私の消滅

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1771
感想 : 201
  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904719

作品紹介・あらすじ

このページをめくれば、あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。一行目に不気味な文章が書かれた、ある人物の手記。それを読む男を待ち受けるのは、狂気か救済か。『掏摸 スリ』『教団X』を越える衝撃。中村文則が放つ、新たな最高傑作!

感想・レビュー・書評

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  • ある精神科医の物語。記憶を無くした『僕』が、自分の手記を読み、自分は複雑な家庭で育った精神科医であることを知る。しかし、その記憶は『私』である精神科医が仕掛けた罠だった。
    基本、一人称で語られる物語なので、途中頭が混乱してしまったが、『私』である精神科医の復讐の物語である。
    それにしても、中村文則さん、たまに読むにはいいけれど、相変わらず重いです。

  • 今まで読んできた本の中で最も胸に突き刺さる本でした。

    自らにECTをかけ記憶をなくした後に、目の前の紙に書かれた「ゆかり」の文字を見た小塚は何を思うだろうと考えると、涙が出そうになりました。

    人を選ぶ小説だとは思うけれど、読んでよかったと思える作品でした。

  • かなり偏りはありますが、随分長い間、文学と親しんできました。
    時々、「文学はなんて遠い地点まで来てしまったのだろう」と、読後陶然とすることがあります。
    ただ、本作ほどそう感じた作品は他になかったかもしれません。
    事実、ある意味では最先端の小説作品と言うことができましょう。
    最近、すっかり魅了されている、中村文則さんの最新作かつ話題作です。
    簡単に言うと、文学と科学が高度に融合した作品です。
    「SF作品」という意味では決してありません。
    本作は間違いなく純文学の系譜に連なっています。
    科学の知見を活用した純文学作品と言うことができるでしょう。
    意識とは何か、自分とは何か、つまるところ人間とは何か―。
    そんな文学の普遍的なテーマを、本作では扱っています。
    これまでの純文学は、もっぱら文学的な技巧でこうした普遍的なテーマを探究してきました。
    芥川賞受賞作家という呼称がかすむほど、数々の傑作をものしてきた純文学作家である著者は、もちろん文学的な技巧をフルに駆使していますが、同時に精神医学や脳医学の最新の知見を用いて、これを探究しているのです。
    実に野心的な挑戦であり、それだけでも敬服しますが、物語もミステリ仕立てで実に読みごたえがあり、スリルと読後しばらく冷めやらぬ興奮が、この困難な挑戦に打ち勝ったことを私は裏付けていると思いました。
    恐らく謎解きも本作を読む醍醐味のひとつでしょうから、あまり深入りはしませんが、簡単にストーリーをご紹介すると―。
    「このページをめくれば、あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。」
    1行目に、そんな文章がつづられた、ある男の手記で物語は始まります。
    だが、それを読んでいる「僕」とは、実際のところ誰なのか。
    読み手は幻惑されながら、さまざまなエピソードに接することになります。
    男は、ある女に恋…。
    いや、止めておきましょう。
    どうやっても興趣を殺ぐことになりそうです。
    本書を読みながら、私は、記憶喪失中の若き精神病患者の物語で、「読むと一度は精神に異常をきたす」と言われる夢野久作の「ドグラ・マグラ」を思い出しました。
    本書が、傑作であることは言を俟たないでしょう。

  • 「私」が誰なのか、脳をいじるとそこまで記憶を書き換えられるのかなぁ…。ある意味恐怖。メンタル強い時に読まないと、なんか取り込まれてしまうような、そんな小説。

  • 今は誰なのか、よくわからぬまま、進んでいくが、最後にちゃんと理解はできる。
    こんなことが起こっていたら世の中不信感がいっぱい。

  • 怖かった。
    脳を書きかえたり、拷問の仕組みなどが。
    犯罪は許されないことだが、その立場じゃないとわからないこともあるなと思う。

  • うーん、難しい。 内容自体はとても興味深いし、海外で人気なのもわかる気がする。 只、この手の内容の本は集中して一気に読み進まないと理解し辛い。 元に戻って読み直すのも嫌なので、機会があれば再読してもいいと思う。 なんだかんだ言っても、この著者の本はなぜかふと読みたくなるんだなあ?

  • 人間とは。記憶なのか、罪とは。なんなのか。重く抉られる筆致でえがかれる物語。作者のひとつの到達点のような作品

  • 事実とそうでないものが入り混じって、さらに私や彼や男や医者は誰のことを指しているのか、この章は本当は誰のことを言っているのかということが、ページをめくる度に少しずつ明らかになり、まるでパズルのようだった。残酷な物語だけど強烈な引力を持ち、夢中で読んでしまった。

    ストーリー以外の様々なところにも工夫がこらされていた。
    一見何の意味もないような表紙の黒い線はここでいう悪意。
    タイトルもとても示唆に富んでいて、絶妙で奥深いものだった。
    最後が最初に戻るという構成は『去年の冬、きみと別れ』と対になっていた。私が一番好きな作品なので嬉しかった。


    「私が気を遣う人間なのだとしたら、それはそのまま、世界に対する壁」

  • 教団X読み終え、この一冊を手にしました。
    こっちから読んだ方が良かったかなというのが素直な感想。
    教団Xのスピード感あり内容としてももちろん面白かった。
    ただ!教団X以上や同等の物を期待していると
    違います。ジャンルは似ているので星3つです。

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著者プロフィール

中村文則
一九七七年、愛知県生まれ。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏摸〈スリ〉』で大江健三郎賞を受賞。同作の英訳版が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの二〇一二年年間ベスト10小説に選ばれる。一四年、アメリカでデイビッド・グディス賞を受賞。一六年『私の消滅』でドゥマゴ文学賞受賞。他の著書に『教団X』『その先の道に消える』『逃亡者』、エッセイ集『自由思考』などがある。

「2020年 『夜ふかしの本棚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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