あのころ、早稲田で

著者 :
  • 文藝春秋
3.04
  • (2)
  • (4)
  • (17)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 88
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906300

作品紹介・あらすじ

1946年生まれ。まさに戦後ベビーブーマー第一世代(団塊世代)の著者は1965年に早稲田大学第一政経学部経済学科に入学。クラスに女子はたった2人だった。高校時代から『共産党宣言』やエンゲルスの著作を読みかじり、左翼にシンパシーを感じていたため、「社研」こと社会問題研究会に入る。『されどわれらが日々--』に触発され、大学に入ったら苦悩する「真摯」な生き方を目指すはずだったのに、入学した翌年に勃発した早大闘争にも今一つのめり込めない日々--。とはいえ、1965年前後の早稲田のキャンパスは多士済々。キャンパスのベンチに座っていたら、いきなりオルグしてきた「粋な顔立ち」の革マル派トップは、のちの宝島社社長・蓮見清一。面識はないけれど、タモリも吉永小百合も、『突破者』の宮崎学も久米宏、田中真紀子、二学年下の村上春樹も同時期に早稲田にいた。同じ部室の文研(文学研究会)には、のちに直木賞作家となる高橋義夫や、呉智英こと新崎智も在籍し、すでに歴史的かなづかいで奇妙な小説を書いていたのだ。真摯な左翼を目指しながらも「運動」にはのめり込めず、60年代に花開いたサブカルチャー(「ガロ」、早稲田小劇場、ATG)、ポップカルチャー(グループサウンズ花ざかり)を享受した、懐かしくも恥多き青春を振り返る書下し作品。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著者、いつまでも50代くらいの気がしてたけど1946年生まれってことは70過ぎてるってことに驚く。
    タモリと吉永小百合(ともに早稲田)より一個下。
    学生運動まっさかりの時にまさに学生だったわけで、
    社会研究部に所属して、文学研究会と部室をシェアした関係でそこでさまざまな個性的な仲間との出会いがあり、刺激的な(私からみれば)学生生活を満喫している。
    勝手にあまり人づきあいが得意でない孤高の人というイメージがあったんだけど、いやいや男女問わずいろいろな関係性の友人がいていまでもその付き合いは続いてる様子で、
    けっこう話しやすくで親しみの持てる人なのかもしれない。(それでも知的で自分の意見をもっている人に限られると思うけど)
    ”エクボが可愛いね”と言われたように学生時代の写真をみると笑顔がかわいいものね。(プロポーズもされてた!)
    60年代の空気がその文章と写真からばんばん伝わってきて
    なんか濃密な時間だったんだろうなと思い、うらやましくもあっった。
    学生運動で命を落とした人といえば東大生の樺美智子しか知らなかったけど、京大生の山崎博昭氏、奥浩平氏など今回知った事実も多し。

    あとTV番組””アップダウンクイズ”にも出演してたことを
    恥ずかしい事として明かしていた。最初で最後のテレビ出演だったんだろう。見てみたかった~。

  • 予想を超えてかなり私的な記録である。特に著者の学生時代の失恋のエピソードが書かれているのは初めてではないか。1965年-70年の東京の大学生の文化シーンの貴重な覚書である。

  • 2020年3月3日読了

  • 「あのころ、早稲田で」ではなく「あのころ、あたしは」な私的エッセイで、早稲田学生運動の記録を期待するとがっかりする。
    有名人の名前をちりばめただけの、「学園紛争」という呼び方をする立場の人が書いた自分語り。
    【読むんじゃなかった大賞】にノミネート。

  • 20180309 中島義道さんが気に入っている作家という事で興味を持って読んでみた。大学の先輩でもあったのだとタイトルを見て知った。自分は更に20年な後輩だが雰囲気が共有できたのは80年代は60年代をリスペクトしている人が多かったからかも知れない。リレーのようだが次はゴチエーさんを読んでみようと思う。

  • 大学闘争の頃のいち大学生はどういう思いで大学に通っていたのか。村上春樹の小説から推測するより具体的なエピソードでした。

  • 正直言ってこれは期待外れ。単なる思い出話になっちゃってて、翠お姐さんらしいキレがない。残念。

  • 著者が大学生時代を過ごした60年代後半の早稲田の話

    土地勘がある所なので、興味深かった

    全学連、セクト、オルグ、赤軍派、あさま山荘事件など、本や映画でしか知らない世界が描かれている

    その真ん中というより、デモにも参加するけれど、家ではお笑いを見て大笑いしているというようなスタンスでその世界を渡ってきた著者はその時代のよくいる大学生だったのだろう。

    早稲田の町も変わったんだなあとしみじみ思った

  • 914.6

  • 【60年代というトンネルの出口は嵐だった】バリケードとデモ、アジ演説がキャンパスを占拠した、あのころ。思想とサブカルチャーの狭間で揺れ動いた60年代後半を描く回想記。

全10件中 1 - 10件を表示

中野翠の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×