史上最高に面白いファウスト

  • 文藝春秋 (2016年10月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784163905372

作品紹介・あらすじ

あなたはなぜ、名作『ファウスト』を、

最後まで読み通すことができないのか?



理由1 これまでの翻訳はエリート教養人向け、しかも誤訳があったから。

理由2 これを読めば人格が向上する、という間違った考えが広まったから。

理由3 ファウストはエライ人、という思い込みがあったから。



文豪ゲーテが「ファウスト」にこめた人生の真理とは、



「破滅へ向かう男社会を救うのは、女性だ」



この名作は、現代に通じる一大エンターテインメントなのです!



ゲーテが人生60年をかけた名作『ファウスト』は、「努力し続ける教養人・学者ファウストの物語」とされてきました。

しかし名作をひもとけば、欲望のままに少女を騙すわ、捨てるわ、殺人を犯すわ――ただのろくでなしと何が違うのか?

実は、「努力の人ファウスト」のイメージは、誤訳にもとづく虚像だったのです。

ゲーテを愛して60年の信州大学名誉教授が、楽しく解説しながら原作を一気に紹介。現代に通じる新しいファウスト像を提示します。

みんなの感想まとめ

人生の真理を描いたこの名作は、従来の翻訳や解釈では伝わりにくい魅力を持っています。著者が楽しく解説することで、従来の「努力する教養人」のイメージを覆し、ファウストの本質を明らかにします。物語は、欲望に...

感想・レビュー・書評

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  • Wikipediaを読んでもよく分からなかった『ファウスト』をサラッと読むことができました!
    作者があとがきで述べていた通り、幽霊の正体見たり枯れ尾花、というストーリーだったのだなと思いました。
    行動する限り血迷う、前進する限り踏み外す「男」への、母なるものの救済を描くことで、これまでゲーテの生涯を支えてくれた優しき女たちへの反省と感謝の物語なのかもしれない。
    日本っぽく書くと、光源氏が愛と出世を求めて散々迷惑をかけてきた報いで地獄に堕ちそうになったら、紫の上が天人を率いて極楽浄土へ連れて行ってくれた、みたいなストーリーでした。

  • ファウストは、哲学や進学に打ち込んだ堅物のファウストに対して、神と悪魔(メフィスト)が彼を堕落させられるか否かをテーマに賭けをして、賭けに勝つためにメフィストがあの手この手でファウストの希望を叶えながら進んでいく物語。

    恋多き作者ゲーテの個人の記憶も投影しながらも、人間のどうしようもなさ、一方で意思に導かれる部分を描き、また絶妙な神学批判も織り交ぜながら、神学やギリシャ神話にも言及して進む物語。

    元々劇の台本の様な形式で書かれた作品のため、作者の構成の仕方は非常に分かりやすく、初めてであっても入り込むことができた。

  • ファウストがどんな話なのか知りたくて読んだが分かりやすかった。言葉も分かりやすいし、当時の背景や文化、人々がそれをどう捉えていたかを説明してくれている。そのおかげでなじみのないものでも理解できた。
    つまりこれはこういう事を言っている、というような補足もしてくれているので読解力が低い私でも付いていけて助かる。

    ファウストは「笑いと楽しさに満ちたエンターテインメント」と言い切ってくれてるのが良かった。
    そこから何か学ぼうというよりかは、ただ単純に物語を楽しんでというスタンスなんだろうな。当時の人たちが慣れ親しんでいたあらゆるものをチャンポンにしてゲーテが味付けした作品なのかな…と思った。

    最初はちゃんと原作を読もうかと思って図書館で探したけど、分厚いのが2冊あって到底無理……と諦めようとしたところでこの本があったので手に取った。正解だった。
    もしもがんばってあの分厚い本を読み進めて、最後にあのオチがきたら本投げつけてたと思う(笑)
    ファウストはいろいろな作品に影響与えてるみたいだから、概要を知るだけでも楽しみ方が広がりそう。
    長年の研究をこうして分かりやすく一冊にまとめてくださって感謝です!


