スクープのたまご

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904436

作品紹介・あらすじ

この私が週刊誌記者になって、スキャンダルを追う!?「週刊千石」に異動した新人女子部員が恐る恐るタレントのスキャンダルや事件取材に奮闘! リアリティ満載・感動のお仕事小説。

感想・レビュー・書評

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  • 運良く大手出版社に就職出来た、本人曰く地味で特に取り柄もない信田日向子。
    同期にも恵まれ、配属になったPR紙の仕事にも慣れて来た頃、週刊誌の編集部に配属された同期が仕事の過酷さにリタイア。他部署へと異動することになる。
    どこか他人事と思っていた日向子は後任人事で、週刊誌編集部の事件班に異動となる。
    入社前から、週刊誌編集部の仕事だけはしたくないと願っていた日向子だったが、先輩たちやフリーのカメラマンなどに支えられ、事件のイロハを学んでいく。
    いわゆるお仕事小説なのだが、並行して女性連続殺人事件の真相も追っており、少しミステリーの要素も。
    本にまつわるミステリーと言えば、この人!って言う作家さんの一人だけど、今作はやる前から「自分には出来ない!」と思っている主人公に終始イライラ。
    週刊誌編集部が舞台なのでしようがないのだろうが、いろいろ話が飛んで、結局ずっと軸になっていた殺人事件の真相には行きつかず、かなり消化不良。
    今作は2016年の発売なので、多分こちらの方が先かと思うが、少し前に放送されていたテレビドラマとオーバーラップしてしまうところもあり、ドラマの主人公は週刊誌の記者に誇りを持っていただけに、余計日向子の後ろ向きの姿勢が受け入れられなかったのだと思う。
    とりあえず、この出版不況の中、写真週刊誌の編集部の皆さんの大変さは良く分かった。
    でも、いくら仕事と言え、何の罪のない人の過去やプライベートを追い回す、最近の週刊誌の行き過ぎな取材はどうかと思う。
    そして、それに乗っかっているだけのメディアも。

  • いわゆる成長譚が好きなので、主人公が希望していなかった現場(週刊誌)へ配属され、仕事していく中で様々なことを学んでいくというこの本のストーリーは好きでした。週刊誌の現場というものも覗き見れたし。ひとつひとつのネタ(現場)を描きつつ、最終的にひとつの事件のヤマ場(週刊誌の醍醐味)を迎えるという分かりやすいもので、ミステリーというほどの謎解きはなかったけれど、爽やかな読後感でした。
    版元からあの週刊誌が取材先かと考えて、記事についても感心しそうになったけれど、最近のマッチポンプ疑惑もありそれはそれ、この本はこの本と思い直しました。

  • 週刊誌の編集部に配属となった主人公ですが、業界でもその名をとどろかせている悪名高い週刊誌を作る側になったことに不安と不満が隠せない、というところから物語が始まります。

    他人の不幸を切り売りしたり、あることないことを書き連ねて多くの人々の人生を台無しにしたり、というイメージが強い週刊誌ですが、出版社の「顔」としてプライドを持って記事を作っていることを知り、文字にはならない裏付け取材を繰り返す中で、「週刊誌の記者とはどういう仕事か」を考え、次第に成長していゆきます。
    最初は戦力にもならず「誰にでもできる」仕事しか振られなかった主人公ですが、次第に自分で企画を立てたり潜入調査をしたりと役に立つ場面が増えてゆきます。

    主人公の成長物語としては楽しむことができますが、各章ごとに時間が空いているのか、連続してるのか、微妙にはっきりしない部分もありましたし、根底にある事件の詳細や動機がはっきりせず、エンディングの展開としては悪くないものの、もう少しすっきりとした読後感だったらよかったな、と感じます。

  • 仕事を頑張ろうという気持ちにさせてくれる。

  • 週刊誌に配属された新人の奮闘を描くお仕事小説。
    地味な女の子を配したところがみそかな☆

    信田日向子は、真面目で大人しい女の子。
    老舗の出版社・千石社に奇跡的に入社することが出来て、最初はゆったりめのPR誌の仕事でテンポが合い、満足していました。
    ところが、悪名高い週刊誌に突然の移動。
    入社前にも、そこだけは嫌だと思っていたところなのに‥

    地道な裏取りのために、話を聞けそうな相手に電話を入れたり、一軒一軒たずねていくのが主な仕事。
    ほとんどは断られるか、何も知らないと言われてしまう仕事なのです。
    ヒロイン同様、週刊誌の記事といえば~辣腕なライターが突撃取材してあざとく書き上げるようなイメージがありますよね。
    正社員でない人間の書いたものを丸ごと信用するわけにはいかないと言われてみれば‥それは思わず納得。

    悩みながらも少しずつ道を進み、方向性を見出していく日向子がすがすがしい。
    子供っぽく見える容姿を生かす機会もあったり。
    めったにないことだろうという気もするけれど、時には週刊誌の立場でしかつかめなかった事実を知って報道したり、事件解決にまで関わっていくことにも。
    後半はミステリ要素も絡めて、面白く読めました。
    週刊誌のイメージがちょっと変わりますね。
    でも、違う面もあるのでは、という気もしないではないけれど(笑)

  • この私が週刊誌記者になって、スキャンダルを追う!?

