四月になれば彼女は

著者 :
  • 文藝春秋
3.22
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905532

作品紹介・あらすじ

音もなく空気が抜けるように、気づけば「恋」が人生から消えている。そんな時僕らはどうすべきか? 夢中でページをめくった。――新海誠(アニメーション監督)イノセントかつグロテスクで、ずっと愛を探している。川村元気そのもののような小説でした。――星野源(俳優・音楽家)4月、はじめて付き合った彼女から手紙が届いた。そのとき僕は結婚を決めていた。愛しているのかわからない人と――。天空の鏡・ウユニ塩湖にある塩のホテルで書かれたそれには、恋の瑞々しいはじまりとともに、二人が付き合っていた頃の記憶が綴られていた。ある事件をきっかけに別れてしまった彼女は、なぜ今になって手紙を書いてきたのか。時を同じくして、1年後に結婚をひかえている婚約者、彼女の妹、職場の同僚の恋模様にも、劇的な変化がおとずれる。愛している、愛されている。そのことを確認したいと切実に願う。けれどなぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去っていってしまうのか――。失った恋に翻弄される12カ月がはじまる。胸をえぐられる、切なさが溢れだす『世界から猫が消えたなら』『億男』の著者、2年ぶりの最新刊あのときのわたしには、自分よりも大切な人がいた。それが、永遠に続くものだと信じていた。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で見かけてなんかタイトル聞いたことあるな。と思って借りてきた。
    帰ってきてテレビをつけたところで映画化すると知った。(タイミング良すぎ笑)
    じゃあこれはきっと面白い!と思って読み始めた。
    …んー?よく分からない。
    登場人物も誰が誰だか分からなくなっていく。
    時系列すら怪しくなっていく。
    最後の方まできて人物と時系列はようやく分かったけど、結局なにが書いてあったのかよく分からなかった。
    これを映画化?
    映画見た方が分かるんだろうか…

  • 『四月になれば彼女は』
    といえばサイモン&ガーファンクルでしょ♪
    学生時代に好んで聴いてたなぁ、なんて思い出したのは映画化されたと知ったから。笑
    ならば先に原作本を読まなくては!
    と手に取った一冊。

    終始「愛」について考えさせられる作品だった。
    ぼんやり読んでいると過去と未来が唐突に交錯する構成に、立ち位置を見失いそうになった。
    いやいや、ぼんやり読むなっちゅう話ですな。

    作者が語る愛の世界がイノセント過ぎて、やや作り物感を感じてしまうのは、年の功なのか・・・
    世界各地を転々としながら元彼・フジへの手紙を書くハル。現地での細やかな情景描写も何だか現実感がなさ過ぎて、気後れしそうだった。

    逆に言えば、この独特の美しい世界観と、登場人物それぞれが愛をテーマに自分を探す物語は、映像化には適している作品なのだろう。

    何度か届いた手紙の中でも、ハルから届いた最後の手紙は、彼女の辿り着いた胸中が綴られていて心底納得出来るものだった。
    人間しか経験出来ない、想いが重なる瞬間をしっかり味わえる人は、心豊かで幸せな生き方が出来るのだと思う。

    余談だが、フジの婚約者の妹・純ちゃん。
    迷走中の気持ちが全く分からんでもないけど、
    節操がないですぞ。
    せめて相手は考えようね。
    そりゃ夢に出て来ちゃうよ笑


    以下、ハルの最後の手紙より抜粋

    「避けがたく今日の愛から、明日の愛へと変わっていく。
    けれども、その一瞬を共有できるふたりだけが、愛が変わっていく事に寄り添っていけるのだとわたしは思う。」

  • 私の拙い語彙力では「エモい」という言葉が一番この読了感に合っているような気がします。

    まるで映画を観ているよう。
    永遠の愛なんてないのかもしれない。けど、人は誰かを愛することも愛されたいと思うこともやめないんだろうなぁ。

    装丁の美しさに惹かれ買った一冊。もっと穏やかでロマンティックなお話だと思ったら裏切られました。笑

  • ジャケ買いした小説はひさしぶり。なんとなく惹かれてパラパラめくって、買ってしまった。こういう時って残念だったな、、と思ってしまうことが多い。確かに読み始めは確かにセリフが説明多いなぁとか、手紙パートもフィクション感出過ぎてるなぁ、とか好き勝手に思ってましたが、こう胸を鷲掴みにされる感覚というか、切なくて読みたくないような早く続きが読みたくなるというか、、とにかく誰かと共有したいと思える小説でした。
    月と太陽とが一瞬ぴったり重なるような瞬間。恋。

