さよならクリームソーダ

著者 :
  • 文藝春秋
3.23
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本棚登録 : 217
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904603

作品紹介・あらすじ

24歳松本清張賞作家が描ききる「自由への逃走」美大の一年生・友親の危機を救ってくれた優しいイケメンの先輩。彼の過去に触れ、自らの生き辛さを自覚するが――青春長編!

感想・レビュー・書評

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  • 3.9 ただの初恋、難病ものとは違う。家族と生の物語。誰かの死を引き受けて、今の生をつくる。誰も一人では、生きられない。希望の持てるエンディング。

  • 青春っぽい題名で甘酸っぱい内容なのかと思うと、案の定結構重めの内容です。額賀さんが前インタビューで言っていたのは、「世の中そんなに上手くいかないじゃないですか」みたいな事でした(大意は間違っていない)

    このような話は、自分探しと家族のありようを天秤に掛けて、自分探しという隠れ蓑に隠れて現実逃避という身もふたもない見方になってしまうのが大人の嫌な所です。
    何故そんな風に受け取るかと言えば、この歳になるとそういう現実逃避は経験済みだからであります。
    そんな葛藤を解決しないまま大人になってしまった自分を見つめ返すと、ちょっと恥ずかしかったりします。そういう人多いんじゃないかな。
    読んだ人の心にそういう切り傷を残せる作品に出来たらもう一ランクステップアップ出来る作家さんだと思っています。
    充分興味深く読んだのだけれど、そういう意味での痛みみたいなものが足りなかった気がします。

  • 人間関係の機微だけでここまでストーリー作って読ませるのが凄い。
    家族というつながり、友情というつながり、恋愛というつながり…それらを、書き分けるでなくもなく書き分けて、人生を歩んでいく主人公二人を描写する。さすが額賀澪やなぁと。

    核分裂と核融合、家族という単位においては比較的行われやすい現象なのだが、物理化学のそれとは比較にならないとはいえ、それなりに問題を含有する現象でもある。
    特に連れてこられた子供たちにとっては、いきなり新しい親だの兄弟姉妹だのができて「なじめ・仲よくしろ」などと言われるわけで、ただでさえ繊細な時期にある子であれば、ストレスにならないわけがなく…。

    とはいえ、親だって人間で、元の連れ合いと別の人を好きになることだってある。親だから子育てが終わるまでは恋愛禁止…それでは親にもストレスがかかる。

    融合したり分裂したりする家族たちが、どういう風に葛藤しどういう風に落としどころを見つけて、平和や幸せになっていくのかは、難しいことで繊細なことで。

    少なくとも、直接かかわりのない余人が口をはさんだり、批判したり…どころか余計なお世話的な応援すら、してはいけないことなんだろうな。幸せの形はあくまで個人の心の中にあり、当事者でもないものが、その価値観をもてあそぶのは非常にはしたないなぁと。

    そういうことを感じながら読んだ。

  • 美大生が抱える家族のあり方と青春。

    母が再婚したのと、美大への進学を機にアパートで1人暮らしをすることになった友親。

    同じアパートに住む先輩の柚木若菜は、穏やかな雰囲気のなかに、もの悲しさを含ませている人だった。

    美大生としての忙しい日々。
    母の幸せを願う気持ちと、再婚相手の連れ子で姉でもある涼が、友親の気持ちを踏みにじるようなことをしてきた過去。

    若菜先輩が抱えていた家族のことと、昔の恋人。

    彼を心配している若菜先輩の父の再婚相手の連れ子で妹でもある恭子。
    絵を描くことに人生をかけている明石先輩の危うさ。
    若菜先輩が高校時代に付き合っていた、亡くなったヨシキこと由樹。

    おお、ドラマティック。。。
    女子のキャラがみんなだいたい似ていて、少し惑わされる。

  • まあよく分からん

  • 若菜さんに心底惚れた。

  • めちゃくちゃな美大に入学した友親は、「完璧な」若菜先輩にコンプレックスを持ちつつも、どこか裏があるように感じていた。彼と友親の共通点は……。話がどこにいくんだろうと思ったが、終わってみればなるほど、という流れだった。はちゃめちゃな学園生活が楽しくも、過ぎ去ってしまう日々なのだなと思う。家族は続いていくので、長いスパンの話なのが、対照的。

  • 美大へ入学し一人暮らしを始めた友親と、同じボロアパートのイケメンで才能ある四年生の若菜の、苦くてひりひりするような若者の日々。二人共親が再婚し友親は義姉との関係に問題を、若菜は高校生の頃の運命の相手のような由樹との別れで酷い喪失を抱えている。ハチクロや3月の〜に重なりすぎる微妙さは最後には霧散した。

  • ステップファミリーに纏わる屈託を抱えるという似た境遇の花房美大四年の柚木と進入生の寺脇。二人はボロい美大生専用の寮で生活し、関わり合いながら過去の傷を乗り越えていこうとする。
    現在と、柚木の過去と寺脇の過去が順に展開されていくのだが、少し読みづらい所もあったし、他の作品に比べて感情移入がしづらかった。寺脇の義姉の涼は理解し難い。
    舞台である花房美大、通称ハナビは、作者が卒業した日大芸術学部がモデルになったと思われる。2018.8.10

  • 生き生きとした登場人物全員が全員、恋愛、進路、家族の問題を抱え、もがきながらも克服していく様に、彼ら彼女らを自分の甘く苦い憶いと重ねたくなる。若者たちは、限界と可能性のあいだを揺れ動く。青春の甘さ、そして苦さ双方を味わえる作品であろう。噛みしめるように味わいたい。

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著者プロフィール

額賀 澪(ぬかが みお)
1990年生まれ、茨城県行方市出身の小説家。日本大学藝術学部文芸学科卒業。2015年『屋上のウインドノーツ』で第22回松本清張賞、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞。2016年刊行の『タスキメシ』は第62回青少年読書感想文全国コンクール高等学校部門課題図書に選出され、さわや書店の「さわベス」第2位を獲得。
小説を記す一方、自らの来歴を紹介しつつ、自著を増売するための方法を求めるルポ『拝啓、本が売れません』も刊行している。
ほか、『さよならクリームソーダ』『君はレフティ』『潮風エスケープ』『ウズタマ』『完パケ!』など。近刊に『風に恋う』。

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