AI経営で会社は甦る

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906249

作品紹介・あらすじ

AI革命で「産業構造」「稼ぐ仕組み」が激変する。企業再生の第一人者による「AI時代の経営論」。【目次より】◆はじめに AI時代の経営とは 技術的にスゴいことと儲ることは違う L(ローカル)の風とS(シリアス)の風をつかめ WhatよりもWhen,How,Whoの勝負◆第1章 これがAI革命の真相だ デジタル革命が「バーチャルの世界」から「リアルの世界」へ 「稼ぐ」構造が根こそぎ変わる 産業革命の核心はAIの進化と「S(シリアス)の世界」 大自動化革命ではタブーの少ない日本に勝機あり オープンイノベーションとブラックボックス化 日本の自動車メーカーは生き残れるか◆第2章 なぜ日本企業が有利なのか ハードとソフトの融合が焦点に ハイブリッド経営システムを構築せよ モノづくり日本にチャンスあり ローカル型産業、中小企業にはもっと巨大なチャンス到来 ターゲティング型の産業政策はもはや通用しない◆第3章 日本企業がとるべき戦略 天才技術者を雇うには 一国二制度で異質なものと共存する プロ経営者の改革がうまくいかない理由 リアルキャピタルからヒューマンキャピタルへ 産学連携で人を育てる◆第4章 AI時代のリーダー像・働き方 分断される「Gの世界」と「Lの世界」 真のグローバル人材を目指すには AI時代に残る仕事、なくなる仕事◆おわりに 千載一遇のチャンスをつかめ

感想・レビュー・書評

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  • 「いつ、どの産業で、どれくらいのインパクトで何が起こるか」まで予測できないと儲けにならないし、そんなこと的中できやしないとバッサリ。そんなことより、予測可能な「いつ、どうやって、誰と」に関わるタスクをしっかり管理していこう、というのは潔くて腹落ちた。このほか「小さいこと、若いことが優位になる」「機能の標準化、モジュール化の加速」「省力化、自動化」も予測可能な方向とのこと。

  • IGPI冨山さんの著作。AI・デジタル革命において、日本企業が真に見極めるべきは何かを伝えている。

    AI革命による大波は、デジタル革命から遠かった医療介護現場や建設現場など、労働集約産業、さらには第一次産業にまで到達している。この波を梃子にして、飛躍的に生産性の高い産業に生まれ変わる現場も出てくる。
    IoTはビジネスプロセスのオープンプラットフォーム化を促す技術なので稼ぐための差別化領域にはならず、出遅れていても経営論的に致命傷にはならない。しかしながら、世の標準に乗り遅れる可能性があることを危惧しなければならない。
    デジタル革命で起きる、ほぼ確実なことと不確実なこと。ビジネスサイクルの短命化、製品サービス機能の標準化・モジュール化、スマイルカーブ現象、小さいことや若いことの優位性の向上、トップの経営力の時代。
    ネットビジネスの世界では、スイッチングコストが低く、参入障壁を作りにくいため、完全競争に近い状況になる。パクるのが容易であるゆえ、ウーバーのようなイノベーターでさえ、容易に苦戦を強いられる。
    ITスタートアップやアメリカ大手ITのリアル進出はうまくいかない見通しが立ってきている。日系メーカーのハードウェア設計では安全性、耐久性、信頼性を強く志向する一方で、IT企業は快適性や利便性を前面に押し出す。人命に関わる機器になると、IT企業では太刀打ちできない。また市場ストックはメーカーにプラスに働くため、メーカーの牙城を崩すのは容易ではない。

