十二人の死にたい子どもたち

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905419

感想・レビュー・書評

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  • 実は密室殺人ゲーム的なのかなと勝手に思っていたのですが、「12人の怒れる男」みたいなのね。
    うーん、ちょっといろいろあっけないというかテーマのわりにゲーム感が強くてちょっとどうだろうって思う。
    10代の子たちの死にたい理由なんてはたから見たらそういうものかもしれないけど、それにしても不自然かなー。
    ミステリー的にもそんな都合よくいかないでしょって思うし、そんな相手の言うことうのみにできちゃう?とも思う。
    最後の最後もどうも釈然としないんだよなぁ。

  • 「死にたい」未成年12人が集まって、集団自殺(安楽死)しようとしていたはずなのに・・・

    最後は、青春小説のようにすがすがしい終わり方。

    登場人物それぞれの個性が話し方からも伝わってくる。
    この子はどんな子なんだろう?どんな環境で生きているんだろう?
    と興味を持ち、各々の「死にたい理由」が語られた時、登場人物たちのバックボーンを知ることになる。

    とても良く出来た本だと思いました。

  • 少し前ではありますが、「王様のブランチ」で紹介されていました。
    タイトルからもわかる通り、「十二人の怒れる男」のパロディです。

    「大きな決断(=自殺)」をするために集まった12人の子どもたち。集合場所では既に1人が死んでおり、"管理人"が先に旅立ったのだと判断して、準備にかかろうとした11人の子どもたちの前に、13人目が現れます。
    イレギュラーな事態を無視して当初の目的を達成しようとする雰囲気の中、1人が異議を唱えます。このまま疑問を抱えて死ぬのは嫌だ、と。
    賛成11、反対1から始まった「話し合い」。

    最初からベッドに寝ている、いわば「0番目」の子どもは誰なのか、どのようにこの会場へやってきたのか。

    謎を解き明かすために話し合い、採決を行っていきますが時間をかける度にその結果は変動して……。


    ストーリーも、それぞれの登場人物の心理描写も、謎解きの展開も、物足りない印象でした。
    強硬に実行を主張する人達の動機も理解しにくかったですし、互いにさらけ出し合うというほど感情的になるでもなく、かと言って論理的な議論ができるわけでもなく、延々と話し合いの場面が描かれ続けるのも冗長であったように思います。

  • 昔見た映画「12人の優しい日本人」を
    思い出してしまった。(展開が同じ)

    なるほど、死にたい子どもが集まって
    議論するときっとこういう結末になんだろうね。
    基本、人間生きていたいものだと信じたいし
    そういう力を持っていると思う。

  • 自分の心の中身、痛み苦しみは自分にしかわからない。他人から見て、そんなことで...と大袈裟に感じることが、当人にとっては死にたい理由になるほどのことでした。病院の廃墟、ゼロ番の少年、殺人...いつの間にか彼等は謎を解くこと、他の人の痛みを感じることを知ります。死ぬ為に集ってきた、それだけ。だけれど議論を重ねるうち、彼等は死ぬことではなく生きるということを考えるようになっていったのだと思います。少年少女の苦悩はこれで終わりでなく、この先も続くのでしょう。それでもあの日、その足が生きる道を歩いて行ったこと、忘れないのだと思います。

  • 面白かった。

    目新しい設定ではないけれど、12人の死にたい子どもたちが集まったものの、なぜかもう一体死体が。

    誰が、殺したのか。

    全員一致で死ぬ位という意見に同意できなければ集団自殺は行えない。

    死ぬのはいいけれど殺人犯とされるのは嫌だ。

    そして12人の討議は始まる。

    という感じのお話。
    やはり生方先生はエンタテインメントとして話の作りこみ方がうまいです。どんどん話に引き込んでいく力があります。

  • よくできた心理劇を見たような読後感。

  • 謎解き部分がちょっとわかりにくかったけど、するすると読めた。面白い。自殺の動機については、理解できたりナニ言ってるんだコイツは、ってのもあったりで。皆それぞれ病んでるなぁ、っていう。でもなぜか憂鬱にはならない。これだけ議論されながら、途中まで、それでも最後は実行するんじゃないか、と思わされた。最期は社会や大義のためなんかではなく、自分の死を死にたい(ブルハ)ものです。

  • これは、命の議論、なのかな。

    名作「十二人の怒れる男」へのオマージュ作品であろう本作も、きっちりそのメソッドに沿った密室議論もの。ただ、モチーフは法廷ものではなく、思春期の自殺志願者たちが遭遇した思わぬ死体を巡るミステリーだった。

    予定調和から外れていく事態を、登場人物たちのキャラ性を打ち出しつつ、会話劇によって流転させていく構成はやはり面白く、特に各々の自殺への動機が語られる箇所からは感慨深い。こうして生まれる絆的なものもあるんだろうなぁ。

    ミステリーの解決はワシには難しかったが、群像劇として楽しめた。

  • 私はアンリの考え方に賛同なので、ラストが嫌でした。
    他のメンバーの考え方には「理解」はできなくても「受け入れて」あげてるメンバーが、アンリの考え方だけは全否定。

    そこが納得いかない。
    アンリの考え方も「理解」はしなくても「受け入れて」あげる一文さえあればよかったのに。

    ヘルペスを受け入れてあげられるなら、アンリも受け入れてあげられそうだけどな。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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