    -------------------

    「ファウスト」の感想

    エンタメとして楽しいかと問われると……好みじゃないけど、当時の人たちは楽しかったのかもしれない。

    ファウストの人物像の描き方は一本筋が通ってるとは思った。
    禁欲的にあらゆる学問を極めた人物だった時は立派な人と見られていたのかもしれない。でも見方変えれば、自分が欲しいと思ったものには猪突猛進型。抑制がきかない。
    正しいものへの欲求であればすごいこと成し遂げるのかもしれないが、ろくでもないものにその欲求が向けられたらとんでもない事になる。歯止め効かないから……。
    メフィストがあらゆる欲を提供したが、狂ったのは色欲か。巻き込まれたマルガレーテが気の毒でしょうがない。若さゆえに流されやすく、盲目的にファウストを愛してしまったんだろう。もう少し年を取れば、何あいつキモっ……ってなってただろうに。

    オチは……正直に感想を言っていいなら、ファウストを神に許される者として書けなかったから女に逃げたなっていう印象。
    なんで神と悪魔の賭けで始まって、最後ファウストの魂を救うのが女性たちになるのよ。
    例えばマルガレーテが生涯かけてでもファウストに返したい恩があって、それを叶えるために最後出てきたとかだったらまだ納得できるけど、あいつマルガレーテ捨てて逃げた男だぜ?
    ……ないわ〜。当時のご婦人たちも「ゲーテさんそりゃないわ〜」っておっしゃるのでは?

    気に入ってるところは、ホムンクルスが肉体を求めて生命の源である海に入って消滅してしまうところ。
    なんという皮肉!命の源であるはずなのに、命が奪われるなんて……。
    最後の干拓事業といい、ゲーテは海になにか恨みかなにかあったのだろうかとつい思ってしまった。

    メフィストは悪魔なのにどことなくチャーミングだった。悪魔をチャーミングというのは抵抗あるが。
    痛い目にあわせてギブアップさせるのではなく、これでもかと良い思いをさせて「時よ止まれ」宣言もらおうと動き回ってて逆に健気じゃない?それ分かってるからファウスト調子に乗ってたぞ。メフィストそれでいいのかよ!?って読んでて思った。
    あと結構気長なんだな。もっと手っ取り早く決着つけたがるかと思ってたよ。

    なんだかんだ言いましたが、「時よ止まれ、おまえは美しい」というセリフは本当に美しいと思います。そう思える瞬間がいつか来るのだろうか。
    あと「タイミングのよい助けは、千倍の見返りをもたらしますぜ」というセリフが気に入りました。覚えとこ。








  • 【人生を賭けるファウストと悪魔の劇作品】
    ゲーテの「ファウスト」は、とても分厚く読みにくい印象があって、読んだことがないのですが、
    この本で、ざっと設定やあらすじを楽しむことができたと思います。
    ファウストは、小説ではなく、劇作なのですね、そんな形式では普段にも読んだことがないので、
    この本では、そんな環境設定にも触れつつ、とても分かりやすく、それぞれのシーンを思い浮かべやすく、とても分かりやすい解説が簡潔に加えられていて、助かりました。

    ・・・
    ファウスト、という主人公と、メフィスト、という悪魔の間の「賭け」のお話。

    本来、キリスト教だと契約、日本・仏教的だと絆や信頼、輪廻?みたいなところが、
    「賭け」というところでユーモアセンスが見られることも知りました。

    ファウストという16世紀の実在人物をモデルとして書かれ、ゲーテの作品は1800年に初版が発行されています。

    これを作るにあたったゲーテの基本思想が、
    天国、現世から地獄に至るファウストのストーリーについて、そこから一貫した理念を見いだそうとする学者などを揶揄し、単なる「筋書き」に過ぎない、と語っているとのこと。

    ファウスト伝説なるものを私はあまり理解していなかったのですが、
    「Es irrt der Mensch, solang' er strebt.」の意味するところがキーとなっていることについて、あとがきでの著者なりの解説も興味深かったです。

    日本語訳ではさまざまな訳がこれまでなされてきたようですが、
    著者は、この主の文を、
    「人間が、野心に駆られて奮闘努力すれば、必ず、罪を犯す」
    という、人間の業を指摘する側面を強調しています。
    そしてその後に続く言葉について、
    「わしの見込んだ者であれば、悪の道から正道にもどるじゃろう」
    と、フォローが入っているという。

