コンビニ人間

著者 :
  • 文藝春秋
3.62
  • (965)
  • (2178)
  • (1858)
  • (421)
  • (123)
本棚登録 : 17265
感想 : 2367
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906188

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 現代でこそ輝ける本。
    敏感な若い人が好みそうな本。
    サブカル臭くてエキセントリック。
    お洒落でダサくてエモい。

    若い人はこの作品を読んでわかった気になれるし、ご年配の方はこの作品を読んで揶揄できる。
    現代にぴったりハマっている作品だと思った。
    もしかしたらきっと、この作品を読まずして悠々とこの作品を貶す人もいるんじゃないかな。
    そういうところ全てを含めてこの作品、という感じ。

    読み口も展開もさっぱりあっさり。
    読みやすい。わかりやすい。
    だから是非読んでみてほしい。
    読んで、思い知って、ドヤ顔で語れば良いと思います。
    きっとあなたもコンビニ人間。

  • 普通でいようとすることは、心地よいのに、疲れる。最初読んでいた時は、こんな自分の人生に干渉してくる人はいるのかと思っていたが、よくよく思い返せば干渉してくる人ばかりだなーと。どうでもよすぎて忘れていた。就職して、結婚して、子供を産んで死ぬことが普通なのだとしたら、本当に人間はたいそうな事をしているなと思う。自分の思う「普通」で生きていけたらもっと生きやすい世の中なのに、この世は生きづらいなとつくづく思う。特に祖母、母親世代は、子供を産むことが人間の義務だと言っている。私と同世代の人たちは、子供を産むことについてどう思っているのだろう。働く、と言っても今は様々な働き方があるのだから、正社員が全てではないのに、とも私は思う。働いていても働いていなくても、結婚していてもしていなくても、それが自分がそうしたくて選んだ道なのだったら、干渉されたくはない。

  • 読みやすい。

  • 「ほんまにすごい小説でした」は本当でした

  • どこか自分と重なるところがあったりなかったり。
    うまく書けないけどまた読みたいと思う1冊。

  • 私も主人公の様に、世の中に、適合できない人間だと思う。自身の生活のスケジュールや考え方を決めたら、ストレスや迷いがかなり減ったので、主人公に共感できるところは結構あった。面白かった!

    影響を受けた人や周りにいる人に話し方が似るっていうのも、よくわかる。自分もそうだし、4歳の娘たちもこの前、一日、いとこ達と遊んでたら、同じ喋り方になってた。

    私はコンビニで働いたことは無いが、経験者はなお楽しめて読めると思う。

  • 36歳独身コンビニ店員の主人公。
    社会不適合者、あっち側の人間と見られないように周囲に合わせて自分を作っている。
    ぞくっとするストーリーだが、
    生き方の正解って何?
    他人を見下し、
    境界を作って相手の生き方を否定しがちな
    私たちに疑問を投げかけるような内容だった。

  • 周りにいる人につられて自分も周りと同じようにいつの間にか染まってしまっているかもしれない‥
    発言や服装や‥
    改めて周りにいる人を見る機会になりました(笑)

  • さくさくと読めました。主人公にとっての「普通じゃない」はその他の人間にとっては「普通」だし。見方を変えればその逆もあり得る。
    かなり主人公はぶっ飛んでると思ったけど、何事にも適正が大事だなと感じました。

  • コンビニでアルバイトとして18年働く恵子のお話でした。
    周りの人の話し方や服装をまねすることや、コンビニ店員という役割になりきること、挙句にヒモの白羽さんと同棲までしながら、普通を演じている恵子の姿は少し異質だなとも思いつつ、普通ってなんだろうと思わされました。
    私は自分では普通の人間だと思っていますが、実は普通に生きるように誰かのまねや周りに合わせているだけなのかもしれないと思いました。

    最後に周りが納得してくれて安心してくれるような普通を模した生き方ではなく、コンビニ店員としての自分にアイデンティティや本能を見出した恵子が少しうらやましくなりました。ラスト数ページのコンビニに入ってからの恵子のいきいきとした躍動感が面白かったです。
    私はどういう人間、どういう役割なのか考えさせられました。

