銀の猫

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905815

感想・レビュー・書評

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  • 朝井まかてさんの人情ものはいつだって心地好い。

    江戸で年寄りの介抱を助ける「介抱人」の仕事をしているお咲の物語。
    江戸時代に現代の介護士のような仕事があるとは知らなかった。
    江戸の町が長寿の町で、長生きする人が多かったことにも驚きだった。

    けれど江戸と平成、時代は違っても思うことは皆同じで、介抱する側もされる側も何かと大変だ。
    年寄りの症は一人一人異なる。生き方が違うように老い方もまたそれぞれ。
    若い頃から何かと苦労続きのお咲は気立ても良く気配りもできる女性で、そんな年寄り一人一人の気持ちに寄り添い、気遣いながらそっと手助けのできる素晴らしい介抱人。
    出来れば私も将来、こんな女性に介護を頼みたい。
    そしてお咲の周囲の人達の温かい繋がりにもほっとする。
    温かくて清々しくてしみじみ泣ける…そんなまかてさんらしい作品だった。

  • 時代小説で介護というのは珍しく感じ、それぞれの人の生活に引き込まれました。
    江戸時代、本当にこんな職業があったのか分かりませんが、とても興味深く読ませて頂きました。

  • すがすがしい!
    朝井まかてさんの小説の読後感はいつも
    そんな気分になってしまう。

    時代小説の設定ですが
    今も昔もありつづける
    介護の問題
    ここに書かれていることは
    そのまんま
    現代の問題でもある

    魅力的な主人公、介抱人・お咲。
    彼女を取り巻く
    魅力的な脇役たち
    スーパーマン、スーパーウーマンは
    誰一人出てこないけれども
    しみじみとした滋味があふれ出てくる

    あぁ 良かった
    そんな気分に浸りたい人に
    ぜひ!

  • 介護小説?母娘の確執小説?諸々の辛い人生のお話も、時代小説ならばそれ程辛くならずに読んでいける。ついでに江戸の風俗やしきたりのウンチクも織り込んで、読んで身につまされて知識欲も刺激されるお得な本でした。

  • 介護をする仕事が本当に江戸にあったのかは知らないが、舞台を江戸にしたことで重くなり過ぎずに済んでいるように思う。
    まかてさんお得意の江戸の人情もの、植物の話しもちょっと出てきて、まかてさん感満載。

  • 江戸時代版介護士ともいえる、“介抱人”として働く、お咲が主人公。
    気難しいお年寄りや、身勝手な身内等と真摯に向き合って仕事に励む一方で、美しい母親との確執で悩むお咲の心情が良く描かれています。
    江戸の介護事情も興味深く読めますし、爽やかな読後感が良いですね。

  • 朝井さんの本は、いつも時代小説ながら、主要人物が現代人的な考えを持つ。今回も介護についての話だが、昔の人も本当はこんなことを考えていたのかもしれないなと思う。
    とてもよく介護について考えられており、現代人にとっても「往生訓」であり、介護に携わる人への応援歌ですね。

  • いやいや予想外によかった!
    こんな切り口の時代物が出来るとは目からうろこがボロボロ落ちた。そして涙もポロポロ落とされた。星五つ です(^^;

  • 中身も知らず、時代モノだから読んでみたんだけど。
    ん~、よかった。
    しかし、時代、ですね。

  • 題名からは想像もつかない、まさかの「介護」小説だった。

    『忠孝の考えが厳しい武家では、家を継いだ当主が自身で介抱に臨むのが最良。届を出せば城での勤めを休める』
    武家がこうなら商家も当然同じ。
    跡継ぎ息子が介護している最中、嫁は亭主に代わって商売を切り盛り。

    えええ!!!
    そーだったの、江戸時代!

    家庭内で、女が、無償で(つまり嫁だったら相続権もなく)介護をするのが当たり前、と言う考えは戦後の日本からってことなのね。

    戦前の日本では、さほど裕福でない家でも女中さんを雇っていて、家庭内の介護はこの子たちがになっていた、と言う話を聞いたことがある。

    介護保険ができた頃、我が家の近辺(田舎です)では介護を他の人に委ねるのは家の恥、っていうか嫁がひどいヤツ、的な考えが横行し、制度を利用する人が少なかった。

    その頃この小説があったなら、自分を責めずに済んだ嫁がどれだけいただろう。

    内容にビックリだったが、人物の描き方が素晴らしく、さらに当時の介護指南まで書かれていて、内容の濃い一冊である。

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著者プロフィール

朝井 まかて(あさい まかて)
1959年生まれ。甲南女子大学文学部国文学科卒業後、コピーライターとして広告制作会社に勤務。独立。2006年から大阪文学学校で学び、2008年第3回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞してデビュー。受賞作は『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』と改題され、講談社文庫に収録されている。
2013年、幕末から明治を生きた歌人・中島歌子の半生を描いた『恋歌』で第3回本屋が選ぶ時代小説大賞、2014年第150回直木賞を受賞。ほか、2014年『阿蘭陀西鶴』で第31回織田作之助賞、2016年『眩』で第22回中山義秀文学賞、2017年『福袋』で第11回舟橋聖一文学賞、2018年『雲上雲下』で中央公論文芸賞、『悪玉伝』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。
他の著書に『ちゃんちゃら』『すかたん』『先生のお庭番』『ぬけまいる』がある。『眩』は2017年に宮崎あおい主演でドラマ化された。

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