コンビニ人間

著者 :
  • 文藝春秋
3.61
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本棚登録 : 11481
レビュー : 1737
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906188

感想・レビュー・書評

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  • 著者の作品は二作目。
    初めましてだった『しろいろの街の、その骨の体温の 』で大打撃を受けたので、
    恐る恐る読み始めたんですが、意外と読みやすかったです。

    ただ、中盤からのお風呂場で餌~押し入れになったとき、やや危険信号。
    なぜか吸い寄せられ、ページをめくってしまう感覚に、また振り回されそうになりました。

    そして、主人公はこのままでいさせてあげればいいのに。
    と思う反面、難しいんだろうな…とも。
    何が普通で、何がそうじゃないのか、とか、
    あちら側とこちら側、自分も知らず知らず区別してはいないだろうか…。とか、
    頭の中がぐるぐる。

    それでもやっぱり、彼女からコンビニを取り上げて欲しくはないかな。

  • ★3.5

    36歳未婚の古倉恵子。
    大学一年の時から始めたコンビニのバイト。
    大学卒業後も就職せずに、コンビニのバイトは18年目。
    日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニの仕事をしている。
    完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な
    「部品」にしてくれ、安らかな日々を過ごさせてくれていると思っている。
    ある日、婚活目的の新人、白羽君がやってきて…。

    芥川賞受賞作は面白くないという偏見をもっていました。
    この本は、軽快で面白くとっても読み易かったです。
    主人公の恵子はまさにとっても「変わった人」
    喜怒哀楽という感情が乏しく、他人の感情や心理理解も不得手。
    そして、目的を達成するためにとる行動が非常識に思われる。
    子供の頃から普通でない考えと、行動をする恵子。
    自分の何処が変なのかわからないものの、
    親に迷惑を掛けないため、無口を通す。
    コンビニでも細心の注意を払って言葉を紡ぎ、顔の筋肉を動かし続けている。
    とっても生き辛いだろうなぁ。苦しいだろうなぁって思った。
    しかし、甥っ子も他の赤ん坊も「赤ん坊」という種類の同じ動物にしか見えない。
    その甥っ子が泣いて、妹が慌ててあやして静かにさせようとしているのを見て、
    小さなナイフを見ながら静かにさせるだけならとても簡単なのにって、
    思っている姿はゾッとした。
    白羽くんは、最低最悪のとんでもなくクズ。
    もーーー読んでて凄く嫌で、モヤモヤした~(*T^T)
    彼に取り込まれ、世界との葛藤の中良かれと思ってした一つの選択がきっかけで、
    彼女の世界が崩れてしまう…。
    その混乱した様子が凄まじい。どうなってしまうのか凄く心配した。
    でも、彼女は逞しかった。失ってしまったものをもう一度選ぶ。
    それこそが存在する意味で、生きてゆく理由だと。
    本当に良かったです。

    普通から外れている彼女の生き辛さが随所から伝わってきた。
    100人いれば、100の個性、それぞれ一人ずつ違ってて「普通」って何だろうって思った。
    普通に生きるってどういうことかについて、考えさせられた作品でした。
    社会性がなく不器用で、他者の心理状態が読み取れない人は、
    現代社会の中で沢山いらっしゃると思います。
    一人でも多くの人がこの問題に興味を抱き、
    ムラが全ての異質を飽和できる社会になると良いんだけどなぁ…。

  • 徹底して変人を描きぬいた作品

    変人だと認識してるし普通に振舞わなければと努力するが、結局自分に合った生き方をしたほうがすごしやすいねという内容でしたね。あれ、2行で終わってしまった。この内容を一冊にした努力と才能に芥川賞をば。

  • 本作が芥川賞を受賞した時から気になっていた。遠住みの姪っ子とは年に2、3回しか会えないのだが、幼い頃から癇の強い子だとは思っていた。登校拒否になりながら何とか高校を卒業。仕事に長続きしなかったが、コンビニバイトを始めて10年近く落ち着いている。店長から接客コンテストに推薦され優良成績を納めた。本採用の話を断り今もバイト勤務で続行中。
    姪っ子はコンビニに救ってもらったような気がしていた。読んで、コンビニはあらゆる人々を受け入れる場所なのかもしれないと更に思った。出来立て当時は若者の姿が多かったのに、最近は老若男女が訪れる場所となっている。
    色んな人と接する中で価値観が合致する人としない人は自ずとわかって来て、生き易い方に属していく。けれど、許容範囲の『普通』とかけ離れた物差しを持っていたらさぞ生き難いだろう。常識的で『普通』を意識せずに暮らしている人には、到底彼らが理解できるはずがないだろう。私はといえば、彼らに興味深く好奇心がそそられ観察したくなる人。