  • 放っておいて貰うためには、村から抜け出すのではなく、村人になって同化するのがじつは一番手っ取り早い。
    本当に自分の本音を曝け出したら、みんな村人ではいられなくなるから、同化してマジョリティのふりをしている。
    同化しないとな。この本結構好きだわ。単純労働、ルーティンにこそ救われる気持ちもわかる。コンビニもマニュアルを、きわめて行く快感があるのではないかと。イチローのルーティンにも通ずるものが、あるよな。
    人はそれぞれみなサイコパスだし、他の人から異物と思われてこそ本当に自由に生きれると言ってるのは嫌われる勇気だけど。ほんとに本当のこと言いすぎると社会から阻害されたり抹殺されるという矛盾も含んでるんだよな、そりゃ絶望だよな。考えさせられるな。現実的問題な。
    もうちょっと己のサイコパスを出して行きたいが、嫌われたくもない。SNSで己のサイコパスを理解してくれる同士を探すしかないか。

  • 別にコンビニのバイトが1番イキイキしててちゃんと人間らしくて彼女にとっての生きる場所なのに周りの人のせいでどんどん生きづらくなってて可哀想
    一生そこで働いてたってなにも悪いことないのに

  • 自分の生き方を問われている気がした。
    人それぞれ適した環境ってあると思う。
    異物を認めないという言葉があった。周りから異物にされるのを怖がるあまり、自分を出せない人も多くいるんじゃないだろうか。少なからず、自分自身はそういう怖さがあるし、それを感じるときに生き辛さを感じる。

  • 第155回芥川龍之介賞受賞作。

    『普通』ってなんだろう、『常識』ってなんだろう。
    昨今、ダイバーシティー&インクルージョンという言葉がよく取り沙汰されていますが、本書で訴えかけている議題もまさにそれだったように思います。

    幼少期から『普通』じゃないと言われ、両親と妹を含めた周囲からどうすれば『治る』のかと気にされながら育った恵子。そんな恵子は大学在学中にコンビニのバイトを始め、卒業後も就職せずにそのままコンビニ店員として働き続けていた。
    徹底的にマニュアル化された業務を自身にトレースすることで、コンビニの店員として社会の中でのアイデンティティを確立するために。『普通』に少しでも近づくために。

    作品途中までは『異物にならないように』『排除されないように』と、恵子自身も周りと同化することで、自身を守っている様が描かれており、その様子がまさに現代社会の縮図のように感じました。

    作品終盤からは、自分自身の居場所を見つけた主人公の描写を見て、
    『適材適所』『十人十色』『みんな違ってみんないい』
    それらの言葉を連想させられるような、そんな物語だったように思います。

    どんな人にも必ず輝ける場所はある。この主人公にとってのコンビニのように。

  • 世の中いろんな人、いろんな生き方があるけど、世間の基準から外れればあれこれ言われ生きづらくなる。世の中の基準で生きてる人はたくさんいて、自分が正しいかのように振る舞う。自分自身と照らし合わせると、両方の立場の気持ちがわかるかなー。でもよほど非道なことでなければ本人が生きやすく納得してやってることなら、人がどうこう言わなくていいんじゃないかな〜と個人的には思う。

  • コンビニ人間
    村田沙耶香

    ∞----------------------∞

    この主人公に共感するところもあって、私自身が社会不適合者なんじゃないかと思う事が時々あるのでそういうことなんじゃないかなと。

    社会って意外とマニュアル化されてるなって言うのもなんか分かるし、特に最近は個人に番号が付いたり、共感力がある方が優れているような、同調しないとダメ人間のような。個性が大事と言われつつ、個性が強いとそれはそれで批判され、人と違うといちいち人と違うと言われる面倒くさい時代だと思う。

    私は社会生活は別として、会社ではマニュアルじゃないことはしたくないタイプなので、このコンビニで働いてる姿はある意味理想。毎日の流れをこうやって掴んでるの、なんか楽しそうだなと思った。

    それに18年同じとこでバイトだけの生活で何が悪いのか。生活成り立ってんならいいんじゃないのかとも思うし。私はこの女性はかなり働き者で、私よりも働く気力もあってすごいなと思うから、家族はともかく他の人は大きなお世話とただただ思う。

