ考えさせられる一冊だった。
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福島第一原発事故によって人生を奪われた人々の物語。すべての人に読んでもらいたい。このような「人災」を忘れてはならないし,それを忘れさせようという力が働いていることをも忘れてはならない。
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福島原発事故をモチーフにした短編集。
良い点としては、福島第一原発に関する経緯が大変分かりやすく書かれていること。事故当時幼くて、よく覚えていないような若い人にも人気のある作家が、これだけ飲み込みやすく書いてくれること自体、価値がある。特に地元の庶民がいかに政府と東電に蔑ろにされ続けたかが、よくわかる。
もうそれで十分ではあるとは思うけど、小説としては、各小説のタイトルが能の有名な物語と同じで、内容もそれをほぼなぞるように描かれているのが、ちょっとつまらない。若い人は能なんか知らないからいいのかもしれないけど、「俊寛」なんてほんとに内容も登場人物の名前もそのままで、ちょっとひねりはないのかと思ってしまう。
でもまあ良しとしよう。書かない作家の方が多いのに、責任をもってきちんと書いた、その思いは尊い。 -
福島の原発事故により人生を狂わされた人々を描いた、連作短編集。
地元で原発の恩恵を受けていた作業員の被曝、避難先で差別を受ける母子、支援に当たってPTSDを発症したアメリカ軍人などの目を通した物語によって、震災ではなく人災としての事故を訴えている。
なかでも、あれだけの事故を起こして多くの被爆者が出ているにもかかわらず、臭いものには蓋をして誰も罰せられない日本の愚かさについて、我慢も度をこせば滑稽だと語るアメリカ人のコメントは、手厳しく耳が痛い部分も多い。
批判内容もさることながら、手法としても米国軍人の口を借りて語らせることで、政府や東電だけでなく、日本全体を俯瞰して触れにくい部分まで遠慮なく糾弾することができ、効果的だと感じた。
チェルノブイリの「象の足」に由来するタイトルも印象的。
本筋とは直接関係ないが、作中にも登場する外国人を排斥しようとするヘイトスピーチ、デモに、以前出くわしたことがある。異様な集団の、容赦ない悪意の込められた言葉はおぞましく、気分が悪くなるほどだった。とともに、一見フツウに見える人たちが多かったことにも驚いた。現在では法が整備されたが、あの手のものを容認する社会であってはならないと強く思う。 -
まったく何の予備知識もなく、柳さんの本というだけで読み始めた。まさかこんな内容だとは思わなかった。冒頭の3行を目にした瞬間、これは「新世界」の続編なのだと理解した。半分は時間つぶし的に読み始めただけだったのに、最後まで一気に読み終えずにはいられなかった。「新世界」の柳さんは変わっていなかった。実に辛辣だ。そしてまた、ここまで寄り添ってくれたことに「ありがとう」と言いたい。
ぜひたくさんの方に読んでいただきたい。 -
避難指示解除となる基準年間20ミリシーベルト以下というのは原発作業員の被爆上限。言い換えれば、原発敷地内で暮らせ、福島県民だけが国際基準の年間1ミリシーベルト以下ではない別の基準を受け入れて生活しろということ。そもそも避難指示解除の基準がよくわからないうえ、道一つ隔てれば依然として避難区域だったりする。避難指示解除にしても、慰謝料も避難支援も打ち切りということであり手放しでは喜べない。仮設住宅に暮らす人たちと、受け入れた地元の人たちとの軋轢。様々な優遇措置を受けてきた原発自治体出身者への非難とやっかみ。それぞれの短編は被災地の様々な問題にスポットを当て今もなお続く過酷な現実を思い知らせる。フィクションではあるが、かぎりなくルポルタージュに近い。中でもPTSDになりにくい屈強の戦士がPTSDに罹患した驚愕の事実には背筋が凍った。慰謝料や賠償金の違いが人間関係を破壊し友人たちとの仲を疎遠にしていく。「像は忘れない」とは恨みは忘れない、必ず報復するということを意味する諺。決して忘れてはならない。今一度心に刻んだ。
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2021.7.5-426
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91こういう当事者視線の物語が、単なる批判やアドバルーンに使われないで、被災地域以外の、特に電力浪費側の都会人に着実に読まれる事を望みます。今後も丁寧な取材の作品をお願いします。
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図書館で借りた本。ジョーカーゲームシリーズや風神雷神は好きな作品だったけど、これは全て3.11の地震原発にまつわる作業員や避難所など被災した人達の短編話だった。予備知識無しで借りた本だから仕方ないが、選んで読みたい話ではなかった。
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福島原発事故をテーマにした短編集。
それまでささやかながらも幸せに生きて来た人々が、事故で人生を奪われた悲劇。
小説というよりはノンフィクションに近い感じで、とにかくひたすら辛く苦しい読後感だが、「忘れてはいけない」、「なかったことにしてはいけない」という著者の叫びが伝わってきた。
ベストというか一番インパクトがあって恐ろしいと思ったのは「卒塔婆小町」。 -
原発事故に纏わる短編集。巻末に列記された夥しい数の参考資料が示す通り、かなりのリアリティがありました。原発のお膝元では、多くの住人が原発関連の仕事についたり、商売上で恩恵があったりして、原発はジェット機が落ちてきても壊れない、絶対に安全と信じていた、あるいは信じたいという『道成寺』の主人公みたいな人もいたんじゃないかと思えた。でも、人が作ったものである以上、想定外のことは起こり得る訳で、事故が起こった後は『俊寛』で書かれていたような、避難指示解除によって地元に帰る人と、避難した人の間にある溝や、避難先の住人との軋轢は、小説の上のことだけではないのをニュースで見ているだけに身につまされた。
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2016/11/07
移動中
タイトルからクリスティを連想するのは仕方ないけども答えのないミステリーである原発の事後。 -
福島の原発事故により、人生を奪われた人々の物語。小説の良し悪しを超えて、読むべき小説という気がした短編集。
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ジョーカーシリーズの柳広司がフクシマに挑む。
オリンピック等に浮かれて忘れてはならない事実が、ここにある。 -
89-8-2
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