コンビニ人間

著者 :
  • 文藝春秋
3.61
  • (648)
  • (1511)
  • (1293)
  • (294)
  • (90)
本棚登録 : 11497
レビュー : 1738
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906188

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ‪子供の頃から周囲の常識になじめない主人公が、コンビニで働いているときだけは、「世界の正常な部品」になったと安心することができるー‬

    ‪登場人物が全く理解できないタイプであっても私達はそこに何かしらの共感や解釈を与えようとする。‬
    ‪その点で言うと仕事や職場の人間関係は、多かれ少なかれ生活や人格形成に影響を与え、社会や職場での少数派は他の価値観や評価による生きづらさを感じる事は多々ある。多数派と思われている人々の「常識的な」範囲を超えると矯正もしくは排除する雰囲気もあるのは確か。‬
    ‪個体の自由に対する不寛容さと多様性への挑戦を描くにはよいテーマ。‬
    ‪しかし個人の自由を描くにはその生活描写はグロテスクでありすぎるし、狂気じみていて、主人公にとって祈りであるはずの光の箱であるコンビニーー社会の縮図としてのーーが、一枚めくると危険な場所のように描かれているのは本意でないように感じられた。‬
    ‪周囲の声に合わせて自分を失いかけ、仕事によって再生していく生き生きしさをもっと描いてもよかったのではないか、と思う。‬

    ‪「コンビニというよりは、むしろ普通の人間の、コンビニというものを脱いだ普通の生身の人間のグロテスクさみたいな部分に、目が行くようになりました。‬
    ‪小説を書くに当たっては嫌な部分も描きたくて、嫌な人間、人間の嫌な側面も書きました。」‬
    ‪登場人物たちの噂好きなところだとか、グロテスクなところ「そういう生々しさを書くのが、小説を書いている中で喜びでもあります。」‬
    ‪と著者が言うように、グロテスクな生々しさを描くことに引っ張られて安易で、示唆のないドキュメンタリーのような印象を感じた。‬

  • 小鳥の死骸を見て→父親が好きだから持って帰って焼き鳥にしよう。
    喧嘩を止めてと言われて→スコップで二人を殴って止めよう。

    感情の欠落した合理的な思考回路から、幼少期より「異常」として扱われてきた主人公 恵子。彼女はなにがおかしいのかわからないけれど、両親や妹の悲しむ姿は見たくなくて、その「異常」を「治さなければ」と考えてきた。

    大学生になり、コンビニでのアルバイトをはじめた恵子は、 コンビニ店員としてマニュアル通りに動くことで、社会の一部として自分が「正常」に機能できていることを実感する。「治った」ように見せかけられていることに満足する恵子。しかし、 36歳を迎えてくると、今度はコンビニでアルバイトを続けていることや結婚していないことで、また周囲から「異常」として扱われだす。

    そんな中で恵子は同じコンビニに婚活目的で働き始めた男性 白羽と出会い、同じく周囲から「異常」とされる存在である彼との奇妙なやり取りがはじまるーー。


    異常と正常の対比を主題とした作品などは好んで読むのですが、多くは「異常」とされる人が自分を排除しようとする世界に抗っていたり、逆に無関心に自身をまっとうしたりというもの。

    一方で、この作品の「異常」な主人公は、抗うでも無関心でもなく、 社会適合へのプレッシャーを淡々と受け止め、周囲の「正常」な人のしゃべり方や表情を模倣して溶け込んでいるようにみせかけていきます。 「正常」側の人間に「常識」を押し付けられることには、煩わしさをかんじながらも憤ることはありません。

    そんな主人公のスタンスに自己防衛的無機質さを見ますが、そこに波紋を広げるのが白羽。途中から登場する彼の社会への好戦的な発言にエグみある対比を感じます。

    コンビニ人間として無感情に社会に溶けようとする主人公と、社会に敵対しながらも「正常」とされたいとあがく白羽、そして自分を「正常」として「異常者」を矯正しようとする周囲。このコントラストが非常に気持ち悪い。見たくないものを暴かれていく感覚でした。

