水に立つ人

  • 文藝春秋 (2016年9月30日発売)
3.41
  • (7)
  • (19)
  • (25)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 178
感想 : 26
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784163905280

作品紹介・あらすじ

彼の悲しみは彼のものなのだ。

でもよく似た悲しみを、私もまた知っている。



選考委員全員が◯を付けた、オール讀物新人賞受賞作を含む鮮烈なデビュー作。



この人は、ただひたむきに人間の再生を描こうとしている。

どの一編にも、心が救われる瞬間が、深く刻まれていた。

ーー白石一文



〈著者コメント〉

傷ついている人、立場の弱い人、大切なものを失った人。どこにでもいるけれども、悲しみを抱えているとは傍目に分からない人たち。そんな人々にスポットライトを当てて、彼らがそれぞれの救いをつかみとっていく道筋を、五つの物語の中に描き出しました。どの物語の最後にも、必ず、彼らなりの光が待っています。

なんだか疲れてしまって、昨日までカラーだった世界が、急に彩りを失ったように感じるとき。ひとりぼっちで、何もかもがモノクロの世界の中へ、迷い込んでしまったように感じるとき。どうかこの本を開いてみてください。読んでくださった方の視界にもう一度、豊かであたたかな色彩が戻ってくるように、そんな願いを込めて書き上げた作品達です。



〈著者プロフィール〉

香月夕花(かつき・ゆか)

1973年生まれ。大阪府出身。京都大学工学部卒。2013年「水に立つ人」で第93回オール讀物新人賞を受賞。

みんなの感想まとめ

人間の再生と傷を抱えた人々の物語が描かれた短編集で、全ての話に「水」のモチーフが巧みに織り込まれています。主人公たちはそれぞれ異なる悲しみを抱えながらも、最後にはかすかな光を見出す姿が描かれ、読者に深...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大切なものを失くした女性達の、再生までの過程を静かに語った5つの短編集。
    読んでいて、物語の中にひっそりと漂う寂しさや危うさに心が押し潰されそうになる。

    特に『やわらかな足で人魚は』と『彼女の海に沈む』は荒れ狂う波にのまれるように、いつまでも気持ちが落ち着かない。
    世間の波に溺れそうになり必死でもがく彼女達は、やがて自分の足で確実に立つことを悟る。
    ラストは僅かながらも希望が持てるもので、そこでようやく救われた。

    幼い頃に絵本で読んだ『人魚姫』のことは正直あまり好きではなかった。
    人間の王子を好きになったばかりに悲しい最期を迎えた「人魚姫」は、残念ながら愛する王子と結ばれることはなかったけれど、この作品のお陰で「人魚姫」の決意に初めて共感できた。

    • hotaruさん
      mofuさん、こんにちは。はじめまして。
      どのレビューも、スッキリまとまっているのに、興味を惹く、とても素敵なレビューですね。mofuさんの...
      mofuさん、こんにちは。はじめまして。
      どのレビューも、スッキリまとまっているのに、興味を惹く、とても素敵なレビューですね。mofuさんのレビューをみて、読みたい本が増えました。
      ありがとうございました。
      2018/05/31
    • mofuさん
      hotaruさん、はじめまして。
      誉めて頂き、ありがとうございます(*^^*)
      私もhotaruさんのレビューを読んで、読んでみたい本が...
      hotaruさん、はじめまして。
      誉めて頂き、ありがとうございます(*^^*)
      私もhotaruさんのレビューを読んで、読んでみたい本が増えました。
      ありがとうございます!
      これからも参考にさせてください。
      よろしくお願いします(^-^)
      2018/05/31
  • 短編集。全ての話に「水」のモチーフ。主人公たちはみな、傷を抱えている。子どもや教育に関係する部分もあり、読んでいて苦しく思う部分もあった。「水」のイメージ癒し、憧れ、清らかさ、まどろみ、きりさく痛み、泥、恐怖、悲しみ、彼岸など読んでいて感じた。淡々とそれでいていろんな感情を受け取った。最後にタイトル「水に立つ人」が収録されている。読後、「ああ、こういう終わり方だけど、悪くないよね。」と思った。はじめてこの作者の本を手にしたので、次も読んでみたいと思った。

  • 最後の3行が泣けました。大切な何かを失うってやっぱりツラいなぁ。

  • 王様のブランチで紹介されていた本(『昨日壊れはじめた世界で』)より早く図書館の予約順がきたので、この作者の初読はこの本になりました。

    全く未知の人で、大して期待せずに表題作から読み始めて驚いた。面白い。そして哀しい。仕舞いにはボロボロ泣きながら読んでた。

    「完璧に幸福な人間なんて、この世のどこを探したっているはずがない」
    「心の薄皮を一枚はいだら、その下にどんな無残な傷が隠れているか分かったものじゃない」(p188)
    登場人物たちが、それでも最後に自分の抱えているものを受け容れ、そこにほんの僅かな光を見出だすことに自分も救われる。

  • 心の奥底に抱え込み、誰かに見抜かれたくないのはもちろん、自分でも向き合うことを避けている本質的な哀しみ、寂しさ、世間や周囲から疎外されているかのように感じる孤立や怒りを水をモチーフにして言葉にした素晴らしい短編集。本来親や周囲の大人から得られるはずのまなざしや慈しみを不運にも持てなかった人たち。背景となる親のネグレクト、コントロール、姉妹格差等を書き過ぎず、しかし各編でそれらにより溜め込まれた理不尽への諦めや哀感が香月さんの柔らかくも巧緻な言葉で呈される。

