本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784163905938
作品紹介・あらすじ
サンフランシスコで暮らす移民三世のレイは、旅の途中にかつて日系人収容所であった博物館を訪れる。日本と世界のリアルがここに!
「カブールの園」は、友人とITベンチャー企業を立ち上げた日系アメリカ人女性の物語。ヨセミテ国立公園にひとりで訪れるはずが、青いフォードを運転するうちに、かつて祖父母が収容されていた日系人強制収容キャンプの跡地に向かって……。「日系女性三代の確執の物語、あるいは、マイノリティとしての私たちのこと」と宮内さんも語るように、日本人とアメリカのセンシティヴな状況をクールな文体で描きます。
「半地下」は、宮内さんが22歳の頃の処女作に手を入れたもので、ニューヨークの少年少女たちを描いています。「打算なしに、ただ裸で皆様の目の前に立つような作品」と宮内さんは言いますが、80年代という過ぎ去った時間への愛惜がこめられています。その瑞々しさには胸を打たれるのではないでしょうか。
2017年、三島由紀夫賞受賞作。
みんなの感想まとめ
テーマは、日系アメリカ人女性のアイデンティティや心の傷、そしてマイノリティとしての苦悩が描かれています。主人公レイは、ITベンチャーでの忙しい日常の中、強制収容所の跡地を訪れることで、過去と向き合い成...
感想・レビュー・書評
-
この人の文章には“気怠さ”が似合う。
昔“気怠さ”がオシャレの時代があった。
それは「高度成長」という狂気の幻想がもたらした副作用のように瞬く間に蔓延し、バブルとともに弾けた。
もはやブームでは無くなった“気怠さ”は、今では忙しさの合間に顔を出す。もうオシャレでもなんでもなく……。
表題作『カブールの園』にはいろいろなことが盛り込まれているだろう、が、主人公レイのこれからに“気怠さ”の次が感じられ、読後感は良かった。
問題は『半地下』
こちらの“喪失”は強烈だ。
その状態を“二つの言語を一つの脳で理解しようと試みる”ことをもって表現する。
読んだあとモヤモヤと何か考えてしまう。
でも二つとも好きだ。
好きに理由はない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
”ヨハネスブルグの天使たち” では ディストピアを描きながらもコスモポリタンな世界観を映していた宮内氏。
マルチカルチャルな土台を持つからこその作品だったと思う。
本作は、もっとストレートに1人の人間が日本と米国を内在させることの違和感を書き出している。
表題作は 日系三世の女性が、子供の頃に受けた心的外傷の治療を受けながら ITベンチャーで頑張っているのだけれども、あるとき、上司にオーバーワークを指摘されて強制的に休暇を取らされる。
その休暇の間に、戦時中の日系人収容所を訪れて、当時の人たちの選択や精神活動を知り、自分の心の傷の根っこや母親との関係を乗り越えていく。
主人公が数学が得意なアジア人で、クラスメイトからひどいいじめに遭ってたわけだが、これは宮内氏自身の経験が元なんだろうと想像してしまう。。中学くらいで数学のできる日本人がいじめられる、あまりにも典型的なパターンなので。。
それだけに、そのことを知る身としてはささるものがある。
簡単にバイリンガル・バイカルチャーと言うが、どちらかが軸である、と寄りきれない場合の難しさよ .....
半地下、はもっと過酷な設定。
不法移民の幼い姉弟が NY の低所得者層が住む地域で生きて行く。
NY に自分たちを連れてきた父はいない。
これも、父親が少しも家庭に関与しない日本人的な設定か?
幼くて右も左もわからないのに、ぽんっと言葉もわからない学校(社会)に放り込まれる心ボソさ ...
どちらも言葉数も少なめで、情景描写なども薄い。
もっと書き込んでくれたらと思うのだが、空気感だけはピンと伝わってくる。 -
中編2編
「半地下」が良かった.壮絶でありながら当たり前の学校生活の中に溶け込み,あちこちが痛いと言う感覚に包まれながら読み終わった.子供時代のヒリヒリするような友情(?)が印象的だ.父親は逃げたのか死んだのかがわからないのが気になる.そして,姉の献身ともいえる生き方が悲しかった. -
ふむ
-
読解力がなくてごめんなさい
-
-
2024.10.13
こないだ読んだ宮内悠介さんの『半地下』はアメリカのプロレス団体WWFをもとにされてそうな話で、こんなニッチな分野を文学にするのすごいし、メジャー商業誌で載るのすごい。
スワトーンボムしまくって尾骨擦り減った姉テラカワイソス。しかも受け身を取らないキャラクターなんて怖すぎる。オーエン・ハートの事故を思い出した。
#読了
#読書 -
表題作は第30回三島由紀夫史受賞作,第156回芥川賞候補作。一捻りのある設定をあっさりと進め,さも意味のあるかのような文章で締めた感じで,n=1社会学レポートに落ち着いてしまったか。せっかく発想と内容は面白いので,どうせなら長編で突っ切る方が良かったかもしれない。
-
旅先のホーチミンシティで読んだ。
自分のいる場所と本の場所、グルグル回って、
深く読めた気がした。
自分の国籍とアイデンティティと、人生の、ちょっと切ない話。
残るのは希望。 -
文学
これを読む -
幼少期の頃にいじめを受けていたトラウマを持つ日系女性が主人公の表題作と、アメリカに渡ってすぐに父親が失踪し、姉弟で必死で暮らした日本人を描いた中編の2編が収められている。
いずれもテーマは、英語圏の中、欧米文化圏の中での日本語、日本人(あるいは日系人)のアイデンティティだ。
それは明快に切って捨てられるようなものではなく、根は複雑に西洋と東洋の両側に張り巡らされ、混迷を成す。
そのあいまいさと複雑さと繊細さはやけにリアルで、抽象的なようで存在感を示していて、胸に迫ってくる。まだ自分の世界が確立されていない年頃で、唐突に異文化圏に投げ込まれたならば、自分のアイデンティティはどこに根差すのだろう?と考えさせられた。
巻末の著者略歴で、ニューヨークに在住していた経験を知り、著者自身の経験に基づく感覚なんだろうかと思う。ヒリヒリと痛むような感覚だ。
表題作の中で、レーガン大統領が戦時中に日系人を隔離収容した政策について誤りだったと演説するくだりが登場する。その言葉のひとつひとつが、現在のトランプ大統領の政策や立ち位置について矢のように刺さる。
かつてのアメリカは、かつてのアメリカが目指していたものは、今はもうないのだと感じる。
日本人作家が日本語で書いた本を読んでいるのに、どこか外国の物語を読んでいるような心地よいずれを感じた。 -
デジャヴ
回想と現実が交差
著者の背景が感じられた
-
ヤマ無しオチ無しのふわふわした感じがたまらない!
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
宮内悠介の作品
本棚登録 :
感想 :
