- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163906249
作品紹介・あらすじ
AI革命で「産業構造」「稼ぐ仕組み」が激変する。企業再生の第一人者による「AI時代の経営論」。【目次より】◆はじめに AI時代の経営とは 技術的にスゴいことと儲ることは違う L(ローカル)の風とS(シリアス)の風をつかめ WhatよりもWhen,How,Whoの勝負◆第1章 これがAI革命の真相だ デジタル革命が「バーチャルの世界」から「リアルの世界」へ 「稼ぐ」構造が根こそぎ変わる 産業革命の核心はAIの進化と「S(シリアス)の世界」 大自動化革命ではタブーの少ない日本に勝機あり オープンイノベーションとブラックボックス化 日本の自動車メーカーは生き残れるか◆第2章 なぜ日本企業が有利なのか ハードとソフトの融合が焦点に ハイブリッド経営システムを構築せよ モノづくり日本にチャンスあり ローカル型産業、中小企業にはもっと巨大なチャンス到来 ターゲティング型の産業政策はもはや通用しない◆第3章 日本企業がとるべき戦略 天才技術者を雇うには 一国二制度で異質なものと共存する プロ経営者の改革がうまくいかない理由 リアルキャピタルからヒューマンキャピタルへ 産学連携で人を育てる◆第4章 AI時代のリーダー像・働き方 分断される「Gの世界」と「Lの世界」 真のグローバル人材を目指すには AI時代に残る仕事、なくなる仕事◆おわりに 千載一遇のチャンスをつかめ
感想・レビュー・書評
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2017年の著作を今頃読んでみましたが、4年経った今でも、この考え方は有効だと思う。
人の幸せや価値観は、人それぞれな中、一つの価値観に囚われない全体感をもち、そこから何を自ら選択していくのかという思考は腹に落ちます。
また、新たな進化の段階を迎え、これまでマイナスに作用していたカルチャーが、これからの時代には武器になりうるという着眼に勇気づけられました。 -
IGPI冨山さんの著作。AI・デジタル革命において、日本企業が真に見極めるべきは何かを伝えている。
AI革命による大波は、デジタル革命から遠かった医療介護現場や建設現場など、労働集約産業、さらには第一次産業にまで到達している。この波を梃子にして、飛躍的に生産性の高い産業に生まれ変わる現場も出てくる。
IoTはビジネスプロセスのオープンプラットフォーム化を促す技術なので稼ぐための差別化領域にはならず、出遅れていても経営論的に致命傷にはならない。しかしながら、世の標準に乗り遅れる可能性があることを危惧しなければならない。
デジタル革命で起きる、ほぼ確実なことと不確実なこと。ビジネスサイクルの短命化、製品サービス機能の標準化・モジュール化、スマイルカーブ現象、小さいことや若いことの優位性の向上、トップの経営力の時代。
ネットビジネスの世界では、スイッチングコストが低く、参入障壁を作りにくいため、完全競争に近い状況になる。パクるのが容易であるゆえ、ウーバーのようなイノベーターでさえ、容易に苦戦を強いられる。
ITスタートアップやアメリカ大手ITのリアル進出はうまくいかない見通しが立ってきている。日系メーカーのハードウェア設計では安全性、耐久性、信頼性を強く志向する一方で、IT企業は快適性や利便性を前面に押し出す。人命に関わる機器になると、IT企業では太刀打ちできない。また市場ストックはメーカーにプラスに働くため、メーカーの牙城を崩すのは容易ではない。
ー以下、メモー
メーカーの安全性を追求する姿勢が、IT企業の侵入を防ぐことになろうとは予想だにしなかった。本書はメーカーのコア領域とは何かを考えさせる。設計・生産の技術はもちろんのことだが、目に見えないところに差別化要因があるように思う。地域の販売サービスネットワークしかり、安全性に配慮した設計プロセスしかり。
AIビッグデータの領域で真にカネになる技術・アイデアは希少。国内IT企業が様々AIプロジェクトを立ち上げているが、どれもうまく行っていないように映る。業務効率化の域を出ない技術が多く、夢のないコスパの悪いプロジェクトが量産されている。自社の将来像を描き、新しい顧客体験を生みださなければ生き残っていけない。 -
読んでいて膝を打つことの多い、冨山本。伝統的な日本企業が劇的に変わるのは、外圧しかないのかな。今回もソフバンがアームをどうするのかという報道の時期に読んだ。
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AIと銘打ってはいるが、本書はモノづくりについての本、とも言える。
まずもって、数多の関連本が出版される中、AI革命=大自動化革命、とシンプルに言い切った人は私の知る限り今までいなかった。
AIがもたらす新しい自動化を考える上で著者が提示するのは、「Sの世界」という概念。Sは「シリアス」。ネットに対するリアル、そのさらに内数として「間違いが許されない」レベルの精度が要求されるリアル領域、と私は理解した。典型例としては自動運転や介護。
ネットの世界でGlobal giantになるには多少の不具合をものともしない推進力が必須だったが(例えばFacebook)、Sの領域ではハードとソフトとのすり合わせに最高レベルの技術が必要になる、と。これは日本企業の得意分野でもある。
とは言え、ではソフトもハードも内製化しようというのが正しいのかというと、結局は状況次第、といういつもの話になる。この点、著者の八艘飛び的議論を勝手に咀嚼するならば、AI時代に日本企業がめざすべき(あくまで)ひとつのモデルは以下のようなものだ。
すなわち、基礎R&Dは無理に抱え込まずにグローバルトップの大学にアウトソースし、あるいはシーズ段階では世界のトップ技術者たちを破格の条件で単発雇用し、作って売るにあたっては(まさにRealization?)M&Aも含め自社内に築き上げたピカピカのリアルアセットで臨もう、と。で、そうした柔軟な経営をするにはDNAレベルから会社を変革する必要があるね、と。
総じて、頭のいい人が興に乗ってしゃべくり倒しているときのドライブ感が心地よい。
「自動運転でドイツメーカーのほうが先行しているのは、フォルクスワーゲンを中心にモジュラー化の進展ペースが早いからだ。コンチネンタルもボッシュも企業規模が大きいので、投資額が半端ない」(P.84)。
「半端ない」って(笑)。どこまでも堅苦しく書ける部分でこの調子。あえてそのままにしておく編集姿勢もナイス。 -
AIとビジネスの関わり、というところを日本や世界の動きと絡めて知ることができた。 終盤のAIと雇用に関する話は、個人的に少し甘い見通しに感じたが、グローバルに生きるか、ローカルに生きるかという観点は確かに重要と思う。
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vol.398 AI経営で会社は甦る。産業構造と稼ぐ仕組みが根こそぎ変わる!『AI経営で会社は甦る』(冨山和彦著/文藝春秋)
http://www.shirayu.com/letter/2017/000811.html