浮遊霊ブラジル

  • 文藝春秋 (2016年10月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (184ページ) / ISBN・EAN: 9784163905426

作品紹介・あらすじ

初の海外旅行を前に死んでしまった私。幽霊となって念願の地を目指すが、なぜかブラジルに到着し……。川端賞受賞作「給水塔と亀」を含む、会心の短篇集!



【収録作】

「給水塔と亀」…定年を迎え製麺所と海のある故郷に帰った男。静謐で新しい人生が始まる。〈2013年川端康成文学賞受賞作〉



「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」…静けさのないうどん屋での、とある光景。



「アイトール・ベラスコの新しい妻」…ウルグアイ人サッカー選手の再婚の思わぬ波紋。



「地獄」…「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待つ、世にも恐ろしい試練とは。



「運命」…どんなに落ち込んでいても外国でも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?



「個性」…もの静かな友人が突然、ドクロ侍のパーカーやトラ柄で夏期講習に現われて…



「浮遊霊ブラジル」…海外旅行を前に急逝した私。幽霊となって念願の地をめざすが。

みんなの感想まとめ

多様なテーマが描かれた短編集は、ユーモアと深い洞察に満ちています。表題作では、海外旅行を前に急逝した主人公が幽霊となり、念願の地を目指す姿が描かれ、切なさと希望が交錯します。また、「給水塔と亀」では、...

感想・レビュー・書評

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  • 津村さんの過去の作品も読んでみたくなって、この本はいつも見かけるので誰にも借りられてない残念な様子。私も手に取りながら2度程迷い、タイトルに浮幽霊とかあるのでおじけづき棚に戻したのですが今回思い切って借りてみました。ところがどっこい眠れる獅子を起こしてしまったかのような面白さでした。
    7つの短編集でどれも興味深いのですが津村さんうどん好きのようなので最初の2つをレビューしておきます。死後ネタの『地獄』と『浮遊霊ブラジル』は異次元で無茶面白すぎたので調子にのって喋りすぎるとネタバレしそうなのでレビューしませんがお勧めです。

    「給水塔と亀」
    定年で故郷の街に戻り一人暮らしするおじさんの話だけど借りたアパートは前の住人のお婆さんが孤独死した部屋らしい。管理人がら前の住人所有のカメを引きとってベランダから給水塔を見ながら世話をして製麺所に再就職しようと思っている語り手。側溝に流れる1本のうどんの光景が脳裏から離れませんでした。

    「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」
    突然うどんが好きだと告られ名前も性別もあかさない語り手のうどん愛を聞かされて、どん退きして固まりながら独り言につきあう。人間観察するなら透明人間が最適なんじゃないって思いつつ、月1回生醤油うどんが旨い人気うどん店に通ってるらしい。
    店の作りはわからないけど、カウンター越しにうどんを提供してるような感じがした。店主は女性客だけ声をかけるそうで、始めてだと答えるとうんちくを語りながらうどんを仕上げてくれる様子で最後に、「次から自分でやるように」と言うのがプログラムされてるような店主の女性客に対するルーティン。その騒がしさも売りにもなってる様子です。
    そんなうどん屋の斜め向かいで働いている女性もうどん食べにくるようで2回に1回は見かけるとか。それは、レアなケースなのか知らないけど、彼女の勤め先まで知ってる語り手は尾行した訳じゃないと言ってるけどストーカーなのかもしれない。
    途中で語り手の性別が男だと知れたときからストーカーだと決めつけた私にもジェンダーバイアスありそうです。
    彼女にコルネさんと名付けた語り手が来店したコルネさんを観察する。この語り手のヤバさはネーミングセンスにもあると思うのですが、普通うどん屋でみかけたなら、うどんちゃんとか生醤油ちゃんで良さげに思うのですが、茶色く染めて結い上げた髪がコルネっぽいって理由でコルネさんとか名づけるとこは髪フェチかもしれない。つまり、髪フェチストーカーうどん好き男なのだ。やがてそのフワフワな髪に触れてみたい欲求を抑えきれなくなりそうな気がする。
    彼女がうどんをすする仕草に射抜かれてしまったかもしれないし、彼女がコルネ巻きのツインテールだったとしたら、日焼けしてない白いうなじあたりを凝視してそうでかなりヤバそう。
    他の観察対象には名付けてないことから察するとコルネさんに特別な感情を抱いているのは明白ですね。
    店主へのクレームでコルネさんは6回も通っていることが判明するのですが、店主のジェンダールーティンに毎度「初めてです」と嘘を言って、うどんを仕上げてもらってるらしい「次から自分でやるように」と店主が喋り続けるとブチキレて店を出て行ってしまう。
    客の顔も覚えられない店主は認知症が入ってるかもしれないけど、毎回、疲れてるのに語りかけてくる店主にもイラっとするコルネさんの言い分もわかる。でも私にとって解らないのは、うどんに大根おろしを乗せて、生醤油にすだちを絞ったものが1杯1000円もするのかのほうが驚きでした。