  • 前に読んだことを忘れていて、再読。
    愛とは何なのか、結婚とは何なのか。
    はっきりとした答えのない問いに悩む登場人物たち。
    結局、理屈では説明の出来ないことなんだろうなと思う。
    同じものを好きだと喜んだり、隠していることを知りたいと思ったり…。
    こういう感情が、なんだか懐かしいなと思った。

  • 精神科医、藤代は同棲中の弥生との結婚を目前に控えていた。
    四月。
    藤代のもとに大学時代の恋人ハルから9年ぶりに突然手紙が届く。
    なぜ、ハルは手紙を送ってきたのか…
    弥生との関係は…

    なんだろうなぁ…
    いまいちストーリーにのめり込めない。

    227ページのフレーズだけが心に残った。

  • 「いま、そばにいる人のことを本当に愛してますか?」そう問われているようで、読み終わった後も胸の奥の方でざわざわとした何かが動いている。
    誰かと出会い、誰かを愛し、誰かと共に歩いていく。当たり前のように繰り返されてきた「人生」は実は不安定で壊れやすいモノだという事に、本当はだれもが気付いているのかもしれない。だから、それに気付かないふりをして毎日誰かのことを「愛している」と言い続けているのかも。
    藤代とハルの出会いは自然でこのままずっと一緒に生きていくことが極々自然のながれだと思えていたのに。2人の人生が離れて行ったのは、あるいみ2人それぞれの存在があまりにも自然だったからか。
    終わってしまった恋に決着がつけられないまま生きている多くの人にとって、心の小さなささくれを刺激するビターな一冊。
    久しぶりにサイモンとガーファンクルを聴いた。卒業もまた観直してみたい。

  • 妻帯者には、ちょっとつらい恋愛小説。サイモン&ガーファンクルに歌は悲しくて、いまだに聴かれているのだろうか。

  • [登場人物]
    伊予田春
    藤代俊
    坂本弥生
    タスク
    大島


    [内容]
    なんとなく、はっきりとしない藤代を中心として、物語は進んでいく。
    愛とはなんなのかを登場人物たちが深く考えていく。
    キャラクターが身近にいそうな感じで、勝手にイメージしやすかった。

  • 四月。

    藤代のもとに届いた
    ハルからの手紙。

    胸によみがえる
    ハルとの出会い、そして恋。

    そんな藤代は、
    婚約者の弥生との結婚を
    間近に控えていた…

    序盤から中盤までは
    学生だったころの藤代とハル、
    そして
    現在の藤代と婚約者・弥生の様子が、
    交互にえがかれます。

    正直、中盤までは
    「読みにくい話だな…」と思いながら、
    なんとか読み進めた感じでした。

    過去と現在が交錯するため、
    登場人物の関係性が
    アタマ中で混乱してしまうからです。

    藤代と弥生は
    結婚を控えているにも関わらず、
    2人の間には隔たりが感じられ、
    読み手は違和感で
    もやもやしてしまいます。

    そんな読み手のわたしに
    転機がおとずれたのは、
    「十一月の猿」の章でした。

    藤代とハルの過去が
    藤代と弥生の過去の話になり、
    現在に近づいていく。

    藤代と弥生、ハルの心のうちが
    だんだんと見えてくるにつれ、
    もやもやした気持ちのピースが
    カチッとはまりあっていき、

    「そういうことだったのか…」と
    ぼう然としてしまいました。


    過去は取り戻せないけれど、
    過去がなければ
    今の自分はいません。

    それぞれの歩んできた道が
    あるからこそ、
    それぞれの思う「愛」のかたちが
    できていく。

    「二月の海」で藤代が
    ハルが本当に撮りたかったものに
    気づいたとき、

    読み手のわたしのこころも、 
    そこにうずくまって
    動けなくなりました。

    236ページのシーンは、
    つかめない白い雲を
    それでも夢中で
    ぎゅっと抱きしめずには
    いられないような、

    そんな気持ちでいっぱいに
    なるシーンです。

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著者プロフィール

かわむら・げんき
1979年、横浜生まれ。
上智大学新聞学科卒業後、『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『君の名は。』などの映画を製作。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、’11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。’12年に初の小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞にノミネートされ、佐藤健主演で映画化、小野大輔主演でオーディオブック化された。2作目の小説にあたる本作品『億男』も本屋対象にノミネートされ、佐藤健、高橋一生出演で映画化、’18年10月公開予定。他の作品にアートディレクター・佐野研二郎との共著の絵本『ティニー ふうせんいぬものがたり』、イラストレーター・益子悠紀と共著の絵本『ムーム』、イラストレーター・サカモトリョウと共著の絵本『パティシエのモンスター』、対談集『仕事。』『理系に学ぶ。』『超企画会議』。最新小説は『四月になれば彼女は』。


「2018年 『億男 オーディオブック付き スペシャル・エディション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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