ブルーネス

  • 文藝春秋 (2016年8月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784163905099

作品紹介・あらすじ

はみ出し者の地震学者たちが、究極の津波予測に挑む――!



東日本大震災から三年。かつて地震研究所で広報を担当していた準平は、学界の“プリンス”武智要介に、ある計画に誘われる。

準平は、無謀だと思いつつも、武智の強い決意に推されてこの計画に参加することに。

他にも、それぞれの思いを抱えた〈チーム武智〉の個性豊かなメンバーたち。

彼らは、次々と立ちはだかる困難を乗り越え、プロジェクトを成功させることができるのか。



元研究者の著者による、「科学」への思いにあふれたエンタメ長篇

みんなの感想まとめ

科学と物語が見事に融合した作品で、地震学者たちが津波予測に挑む姿を描いています。主人公は、東日本大震災を契機に新たな津波監視システムを開発するため、異端視されながらも仲間たちと共に困難に立ち向かいます...

感想・レビュー・書評

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  • 友人(花ちゃん)のお勧め。地球物理学者として能力を認められていた武智は、東日本大震災を契機として、画期的な津波監視システムのアイデアを掴む。職場、学界から異端視されながら自らのチームを立ち上げ、システムの完成を目指す。爽やかな読了感。
    伊与原さんの特徴は科学と物語の融合。それに加えて今作は研究所、学界における権威者の嫌がらせとの闘いも。

  • 伊与原新のブルーネスを読んだ。
    主人公の準平は地震研究所を辞めて、プー太郎だったが、周りに色々な人が集まり津波に向かっていく。
    実際に起きた東日本大震災を取り入れながら、ウミツバメという津波観測計を作っていくのだが中々面白かった。
    最初の三分の一は余り引きこまれなかったが、最後は一気に盛り上がった。
    起承転結のセロリーそのままだ。
    私は学生の時宮城沖地震を経験して、そして東日本大震災も経験している。
    東日本大震災の時は自転車でいわき市役所まで仕事で行って居て、帰り道デジカメを見にコジマ電気で地震に遭遇した。
    天井は剥がれ落ち、ショーケースが倒れて結構な被害だったが、それでも帰り道自転車屋さんにも寄ろうかなどとのんびり考えていたが、ブロック塀は倒れて、被害が予想以上大きかったので真っ直ぐ帰ることにした。
    道路の橋桁は1メートルも段差になり、川は津波の第一波が来たあとで通行止めだった。橋を渡れないので渋滞が酷かったが自転車なので通ることが出来た。
    近くの港は津波の被害に遭っていた。
    津波の怖さを知っているだけに、面白かった。

  • 3.11に翻弄された地震科学者たちが、津波予測に挑んでいく物語。専門分野外の個性豊かな科学者達が、その世界で拒絶されながらも、前に進んでいく姿は読んでいて心地好い。

    揺るぎない信念で突き進んだ先に、人、モノ、カネは自然とついてくる。

    終盤の緊張感漂う津波との対峙は、とてもリアルで手に汗握る展開が続く。ドキドキが止まらなかった。

    苦労末たどり着いた、津波予測の集大成。見事な結末に、本当に感動した。

  • 東日本大震災後、はみ出し研究者チームが新しい津波監視システムを作ろうと奔走する物語。

    3.11で傷ついたのは被災者だけではないことを改めて感じる。
    助けられなかった人が心に抱く後悔が、これからの災害から人を守る方向へのパワーになっていて、楽しく読めた。

    MEI(海洋地球総合研究所)からの妨害、うまくいかない資金集め、運用試験中に起きる漁協とのトラブル。
    あまりぐいぐい引き込むドラマティックな描き方ではないが、津波計や火山と津波について、そして新しい津波監視システムについてなど、分かりやすくさらさらと読ませてくれて、そこがこの作者の良さだなぁと思う。

    国や研究者に守ってもらう、言われたからやる、では本当の防災は根付いていかない。
    この新システムを、普通の人々の手で守り続けていくことにこだわる主人公も良いと思った。