  • 表題作「浮遊霊ブラジル」を含む7つの短編集。

    その中にある「給水塔と亀」は、2013年川端康成文学賞受賞作である。
    定年を迎え故郷に帰った男の記憶にある製麺所と海に帰ってきたのだ…さぁ、これからここで生きるという覚悟がじんわりと伝わってくる。

    「浮遊霊ブラジル」は、海外旅行を前に急逝した男が未練があったのか、幽霊になり誰か耳に入っては念願の地を目指すという…なんとも突拍子もないが、それでも行きたいという強さには抗えずにいたという、でも楽しいかもしれないと。

    他の作品にしてもなんとも意表をつくような感じであり…、だが人間を観察する目は凄いなと。





  • 津村さん2冊目。お仕事小説とは違うタイプの短編集。これも楽しかった。『給水塔と亀』私と全く違う人生を追体験させてもらう。『地獄』笑った笑った‼︎『浮遊霊ブラジル』も似たテイスト。『アイトール〜』スクールカーストの苦味。

    • たださん
      111108さん

      こんばんは。いつも、いいね、ありがとうございます。

      「地獄」は私も完全にツボでした。オフビートな雰囲気で笑い転げるって...
      111108さん

      こんばんは。いつも、いいね、ありがとうございます。

      「地獄」は私も完全にツボでした。オフビートな雰囲気で笑い転げるって、案外、難しそうですけど、そこは津村さんのすごさだと思っております。

      「浮遊霊ブラジル」は、私がこうなって欲しいと思っていたオチに、本当になったので、それが可笑しくて印象に残ってますね。
      2021/08/07
    • 111108さん
      たださん こんばんは

      こちらこそいつも いいねありがとうございます。

      本当に津村さんさすがですよね!本読んで声出して笑うのは久々でした。...
      たださん こんばんは

      こちらこそいつも いいねありがとうございます。

      本当に津村さんさすがですよね!本読んで声出して笑うのは久々でした。『ブラジル』の憑依するための決めセリフも面白すぎる!

      私はちょっと現実逃避したくて読書してる感があるので、日本の今を直視するような本は苦手なのですが、津村さんみたいな立ち位置はいいなぁとしみじみ思ってます‥
      2021/08/07
  • 短編集。
    読んでいて一番面白かったのは「地獄」。
    映像も書物もとにかく沢山の物語を見て読んで書いた主人公は「物語消費しすぎ地獄」へ落とされ、試練の日々を送っている。その試練というのが肉体労働とかじゃなくて、物語を消費しすぎたことを悔い改めるような変わった内容で、発想がすごいなあと思うと同時にご褒美にもなりそうじゃないかとも思う。
    それに一緒に地獄へ落ちた友人との交流もあって、なんだか楽しそうだ。
    地獄の鬼も人間くさいというか俗だ。色々大変ですなと同情してしまったり、いやこれ地獄の話だよねと思わず確認したくなったり、ゆるっと面白かった。

  • 不思議な短編集。
    おしゃべり過ぎた人が行くおしゃべり地獄や、物語を消費し過ぎた人が落ちた地獄の話や、初めて行ったロシアでも号泣してても道を聞かれる人や、初の海外旅行前に死んじゃったから浮遊霊になって渡航を目指す霊。。。どうしたら書けるんだろって不思議なお話の連続でした。

