異端者

著者 :
  • 文藝春秋
2.85
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本棚登録 : 78
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905075

作品紹介・あらすじ

波の音が聴こえる海沿いの家で、老境に達しようとする男が、自らの人生に思いをめぐらせている。そこには毒がある。蜜もある。禁断と倒錯のエロティシズムの果てに、甘くて危険な秘密が横たわっている……。純文学作家として高い評価を受けながら、バイオレンスロマンの流行作家へ華麗なる転身を遂げ、官能文学の第一人者として長く君臨している作家・勝目梓。近年は『小説家』や『老醜の記』などの私小説でも高い評価を受けている。「さながら古酒の樽の栓を抜いたような、風味豊かな独白体」逢坂剛が「朝日新聞」書評で作品を絶賛したが、石田衣良、小池真理子、山田詠美、重松清、北方謙三など、その作家性にリスペクトを寄せている作家も多い。八十歳を超えて、さらに円熟味と凄みを増し、デビュー40年記念作品として書き上げた短篇集の「あしあと」に続いて、本格的な書き下ろし作品を発表する。近親相姦、同性愛、SMなど、禁忌の性愛も描きながら、小説ならではのカタルシスに誘われる。本物の作家による衝撃の長編小説である。

感想・レビュー・書評

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  • 勝目梓作品初読。主人公・新垣誠一郎の性遍歴が描かれた作品。乱暴に言ってしまえば、いわゆる官能小説ということになるのだろうけど、時代背景とともに、作品に入り込みやすくスイスイ読めた。ちょうど酷暑のころだったが、全く暑さを感じず夢中になった。

  • 異端なのかどうなのか、結構そういう人いるのでは?幸せなら良いのでは?

  • 何もかもイマイチ。

  • 性的倒錯者の半生を描いた小説。大きな盛り上がりもなく、淡々と話が進んでいったので、最後は「えっ!、これで終わり?」という感じだった。あと、タイトルは「異端者」よりも、作中に出てくる「檻」とした方が、より本書の内容に合っていると思う。

  • インパクトある内容だが…
    世の中にはこんな異端者がいると思う我々自身が異端者であり、異端者しかいないのが世の中なのだろう。

  • 今年84歳の勝目さんの 驚異的な若さ、みずみずしさ! ひとりの男の性をめぐる一代記だけど 読んだらみんなびっくりするよ。(ツイッターより)

  • 書き下ろし作品
    LGBTの人々がやっと市民権を得られる時代になってきたので、そうでなはかった昭和後半期の性的「異端者」の姿を描いたのだろう。

    戦争未亡人の母に育てられた誠一郎は、高校生の時の母子相姦の罪悪感のために、大学進学で家を出てからは、ボクシング部で己の肉体をいじめ、女性を遠ざけようとした。
    男性同性愛者の後輩から告白されて一時同性愛に傾倒するが、女性同性愛者の綾部蘭子と出会って、罪悪感で心を閉ざしてきた者どうしゆえに、互いに性的変態者であるという強烈な自覚をさらけ出して、唯一心とからだを開き合う奇妙な交友関係をずっと続けることになる。
    誠一郎は出版社に勤め、エロ雑誌の編集をした時に読者の交流に加わって、熟年夫婦との3Pや、女王様とのSMプレイも経験する。

    誠一郎は退職後に房総のリゾートマンションに移って春画の模写などをして過ごしていたが、70歳を過ぎてパートナーと別れた蘭子も同じマンションに来ることになり、穏やかな日々を迎えようとしていることに、読者としてなぜかほっとしてしまう。

  • 久しぶりに勝目梓読んだ。ハードボイルから文学的になった。

  • 【「本物の作家」による衝撃の書き下ろし!】官能文学の第一人者として長く君臨した作家が禁断のエロティシズムに挑む。秘められた毒と蜜。あなたの人生観を変える危険な小説。

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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。さまざまな職業に就きながら、同人誌『文藝首都』で執筆活動を続け、74年に「寝台の箱舟」で小説現代新人賞を受賞。『獣たちの熱い眠り』がベストセラーとなり、以降、官能とバイオレンスを軸に著作は300冊以上。70代で発表した自伝的な作品『小説家』は読書界で大きな反響を呼び、その後も『死支度』『秘事』『叩かれる父』などを上梓。20年3月、逝去。最新作は遺作となった『落葉の記』(文藝春秋)。

「2021年 『家族会議』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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