  • 後ろ向きな主人公苦手なんだよなと思いながら読み続けた。途中から後ろ向きは無くなったけど代わりになんというか浅慮?自己中?とにかくなぜ!?という感想ばかり浮かぶ。

    え、こいつ何歳なんだっけとずっと思いながら読むことになった。

    終盤にかけて急に評価高めになってるのも私には理解出来なくて主人公にはずっとモヤモヤしたまま終わってしまった。

    テーマ自体は科学知識盛り盛りでとても興味深いし、これが出た後能登の震災あったんだよなと思うと今後も確実に関わってくるものなだけに他人事ではいられないし……。

    つい正常性バイアス働かせがちなので専門家のみなさんには責任とか保身抜きで“何もなければそれでいい”を念頭にガンガン警鐘鳴らしまくってもらいたい。被害出てからじゃ意味ないのに「何もなかった!大袈裟だ!」って怒る人間いるのマジで理解出来ないし邪魔だから黙っててほしいもん。

  • 第6章が良かったです。東日本大震災時の思いを皆が抱えており、最初から心が通じ合い勇敢に震源海域へ向かって行くシーンは熱くなりました。確か、空飛ぶ広報室でも似たような感動をおぼえました。

  • 傍流にいた人たちがチームとなり津波被害を軽減しようと奔走する。

    3.11を経験した私たち、地震大国に住む私たちは、この本に出てくる人みんなにどこか共感するのではないだろうか。自分を救うことと他人を救うことはつながっている。最後まできっちりと希望を書ききってくれてとても嬉しい。

    そして読後、良いタイトルだなあと、海の青を思う。憂いてばかりでなく青を感じたい。

  • いや~面白かった。
    3.11の反省から津波のリアルタイム警報システムの構築に取り組む、はみ出し者の寄せ集めチームの話です。
    こんなに面白いのに何故あまり話題にならないのかと思い、他の人のレビューを見ていたら「予定調和的」という表現が有りました。まあ、確かにそんなところもあります。登場人物のキャラは有川浩っぽいし、ボスとはみ出し者の戦いは池井戸さん的かな。でも私にはそれらは欠点よりも長所のように思えるのです。
    ちなみに『月まで3キロ』で話題になった伊与原さん、地震なども取り扱う地球惑星物理学で東大大学院を出たガチガチの理系さんです。しかも小難しい科学を判りやすく説明することが非常にうまい方です。

  • 一本の映画を見終わった感覚。
    怒涛の後半はページをめくるのももどかしいほどだった。思いがけず震災に関連した作品を連続で読んだが、考えさせられる事の多い2冊で、とても面白かった。

  • 東日本大震災から数年後に津波予測を本気で向き合った5人。誰も専門家がいない中寄せ集めのチームで権力に立ち向かう。理系の専門的な言葉も多くてなかなか進まなかったけど、津波予測の精度を上げて命を守るんだという思いがよく伝わった。
    実際のモデルがあるとのことこれからの進化に期待。

  • 地震学の大きな敗北、と言われた東日本大震災から三年。
    様々なジャンルの地震のプロ達が集まり、究極の津波予測に挑む物語。
    個性的で世間の常識からはみ出した地震研究者の彼らは、それぞれの知識を武器に自然科学に立ち向かう。
    震災後文学は色々読んだきたけれど、こういった理系的手法は初めて。
    プロジェクトの仕組み等は専門的で理解はなかなか出来ないけれど、何より説得力がある。

    「地震予知は、すぐにどうにかなる話ではない。起きてしまった地震に対してできることも、ほとんどない。だが、津波は違う。地震が発生してから津波が襲ってくるまで、逃げる時間が十分ある。まずきちんと見張るべきなのは、津波だ」

