北の富士流

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904825

作品紹介・あらすじ

人間力満開の痛快な人生!横綱まで上りつめて引退した後、親方として千代の富士、北勝海の二人の横綱を育てあげる快挙をなし、さらに相撲協会をはなれてNHKの解説者となってからは、自由奔放にして情のある辛口の解説で、70歳半ばにいたる今も人気の真っ只中に君臨し続ける北の富士。その比類なき人生のこなし方に、作家の村松友視さんが迫ります。女優の浅丘ルリ子さんも大絶賛で、「粋で華やかで色気がある。私、北の富士流の味方です」として以下のような文章を寄せています。「北の富士さんは姿の美しい横綱でした。今は解説の歯に衣着せぬ物言いを楽しんでいます。人の美しさは生き方からにじみ出るものでしょうが、村松さんの作品を読んで、北の富士さんの粋や華、心意気や色気の秘密がよくわかりました」 村松さん自身、偶然酒場で出会った北の富士さんと、酒場のコースターにお互いに伝言を書き残して従業員に渡してもらうという、ペンフレンドのような不思議な関係を続けていました。大相撲ファンのみならず、人が鮮やかに生きるとはどういうことか、そのヒントを与えてくれる傑作です。

感想・レビュー・書評

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  • 力士として、師匠として、そして解説者としての北の富士勝昭氏の魅力に迫った一冊。

    その時々の時代背景を絡めての考察は(真偽のほどはさておき)面白いが、やはり何より面白いのはご本人のエピソードの数々だ。兄弟子からのかわいがりの末の奮起、破門からの幕内最高優勝などはやはり横綱まで上り詰めた人物の芯の強さの表れだろうし、今なら物議を醸しそうな「横綱らしからぬ」行動も、かえって「北の富士らしい」と感じさせる。そんな「北の富士らしさ」について、二人の師匠や同世代の玉の海、龍虎、弟子である千代の富士、北勝海との関係性から探っていく試みはとても興味深い。ゆかりのある人々へのインタビューも、どれも氏を知る上で貴重な内容と感じた。

  •  着物姿、粋な着こなし、眼鏡のフレーム、画面に映える服装、古風な美学、あたたかみのある苦言・叱責、ユーモア、相撲以外の話題にも事欠かないキャラクター、1998年相撲協会を退職、NHK専属の解説者、以来約20年、テレビ解説席の「粋・華・情」、大相撲中継の名物、北の富士(1942.3.28生まれ)。村松友視さん(1940.4生まれ)が綿密な取材をもとに、人間、北の富士の魅力に迫っています。「北の富士流」、2016.7発行。
     「同体」の軍配が許されていない行司さん、厳しいですね。また、1972年1月場所8日目、横綱北の富士vs関脇貴の花、行事は「つき手」と見て貴の花に。軍配差し違え「かばい手」で北の富士に。協会は木村庄之助に謹慎を。庄之助はこの処分を不服(見解の相違)として辞表を出し、54年の行司生活に終止符を。村松友視「北の富士流」、2016.7発行、再読。北の富士勝昭、1942年、北海道生まれ。大鵬、白鵬とは別の体の柔らかさ、スピードは抜群、ただ受け身になると慌てる。ニックネームは、香車、プレイボーイ、夜の帝王・・・。相撲協会を離れて、NHK解説者になってからは、「粋」「華」「情」の解説、人気の真っ只中に君臨し続けている。
     

  • 村松友視氏が、北の富士の人となりについて綴ったルポ。

    北の富士氏は、現在はNHK等の解説者として、その着流しの粋さ・色っぽさや、歯に衣着せぬけどどこか温かみがある語り口で人気を博している(と思う)。病気をしてから出演回数がやや減り気味のようだけど、初日や千秋楽のTV中継は北の富士氏見たさにチャンネルを合わせる、という部分も大いにある。

    この本では、生い立ちから現役時代(名だたる遊び人ではあったけど優勝10回のなかなかな横綱であった)、親方時代を通しての毀誉褒貶や、遊びとここ一番の集中力を「正(バンカラ、コーハ)と負(ナンパ?)の往復運動」と位置づけて語る。男・北の富士の軌跡が分かるとともに、氏の魅力がいっそう深まる書であった。

  • 単身上京して横綱に上り、引退後は親方として2人の横綱を育て、さらに相撲協会からはなれてNHKの解説者となった北の富士。男も女も魅了する“粋”と“華”の秘密とは。波瀾万丈の半生をすべて記す。

    初場所が近づいたので読んでみた。昔の大相撲の映像を観ると、北の富士は本当に美しい横綱だったのだと思う。現在の気風のいい解説ぶりから江戸っ子のような気がしていたが、北海道出身だった。「私、プロレスの味方です」でA猪木をあれだ魅力的に描いた村松友視の筆力もあって、北の富士が実にいい男に描かれている。
    (B)

  • いつも粋な着物姿で辛口の解説をしている北の富士さん。
    現役時代の姿はほとんど覚えていないが、常に粋でかっこいい。
    大横綱ではなかったが、横綱を二人も育てた名伯楽。
    若い頃は派手に遊んでいたが、人の事を恨まず、妬まず、相撲協会を辞めるときも潔く。

    村松友視さんの文章は、その魅力を余すところなく伝えていてとても面白かった

  • 【人間力全開の痛快な人生!】単身上京して横綱に上り親方として二人の横綱を育て、NHKの相撲解説で人気の北の富士。男も女も魅了する“粋”と“華”の流儀。

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著者プロフィール

1940年東京生まれ。慶応大学文学部卒。『時代屋の女房』で直木賞、『鎌倉のおばさん』で泉鏡花賞受賞。著書に『アブサン物語』『北の富士流』『アリと猪木のものがたり』『猪木流』『老人の極意』『老人流』等。

「2022年 『ゆれる階』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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