フランダースの帽子

  • 文藝春秋 (2016年2月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784163904078

作品紹介・あらすじ

ポンペイの遺跡、猫めいた老婦人、白い紙の舟…。不在の人物の輪郭、欠落した記憶の彼方から、おぼろげに浮かび上がる六つの物語。たくらみに満ちた短篇集

みんなの感想まとめ

不思議な世界観が広がる短編集で、現実と非日常が交錯する独特の雰囲気が魅力です。家族の絆や秘密、嘘が織りなす物語は、読む者を引き込み、最後には驚きの展開が待ち受けています。特に、姉弟の巧妙な嘘や、知人姉...

感想・レビュー・書評

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  • 以前読んでいて、再読。
    表紙の絵に惹かれた。

    6編からなる短編集。
    以前読んだ時も思ったが、全体的になんだかふわふわとした不思議な世界。でも決してメルヘンとか
    ではなく、現実世界と非日常の世界に境界がない
    ような不思議な感覚だった。
    夫婦や姉妹、母と娘、穏やかな暮らしの中に
    潜む嘘。最後の最後でひっくり返るのが面白い。

    【ポンペイのとなり】
    姉と弟の巧妙な嘘と秘密。最後で「え?」と思い、読み返した。まさに騙された‥
    【フランダースの帽子】
    嘘の話を周りに語る知人姉妹と、「わたし」と姉の出生の秘密。そして行先不明だった絵、「フランダースの帽子」との再会。自分が描いた絵が、四半世紀
    経ってから思いがけない所で再会したらきっと嬉しい。一番好きだった話。
    【シャンゼリゼで】
    何でも弟の物を欲しがる姉への、弟のささやかなる復讐。
    【カイロ待ち】
    面白かったけど、ちょっと怖い。
    自分の思う通りにしたいからって、そこまで
    する? 低周波音、隣人、恐い‥
    【ノヴァスコシアの雲】
    のんびりとした感じの話‥と思っていたら
    実は老女は詐欺師だった。
    【伊皿子の犬とパンと種】
    記憶喪失の謎の青年、遠田浩紀
    彼は一体何者なのか?そして、その奇妙な彼を
    語っている「ぼく」とは何者なのか?

    ちなみに、表紙の絵はグランマ・モーゼスという
    アメリカの女性の画家のものらしい。
    私はよく知らなかったのだが、彼女のイラスト的な明るい画風は、見ていて癒される。
    彼女が、絵を描き始めたのは、70代半ばになって
    からのこと。80歳で初の個展を開き、101歳で亡くなるまでに、1600点以上もの作品を描いた。

  • 『世にも奇妙な物語』のような短編集
    語り手は早口で、読むものを引き付け
    最後に謎かけをして終える
    『ノヴァスコシアの雲』『伊皿子の犬とパンと種』がよかった
    タイトルも静物画のような美しさ

  • 難解な短編集…。連作のようでもあるし、そうでもないような…全体に通じているのは「家族」の繋がりと「メタモルフォーゼ(或いはトランス)」か。

    服や持ち物を共有する姉弟の秘密「ポンペイのとなり」
    嘘で飾り立てる知人姉妹の記憶と再会の予感「フランダースの帽子」
    2人の母を持つ母母子(ももこ)に届けられた家族の真実を伝えるメッセージ「シャンゼリゼで」
    奇妙な隣人姉妹に惑わされる「カイロ待ち」
    家族経営の会社に務める主人公が出会う老婆と物語「ノヴァスコシアの雲」
    記憶喪失となった資産家の奇妙な女性遍歴と秘密「伊皿子の犬とパンと種」

    どれも前置きとなる情報が多く、先が読めない展開。「フランダースの帽子」と「シャンゼリゼで」はそういう事!?と驚かされ面白いと思ったが…他短編はひたすら振り回されたという印象が強く、ノリきれなかった

  • いずれも「きょうだい」がモチーフの短編集。
    表題の短編が好き。
    昔とやっぱり書き方が変わったなと思うけど、長野先生らしさは変わらない。
    ……と思ったけど雪花草子とかもこんな感じだった気がするから、何も変わってないのかも。
    書く人間の年齢の幅を昔より広げただけかな。

  • いい意味で掴みどころのない…過去と現在、男と女、現実と夢…あらゆる事象の境目が曖昧な、独特な世界観の短編集。理解しようとするとするりと抜けていくストーリー。何だか狐に化かされたような気持ちになりながら読み進めていった。ほんのりと薄気味悪いのに、その余韻に浸っていたいような。
    一応はそれぞれ独立した短編なのだが、双子とかきょうだいとか、似たような設定が次の作品にも登場するので、連作短編集を読んでいるような気持ちになる。好みは分かれそうだが、白昼夢のような、靄のかかったような物語世界に迷いこむのも悪くないなという気にさせられた。

  • 海外でのスキューバダイビング中の事故により記憶を失った青年。生活の助けとなる知人を探す医療スタッフは、次々と現れる彼の恋人を自称する老婦人達に困惑する。-伊皿子の犬とパンと種-
    6篇からなる短編集。