    「我々科学研究者が問うべきは、人々がなぜ逃げなかったのか、ではない。なぜあの津波の姿を正しくつかめなかったのか、ということだ。科学の領分はまさにそこにある」

    「僕たちには今、やるべきことがある。津波から人々を守るために、やれることがあります。やれることがあったのに、それをやらなかったとなれば、我々はもう終わりです」

    この津波観測システムにはモデルが存在するという。
    より正確なシステムが早く完成されることを祈りたい。
    各々の得意分野を駆使したプロ集団のプロ意識と心意気に、読んでいる私もアツくなった。

  • 熱い心は、1歩踏み出せない心を動かす。
    地震、津波、後悔、挫折、様々な苦しみを背負った人達が、主人公の少しずつ熱くなっていく心に動かされて、ひとつになっていった。

    前半は専門用語が多くて、進まなかったが、残り4分の1でどんどん読み進んだ。

    この物語がいつか(官民協働という面で)ノンフィクションとなりますように。

  • 地震村とも揶揄された日本地震学会や火山予知連絡会。東日本大震災でその無力さが露呈し、世間からのバッシングを受け、その後反省の弁もあった様に記憶する。この物語は、そんな村、権威的組織からスピンアウトして独自の津波被害防止に真に役立つシステムの開発、構築に邁進する6名の挫折、苦悩とその克服が描かれる。著者の経歴から、描かれる科学的専門的知見は確かなもので説得力があると感じた。
    個性溢れる5人のメンバーを率いるリーダー含めた6人其々のキャラの関わり合いも面白さを増し、最後の第六章「出航」の終盤は一気に引き込まれた。

    「あとがき」に、本作に登場した津波監視システムには実在のモデルが存在し、「近い将来、このシステムが研究と防災に活躍することを筆者は願ってやみません」とあったが、全く同感!

  • なんだろ、あいかわらず難しいところはわからないのよ。それでも心をつかむのが上手いなぁと。なんと言っても人が人を動かすことの凄さや美しさよ。
    単純といえば単純なんだけど、しっかりとした作品作りで奥行きのある一冊になっている。
    ふと手にした本が見せてくれる世界は、いつでも私に読書の喜びをくれる。

  • (借.新宿区立図書館)
    津波監視システムを作り上げる若き研究者たちの物語。主流ではないけれどそれぞれがとんがった若者たちがいろいろな壁にぶつかりながらそれを乗り越えていくところが描かれる。クライマックスの火山島崩壊のタイミングを含めちょっとうまくいきすぎなところもあるが、理系研究者出身の著者の知識に裏付けされた物語を楽しめばよいのだろう。

  • この作品の中に、北方での地震の記載があった
    2025年7月カムチャッカ沖の地震で津波が発生した
    作者の科学者としての知識からの記載なのかわからないが、驚いた
    科学者としてのスタンス、自分の歩む道、色々なことを学ばせてもらった

  • 伊予原新さん、実際に地球科学で東大で博士号まで取った作家さんなので色々なことがリアルで楽しかった。特に3.11で地震や津波の専門家が様々な非難や中傷を受けていた事、考えもしなかった。直木賞を受賞されてからなかなか図書館で借りれないけどぜひまた読みたい。

  • 登場人物の個性 背負う過去
    くせもの はみだしもの
    面白く読み進める
    すっかり伊与原推しです
    少し前の作品ですが
    読んでみて下さい

  • 恩師である小森先生の言葉を受けて諦めない道を選んだ武智の言葉
    「私はそれからずっと、できることではなく、やれることを数え続けている。」
    「できること」と「やれること」って一瞬、ほぼ同義かと考えてしまったけど、妥協した中で「できること」と諦めない中で「やれること」は全然違うことなんだと思った。プリンス武智の内に秘めるそれこそマグマみたいな熱い思いが垣間見えた瞬間だった。

  • 2025.8.20
    専門用語が出てくるのがおもしろい

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著者プロフィール

1972年、大阪府生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。19年、『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞を受賞。20年刊の『八月の銀の雪』が第164回直木三十五賞候補、第34回山本周五郎賞候補となり、2021年本屋大賞で6位に入賞する。近著に『オオルリ流星群』がある。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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