    運よく文芸の雄と名高い老舗出版社〝千石社〟に入社出来た信田日向子。
    日向子の最初の配属先は文芸を扱うPR誌だったのに、一年後に早くも辞令が下りた。
    行き先は、社内イチ過酷と噂される「週刊千石」編集部、その事件班。
    「週刊千石」は、国内でトップクラスの週刊誌。
    中身はといえば、政財界を揺るがす疑惑からスポーツ記事から芸能人のゴシップネタまで…。
    入社前から千石社唯一の難点と眉をひそめ、避けて通りたいと念じていたのに…。
    私には無理。絶対に無理…。

    週刊誌の事件班に異動になった、入社2年目のヒナちゃんのお仕事小説だと思ってた。
    どんな人が取材をし記事を書いているのだろうか、
    週刊誌はどうやって作られているのか…?
    聞き込みや必要とあれば24時間体制で張り込みは日常業務。
    大変な事…苦労…それはそれでとっても興味深かったのですが、
    事件や取材があっちこっちに飛んで纏まりがないなぁ。
    グッと入り込めないなぁって思いながら読んでたけど、
    序盤から少しずつ繋がっていたー。
    ラストはスクープが獲れるのかって、ハラハラドキドキした~♪

    人の家の不幸に群がって恥ずかしくないのか…。
    人の心も命も踏みにじる行為だ…。
    週刊誌って、記者の書きたい様に煽る様に適当に書いてるのかと思ってたけど、
    日向子や登場する同僚達の心構えや気概が良かった。
    どんな事にも真摯に取り組むヒナちゃんの姿も良かった。
    段々仕事の仕方や大切さを知って行った。
    小説も週刊誌も現実をえぐる。違うアプローチでえぐる。
    週刊誌に対するイメージが変わりました。
    モデルは週刊文春だそうです(*°○°*)♡!

  • 悪名高い(笑)タブロイド紙をモデルに書かれたという本作。読みながら、そりゃ、そうだと納得する部分が多々。

    だって記事にするということは相手の人権に触れるかもしれない重大なことで、そんなことを下請け業者に任せられるわけはない。(いや、ゴーストみたいな下請けのライターが書いてるんだと思ってました<(_ _)>)

    そうか、こんなふうに取材するんだねぇと思いつつ、肝心の事件の謎解きはしないんだとその部分がもやっとする私でありました。

  • おもしろかったーーーー!!!!
    出版社に勤務する入社2年目の日向子。
    1年目は比較的平和な部署でぬくぬく育ち、2年目はなんの因果か社内イチ過酷(そして稼ぎ頭)の週刊誌編集部へ部署異動!
    無理だ無理だと嘆く日向子だけど、思いの外部署内の人たちは優しいし、そして日向子自身の素直さやガッツが意外と仕事にマッチしていて、色んな人や事件に触れ成長していく姿が頼もしかった!
    日向子自身人に警戒心を与えないというか愛嬌があって懐に入るのがうまい。それは天性のものだと思うけど、それ故に週刊誌記者という仕事が合ってる。
    実際の週刊誌がどうかは分からないけど、週刊千石はほぼ正社員で構成されている理由も素敵だったな。
    ラストは事件の真相が暴かれて解決して落着!となるのかと思いきやそうはならず、え!もっと読みたい!と思ってしまった。そうか、これは警察ものでなく週刊誌が舞台だもんなとしばらくして納得。
    でもでも、これ一冊で終わるにはもったいないキャラクターがたくさんなのでシリーズ化して欲しいな〜!
    何より日向子と桑原くんの恋が始まるんじゃないの!? ニコちゃんの存在も、編集部のみんなも、色んなことが気になる〜!(笑)
    そして色んなところに張り巡らされた伏線の回収がお見事でした。一本に繋がった時の快感ったらない!(笑)
    なにより日向子が報われて良かった〜!

    大崎さんのお話が益々好きになりました。もっと色々読んでみよう!

  • 結構好きなジャンルであるお仕事小説。その中でも、舞台は週刊千石という、超大手の週刊誌の会社。主人公の日向子は、学生の時から全くうだつの上がらない普通の女の子。
    そんな普通の女の子がひょんなことから花形の週刊誌部門に配属されて、不慣れながら成長して行く様が心地よい。

  • よくわからないけど
    引きずられた。出版社に就職し PR誌を担当していたが
    突然 週刊誌担当に
    ゲテモノを扱う週刊誌だとおもっていたが
    中に身を置くと
    違う色々な面が 見えてくる。
    正義の味方というわけじゃないけど
    違った観点から見た週刊誌の一面 楽しく ジーンときつつ
    読めました。

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著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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