私の消滅

  • 文藝春秋 (2016年6月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (176ページ) / ISBN・EAN: 9784163904719

作品紹介・あらすじ

このページをめくれば、

あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。



一行目に不気味な文章が書かれた、ある人物の手記。

それを読む男を待ち受けるのは、狂気か救済か。



『掏摸 スリ』『教団X』を越える衝撃。

中村文則が放つ、新たな最高傑作!

みんなの感想まとめ

人間の暗部や生きることへの葛藤を深く掘り下げる物語が展開されます。主人公は自らの手記を通じて、自分の過去や精神科医としてのアイデンティティを再発見し、同時にその裏に潜む罠に気づいていきます。物語は一人...

感想・レビュー・書評

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  • ⚫︎感想
    教団X、R帝国などに出てきたモチーフをまた違う物語として描いている。自分の意思と選択で本当に生きているのか、知らないうちに誰かの思い通りに生き、考えているだけではないのか?これは多かれ少なかれ、この世界に生きる上で、人が抱える事象なのだが、それが善意に満ちた事象であれば幸せで、それな悪意に満ちた事象であれば破滅に向かう。人間の暗部をとことん見つめて描く著者には、生きることへの潔癖さが見える。
    一つの物語として、最初の一行から最後まで引き込まれた。

    ⚫︎本概要より
    このページをめくれば、
    あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。

    一行目に不気味な文章が書かれた、ある人物の手記。
    それを読む男を待ち受けるのは、狂気か救済か。

    『掏摸 スリ』『教団X』を越える衝撃。
    中村文則が放つ、新たな最高傑作!

  • ある精神科医の物語。記憶を無くした『僕』が、自分の手記を読み、自分は複雑な家庭で育った精神科医であることを知る。しかし、その記憶は『私』である精神科医が仕掛けた罠だった。
    基本、一人称で語られる物語なので、途中頭が混乱してしまったが、『私』である精神科医の復讐の物語である。
    それにしても、中村文則さん、たまに読むにはいいけれど、相変わらず重いです。

  • 暗いなあ、暗いなあああ、と思いながらまんまと惹き込まれて2日で読破。

    精神科医ならではの専門知識で繰り広げられていくどんでん返しのような展開、心の変化、闇、悲しみ、忘れられない過去のしがらみ等が次々と描かれていて、読んでいるこちらも苦しく、悲しくなってきました。

    作者さんあとがきの「この世界は時に残酷ですが、共に生きましょう」に握手を求めたい気持ちマッハでございます。

  • インパクトありすぎてページをめくるのを躊躇ってしまった冒頭
    「私」を一人称にして綴られていく話を読み進めるとだんだん「私」が誰なのか分からなくなっていく。
    また、実際にあった事件を題材にして『私』とは何なのか。自我とは何かと問いかけてくるような本作。
    今作も同氏の作品特有の暗鬱とした感じがあり、読んでいると飲み込まれそうな感覚になる
    哲学的な問いかけがあり、読む人、歳、精神状態で感じ方が変わるだろうから時間をあけてまた読んでみたい

  • 事実とそうでないものが入り混じって、さらに私や彼や男や医者は誰のことを指しているのか、この章は本当は誰のことを言っているのかということが、ページをめくる度に少しずつ明らかになり、まるでパズルのようだった。残酷な物語だけど強烈な引力を持ち、夢中で読んでしまった。

    ストーリー以外の様々なところにも工夫がこらされていた。
    一見何の意味もないような表紙の黒い線はここでいう悪意。
    タイトルもとても示唆に富んでいて、絶妙で奥深いものだった。
    最後が最初に戻るという構成は『去年の冬、きみと別れ』と対になっていた。私が一番好きな作品なので嬉しかった。


    「私が気を遣う人間なのだとしたら、それはそのまま、世界に対する壁」

  • かなり面白かった。ぜひとも二度読みたい作品だった。
    復讐のやり方にこんな形があるのかと、思わずしびれた。
    中村さんの作品にありがちだと思う、絶望の中のかすかな光も個人的には読み取れた気がする。
    人格の形成、崩壊、再生、物語自体はさらっと読めるほどの量だが、無駄な弛みがなく、個人的にはとてもすっきりと言ったら変だが、すっきりする話だった。
    また読みます。

  • 「私」って誰なんだろう、と考えさせられる、個人的にはとても好きな小説でした。
    ちょっと精神科医憧れちゃうかも。現実の精神科医にも、こんなことが出来るのかは分かりませんが。……もし出来るのなら滅茶苦茶怖いですね。

    視点が交差しまくりますし、時間軸もバラバラなので、中盤はだいぶ混乱しました。それ故に、後半で少しずつ真実を紐解いていくにつれ、露わになっていく人間の悪意、そしてその恐ろしさに震えさせられました。