    ー以下、メモー
    メーカーの安全性を追求する姿勢が、IT企業の侵入を防ぐことになろうとは予想だにしなかった。本書はメーカーのコア領域とは何かを考えさせる。設計・生産の技術はもちろんのことだが、目に見えないところに差別化要因があるように思う。地域の販売サービスネットワークしかり、安全性に配慮した設計プロセスしかり。
    AIビッグデータの領域で真にカネになる技術・アイデアは希少。国内IT企業が様々AIプロジェクトを立ち上げているが、どれもうまく行っていないように映る。業務効率化の域を出ない技術が多く、夢のないコスパの悪いプロジェクトが量産されている。自社の将来像を描き、新しい顧客体験を生みださなければ生き残っていけない。

  • AIと銘打ってはいるが、本書はモノづくりについての本、とも言える。
    まずもって、数多の関連本が出版される中、AI革命=大自動化革命、とシンプルに言い切った人は私の知る限り今までいなかった。

    AIがもたらす新しい自動化を考える上で著者が提示するのは、「Sの世界」という概念。Sは「シリアス」。ネットに対するリアル、そのさらに内数として「間違いが許されない」レベルの精度が要求されるリアル領域、と私は理解した。典型例としては自動運転や介護。
    ネットの世界でGlobal giantになるには多少の不具合をものともしない推進力が必須だったが(例えばFacebook)、Sの領域ではハードとソフトとのすり合わせに最高レベルの技術が必要になる、と。これは日本企業の得意分野でもある。

    とは言え、ではソフトもハードも内製化しようというのが正しいのかというと、結局は状況次第、といういつもの話になる。この点、著者の八艘飛び的議論を勝手に咀嚼するならば、AI時代に日本企業がめざすべき(あくまで)ひとつのモデルは以下のようなものだ。
    すなわち、基礎R&Dは無理に抱え込まずにグローバルトップの大学にアウトソースし、あるいはシーズ段階では世界のトップ技術者たちを破格の条件で単発雇用し、作って売るにあたっては(まさにRealization?)M&Aも含め自社内に築き上げたピカピカのリアルアセットで臨もう、と。で、そうした柔軟な経営をするにはDNAレベルから会社を変革する必要があるね、と。

    総じて、頭のいい人が興に乗ってしゃべくり倒しているときのドライブ感が心地よい。
    「自動運転でドイツメーカーのほうが先行しているのは、フォルクスワーゲンを中心にモジュラー化の進展ペースが早いからだ。コンチネンタルもボッシュも企業規模が大きいので、投資額が半端ない」(P.84)。
    「半端ない」って(笑)。どこまでも堅苦しく書ける部分でこの調子。あえてそのままにしておく編集姿勢もナイス。

  • AIとビジネスの関わり、というところを日本や世界の動きと絡めて知ることができた。 終盤のAIと雇用に関する話は、個人的に少し甘い見通しに感じたが、グローバルに生きるか、ローカルに生きるかという観点は確かに重要と思う。

  • vol.398 AI経営で会社は甦る。産業構造と稼ぐ仕組みが根こそぎ変わる!『AI経営で会社は甦る』(冨山和彦著/文藝春秋)
    http://www.shirayu.com/letter/2017/000811.html

  • AIがホワイトカラーの仕事を奪うかもしれないが、飛脚の仕事が、鉄道や自動車にとって代わられたが、人類全体から見れば、苦手な部分を機械に任せ、むしろ発展し、仕事が増えたように、また、大きな発展の時期が来ているのだと思う。急激な変化が起きる時、取り残されそうな人達は、ブレーキをかけようとする。そういった規制はしたところで、時代の変化は押しとどめられない。この人の本をもっと読みたい。

  • AI本というよりは、日本起業のビジネスのあるべき姿を示した良書

  • 今月の課題図書。
    バーチャル・サイバーで成長したテクノロジーがリアル・フィジカルの世界へ、これを使いこなして成長するには、仕事のやり方をことごとく変えなければ!
    改めて気合と勇気を与えてくれる一冊です。