  • 主人公達が感じる『水』にまつわる5つの物語。
    どれも切ない。
    だけど、皆自分の心に決着をつけて歩み始める予感があるところが良い。

  • 静かで薄暗い、悲しさもあるけどでも美しい、そんな短編。全体通して水と海のイメージ。亡くなる人が多くて悲しいんだけど、光がちゃんとさしているので綺麗だなと思える終わり方になっていて、余韻が静かに残ります。

  • とても痛かったです。

    1話目が一番好きかな。

  • 大切な人を失った哀しさが救われる瞬間。

    「やわからな足で人魚は」人魚姫に気づかなかった王子様は施設で兄のように慕っていた人。
    「岸辺で私は歌を待つ」聞こえる歌はどこから?
    「彼女の海に沈む」はコワイお話。
    「水風船の壊れる朝に」だれもが100%幸せなわけない
    「水に立つ人」先生と写真家と教会

    水風船の壊れる朝に、が一番好きでした。

    最期にその瞬間を感じることができたら、幸せ…かも。

  • じょうず。楽しく読める。だけど、まだ書いてる人が見えない。好きかどうか判断する前にもうちょっと読みたいです。新人賞の「水に立つ人」の途中までいい感じなのに終わりがいまいちだから、それが最後の話だから、全体の印象がぼやけちゃったのかな。

  • 中篇5作。
    声をあげることができない悲しみ。
    太刀打ちできない絶望。
    正と死の先に再生があると信じられたら。

  • なんでそんなに無知なんだ。
    学校に働くものなら知っていて当然、やって当然。
    自分の自宅を避難所にする?
    それを学校が認める?
    事なかれな学校を、先生を描くなら、そんなことするわけないのもわかるんじゃない?
    先生たちも人間だから、聖人にはなれない、だからならないくてもいい方法を作ってる。
    施設が良いところかは分からない。
    結局どうにもならないかもしれない。
    本人が望む通りにはならないかもしれない。
    でも、そのための手を尽くす。
    この先生は無知すぎる。
    発達障害もそうよ。
    もちろん理想通りに行かないことにイライラすることもあるだろう、でも、そこに発達障害などが潜んでいることは一番に考える。
    むしろ一番に考えすぎて、本人を見るのを忘れてしまうぐらいなのが今の現実なのに。
    いかんな、学校がでてくるとすぐこういうのばかり気になっちゃう。
    でも多分、他の分野も、詳しい人から見ればありえないことたくさんあるんだろう。
    それを含めて楽しむのが小説を楽しむということなのかもしれない。


  • 短編集。
    各話の主人公の日常生活の中で影が落ちる。
    どの話も辛くて、胸の中がズンと痛んで、
    涙が出た。

    登場人物達に感情移入し過ぎてしまうので、
    心が元気な時に読む、パワーがいる本です。

  • 連作ではない短編集。表題作が好き。カメラマンさんが何考えて撮影してるか今後気になっちゃいそう。

  • 人はどこかに「淋しい」を抱いて生きているのかな。その度合いが人それぞれ違うだけで。

  • 切ないような優しいような気持ちになった。いなくなった大切な誰かを想ったり追いかけたりしながら、その人は触れられる形を失ったけど、自分の中や自分を取り巻く世界に未だ存在していることを感じられるようになっていく話。水や海、空などがよく物語中に出てきて、透明感、儚さ、壮大さ、また自分の小ささなどを感じた。

    実際には死者は話しかけてこないだろうけど、自分も、その人の残してくれたもの、その人との思い出、これからの世界や人生を自分なりに受け入れられるようになりたい。

  • 複雑な生い立ちや生活を送ってきた人たちの短編集。希望があるようでない。デビュー作にしてはかなり引き込まれる。写真家で山でなくなった人の表題作が一番記憶に残ったかな

  • 切ない気持ちが、暫くしてからジワジワと襲ってくる様な読後

    猫を探し続ける探偵さんのお話が特に切なかった

    誰しも辛い出来事や思い出したくない過去もあって、自分の胸の奥に蓋をしてなんなら鍵まで閉めたり苦しかった事を思い出さない様に過ごす事が大人になるって事なのかな

    終わりに向かって生きていってる感じのゾワっとした感覚もあった

  • 水に関わる、悲しい出来事や、トラウマ的な。
    全体に暗いというか、まぁ、しあわせな話ではない。
    その不幸せ感がしんどい時には読んじゃダメな本。
    そうでなくてもあー、ってなる。
    このあー、は誰の中にもある辛さや痛みに気づいてしまうから、かなぁ。
    てか、京大工学部卒で小説家って、多才だ。

  • なんとも暗くて
    読み進めるのつらくなるような
    でも、タイトルの最後のヤツは
    救われた!

全23件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1973年大阪府出身。京都大学工学部卒業。2013年「水に立つ人」で第93回オール讀物新人賞を受賞。16年受賞作を含む短編集『水に立つ人』を刊行。他の著書に『永遠の詩』『昨日壊れはじめた世界で』がある。

「2020年 『見えない星に耳を澄ませて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

香月夕花の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×