    『給水塔と亀』
    『うどん屋のジェンダー、またはコルネさん』
    『アイトール・ベラコスの新しい妻』
    『地獄』
    『運命』
    『個性』
    『浮遊霊ブラジル』

  • 友人から借りた一冊。
    名前は知っていたけど、手に取る機会がなかった津村さん。こんなに面白いとは!!
    シュールでちょっと不穏だったり、味わい深かったり。
    最後の表題作は最高!本読んで声だして笑ったのは久しぶり。それなのに、どこかホロリとする心地よい読後感。いったいどうやったらこんなこと思い付くんだろうというイマジネーションの面白さとそこに俯瞰した視線があるのが、個人的にストライクゾーンで、めちゃくちゃはまってしまった。これから、津村さんの本を読む楽しみが増えて、新しい友人が増えたような幸せを感じています。

  • 短編集、目次をみた瞬間、「あっ、もう読んだ本だ」
    まあ、いいかと読み始めると内容は初めて読んだというふうで、要は全く印象に残っていなかったということらしい
    でも、すごく面白い思ったことから、自分の津村記久子さんの小説を読む力が上がったのではないかと勝手に解釈した
    とすると、ほかの作品も再度読んでみると、いいことがあるかもと思えてくる

  • まったりのほほんとしていて、滑稽で、時にしみじみと味わい深くて…津村さんらしさが存分に味わえる短編集だ。大満足でした。
    ずっと読みたかった川端康成文学賞受賞の「給水塔と亀」。淡々とした文章から滲み出る慎ましい幸福感が、静かに心を満たす。この「純文学」な空気がたまらなく好きだ~と思った。
    「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」、喜怒哀楽が絶妙なバランスで詰まっている。お見事。
    「アイトール・ベラスコの新しい妻」、サッカー選手の再婚話かと思いきや…あんな話だとは全く想像できなかった…スクールカーストのエピソードがちょっと怖かった。「この世界こそはクラスだと綾は思う。(中略)ママ友の集まりはもちろんクラス、PTAだってクラスだ。クラスでないものなど世の中にはない、と断言していいぐらい。」とは、全くもってその通りと、軽い絶望を感じながら同意する。女性ならよくわかるだろう…このカーストから逃れられないんだよなぁ結局。色々な意味で印象に残る短編だった。
    「地獄」「運命」「個性」、シュールでコミカルな展開に人生の悲哀を感じさせるところがさすが。特に「運命」で描かれるトホホ感には大いに共感します。
    「浮遊霊ブラジル」、浮遊する霊だからロードノベルとは言わないだろうけど、憑りつく相手を替えながら、生前叶えられなかった旅行先・アラン諸島への上陸を目指す…という展開が斬新。私は津村文学の、いい意味でのみみっちさが大好きだ。褒め言葉ではないだろうけど、最終話ではそのよさが十二分に表現されているなと思った。ふわっとした空気感が心地よく、読了後はいつもほのかに幸せを感じる。

  • 「浮遊霊ブラジル」(津村記久子)を読んだ。

    短編集である。

    最初に収録されている「給水塔と亀」が素晴らしい。
    短編小説とはこうなんだよ!と唸りたくなる。
    主人公の感じている開放感が気持ちよく伝わってきて、こちらの気持ちまで浮き立つようだ。

    あとは少し軽めでスゥーっと溶けていく感じの作品が多いかな。

    津村記久子さんの本を読むのははこれが六冊目。

  • ’21年9月14日、読了。津村記久子さん、4作目。

    素晴らしかったです!以前の3作も全て、ですが。

    中でも好きなのは、「給水塔と亀」、「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」、表題作「浮遊霊ブラジル」あたりかな…。

    「給水塔と亀」…川端賞受賞作。いかにも川端賞らしい小説、と感じました。淡々と綴られる日常の中に、確かな輝きがある、みたいな。
    川端賞には思い入れがあって…三浦哲郎さんの「じねんじょ」を読んで打たれて、もう20年以上前かな?当時の歴代の受賞作の初版本を、神田神保町をめぐって、集めてました。全部ではないけれど、今でも本棚に収まってます。読了済みの受賞作は、殆ど好きで…僕の大切な読書経験になってます。本作も、その一つに加わりました。素晴らしい!