    • tadtantanさん
      突然のコメント失礼致します。

      ご感想、興味深く拝読しました。正常と異常、周囲と主人公、白羽の対比に着目される読み方、共感しました。

      そこ...
      突然のコメント失礼致します。

      ご感想、興味深く拝読しました。正常と異常、周囲と主人公、白羽の対比に着目される読み方、共感しました。

      そこで、一点。mizukisekiyaさんが、コントラストについて、どのような点が「気持ち悪い」と思われたのか、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。
      2019/01/21
    • mizukisekiyaさん
      @tadtantan さんコメントありがとうございます!(返信機能ってないんですかね;コメントの使い方わかっていなかったらすみません。)
      ...
      @tadtantan さんコメントありがとうございます!(返信機能ってないんですかね;コメントの使い方わかっていなかったらすみません。)

      「気持ち悪い」というのはその後に続く「見たくないものを暴かれていく感覚」なんですよね。
      実際社会では多様性を認めることが正義とされているにも関わらず、正常と異常のレッテル貼りがあまりに無意識に悪気なくなされている。
      それがこの作品で突き付けられたなと。もちろん自分自身含めて……。

      tadtantanさんのレビューも拝読しました!まさに共感の嵐です。しかも細やかに読後の感情が言語化されていて腹落ち感ありました。
      言葉をお借りすれば、私の気持ち悪さはtadtantanさんの言う「居心地の悪さ」かな。
      2019/01/22
    • tadtantanさん
      @mizukisekiya さん

      「多様性を認める」という理想と、一様の「正常」が幅を利かせる現実の不一致。しかも、mizukisekiy...
      @mizukisekiya さん

      「多様性を認める」という理想と、一様の「正常」が幅を利かせる現実の不一致。しかも、mizukisekiyaさんの仰るレッテル貼りが「無意識に」なされてる点、確かにモヤモヤしますね。(問題が錯綜してる感じもします…)

      お忙しい中ご返信いただき有難うございました。(返信機能、見当たりませんね&私のレビューもご覧いただきありがとうございました!)
      2019/01/22
  • どうしても仕事モードで読んでしまう。
    主人公のような生きづらさを感じながら生きている人は少なくない。
    そんな人たちに対して私たちは「◯◯障害」だとかなんだとか、すぐにカテゴライズして「合理的配慮」をしようとするけれど、その人たちからこの世界がどう見えているのか少しでも解ろうとできているか。
    読み進めながら、自分の傲慢さやいい加減さに向き合わざるを得なかった。

  • ずっと気になっていてやっと読んだ。予備知識なしで読んでみたかった。おもしろくもある一方、チクチク痛い。登場人物の痛さが痛い。登場人物が感じている痛さが痛い。自分はそっち側なのではないか、という疑いを持っているから自分に引き付けて読んでしまう。叱られたくない。幸いなことに(?)、主人公は社会の価値観を全く内面化していないどころか価値観というものを殆ど持たず、痛みを感じてないように見える。欲望も持っていないように見える。欲望がなければ価値観とぶつかることもない。これも一つの自由の形かもしれない。

    凡庸な物語だったら同棲から愛が芽生えて、メデタシメデタシ、となるところだろう。だけどまったくそうならず、最終的にコンビニ人間へと還っていくところが良かった。妹が実態を目の当たりにして茫然としているところが、ちょっと好き。やってやったぞ!というか、おまえらの思い通りにはならんぞ!みたいな。コンビニ人間として再覚醒するところはカッコイイとすら思った。

    それにしても、自然な人間ってどういう人間なんだろう。自然なままで人間になることはできるのだろうか。主人公はコンビニという枠によって(コンビニ)人間になることができた。一方、主人公の周りの人は社会的価値や規範の枠によって人間になった。そう考えると、どちらも何らかの枠によって人間になったのであり、社会の異物として描かれる主人公と、周りの社会的に普通(?)の人は相似形なのかもしれない。

  • 本作が芥川賞を受賞した時から気になっていた。遠住みの姪っ子とは年に2、3回しか会えないのだが、幼い頃から癇の強い子だとは思っていた。登校拒否になりながら何とか高校を卒業。仕事に長続きしなかったが、コンビニバイトを始めて10年近く落ち着いている。店長から接客コンテストに推薦され優良成績を納めた。本採用の話を断り今もバイト勤務で続行中。
    姪っ子はコンビニに救ってもらったような気がしていた。読んで、コンビニはあらゆる人々を受け入れる場所なのかもしれないと更に思った。出来立て当時は若者の姿が多かったのに、最近は老若男女が訪れる場所となっている。
    色んな人と接する中で価値観が合致する人としない人は自ずとわかって来て、生き易い方に属していく。けれど、許容範囲の『普通』とかけ離れた物差しを持っていたらさぞ生き難いだろう。常識的で『普通』を意識せずに暮らしている人には、到底彼らが理解できるはずがないだろう。私はといえば、彼らに興味深く好奇心がそそられ観察したくなる人。