    以下、あとがきより。

    __…一般的な「よい人間」の範疇で考えたとしても、ファウストは最後まで「よい人間」にはなりません。このあと「暗い衝動に駆られて」悪魔と結託し、我欲の充足の「活動」に終始していきます。…
    …ファウストはこのような主の意図に沿って、悪魔という仲間を同伴し、悪魔の仕事」を続けることになります。そして一度も正道に戻ることなく、間違いだらけのまま生涯を終えます。…


    ・・・

    これは観劇を目的として書かれた作品だとのことなので、
    舞台が見たくなりました。

  • メフィストファウストの関係が知りたかったので良かったです。

  • これはよくできた本。タイトルのポップさを鵜呑みにせず、最後まで通読すると得られるものが大きい。

    抄録に解説が適宜織り交ぜられ、最後にこの作品の本質を著者なりの解釈で解き明かす。抄録の部分も舞台感がリズミカルにうまく表現されている。

    はじめて『ファウスト』が分かった。どんな形でも、これまで『ファウスト』は分からなかったのに。

  • 「まんがで読破 ファウスト」と「手塚治虫ファウスト」という、マンガ2冊に続いての、活字の入門本へのステップアップとして購入しました。
    ===
    著者は、ゲーテひと筋60年という教授の先生。
    高尚な人格者による、ものすごく難解な大長編の文学作品という、誤ったイメージがあるけど、そうじゃない。
    退屈で苦しいだけの日々に忙殺されている庶民に、笑い転げたり、怒ったり、泣いたり、心の底から楽しんでもらいたいという一心で、ゲーテが生涯をかけて取り組んだエンターテイメント作品。
    もっとガードを下げて、1人でも多くの人に気軽に楽しんでほしい。
    この点を、この本の中で何回も強調しています。
    ===
    例えば……
    序盤、悪魔メフィストは、プードルという犬に化けて主人公ファウストに近づきます。
    ググってみたら当時、プードルは新しく開発されたばかりで、庶民の間で大人気だったそうで。
    向こうの人達なら誰もが幼い頃に慣れ親しんでる、(ギリシャ神話ベースの)童話と同じシチュエーションで、童話と同じ名前の老夫婦も登場します。
    なるほど、続編なんだね、と思うじゃないですか。
    ところが、その直後、悪魔がこの老父婦を焼き殺します。
    そもそもの基本的な構成が、旧約聖書のヨブ記のパロディだそうで。
    ラストも、カトリック全盛の神聖ローマ帝国の時代に書かれたとは思えない、キリスト教の根底になってるタブーを侵して幕が降りる。
    さすがに殺されると思ったのか、後半(第2部)はゲーテの遺言に従って、ゲーテの死後に公開されたそうです。
    ===
    たぶん、今でいうと、高名な会社経営者がタピオカドリンクを片手に楽器箱に隠れようとしたところでそのドリンクが大爆発するような展開。
    しかも、鶴が恩返しではた織りしている小屋ごと火事で燃やして登場人物みんな殺しちゃうような、破茶滅茶の連続。
    よくわからないカタカナ語を1つ1つググりながらなので、2週間ぐらいかかっちゃいましたが、すっかり虜になりました。
    「なるほど、いかにもキリスト教の発想だね」「そうか、キリスト教社会の連中はこう考えるのか」という、新しい気付きもいっぱいありました。
    この本のおかげで、次は森林太郎さん(後の森鴎外)訳の「本物」を読んでみようと思い立ち、(絶版なので)中古で探し回っているところです。

  • 新潮文庫の「ファウスト」(高橋義孝訳)と並行して読んだ。
    とてもわかりやすくて入門にはよかったが、これだけだとちょっと味気ない。並行読みオススメです。

  • 時代背景やゲーテの意図しようとしてたものが解説付きで物語が進んでいくので大変にわかりやすかった。

    現代一般人の自分にとって、原作を読んでも本当の面白さはこれっぽっちも理解できないだろうし、理解するだけの知識を得る時間もそんなにない。

    ファウストの物語自体が色々な含みを持っているようなので、今回はこの作者に依存した理解、これまでの手塚治虫に依存した理解でいったんファウストは読み納めてもいいかな。

