殺し屋、やってます。

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 652
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905839

作品紹介・あらすじ

安心・安全のシステムで、殺し屋、やってます。コンサルティング会社を営む男、富澤允。彼には裏の仕事があった。650万円の料金で人殺しを請け負う「殺し屋」だ。依頼を受けたら引き受けられるかどうかを3日で判断。引き受けた場合、原則2週間以内に実行する。ビジネスライクに「仕事」をこなす富澤だが、標的が奇妙な行動が、どうにも気になる。なぜこの女性は、深夜に公園で水筒の中身を捨てるのか?独身のはずの男性は、なぜ紙おむつを買って帰るのか?任務遂行に支障はないが、その謎を放ってはおけない。殺し屋が解く日常の謎シリーズ、開幕です。

感想・レビュー・書評

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  • 殺し屋だなんて言葉は怖いけど装丁がかわいらしくサクサク読めました。続編もあるようなので読んでみたいと思います。

  • コンサルティング会社を経営する富澤。しかし彼は殺し屋でもあった。仕事を請けたら2週間以内に実行し、料金は650万。ビジネスとして行う彼は、殺害する理由や背景を知ることを好まないが、ついつい気になってしまうこともあり・・・
    あまりにも淡々と人を殺していくのに加え、650万というのはいくらなんでも安いだろうと。一応、上場企業の平均年収という設定なのだが、本書にもあるように近親者であれば保険金をかければおつりもきてしまう。

  • 殺し屋とその仲間が、依頼人から依頼された殺人を遂行するのだけど、殺す相手のおかしな行動を推測する。確かめる事もなく、確かめようとするわけでもなく、きちんと殺してただ推測するだけ。

    殺人が普通のビジネスに感じてしまうところが怖い。殺人の方法もリアルにかいてあるけど、妙にあっさりと感じる。
    この発想がすごい。

  • つらつらと語るような文章はとても読みやすかった。冷静沈着すぎるのに、冷えきっている人柄には感じられない。なんでだろう。感情の起伏がなく、リラックスして読めました。

  • いくつもの意味で、程よい。
    装丁がかわいくて、誰のなんて本?内容は?という前に目がいく。
    読むのに覚悟が要らなそうなイラストとサイズと素材で内容にぴったり。みたまんま。
    このかんじの本が読みたいという気分のときに読むの、合ってる。

    副業で殺し屋をやっていて、連絡係は旧友、殺し屋のことはこの旧友と恋人しか知らない。
    という、殺し屋なんて稼業のパートナーがともだちとか彼女は知ってる、という設定だけでものすごくハードボイルドな、どきどきはらはらな恐ろしいことにはならないだろう、というのもわかる。
    かといって、殺しのターゲットになるひとの事情を知り、うまいことやって実は殺さない、みたいな話でないのもいい。
    ターゲットになるひとにはそれぞれ謎行動があるんだけど、殺すのに不都合があったらいやだから、調べるけど解決したらあっさりすんなり殺すのは、殺す。

    心揺さぶられない本、読みたい。というときある。
    暗く内省的なきもちになるのも、“いいなぁ”とか羨ましくなるのも、感動するのも、今日はちょっとそういうのいいです、みたいなとき。
    わたしは毎週土日に各3時間くらい、自由時間を設けているんだけど、先週末、土曜日の自由時間にはそういう本を求めていたので、ぴったりだった。
    続編の『殺し屋、続けてます』も合わせて、ぴったり。
    ただ、『続けてます』の方では少し話が動くので(お互い特定はしていないんだけど同業者、商売敵?が登場したり)更に続編があるとして、今回読んだ2冊ほど程よいかはわからない。
    自分にとっては程よくなくなりそうな予感もするけど、話としてはおもしろくなるのかも。

  • なかなか面白かった。
    続編があれば読んでみたい。
    特に殺し屋稼業を始めたきっかけとか。

  • 副業で殺し屋をやっている男が殺害対象者の気になる行動を推理していく短編集。

    短編なので軽く読めるのは良いが、毎度同じ説明がありくどく感じた。
    あっさり人を殺していくこの主人公、なぜだかあまり魅力を感じない。殺し屋に個性は要らないのか。
    もっと、本業ありきの『副業』な感じを期待していた。

  • ビジネスライクに徹していて、プロ意識の高い主人公のキャラクターなので、殺し屋なのに不思議と共感が持てる。
    続編があれば読みたい。

  • 殺し屋をやっている男が、ターゲットを追ううちに見つける奇妙な違和感。そこからターゲットを巡る謎解きが始まる。
    ミステリーそのものより、実に石持さんらしい設定が面白い。
    人の命を奪う仕事をしているのに残酷さも生々しさもない。殺し屋が考えるのは如何に依頼人の希望に沿って、如何に完璧に、如何に足がつかないように殺しを行うか。
    そのためのシステムも面白いし、仲介者や恋人まで、殺しをビジネスとして受け止めているのも非現実的。そこが石持さんらしさか。
    唯一、『伊勢殿』側から描かれた「同伴者」がオチも含めて面白かったし、「吸血鬼が狙っている」での恋人からの「いつか自分が殺し屋に殺されるのでは?」という問いに対する答えも落語みたいで面白かった。

  • 「依頼が来たぞ」の連絡役の一言から始まる殺し屋の仕事。3日のうちに下調べをして、引き受けるかどうかを決める。引き受けたら、依頼者から入金があった時点から2週間以内に対象者を殺す。このサイクルを淡々と繰り返す殺し屋を描いた連作短編集なんだけど、対象者を監視しているうちに、いろんなことが気になってしまう殺し屋の富澤。作品は「殺す」ことが目的ではなく、その殺しの裏に隠された秘密の謎を解いていく方式になっているのが、何ともこの作家さんらしい構成。あまり読んだことのないタイプのミステリー。

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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