    主人公は18年間コンビニのアルバイト店員を続けている36歳の未婚女性で、就職や結婚といった「普通」の価値観を押しつけてくる世間と格闘しながらも、それに合わせようと努力しながら生活している。
    姪っ子は感情が激しく強烈な個性でぶつかって来る。同棲した時も2週間で帰って来たらしい。
    姪っ子も気ままに生きているように見えて、案外格闘しているのかもしれないなぁ。
    村田さんは『消滅世界』で夫婦間のセックスがタブー視され、人工授精で出産することがスタンダードとされるた近未来を描いている。
    肯定はしたくないが簡単に『ありえない話』だと一蹴できない。

  • 私と重なる部分がたくさんあった。
    普通って何なんでしょうか。
    大学中退。未婚。アルバイト。
    それでも毎日必死に働いて生きている事の何が悪いのでしょうか。

    読むのが辛くなる瞬間もありましたが、共感できる部分が多いからか短時間で読み終わりました。

  • マイノリティの主人公がコンビニ店員に擬態することで社会に適応してきた。しかし、加齢とともに「フリーター」「未婚」のレッテルに苦しむようになる。彼女はコンビニで働いていれば生活できるにもかかわらず。
    彼女の「幸せ」を願う周囲の期待こそが、彼女にとっては重苦しい足枷のようなものとなる。
    他人の善意からくる押し付けがましさがよく描かれているように思う。

    「普通」「常識」を考えさせられる作品だった。

  • 2016年芥川賞作品です。
    サイコパスについて書かれた作品だと感じています。
    主人公の女性はコンビニが開店準備を始めたときからのバイトを18年続けてきた店員さんで、店員としてまさにプロフェッショナル。バイトではあるけどきちんと自立しています。素晴らしいです。みんなに心配や迷惑をかけまいと人一倍努力しているし、働くことは「世界の歯車になれるようだ」とか「伝染しあいながら人間であることを保ち続けている」は、膝をうちます。
    ただ、彼女はおそらくサイコパスだと思います。名越先生の本もゲットして読んでみましたが、読めば読むほどそうです。白羽というバイトの後輩もおそらくそうで、彼は寄生型サイコパス、彼女は支配型サイコパスです。
    作品のなかで、白羽は縄文に例えていろんなことを話すのですが、サイコパス=縄文人ととらえるといろんなことが合致するので、おそらく意識しておられるのだろうと思います。努力で補えないことを強いるのは危険で酷なことだとも思うので、こういったことへの知識は必要だと思いました。サイコパスはちょっと複雑で危険です。ただ、誰にでもサイコパス的要素はあると思います。

    主人公の恵子さんは、こんまりさんの世界でいう「ときめき」のような、彼女を表す名刺になるような個性を伝えてこなかったので、人間関係が構築できなかった。同調しかなければ、友人も同僚も家族もどうしてあげればいいのか、悩んでしまうでしょう。

    日々変わっていっても違和感のないコンビニの商品の中にあってもわかる人にはわかる「無二の私」を勇気と覚悟を持ってつくり続けてほしいです。ふみこまないと繋がりは生まれない。聲の形でも旅猫日記でもそう伝えていました。コンビニ店員として変わらない「私」でありながら、日々試行錯誤しながら悩みながら変わり続ける「私」を持ってほしいと思いました。

  • 読み終わったあと、淀んだ気持ちになりました。

    18年間コンビニで働く古倉という女性が主人公。
    小さいときから「普通」じゃないと言われ、でも、それが自分では理解できない。
    唯一「コンビニ店員」でいる時はその「普通」の世界に溶け込める。
    殺人も恋愛も起こらない、淡々とした話でした。
    古倉さんは多分サイコパスなんだけど、古倉さんの周りの人もおかしな人ばっかだなぁ。
    きもちわるいなぁ。
    って思いながら読みました。
    すごい本だと思ったけどもうあんまり読みたくない。

