終りなき夜に生れつく

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 826
感想 : 110
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906096

作品紹介・あらすじ

僕たちは、同じ種族だ。永遠に終わらない夜を生きていく種族。のちに何件もの大規模テロ事件を起こし、犯罪者たちの王として君臨する男、神山。市民に紛れて生きていた彼を追う雑誌記者が見たものとは――。強力な特殊能力を持って生まれてきた少年たちは、いかにして残虐な殺人者となったのか。『夜の底は柔らかな幻』で凄絶な殺し合いを演じた男たちの過去が今、明らかになる。

感想・レビュー・書評

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  • イロが発露する、在色者。
    その在色者が多い、日本の中で事実上鎖国状態の、途鎖というクニ。

    不思議な力を持つ存在と、そのことによりヒリヒリした部分を抱える世界を描く、短編集。

    共通の世界観ですが、細切れだったり、説明不足だったり、本編がある番外編のよう。
    と感じていたら、実際に『夜の底は柔らかな幻』のスピンオフだった。

  • これは『夜の底は柔らかな幻』のスピンオフなのね。『夜の底〜』を読んでいないので、残念だ。しかし、登場人物がその後、どうなるのか気になる内容であった。特に神山が気になる。神山の人物の描き方が興味引き引き。

  • 『夜の底は柔らかな幻』のスピンオフ。

    勇司から恵弥さんが浮かぶけど、物語を彩るにはいいなぁと思う。
    みつきと勇司、勇司と葛城の若かりし頃の話はどちらも楽しく読めた。
    葛城は、山の一件で性格破綻者になったのかと思っていたけど、割と大学時点では大人しめで驚き。
    え、じゃああんな凄惨なことが出来るようになったのは、入国管理官になってからということ?

    ちなみに入国管理官の採用キャンプの話については、結局、お札取りゲームからはなんのドラマもなくてちょっと驚いた。
    いや、最後はお札を取らせないとか、先輩入国管理官に認められるとか、なんとかあるでしょう。
    というか、いきなり出てきすぎだよ、神山さん!

    というわけで、『夜の底は〜』を先に読んだほうがいいタイプのスピンオフです。
    そして、本編読んだ時点で手離さなかった人が読むといいと思います。

  • 『夜の底は柔らかな幻』のスピンオフ短篇集。
    本編は数年前に読んだが、特殊能力を持つ「在色者」、独立した「途鎖国」という設定以外はほぼ忘れている。
    最初の「砂の夜」はわりと独立した話なのでよかったが、後半になるほど主要キャラの出会いエピソードや人生の岐路などが描かれているので、やはり本編を覚えている状態の方が楽しめたと思う。再読したくなった。

  • 「夜の底は柔らかな幻」で登場したみつき、勇司、葛城を中心とした短編を集めたスピンオフもの。葛城は別として、みつきや勇司も「在色者」として苦悩があったことをこの作品で知ることになる。また葛城も本編で見せたギラギラ感はなく、何を考えているのか、よく分からない寡黙な学生時代が描かれる。本編を読んでいれば、楽しめる作品。

  • 【今明かされる、あの殺人者たちの過去】ダークファンタジー大作『夜の底は柔らかな幻』のスピンオフ短篇集。特殊能力を持つ「在色者」たちの凄絶な過去が語られる。

  • 一気読みしちゃう面白さ。このシリーズ好きです。一番最初の物語が一番好き。異国の少女と鮮やかな色と砂のざらついた感触。

  • 短編4作収録。
    『夜の底は柔らかな幻』のスピンオフ。
    たぶん『夜の底~』は未読なためメモ代わりに記す。

    ①「砂の夜」
     主人公は須藤みつき。アフガニスタンで出会った少女の形見である七宝の青い鳥の指貫をペンダントにして身に付けている。扮装地のど真ん中で活動する医師。その仲間の軍勇司はゲイで口調はオネイ。二人とも途鎖の人で在色者(特殊な能力の持ち主) この話が一番面白かった。
    ②「夜のふたつの貌」
     主人公は軍勇司。彼の大学時代の過去の話。葛城晃との出会いが描かれている。
    ③「夜間飛行」
     主人公は葛城晃。入国管理官の御手洗篤に導かれ、入国管理官の適正を試すためキャンプに赴く。そこで昔なじみの神山倖秀と再会。
    p239 あの夜を生き残ってー今の俺たちは、大丈夫なのか?
    ④「終りなき夜に生れつく」
     主人公は岩切和男。週刊誌の契約記者。神山倖秀の存在に不振を抱き尾行する。和男と神山が図書館で会話する描写が印象的。
    p287 ウィリアム・ブレイクの詩。
    「夜毎に朝毎に みじめに生れつく人あり 朝毎に夜毎に 歓びに生れつく人あり 歓びに生れつく人あり 終りなき夜に生れつく人あり」
    p288 確か、最後のフレーズは、何かの推理小説のタイトルになっていたのではなかったか。(アガサ・クリスティ)

  • 『夜の底は柔らかな幻』の続編だけど、前編の内容をかなり忘れてしまったので併せて読み直した。山を降りてきた3人とヒロインの実邦のことは覚えていたけど、他の登場人物のことはすっかり忘れていた。
    こちらで1話、2話に出てくる軍勇司がいい味出している。忘れていたけど、前編でもかなり活躍している。ナイスキャラ❗️
    それに比べて例の3人はどうもいただけない。青柳や葛城はまだ人間味があるけれど、神山は訳がわからない。何故顔の見えない男に人々が従ってしまうのか?大きな謎。

  • 「夜の底は柔らかな幻」の番外短編集
    「夜の底は〜」が好きな話やったからワクワクしながら読み始めて……おもしろいー!!
    一話、二話は本編では脇役になる軍勇司のお話(正しくは、一話はみつきと勇司の、二話は葛城と勇司の話)
    で、この二話でグッと惹きつけてからの三話葛城の入国管理官になる前の話……からのラストにやっと神山登場。
    読み終えると、葛城話がインパクト強かったけど、好きなのは一話かな。でもラストも良い。

    てか、神山の大規模なテロ事件の話はなかったんだけど、これはまたいずれ書いてもらえるのかな?読みたいー!

    とりあえず「夜の底は〜」を再読したい。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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