    主人公は18年間コンビニのアルバイト店員を続けている36歳の未婚女性で、就職や結婚といった「普通」の価値観を押しつけてくる世間と格闘しながらも、それに合わせようと努力しながら生活している。
    姪っ子は感情が激しく強烈な個性でぶつかって来る。同棲した時も2週間で帰って来たらしい。
    姪っ子も気ままに生きているように見えて、案外格闘しているのかもしれないなぁ。
    村田さんは『消滅世界』で夫婦間のセックスがタブー視され、人工授精で出産することがスタンダードとされるた近未来を描いている。
    肯定はしたくないが簡単に『ありえない話』だと一蹴できない。

  • マイノリティの主人公がコンビニ店員に擬態することで社会に適応してきた。しかし、加齢とともに「フリーター」「未婚」のレッテルに苦しむようになる。彼女はコンビニで働いていれば生活できるにもかかわらず。
    彼女の「幸せ」を願う周囲の期待こそが、彼女にとっては重苦しい足枷のようなものとなる。
    他人の善意からくる押し付けがましさがよく描かれているように思う。

    「普通」「常識」を考えさせられる作品だった。

  • 人と違っても、どう思われても、結局大事なのは自分が何をしたいか、何をしている時が一番夢中になれたり一生懸命になれたりするかが大事、っていうメッセージに感じた。

  • 「普通」に物事を捉えられない主人公はコンビニというあらゆる物を「普通」化した環境で長年働いている。周囲との微妙なズレ、違和感、理解不能な思考に恐怖を感じる。そんな異質さにもかかわらず、いたって苦痛を感じない主人公。不幸なのは普通を信じる周囲。

  • たぶん発達障害なんだろうな。
    主人公はコミュニケーションがうまくできず、子供の頃から周囲からは浮いていた。
    それが、マニュアル通りに働くことを求められるコンビニで、ようやく居場所を見つける。「コンビニの部品」になれたことに喜びを感じる。
    そんな毎日が続いていたある日、新たに採用されたコンビニ店員に「おかしい」と指摘され…。

    何が普通なのか、普通にならなければいけないのか。

    居心地の良い場所に戻ることは良いことだけれど、果たしてそれでいいのか?
    ありのままの“自分”を受け入れてもらえる場所が良いと思うのだけれど。

  • 子どもの頃のエピソードで、黙らせるのにスコップで殴る...とか
    生き辛さ感とか、微妙に距離を置かれている、友達夫婦との会話シーンとか

    知的遅れの無い、発達障がいのグレーゾーンの香りがして、
    つい、息子の将来像も意識しながら、読みました。

    こうやって、元々の感性が違っている存在が、
    社会には共存すること、

    じわり、じわり、広がっていくと、いろんな意味で良いのかも。

    私にとっては、狂気を感じ、本当はすごく避けたいし、怖い話。

    でも、この人は、一人で社会の中で暮らせている。
    読後感も、描写も、妙に明るい。

    成功なんじゃないか。

    そう見える。

  • こんな人間もきっと大勢いる、だけど周りがそれを認めず捻じ曲げようとする 今の世の中のマイナス部分 白羽という男性にすごいムカついた

著者プロフィール

村田沙耶香(むらた さやか)
1979年、千葉県印西市生まれ。二松學舍大学附属柏高等学校、玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒業。
2003年『授乳』で第46回群像新人文学賞優秀賞を受賞しデビュー作となる。2009年『ギンイロノウタ』で第22回三島由紀夫賞候補及び、第31回野間文芸新人賞受賞。2010年『星が吸う水』で第23回三島由紀夫賞候補。2012年『タダイマトビラ』で第25回三島由紀夫賞候補。2013年、しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞受賞。2014年『殺人出産』で第14回センス・オブ・ジェンダー賞少子化対策特別賞受賞。2016年『コンビニ人間』で第155回芥川龍之介賞受賞。
2018年8月末、『地球星人』を刊行。

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