    「うどん屋の〜」…収録作の中では、なぜか(?)一番好きかも。僕には、本作中で、「一番津村さんらしい」と、思えました。

    「浮遊霊ブラジル」…何故か、カーヴァーの「大聖堂」を思い出しました。奇跡のような物語が綴られていますね!

    図書館で借りて読みましたが…これも、初版本を、コレクションに加えて、繰り返し、味わいたくなりました。津村記久子さん、次は何を…。

  • 日常に潜む、もしかしたらあるかもしれない不思議な出来事たちの短編集。
    こういう大きな事件が起きるわけではないけれど、当人にとってのなにかのきっかけや特別な出来事を読むと、もっと日常を大切に生きなきゃなあと思う。(思うだけで実践はなかなかできないんだけど)

  • 津村さんの文章はなんだか癖になる。ものすごく面白いとか、先を読みたくてたまらない、ということはないのだけど、気づくと最後まで読み切ってしまう。

  • 大好きな津村さんの短編集の新刊だけど、死んで幽霊になって、っていう話が入っているときいて、うーんあんまり読みたくないかも、と思っていたのだけど、読んでみたら最高におもしろかった。津村さんやっぱり大好きだ。
    確かに、なぜだかこの短編集は、死後の世界とかの話がたくさん出てくるんだけれども、全然暗くないどころかむしろす本気で笑える話で。わたしも落ちるとしたら「地獄」の主人公と同じ、「物語消費しすぎ地獄」だろう、と強く思った。「飽食」ならぬ、「飽・物語」の罪で、ドラマや映画、小説、あとスポーツなど、架空の世界やドラマティックな世界にのめり込んだ罪。自分はまったく平穏地味な生活をしておいて、人のドラマを消費しすぎっていう。まさにそのとおり。
    あと、「給水塔の亀」では、「人間が家族や子供を必要とするのは、義務がなければあまりに人生を長く平たく感じるからだ」っていうのにこのうえなく深く深く深く深く深く共感。
    でも、そういう、自分はなにもしないでおいて人のドラマを消費する、地味な人生を送る、ことを、ダメと言われている気はしない。むしろ、それが人生、といわれているような気もして、なんだか安心するような。

    津村さんは発想がすごいな、と。どこかで読んだような話は全然なくて、どれもこれも斬新というか。それでいて妙にリアルで。わたしは、基本、ファンタジーめいた話とか奇想といわれるような小説が苦手なんだけれども、津村さんだと嫌じゃない、こんなこともありえそうだな、と思う。
    すごく笑えるんだけれども、ふざけているようでまじめというか、人の好さそうな笑いというか、この笑いのここちよさは津村さんの持ち味なんだろうな。人を貶めるところがないというか。

    • たまもひさん
      こんにちは。これおもしろそうですね。
      「物語消費しすぎ地獄」!! 私も間違いなくここだなあ。でもお仲間が多くてちょっと楽しいかも。
      こんにちは。これおもしろそうですね。
      「物語消費しすぎ地獄」!! 私も間違いなくここだなあ。でもお仲間が多くてちょっと楽しいかも。
      2016/10/24
    • niwatokoさん
      すごくおもしろかったです!
      この「地獄」は本当に笑えました。楽しいです。
      わたしがほかを知らないだけかもしれませんが、発想が斬新というか...
      すごくおもしろかったです!
      この「地獄」は本当に笑えました。楽しいです。
      わたしがほかを知らないだけかもしれませんが、発想が斬新というか、こんなタイプの話ってあんまり読んだことなくて感心しました。妄想だけど、そのなかに、会社生活とか、ものすごくリアルな細かい現実が描かれていて。自分の人生について考えさせられるような。
      2016/10/24
  • ふわふわと、夢を見ているかのような短編集。
    良い意味で、現実的な設定が多い津村さんらしくない本で、どれもがするすると楽しく読めてしまった。