  • これはかなり面白いサイコスリラー。途中、誰が誰だかわからなくなるかな?と緊張が走るも、落ち着いて読めば大丈夫だった。遺族が加害者に対して「同じ思いを味わわせてやりたい」と願うとき、なるほどこのやり方があるのか。ラストの軽いひねりの連続に先日観た『さがす』を思い出す。ただ1点気になってしまうのは、女性が性的に酷い目に遭ったりそれが原因で身を持ち崩したりする描写って、ストーリ―上どうしても必要なのかな。ともあれこういう小説をもっと読みたい。

  • 今話しているのは誰なのか分からなくなる「ループ小説」だった。そしてあとがきから作者のやさしさも感じられた。

  • 今まで読んできた本の中で最も胸に突き刺さる本でした。

    自らにECTをかけ記憶をなくした後に、目の前の紙に書かれた「ゆかり」の文字を見た小塚は何を思うだろうと考えると、涙が出そうになりました。

    人を選ぶ小説だとは思うけれど、読んでよかったと思える作品でした。

  • かなり偏りはありますが、随分長い間、文学と親しんできました。
    時々、「文学はなんて遠い地点まで来てしまったのだろう」と、読後陶然とすることがあります。
    ただ、本作ほどそう感じた作品は他になかったかもしれません。
    事実、ある意味では最先端の小説作品と言うことができましょう。
    最近、すっかり魅了されている、中村文則さんの最新作かつ話題作です。
    簡単に言うと、文学と科学が高度に融合した作品です。
    「SF作品」という意味では決してありません。
    本作は間違いなく純文学の系譜に連なっています。
    科学の知見を活用した純文学作品と言うことができるでしょう。
    意識とは何か、自分とは何か、つまるところ人間とは何か―。
    そんな文学の普遍的なテーマを、本作では扱っています。
    これまでの純文学は、もっぱら文学的な技巧でこうした普遍的なテーマを探究してきました。
    芥川賞受賞作家という呼称がかすむほど、数々の傑作をものしてきた純文学作家である著者は、もちろん文学的な技巧をフルに駆使していますが、同時に精神医学や脳医学の最新の知見を用いて、これを探究しているのです。
    実に野心的な挑戦であり、それだけでも敬服しますが、物語もミステリ仕立てで実に読みごたえがあり、スリルと読後しばらく冷めやらぬ興奮が、この困難な挑戦に打ち勝ったことを私は裏付けていると思いました。
    恐らく謎解きも本作を読む醍醐味のひとつでしょうから、あまり深入りはしませんが、簡単にストーリーをご紹介すると―。
    「このページをめくれば、あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。」
    1行目に、そんな文章がつづられた、ある男の手記で物語は始まります。
    だが、それを読んでいる「僕」とは、実際のところ誰なのか。
    読み手は幻惑されながら、さまざまなエピソードに接することになります。
    男は、ある女に恋…。
    いや、止めておきましょう。
    どうやっても興趣を殺ぐことになりそうです。
    本書を読みながら、私は、記憶喪失中の若き精神病患者の物語で、「読むと一度は精神に異常をきたす」と言われる夢野久作の「ドグラ・マグラ」を思い出しました。
    本書が、傑作であることは言を俟たないでしょう。

  • 本作までは中村氏の書籍はほぼ購入しており、この度積読了。冒頭からしてこわい〜。で、私がだれなのか、だれが、だれを失っていくのか、わからなくなっていくマジック。こわ〜。でもなぜか、毎回こう、一瞬の優しさというか、いわゆるフツーへのあこがれ、みたいのが出てくるのが意外とツボなんです。

  • 衝撃的な出だしから始まったが内容は結構重いスローストーリーのように感じた
    精神科医にこんなことが実際に出来たら怖い
    タイトルの通りECTによる「自分」の消滅…
    今の自分について少し考えさせられた

  • 2人の立場で1人の人間を描くという点はとても面白かったけれど…実在の犯罪者に関しても随所で言及しているからか、私の中でフィクションとノンフィクションの境目がかなりぼやけて、被害者ぶった主人公がどう転んでも逃げ切ろうとする最後に強烈な不快感が残りました。女たちがことごとく性犯罪の被害者としてしか出てこないのもなんだかな。

  • 22年8月26日読了

  • 最初は、誰の視点で書かれているのか分からず、「?」が頭に浮かぶばかりだったが、読み進めて行くと、今までの視点が変わる理由も分かるとともに、内容も次第に頭に入ってきた。

  • 「私」という一人称で語ることで前半は巧妙に読者を騙した。
    安部公房の「箱」を読んだ時も似たような感覚を覚えたかもしれない。「私」が誰を指しているか段々分からなくなるような、作家が何か罠を仕掛けているような感じ。
    「私」の不確定性が新たな小説の可能性を生み出すと思う

  • 何度も読んでしまう、私にとって人間失格のようにターニングポイントで読む本。
    自分の感じ方がループする感覚の中で変容していく感じがあって、これからも再読していきます。

  • 女に振り回されすぎ

  • 丁寧な文章で読みやすく、わかりやすかった。

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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