ままならないから私とあなた

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1804
感想 : 270
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904344

感想・レビュー・書評

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  • 中編2作、いずれも若い男女の恋愛を交えながら、理解し合うことの難しい対照的な価値観を描いている。

    恋人や友人、家族などをレンタルしてその場をやり過ごしたり、足りないものを埋めようとすることは、ありかなしか。人間関係が希薄になった現代ならではの設定だが、自分の正義を信じて突っ走ろうとする主人公の姿は普遍的。

    幼なじみの対照的な女性2人、かたや情緒豊かで音楽家を目指し、もう一方は無駄が嫌いで効率のよさと機能性を最重視する。お互いを大事に思いながらも、正反対の価値観の違いが年齢を重ねるとともに大きくなっていく。根本的なところでわかり合えない二人が、大人になるまで仲良しだったこと自体が不思議。

    いずれも、恋や友情に悩む主人公と同世代の人向きの作品かな。

  • 2022.5.5(図書館)

  • 朝井リョウの、ウケるものを書ける作家なんだぜ俺はっていう感じ、苦手だ。
    これだけ若くてこれだけ売れてる作家っておそらく他にいないだろうし、実際ウケてるから天才かと。
    でも、苦手だなあ。って改めて思う。
    でもその苦手な人の本を読んでるなら、こっち(作者側)の勝ち。って言われてるみたいで。まあその通りですね。って。



    レンタル世界

    結婚式の代理出席やレンタル彼女をバイトでしている女性と、偽物の人間関係なんて間違っている、人間同士全てを晒し出して分かり合おうっていう骨の髄まで暑苦しい体育会系男子のお話。
    誰にだって秘密はあるし知られたくないことだってあるし、信頼の押し付けはただのエゴだよ。
    嘘をついてでも取り繕いたい場面なんてもちろんあるし今の世の中そんなことばっかりな気すらしてくる。


    ままならないから私とあなた

    プログラミングで世の中をどんどん変えて行こう、無駄なものはどんどん省いて行くべきっていう合理主義の薫ちゃんと、ピアノが好きで自分だけの曲を作るのが夢の雪子の話。小学生からはじまって、大人になるまで。
    わたしは薫ちゃんの言ってることに概ね同意だけど、合理化をどんどん進めた結果、今の日本は生きにくくなってると思うから、無駄はなくなっても問題はなくならない気がする。
    手間が減る、必要な時間も減る、人手もいらなくなる、結果、人間いらなくね?ってなりつつあるよね。
    要領の悪い人間を雇うくらいなら機械で充分っていうのは現実にあるし、じゃあそういう人たちの行き場は?っていう問題が出ている。
    合理化で得られるものはたくさんあるし恐らくその流れは止められたいけど、その先にあるのは結局人間の問題なんだよなあ。

  • 初朝井リョウ。
    レンタル世界はなんだかありそうな物語だった。
    ある結婚式で気になる人が出来た雄太は、偶然にもその気になる人高松芽衣ちゃんと再会する。しかしその結婚式にレンタル友達として出席したことを告白される。本当の人と人との繋がりを教えたい雄太は、先輩の家に遊びに行くときに高松芽衣ちゃんにレンタル彼女の契約をお願いするのだが、
    先輩の家で先輩の本当の姿を知り、真実を知ってしまいショックを受ける。
    高松芽衣ちゃんに、人と人とのつながりは時として偽りがある…というような事を言われるのだった。

    ままならないから私とあなた
    この話は…。親友の夢をかなえてあげようと手助けする薫なのだが、夢って言うのはやっぱり自分の手でかなえないと達成感はないだろう…。余計な事っていうのがわからないのかな?と思ってしまった。
    そもそも雪子がちゃんと薫に言ってあげないからこんなことになっちゃうんじゃ?とか、なんだかもやもやする終わり方だった。
    雪子は成功までも行程を大切にする子で、薫は結果さえついてくれば面倒な行程は省いてもいいという考え方。
    そのどちらもいいバランスでおいしいとこ取りできればいいんじゃないかなー…って思うのは、やはりもう私が薄汚れた大人になったからなんだろう。

  • どちらの話も先が予想できてしまった。しかも読後感がよくなくて好みじゃない。特に薫の研究は予想が付くでしょうに…。

  • 表題作と『レンタル世界』という話が入っていた。
    『レンタル世界』は途中からカラクリが読めてしまったし、表題作はなんともスッキリしない…。
    せめて最後に親友にギャフンと言わせて欲しかった(笑)
    こういう自分本位で自分の意見や気持ちを押し付けてくる奴が大嫌いなので( ̄▽ ̄)何とか今まで自分がしてきたことで主人公がどんな思いをしてきたかをわからせてやりたかったんだけど…ああ言えばこう言う感じがイラつくことイラつくこと…!(笑)
    こういう人って自分の考えしか認めないから話が通じないんだよねーーーーーと、そんな感想で終わった(笑)残念。

  • レンタル世界、と表題作の2作が収められている。
    レンタル世界のみ読了。
    分かりあっているつもりでも。分かりあえているかどうかは分からない。思い込みは怖いもの。

  • ものたりないけど高校生にはちょうどいいんだろうなぁ

  • 短編(レンタル世界)+長編(タイトル作)。どちらのお話もリアリティに乏しく読後感も悪い。相変わらず当たり外れの大きい作家です

  • レンタル業。大学。部活。社会人。合理性。「レンタル世界」友人の結婚式で見かけた女性に街中で声をかけたらまったくの別人だった。家族、恋人、友達をレンタルする。/「ままならないから~」音楽の仕事を夢見る雪子と、無駄なものには手を出さない合理主義の薫との小学生~社会人までのある日々。思想の違いが行きつくところ。タイトルがぴったりくる。2編とも言いたいことが先行しすぎてて、言いたいことばかりだったな。

著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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