    随分親切と言うか、普通医療スタッフはそこまでしないだろうなどという感想は見当違いなのだろうから置いておくとして。
    女性だと思っていた人物が男性だったり、そもそも違う人物だったり等、思い違いで途中から変調するのが共通項か。
    淡々と語られる日常の風景は、ディテールまでしっかりとしていてくっきりとした輪郭を持っていたはずなのに、読み進めるうちに曖昧模糊としたものになってしまう。まるで迷宮に迷い込んだ気分。余韻を残す終わり方にも、なんとなくザワザワとした思いが残る。

  • 長野まゆみの最新作。
    妙な生々しさと幻想的なエピソードが絡み合っていて、独特の雰囲気を持った作品になっていた。この生々しさの部分を好きになれるかどうかで評価が別れるような印象。

  • 短編集でした
    今回は珍しくホモホモしくなかったな・・・意外にも・・・
    オチが分かりづらいタッチはいつも通りですが、しかし初期より遥かに分かりやすくなってるな・・・

  • 短編集。
    どの話もちょっとだけ驚いたり、騙されたり、意外だったり。そのちょっと具合がちょうどいい。
    「伊皿子の犬とパンと種」がミステリーっぽくて面白かった。

  • 繋がっていないようで繋がっている、関係ないようで関係ある。
    何度かページを行ったり来たりしながらも読み進めて、最後の衝撃で全てが分からなくなった。
    ポンペイのとなり/フランダースの帽子/シャンゼリゼで/カイロ待ち/ノヴァスコシアの雲/伊皿子の犬とパンと種

  • ラストに「!!」が待っている6編の短編小説集。シチュエーションも登場人物もとりどりで、謎はあるけど解くより流れに乗っかり、ラストの「!!」にたどり着きたくなるような物語でした。ちゃんとした夫婦モノの「カイロ待ち」とか、こういうのも好きです。いつもの繊細さや文章の美しさは減った気もするけど、こういうのも悪くなく、むしろもっと読みたいと思いました。

  • 長野まゆみらしいと思ったけど
    どこがらしいのかよくわからない

    高校生のときから読んでるから
    長い付き合い(一方的な)

    介護とか、高齢者ネタが多いのは
    まゆみさんがそういう年齢なのかな?
    60くらい?(経歴見ればすぐわかるけど調べない)

    現代の日本的な話のような
    ちょっと不思議系なような

  • リアルさを持ちつつ、日常の中に潜む不思議や非日常が描かれている。はっとさせられて面白い。

  • 性別や、生死さえも曖昧な表現でぼやかすのは、この作家特有なのだろうか……。

  • ふわふわと幻想世界を漂うようなリアルのお話。
    一筋縄ではいかないミステリが織り込まれている感じが結構好み。こっちと思って読み進めていたら、実はこっちだった!みたいな。
    2話目からは覆されるのを期待して予想しながら読んでしまった。

    「ポンペイのとなり」…年子の姉と弟の話。中学生の頃弟が出奔した。その頃姉は原因不明の頭痛を再発していた。わたしは…(誰)
    「フランダースの帽子」…双子かと思うほどよく似た姉妹ミナカナが付いた嘘。私が学生のころ描いた「フランダースの帽子」という絵画と25年後に不思議な再会をした。
    「シャンゼリゼで」…母々子が開く読書会。今日の本は「かみのふね」。ゆり彦とまり妃子の話。
    「カイロ待ち」…購入した中古の一軒家。誰が住んでいるのかわかりにくい南の隣人。旅行好きの老夫婦が北の隣人。ここに来るたびに起こる謎の頭痛と不快感の正体は?
    「ノヴァスコシアの雲」…「雲の事務所」と書かれた瀟洒な一軒家には謎の老婦人がいた。
    「伊皿子の夫とパンと種」…スキューバダイビング中の事故で記憶を失った遠田浩紀の話。

    「ポンペイのとなり」と「フランダースの帽子」がお気に入り。

  • 短編6編。
    夢見る乙女みたいな以前の作風ではなく、老人介護、認知症などを間近にしているのだろうなという現実を連想させる。それぞれ謎のままの謎が設定される。

  • タイトルに惹かれて、10数年ぶりに長野まゆみを読んだ。こんな作家だったっけ?と頭を抱える。記憶にある、あの瑞々しい世界観はなくて、むしろどこか乾燥した物語。プロットのひねりはさすが。

  • 新刊が出る度に今度こそはと思っているが、
    毎回残念な読後を迎える。

    やはりどの話もいまいち印象に残らない。

  • どこまでが現実で、どこからが非現実なのか( -_・)?どの話も日常から気づけば、ふわふわした不思議な世界へ(^^)雲を編む「ノヴァスコシアの雲」が一番のお気に入り♪

  • 「ノヴァスコシアの雲」だけ昔の長野さんぽくて、なつかしい気持ちになりました。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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