  • よくAIによって人間の仕事がなくなると言われるが産業の発展史や道具の発展史を見てみると、人間の苦手なものは、AI以前にもどんどん置き換えられてきたことがわかる。
    人間には力がないから蒸気機関が発明され、人間は走るのが遅いから鉄道や自動車ができた。
    では、それによって仕事が減ったかというと、逆に仕事は増えたのだ。
    古い仕事は確かになくなるが、それ以上に新しい仕事が生まれてきた。
    だから今は走って手紙を運ぶ飛脚の人はいないし、馬車も街中を走っていないが、その代わりに郵便局ができて、宅急便で荷物も送れるようになり、自動車産業も発展した。
    それだけではなく、人間は仕事で走ることをやめた一方、スポーツジムやランニングウエアにお金を払って走るようになった。(P.226)
    人間が苦手なことから順番に機械に置き換えられ、AIに置き換えられていく結果、最後に残るのは人間の得意なことばかり。
    つまり美し言い方をすれば、人間にとって苦痛じゃないこと、快適なことだけが仕事になるのだ。(P.227)

  • サイバー空間でほぼ完結できる典型的な「ネットビジネス」の時代は黄昏を迎えつつある。デジタル革命第3期はそんな時期に起きつつある。

    従来型のネットビジネスが稼ぐ機会が減少している中で、まだ残されている沃野があるとすれば、それはライブコンテンツのネット配信。日本で行われるライブイベントは、唯一無二の、競争障壁と言うべきタイムゾーンの優位性を持っている。日本の政治的、社会的、気候的な条件は、スポーツでも、音楽や演劇でも、世界最高レベルのライブイベントを行う上で、アジアでは圧倒的に有利。

    個別企業経営の次元におけるビジネスイノベーションの領域では、ビッグデータ解析それ自体が金になる、真の競争障壁になることはそう多くない。あくまでもリアルなビジネス展開、戦略展開の意思を持ち、そこでリアルな手段としてデータ分析を活かすスタンスがなければ金の匂いはしてこない。

    IOTで色々なデータ(ビッグデータ)が集まりやすくなり、そのデータを食べてAIが成長・進化する。進化したAIが実装されたIOTネットワークや機器が進化・普及することでさらに有用なデータが集められるようになり、これがAIの進化を促すという循環構造
    →法律の世界ではデータをIOTでリアルワールドから集めるのが難しい?それともむしろ、言葉の世界なので、文書データさえあればよい?

    リアルな世界で私たちにリアルに金を払う気にさせてくれるコア・エンジンは、AIによる「自動化」技術の大進化、すなわち今までの人類史で私たちを苦役から解放してきた道具と同じ役割を果たしてくれるAI。

    日本は欧米諸国と異なり、少子高齢化と消極的な移民政策により、サービス産業を中心とする労働集約的・地域密着的なローカル経済圏は人手不足なため、AI搭載のロボットによる自動化をどんどん進めていけばよい。

    AIやIOTを梃子に事業展開するとき、どこまでが協調領域で、どこからが競争領域なのか、ころ的確な峻別が勝ち負けの大きな鍵となる。(68P)

    これからのリアルでフィジカルなS(シリアス)の世界では、拙速でもどんどん新製品を市場投入しながら高速でPDCAを回していくという「C(カジュアル)の世界」の勝者たちの組織遺伝子は大きな劣位要因になる可能性。(95P)

    デジタル革命第3期で最も大きなメリットを受け、デメリットが少ない経済圏はL型産業の領域。ある意味、地域密着なマイルドヤンキー経済圏。(230P)

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著者プロフィール

冨山 和彦(トヤマ カズヒコ)
株式会社経営共創基盤 代表取締役CEO
1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。パナソニック社外取締役、東京電力ホールディングス社外取締役、経済同友会副代表幹事。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、内閣府総合科学技術・イノベーション会議基本計画専門調査会委員、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『会社は頭から腐る』(ダイヤモンド社)、『AI経営で会社は甦る』(文藝春秋)、『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)などがある。


「2019年 『両利きの経営』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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