強父論

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 257
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904917

作品紹介・あらすじ

阿川弘之氏が94歳で大往生されてから、今年八月で一年。娘佐和子が、強父語録とともに、父との62年間を振り返ります。たとえば――。「なんという贅沢な子だ。ふざけるな!」……4歳のサワコ嬢は、「このイチゴ、生クリームで食べたい」と口にしただけで、このようにと怒鳴られます。以来、罵倒され通しの日々が続くことになるのでした。「勉強なんかするな。学校へ行くな」……弘之氏は、特に娘は、勉強なんかしなくてもいいから、家でうまい食事を作れ、という主義でした。大学のテスト期間中も、サワコ嬢はお酌の相手をさせられたのでした。「子供に人権はないと思え。文句があるなら出ていけ。のたれ死のうが女郎屋に行こうが、俺の知ったこっちゃない」……娘のちょっとした口応えに対して、弘之氏は烈火のごとく怒り、このように言い放ちます。これは弘之氏の口癖でした。「老人ホームに入れたら、自殺してやる!」……元気な頃の父は、こうくり返していました。足腰が弱ってからは渋々、老人病院に入院しましたが、そこでも「すきやきが食べたい」「ワインが飲みたい」とわがまま放題なのは変わりませんでした。 いまや絶滅寸前の、怖くて強い父親ぶりが存分に描かれます。

感想・レビュー・書評

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  • 阿川さん、軽快でユーモアのある文章が読みやすく、やっぱり上手です。最近女優デビューもしてるけど演技もうまくって。。多才ですね。
    なによりこの、横暴で気難しい父親とのエピソードを読み手に不快な気分を与えずに最後まで読ませたのは、文章力+愛情のお蔭でしょう。

    とはいえ、それを差し引いてもこの父親の理不尽さには唖然としましたけどね。
    具体例は省きますが普通なら絶縁してもおかしくないと思う。よくもまあ屈折せずに生きてきましたね、と声を掛けてあげたいくらいです。
    そればかりか父親の晩年は甲斐甲斐しく入院のお世話までしているのだから、何十年も積み重なったあれだけの出来事をうまく昇華している阿川さんの懐の広さ、肉親に対しての無条件の愛の深さには恐れ入りました。

    ただ、内容には一切口を挟まず、日本語の表現の指導のみを自ら行う作家としてのプロ根性には感銘を受けたし、父親なりの愛情を感じました。

    親子の関係は色々ですからね。そういう関係もあるのかもしれません。。
    でも、私の父親は普通に優しい常識人でよかったです。大事にしなきゃ☆

  • まず「キョウフ論」って…阿川さんがつけたのじゃないだろうなと。それとも「恐父論」じゃあんまりだと思ったか…(笑)

    論とついていますけどもまぁ、エッセイですよね。
    阿川さん流の供養の一つとも言えるような気も。

    こんなお父さんだったら大変だろうなぁ、自分なら耐えられないなぁと思いつつも行間から父娘のやり取りの何とも言えない愛情が伝わってきます。
    お父さんは昔の男だしちょっと男尊女卑も入っていて、愛情がないわけじゃなくてその表現というのができない人だったのじゃないかなと感じましたね。
    本来の親子の愛情表現なんて、ドラマで見るようないかにもなものじゃなくてもっとさらっとした日常的なものなのじゃないかなと思うのです。その意味でも阿川さんの文章には阿川父娘なりの愛情がちゃんと現われていると感じるのです。

    娘が文章を書きだした時、父がそのことには一切反対をせずにその文章を推敲し続けた、というところに私はグッときましたね。
    作家として、たとえ娘であってもおかしな文章を出されてはたまらないという気持ちもこのお父さんならあったかもしれませんが、自分と同じような文筆の道を歩みだしたことがきっとまずは嬉しかったのだろうなと思うのです。
    だから少しでもいいものを、自分も納得のできるものを娘が文章を出すならそういうものを世に出してやりたいという親心があったのではと思います。

    思い返したとき、良くしてもらったことや褒められたことよりも、叱られたり嫌な思いをした時の方をより多く鮮明に思い出してしまう。けれどもそれがたまらなく懐かしいというのがいいだけ大人になってから親を亡くした子供の気持ち、という気もします。

  • 似てます。。。舅に。。。

  • このお父さん、うちの祖父と似た面があったようで発売後すぐ母が買って来て文字通り泣いたり笑ったりしながら読んでいました。

    そしてせっかくだから私もと読んで見たのですがこれ大変。

    本当に泣けて笑えて泣ける。
    外に持ってって読んじゃダメなやつです。

    私には特に横暴な姿を見せなかった祖父だけどなんだか全てが祖父の顔で想像できました。

    ちょうどこれを読んだ日に観た映画ではないけれど、亡くなってから初めてその人を想うこともあるのだと最近感じます。

  • 時代的なこともあるだろうが、この父親と環境の下、よく阿川さんは人格者(聞き上手)となったものだ。いや、だからこそなのかな。

  • 大変なお父様であったことには違いないが、娘の愛が感じられる。そこを嫌味なく書いているところが、さすが佐和子さん、上手いと思った。途中、何度も笑ってしまった。読んだ後とても気持ちよかった。

  • なかなかクセがすごい父上だったと思うが、それも他人から見たこと。当の娘として、大変だったんだろうと想像する。

  • さすが、作家の娘。実に読みやすい文章で、数時間で読み終えました。
    若すぎる死は読んでいても辛いものがあるけれど、94歳ともなると、ほとんどの細胞が弱っているので、自然な死を迎えることができるんだなぁ、と人が長生きを望む一端が理解できた気がします。
    正義の御旗を掲げるようになるな、というご意見など、確かに作家らしい教養あるものもありますが、ここに挙げられたほとんどは理不尽というかあまりにもえらそうでいただけません。
    こんな人を父に持たなくてよかったなぁと思うし、ましてや夫でなくて、ほんと!よかった。
    現在、介護中の人には参考になるだろうと思います。

  • 910.268

  • 亭主関白で有名だった作家の阿川弘之氏。
    娘の佐和子さんがその横暴でわがままな父親のことを
    面白おかしく描いたエッセイ
    本当に今時珍しい頑固親父で家族は大変だったと思うが
    子供たちも素直に育ち、夫婦仲も良かった

    子供っぽくて家族への愛に溢れていたお父さんのこと
    きっと家族はみんな大好きだったのだなとしみじみ感じられた。

    面白い話ばかりなのに最後にはほろりとさせられた

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著者プロフィール

1953年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒。報道番組のキャスターを務めた後に渡米。帰国後、エッセイスト、小説家として活躍。99年に檀ふみ氏との往復エッセイ『ああ言えばこう食う』で講談社エッセイ賞、2000年、『ウメ子』で坪田譲治文学賞、08年『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。12年に刊行した新書『聞く力 心をひらく35のヒント』は170万部を突破する大ベストセラーに。14年、菊池寛賞受賞。

「2018年 『ことことこーこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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