  • コンビニ店員の古倉恵子がまわりから結婚しないのとか、就職しないのとか言われ続け、それらから解き放つために無職白羽と同棲を始める。そして、あるときコンビニをやめ、就活を始める。しかし、やはり自分はコンビニ人間であることが一番だと思い、もとにもどる。

  • 話題になった本は読まねば、ということでかなり遅れながらも読了。印象的なのは、最後のくだりで、少しヒヤッとしてしまった。自分は人間じゃなくて、コンビニ店員だと開き直るような場面で清々しさを感じられたことがヒヤッとした。
    “普通”が何か分からない、”普通”にどうしたらなれるのかという主人公の悩みは、小さい頃から周りと少しずれてると自覚していた私にとっては、とても共感できるものだった。
    題がコンビニ人間であることは何か意味があるのかと思ったので、いつか再読して考えてみたい。

  • 人と違っても、どう思われても、結局大事なのは自分が何をしたいか、何をしている時が一番夢中になれたり一生懸命になれたりするかが大事、っていうメッセージに感じた。

  • 自分もコンビニでバイト経験があるので
    うわぁ気持ちわかるわぁとも思いつつ、
    でもここまでコンビニに命かけれる人間には
    なれないなぁとも思った。コンビニに命かける人って世間的にはどうなのよってのがあくまで「世間的な」考えやけど、別に私はそれでもいいんじゃないとは思う。自由に生きればいい時代。人に迷惑もかけてないし、一応お昼時のレジを回すのも社会を回してることには変わりないし。
    フリーター独身別にええやない。
    俺は会社員として働いて結婚もして子供も欲しいけどね。
    結論、人それぞれ。他人の人生にケチつけるな。

  • ゾワっとした。
    共感できたことにゾワっとした。

  • 芥川賞受賞作です。とてもサクサクと読み進めあっというまに読了でした。今はこのような作風が時代なのかな?話的には、面白かったです。幼少の頃から、人と同じ感情を持てない主人公の古倉恵子。喜怒哀楽がどうしても理解できない。そのため、趣くままに行動を起こすと、周りから奇異な目で見られる。弾かれる。主人公は、周りに溶け込む為に、人まねをしながら生きていくすべを見つける。それが、コンビニ店員。完璧なコンビニ店員という記号でいれば、この社会から弾かれずに生きていける。私生活もすべてコンビニ基準で過ごしていけば、普通の人として暮らしていける。しかし、それも長く続けると、さまざまな壁が。なぜいつまでもバイトなのか?恋人は?結婚は?子どもは? そんな壁に主人公が取った打開策は・・・。特異な価値観は理解されず排除される。なので、仮面を被るしかない。この主人公は極端だが、誰もが弾かれるのが恐く仮面を被るのではないだろうか。ラストはこうとしか生きていけない主人公の悲しさがありましたが、本人は幸せなのだろうなと思いまたけどね

  • 2019/04/11
    自分の当たり前としているのを、本当に当たり前としていいのか考えさせられた。自分の価値観を大切にしつつ、他人の価値観を尊重できる人でありたい。いかなる状況においても。

  • 「普通」に物事を捉えられない主人公はコンビニというあらゆる物を「普通」化した環境で長年働いている。周囲との微妙なズレ、違和感、理解不能な思考に恐怖を感じる。そんな異質さにもかかわらず、いたって苦痛を感じない主人公。不幸なのは普通を信じる周囲。

  • 高校を卒業して大学生になって突然好きなことしろって言われる。社会人になる時、何がしたいかと聞かれる。

    大学生から社会人になる時の私は、コンビニを辞めた主人公に少し似てたかも。あんなに極端じゃないけど。
    やりたいことって何?私って何?って悩んでたな。

    社会人になって結婚もしてこれから子供も生まれるけど、
    自分らしく生きていきたいってやっと思えた今の自分にぴったりな本だった。

  • 【内容】
    「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて…。現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。


    【感想】
    実際に恵子みたいな人が居たら、どう思うだろうか。
    大抵の人は、世界からはみ出すことを苦に思う。
    だけど、恵子は苦に思うことは無い。
    余りにも自他共に客観的 且つ 理性的なので、
    ネットでよく感想で書かれていた、
    いわゆる発達障害という感じには見受けられなかった。
    良く言えば、「正直者」「実直・勤勉」「素直」。