    なかでも印象に残っているのは、「地獄」。
    温泉に行った帰りのバスで一緒に死んでしまった私と同級生のかよちゃんが地獄で再開する物語。
    お喋りなかよちゃんは、山小屋で一人暮らしをさせられており、一言も誰ともしゃべってはいけないといういわゆる"断しゃべ地獄"のプログラムを受けている。
    生前、一日にドラマを3本、ドキュメンタリーを1本、映画を週3本、小説を月10冊読んでいた小説家の私は、飽食の罪ならぬ、飽・物語の罪で地獄行きとなり、物語消費しすぎ地獄にいる。(何度も人が殺され、それが解決される刑事物語を楽しんでいた私は、一日に何度も地獄で殺されたり、最後の数ページが破かれている小説を1日4000ページを読むノルマを課されたりしている)

    どちらにしても地獄に落とされるんだなぁ、という思いと、自分だったら何地獄なんだろう、と想像を膨らませるのが楽しかった。
    (物事を斜めに見ないように強制させられた、直角地獄とか…?)


    表題作の"浮遊霊ブラジル"も面白かった。
    町内会の海外旅行に行ったことがない人を集めて、考えられる限りの一番遠い場所であるアイルランドのアラン諸島への旅行を企画しているうちに、心停止でなくなってしまった"私"が、目的を果たすまで浮遊霊として彷徨う物語。

    ひとに取り憑く術を覚えた私だったが、アイルランド人ではなく、不本意にブラジル人に憑いてしまう。ブラジルに到着後は、取り憑くひとを何度か乗り換えたのちに、最終的に陸上のやり投げの世界選手であるマテウス君に定着する。
    津村さんの物事への偏愛はとてもマニアックで面白いのだけど、いつもいつも登場する国が南米なので、どうせ今回もアイルランドには行けずじまいなんだろうと正直思っていたけれど、予想を裏切られたのが良かった。

  • 『地獄』を読んでいて笑いそうになった。妻のために出世コースを諦めて新設の地獄に異動してきた鬼って!!
    短編集とはいえ、ぎゅぎゅっと詰まった津村ワールドを堪能した。

  • んー、自分には合わなかったかな。「地獄」が一番面白かった。「運命」が良くわからなかった。私の読書力の問題か

  • やっぱりこの人天才だ。
    細かいネタが好きすぎる。
    全話好きだけど、とくに『うどん屋のジェンダー、またはコルネさん』『地獄』『個性』『浮遊霊ブラジル』が大好き(絞ったつもりが絞りきれなかった)

  • 初めて読む津村記久子作品。
    7つの短編が収められています。

    「地獄」の面白さにやられました。
    地味にストレスがたまりそうなぬるい地獄。
    主人公もご友人も、刑罰にやや苦しみつつも、生きてたときとそう変わらずに地獄の生活を送っているのがなんともシュール。
    鬼の不倫関係に一枚かんでみたりしているし。

    「給水塔と亀」の淡々とした感じ。
    「アイトール·ベラスコの新しい妻」に描かれた三者三様の人生に女性の怖さをにじませる感じ。
    「運命」の当人の半ば諦めも含んだやるせなさを、他人だからこそ味わえるユーモアにしてしまう感じ。
    どの作品もとても好みだったので、ほかの津村作品も読んでみたくなりました。

    最初は「何の絵だろう?」と不思議に思いながら眺めていた表紙が、読後にじわじわ効いてくるのも面白かったです。
    それぞれの短編のエッセンスが詰めこまれた、遊び心の感じられる絵にふくふくと楽しい気分になりました。

  • 短編集。

    やはり賞を取ったという作品だからか、
    「給水塔と亀」はよかった。

  • 初めて津村さんの著作を読みましたが、かなり好きな短編集でした。
    シュールだけど地に足がついている感じがするところが、とても不思議です。ディテールに生活感があるからでしょうか。
    7編とも甲乙つけがたいのですが、「地獄」が可笑しくて堪らなかったなあ。あと表題作もユニークで好きです。

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。
2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2023年『水車小屋のネネ』で谷崎潤一郎賞受賞、2024年「本屋大賞」第2位となった。
他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『ディス・イズ・ザ・デイ』などがある。

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