    女性の地元の同級生というのも、彼女のことを話のネタみたいに面白がってるようにしか見えないのに、そういう扱いをされるって分かってても彼女は「普通」でいるために会うのがイライラするんだけど、結局彼女にとったらそういうことに怒りを感じるという訳でもないし、なんだろな、余計イライラする。

    自分の周りの人の話し方に影響されるというのはすごく面白くて、実際に言語が時代でうつり変わっていくって言う意味でもそうだし、あの人のあの言い方キライだと思ってた人と一緒に仕事しててうつってしまった今があるので、すごく納得させられた。
    誰々さんの言い方で返事をするっていうの結構好き。

    白羽さんがインパクト大。彼の方が彼女にすごくズケズケと酷いこと言ってるけど、友人よりも彼に言われたことの方が意外に気にしてないというか、むしろ利用しようとしてて利害一致してるところが奇妙すぎてそこから没頭してあっという間に読めた。

    そもそも冒頭で、死んでた鳥を食べようと言ってたの、最近は狩猟の話を読んだり聞いたりする機会が多かったからか、私にも可哀想という感情は全く浮かばなかった。
    ただ喧嘩を止める時は、スコップ使わないマニュアルはあった方がいいね。

    2022/12/03 読了(図書館)

  • 読書会のため。面白かった。
    この人の最近の作品と比べると、文体がだいぶマイルドな気がする。先に行くに従って尖っていくってすごいな。

  • とても共感できない不思議な話。
    でも主人公の生き方は一貫していてブレない。
    でも色んな人や思いがこの世界には溢れていて、こんな人も居るのかも。

    多様性が謳われる今だけど、自分の普通を無意識に他人に押し付けている事が多々あるんだろうなぁ。カミングアウトして貰えると割り切って接する事はすると思うけれど、言い出せなかったり、あえてせず紛れている人が大半だと思う。気をつけよう。

  • サクッと1時間ほどで読了。
    いつもの村田沙耶香さんの本よりも全然トンデモ展開ではなかったけど、読みやすくてあっという間に読めた。
    読んだ感想としては主人公が社会を踏み外さなくて済んで良かった、の一言に尽きる。
    だって絶対コンビニ店員じゃなかったら数人人殺してる。
    これからもきっと、正しい「コンビニ店員」として生きていけるんだと思う。
    あっち側の人間だとしても。

  • なんかちょっと話題になってたような記憶があったので読んでみました。
    さくっと読めて色々考えたり議論ができそうな話で、たしかに話題になりそうですね。
    さくっと読めすぎちゃったので、もうすこしズシっとくる内容があってもよかったかも。

    さて、主人公の恵子は他人の痛みや気持ちが理解できず、良かれと思って合理的思考すぎる行動を起こし、問題児扱いされてしまいます。理解できないなりに学習して人から問題行動とみなされる言動はしないようになりますが、社会人としてはうまくいかず、18年間コンビニでバイトして生活しています。そんなバイトのマニュアルに沿ったオペレーションは肌に合っていて、バイト仲間ともそれなりにうまく行っている様子。そんななか、新人バイトの白羽と関わることで恵子のコンビニ人間としての人生が崩れ始めます、、、といった内容です。

    恵子の思考は、悪く言えば感情がない・冷徹と言えますが、白羽に嫌なことを言われたり、理不尽な考えを押し付けられても合理的なので怒ることも悲しむこともしないし、感情的にならずに的確に言い返しているので、読んでいてスカッとします。でも自分自身が満足している人生でも、他人は異物として恵子を捉えて勝手なことを言ってくるもの。恵子も努力して周りに合わせているし、コンビニのマニュアル業務でも自分の経験や知識からきちんと判断して最適解を導き出すことができる、ある意味デキる人材なのに、読んでいてかわいそうな気持ちになりました。

    恵子の日常のなかで「コンビニの声」という言葉がよく登場しました。これは何を意味しているのかな?とおもいつつ読み終えてしまいました。コンビニと関わっていない時の恵子には何の声も聞こえない、つまり社会と隔離されているような状態で、コンビニの声が唯一の社会との繋がりを意味するのかなと思いました。

全2367件中 121 - 140件を表示

著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

村田沙耶香の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×