    だけど、それが受け入れられない世界、私も経験がある。

    前職での職場では、
    婚姻者としてあるべき(ご飯を作る、家庭的である)を強要され、仕事を頑張れば頑張るほど孤立していった。

    「正直者」「実直・勤勉」「素直」である者ほど、
    淘汰され、転職していった。


    今の会社はいわゆる大手ではないが、
    周りは「正直者」「実直・勤勉」「素直」である。

    主人公の恵子は感じ入っていないが、
    何とも言えない気持ちにさせられるのは、
    親も妹も、友人すらも、
    そのままの恵子を認めていないことである。

    そのままの恵子を認める人は居ないのだろうか。
    それが自分だったらと思うと、切なくなってしまう。


    「...私はコンビニ人間という動物なんです。その本能を裏切ることはできません」
    なんて、強いんだろう、この人は。
    私も何を言われても、
    「自分はこうなんだ!」と言い切る強さがあったらと思う。




  • ふつうってなんなんですかね

    自分という「ふつうの人間」も、おにぎりみたいにぎゅっぎゅと、周りの環境に押しつぶされて出来た個体みたいなもんだなとおもった。

  • 主人公と自分は似てないと思いながらも、なんだか理解してしまうストーリー。
    心当たりがあるなぁと思いながら読み進める。
    長すぎない小説なので、小気味好く読了。

  • たぶん発達障害なんだろうな。
    主人公はコミュニケーションがうまくできず、子供の頃から周囲からは浮いていた。
    それが、マニュアル通りに働くことを求められるコンビニで、ようやく居場所を見つける。「コンビニの部品」になれたことに喜びを感じる。
    そんな毎日が続いていたある日、新たに採用されたコンビニ店員に「おかしい」と指摘され…。

    何が普通なのか、普通にならなければいけないのか。

    居心地の良い場所に戻ることは良いことだけれど、果たしてそれでいいのか?
    ありのままの“自分”を受け入れてもらえる場所が良いと思うのだけれど。

  • 主人公を通していままで意識してなかった社会が見えました。所々主人公の言動が悪気はないんだろうけど普通ではなくコミカルに感じつい笑ってしまいます。多分そんな自分は型にはまった人間なんだろうなと思います。この本は無駄がない凝縮されてすごく読みやすい本だと思いました。

    型にはまらないため社会に受け入れられない主人公
    社会に受け入れられるよう努力する主人公
    役割を果たすことを当たり前のように求める社会
    それに合わせる主人公
    役割があることで社会の一員として寄与できていると感じ
    安心する主人公
    最後はこれがしたいのだと気づく主人公



  • 読後にいろんな人のレビューを読むと
    人によってこんなに価値観の違いがあるんだと
    あらためて気づかされる
    その人の人となりがよくわかり 
    これが現実社会なのかと考えさせられた
    物事の捉え方は自分基準であって 
    生きづらくしているのも自分自身なのではないだろうか

  • お正月のNHKラジオ高橋源一郎平成文学論で取り上げられていました。マイノリティに括られているであろう主人公ですが、主人公が見ている普通に括られているであろう人々の方が、よほど窮屈な振る舞いを強いられて、滑稽な人々に描かれています。もはや何が普通なのか主人公も読者も考えすぎじゃないか、そのままでいいじゃないか、と思わせる終わり方でした。

  • 子どもの頃のエピソードで、黙らせるのにスコップで殴る...とか
    生き辛さ感とか、微妙に距離を置かれている、友達夫婦との会話シーンとか

    知的遅れの無い、発達障がいのグレーゾーンの香りがして、
    つい、息子の将来像も意識しながら、読みました。

    こうやって、元々の感性が違っている存在が、
    社会には共存すること、

    じわり、じわり、広がっていくと、いろんな意味で良いのかも。

    私にとっては、狂気を感じ、本当はすごく避けたいし、怖い話。

    でも、この人は、一人で社会の中で暮らせている。
    読後感も、描写も、妙に明るい。

    成功なんじゃないか。

    そう見える。

  • 文庫化されたせいか、最近あちこちで話題になっていて、どれも「(芥川賞作品だけど)面白い」と言ってます。興味を覚えて読んでみることのしました。
    確かに面白かった。でも何か釈然としないものが残ります。