    今回読むことでだいぶファウストの印象は変わった。それだけ手塚治虫のファウストは脚色もしっかりされていたし、それなりに面白かった。

    いつかは原文をゆっくりと紐解いていくか?いや多分時間も、紐解いていくだけの根気も能力もないかな。。。

  • 昔から気になるゲーテの大作「ファウスト」
    好き勝手に生きた男が女性の祈りで救済されるという何とも理不尽な話である。
    理不尽であるにもかかわらず、何故かとても気になる話なのである。
    ファウストはある意味、人間(男性)のエゴと純真さの葛藤の原型なのかもしれない。
    もともとオペラでお馴染みだったので、脚本仕立てにすると理解しやすいというのはよくわかる。
    ただオペラはマルゲリータの出てくる1部と最終的な救済だけであっさりとまとめていることが多い。
    原作は長くてファウストとメフィストが時系列も様々にあちらこちら行くので途中で読むのが面倒になって全容がぼやけやすいのだが、このくらいコンパクトならば頭に入りやすい。
    こちらを読んでから原作を読むと良さそう。

  • 03.30.2017 読了
    「かぎりない知識を求めて、人間の限界さえこえようとして『悪魔』と契約をむすび、その力によって天から地の底の『地獄』まできわめ、天地のあいだのあらゆることを知り、それによって不可能なことを可能とする万能の力を獲得し、人生のあらゆる価値、つまり、富、権力、栄誉、享楽を手に入れるが、ついに『悪魔』との契約そのものによってほろび、『神』の劫罰を受ける−」(ファウスト その源流と発展 道家忠道訳編より)

    ということをひらたく平易に書いているうえ、日本人になじまないところはバッサリとカット(優しく解説)してくれているのでとても読みやすい。「ん?」と思ったらすぐに補足が入り、カユいところまで手が届いている本だと感じた。

    個人的には、第一部で終わってもよかった。第二幕の五幕は「はぇ〜そうっすか!」とただただ驚く。伏線というやつ。

    あとがきには、ゲーテの女性遍歴も紹介されており、なんだこいつ感が否めない。作品への影響が大きいだけに、ただの変態だとも取られてしまうかも。名言が多いゲーテだけにギャップが大きい。

    魔法を捨てたマジョリン?にも共通するかなぁ。結構影響をうけていると思う。

  • ファウストが史上最高に面白いのか・ファウストをこう解釈すると面白いのか~1部:魔女の薬で20歳の若者になったファウストは14歳のマルガレーテ(グレートヒェン)に一目惚れし,眠り薬を母親に仕込んで思いを遂げるが,妊娠を兄に責められ,ファウストは逃亡し,マルガレーテは嬰児殺しの罪を負い,ファウストも救えなかった。2部:皇帝の側近になったファウストは皇帝の命で呼び出したヘレナに惚れ込み,人造人間ホムンクルムと古代ギリシアの世界に,スパルタに戻って殺されそうな所をゲルマンの騎士になりきって攫う。男児が飛び降り自殺をしてヘレナも消え,現代に戻ったファウストは戦争に荷担して海沿いの領土を得,理想郷を作って満足して死ぬが,魂は栄光の聖母とグレーチヘンと呼ばれた女によって天国へ~まあ,どっちもなんでしょうね。高校の時に岩波文庫で読んで,暫くとっておいたんだけど今は行方不明。捨てたんでしょうね。改めて,どういう内容か思い出せて良かったけど,どんでん返しさえ憶えていなかった。エンターテインメント戯曲で良いじゃん!と1933年生まれのドイツ文学者の託宣!

  • 多くの人が難解としてなかなか手が出せないだろうファウストを、分かりやすく噛み砕いて紹介している。言葉も現代の表現にされており、非常に読みやすい。
    情景描写が分かりやすく、頭の中で舞台上の演者や観客を想像しながら楽しく読めた。
    こうして世界の名著に親しめることを嬉しく思う。
    これは確かに、「史上最高に面白いファウスト」かもしれない。

  • 久々に☆5つ!
    とっても面白かった!

    <本から>

    神秘な合唱

     移ろいゆくものは、すべて
     影にすぎない。
     我欲のために悪にまみれた
     迷える魂もここでは赦され
     永久の営みに組み込まれる。
     ここに軌跡が起こる。
     命を生み育む慈愛、
     この永遠にして女性的なるものが
     わたくしたちを滅びから救うことができる。
     母たちよ
     栄光の聖母よ
     至福の光で
     この世を永久にご照覧あれ!

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