- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163905433
作品紹介・あらすじ
昭和二年、六苑伯爵家の令嬢・燈子(とうこ)の遊び相手として、小石川に居を構えるネオ・ルネッサンス様式の洋館に通うことになった、六苑家の職員の娘・美桜子(みおこ)。ふたりはトコとミコと呼び合いながら、主従を超えた愛憎関係に結ばれ、その後90年にわたる激動の時代をともに生きることになる-―二人の運命はからまり、傷つけあいながらどこに終着するのか。敗戦後の日本で数奇な運命を辿りつつ、気高く生き抜く女性の強さが心に響く大河ロマン。
感想・レビュー・書評
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伯爵令嬢の帰国子女、トコ(燈子)と家扶の娘、ミコ(美桜子)。激動の90年を壮大に描いた物語は華麗でありながら時に愛憎が滲み、まさに昼ドラ。壮麗な世界観に浸りたいときは間違いありません、山口先生。
戦争がきっかけで様々なものを失いかけるが、ピンチはチャンスとばかりにビジネスに繋げていくミコの才覚たるや、その賢さに舌を巻く。一方のトコはおっとりしているようで、実はぶれない強さを秘めている。
展開はとにかく目まぐるしく、ジェットコースターのよう。淡々と物語が進んでいくため、もう少しこの人を長く登場させて欲しかったかな、この場面を堪能したかったな…というところも若干ある。でも、戦中~戦後、昭和、平成と、激しく移り変わる時代のダイナミックなうねりを縦軸に、時代に翻弄されながらもそれぞれに生き方を模索するトコとミコの軌跡を横軸に紡がれる作品世界の壮大さは圧巻。
そして、何よりの魅力はディティールの細かい描写。今回も脳内ドラマ化可能なくらいうっとりする場面が多く、特に、ストーリーに長きに渡って登場する牛首紬(2人でお揃いで仕立てた着物が何度も姿を変えて現れる)、美しい描写が印象的だったイングリッシュ・ニードル・ポイント。節目節目で現れるたびドキドキします。あー、ホントに映像化してくれないだろうか。お金かかっちゃうかな…。
宇野亜喜良氏による装画もとても素敵です。本書の世界観をすごくうまく表していると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
六苑伯爵家の令嬢燈子と、そのお相手として選ばれた職員の娘美桜子。
二人の90年に渡る物語。
女の一代記は大好物。
今回は2人の話なので、更にワクワクしながら読みました。
昭和初期から平成まで、時代によって伯爵家が衰退し、それぞれの暮らしぶりも変わっていく。
美桜子は実業家としてその実力を発揮し、燈子は美桜子に支えられながら品位を失う事無く暮らして行く。
そんな2人だったからこそ、晩年の20年がとても残念。
橙子の広い心に気づいていれば、美桜子は1人でいないで済んだかもと思ってしまいます。
ただ、その年月が美桜子には必要だったのだとしたら仕方がなかったのでしょうね。
折々に挟まれる2人の思い出の品、牛首紬とイングリッシュニードルポイント。
知識がなかったため調べながらだったので想像の上ですが、その美しさにも魅了されました。
昭和を舞台にした著者の作品が大好きです。
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図書館で借りたもの。
伯爵家の令嬢・燈子と、使用人の娘・美桜子。数奇な運命にもてあそばれつつも、互いを思いやり、時に憎みながら、激動の昭和、平成を強くしたたかに生き抜いた2人の女性の生涯を描く。
初読みの作家さん(アンソロジーで読んだことあるかな?)。
こういう、人の歴史が感じられるお話が好き。
友人というには軽すぎる2人の関係。
伯爵家の暮らし、すごかったなぁ。
日本にもお姫様っていたんだ。 -
6歳から96歳までの女性の友情。
憧れや尊敬、軽蔑や嫉妬が入り混じっているけれど、けっきょくミコはトコのことが好きだったんだなぁ。
華族令嬢とか、明治〜昭和までの女の子、女性の物語がとても好きなので、楽しく読めました。 -
2017/9/15
二人の女性の生涯を描いたものだったけど、そうだね〜 うーん ちょっとダラダラ感があったかな
まぁまぁ面白かったけど、人に勧める程じゃないっていうか -
伯爵家の令嬢トコと、「臣下」の娘ミコ。
戦争を挟み、二人が生きた昭和を描いた作品。
物語の骨組みはねえ!面白いの!
ただ、文章がさっぱりし過ぎていて、歴史の教科書を読んでいるようだった…。
そのあっさり文章が好みという方もいると思うのだけど。
進駐軍の高官とのやり取りの辺りが一番好きだった。 -
昭和の初めから平成までの女達の物語。伯爵令嬢のトコとその使用人の娘であるミコ。時代とともに生きる強い女性達の生き様に感心させられました。
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伯爵家の令嬢・六苑燈子と美桜子が出会ったのは、昭和2年のことだった。
それから、いろいろなことがあったのだが、大河ドラマを観ているようで、すごくおもしろい小説でした。
最初は燈子を敬っていた美桜子だったが、好きになった人が燈子のことを想っていたので、燈子に嫉妬したこともあった。戦争後は、財産を失ってしまった燈子を雇うことで、優越感を覚えることもあった。いろいろなことがあったが、結局、美桜子は燈子のことが好きだったのだろうと思う。
燈子はもどかしいほど、自分の意思がない女性だけれども、思いがけないところで決断力があったり、包容力があるすばらしい女性でした。本当に貴族らしい人でした。 -
タイトルから勝手に「ナオミとカナコ」みたいなストーリーを想像していたけど、これはNHKっぽいな。共通してたのは、オンナは強いってことかな?