    作品を読む前、友人のブログの感想から「普通-異質という軸と、善-悪という軸が有って、本来は無関係なのに何故か普通=善と言う数式が多くの人の頭の中に出来てしまう。異質な善(美術的才能)とか悪質な普通(過去の日本の女性差別)もあるのだけど。」というような事を考えてました。
    実際に読んでみると、それに加えて幸-不幸の軸もあるようで、主人公・古倉恵子は自分が異分子で有る事を認識していて、はじき出されないためにマニュアルを守ったり人の模倣をしなければならなかったりすることに不便さは感じているけれど不幸とは思っていない。一方で同じく異分子の白羽は「他者から見る自分」の意識が強いために自分が不幸だと考えている。

    著者自身がコンビニ店員として働き、徹底的にマニュアル化された働き方に安心感を得るとともに、画一化されることの違和感を感じた。その感覚を主人公を異分子化する事でさらに拡大して描いて見せた。結果として異分子を許容しない社会/人々に対する批判的な作品になったけれども、元々はそれほどの意図は無く、ちょっとダークな哄笑の文学だったという気もします。

  • こんな人間もきっと大勢いる、だけど周りがそれを認めず捻じ曲げようとする 今の世の中のマイナス部分 白羽という男性にすごいムカついた

  • 面白かった。きっとXX障害という、なんらかの病名がつくだろう主人公のひたむきさに胸を打たれた。コンビニという生きる拠り所を自らみつけて、そこで自力で頑張り、周りからどんな目で見られようが一所懸命にやって来て・・気づいたら長い年月が経っていたというのが切ない。そして、ちょっと怖くもあった。

    最後、やっぱりコンビニに戻れて良かったね、と読んでいる方もほっとしてしまった。

    妹、優しいね。家族はつらいだろうな、そしてそんな家族の気持ちが分かってしまう主人公もつらいだろうな。

  • 主人公は、社会の「常識」「スタンダード」から考えると、「異質」である。
    でも、だからと言って「普通」の価値観を押し付けてくる人たちを敵視することはなく、「自分がおかしいのだ」と諦めつつも自虐に陥ることもなく、淡々と生きている。
    社会に迷惑をかけずに、むしろコンビニ店員としての真摯で真面目な姿勢は多くの人の役に立っている。

    一方、社会は彼女を何とかして変えよう、「こちら側」にこさせようとする。
    結婚も就職もしない30代半ばの女性が結婚も就職も求めていないと分かるとドン引きするし、それが男性なら叱りつけてくる。

    この小説は、スタンダードから外れた個人の人生に干渉しまくってくる「普通な人々」をちょっとだけ醜く描くことで、社会の求める「普通」の方がおかしいんじゃないの、と思わせてくれる。
    また、それとともに、主人公や白羽の異質性もやっぱり際立っている。ちょっと怖いくらいに。

    自分はどっち側の人間だろう。
    また、家族も含めて、人の人生に干渉せずに生きることはできるだろうか。
    そんなことを考えていたらあっという間に読み終わった。
    テーマは普遍的で重いのに、文章が軽めでユーモアがある。
    特に、主人公と白羽の会話のズレが面白く、「餌」には笑わせてもらった。

全1738件中 31 - 60件を表示

著者プロフィール

村田沙耶香(むらた さやか)
1979年、千葉県印西市生まれ。二松學舍大学附属柏高等学校、玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒業。
2003年『授乳』で第46回群像新人文学賞優秀賞を受賞しデビュー作となる。2009年『ギンイロノウタ』で第22回三島由紀夫賞候補及び、第31回野間文芸新人賞受賞。2010年『星が吸う水』で第23回三島由紀夫賞候補。2012年『タダイマトビラ』で第25回三島由紀夫賞候補。2013年、しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞受賞。2014年『殺人出産』で第14回センス・オブ・ジェンダー賞少子化対策特別賞受賞。2016年『コンビニ人間』で第155回芥川龍之介賞受賞。
2018年8月末、『地球星人』を刊行。

コンビニ人間のその他の作品

コンビニ人間 Audible版 コンビニ人間 村田沙耶香
コンビニ人間 (文春文庫) 文庫 コンビニ人間 (文春文庫) 村田沙耶香
コンビニ人間 (文春文庫) Kindle版 コンビニ人間 (文春文庫) 村田沙耶香

村田沙耶香の作品

ツイートする