ひとめぼれ まんまことシリーズ 6

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906331

作品紹介・あらすじ

お気楽者の跡取り息子、大いに気を病む。思いがけずに雪見に誘われ、同心の養子となった盟友・吉五郎の様子がおかしいことを悟った、町名主の跡取り・麻之助。吉五郎には一葉という許嫁がいるのだが、その目はほかを向いており……。いつの世も思い通りにならない、人の生死と色事。泣きたいときほど泣けない、「まんまこと」ワールド、慟哭の第六弾。札差の娘と揉めて上方へ追いやられた男。その思わぬ反撃とは。「わかれみち」盛り場で喧伝された約束が、同心一家に再び波紋を呼び起こす。「昔の約束あり」麻之助の亡き妻に似た女にもたらされた三つの縁談の相手とは。「言祝ぎ」火事現場で双子を救った麻之助は、新たな騒動に巻き込まれる。「黒煙」行方不明の男を探すため、麻之助は東海道へと旅立とうとする。「心の底」沽券が盗まれた料理屋から、一葉が消えてしまったのは何故か。「ひとめぼれ」著者プロフィール高知県生まれ、名古屋育ち。漫画家を経て、2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞しデビュー。16年に「しゃばけ」シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他の作品に『けさくしゃ』『つくもがみ、遊ぼうよ』『こころげそう』など著書多数。今作は、『まんまこと』『こいしり』『こいわすれ』『ときぐすり』『まったなし』に続く「まんまこと」シリーズ第6弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「まんまことシリーズ」
    妻と子を失った麻之助も、徐々に元気を取り戻し、この本では以前の様子に戻ってはいるようだが…
    ふとした拍子に切なく思い出してしまうのは仕方のないことだろう。

    今回は、相馬家の、吉五郎のお義父上・小十郎さんがだいぶ出張っている。
    どんな時でも冷静に、判断を誤らない、素敵な人である。

    『わかれみち』
    お由有をつけまわす男の件と、小十郎が同心見習いの教育を押し付けられた件が、意外な絡みを見せる。
    事件が無事片付き、大倉屋の番頭・四郎兵衛とお由有、八木清十郎とお安、二組の祝いの席が設けられる。

    『昔の約束あり』
    相馬小十郎のもとへ、麻之助と清十郎が訪ねて来た。
    相馬家が絡む重要な話である。
    女の勘と、女たちの活躍(途中ドタバタ)が鍵!

    『言祝ぎ』
    欲得ずくの縁談に狙われ過ぎな相馬家。
    ここでも女の知恵が事件を解決に導く。

    『黒煙』
    大火事がおさまって、新たにわき上がる問題。
    一番良く出来ているし、畠中作品らしい謎の展開だと思う。
    人を気遣うが故に隠し通す事がらや気持ち…
    最後に目出度いことたくさん。

    『心の底』
    小十郎の伯母上・お浜の頼みで、孫娘の許婚が行方不明になっている件を探ることになった麻之助。
    欲深者や放蕩者がそれ相応の没落を見る、説話的展開。
    お浜の孫娘・お雪に、麻之助はなんとなく亡き妻の面影を重ねる。

    『ひとめぼれ』
    少女の淡い恋と、顔だけ良くても幸せになれない女顔の美男。
    長男以外は虫けら扱い、のれん分けで店でも持たない限り結婚もできない奉公人…
    江戸時代のこの封建的システムが、様々な事件を呼んでいる気がする!

  • 町名主の跡取り息子、麻之助と仲間たちのところには、今日も謎が持ち込まれる。いつの間にか、仲間たちは責任のある役目についていて、それだけに身軽な麻之助が動かされる。この巻では、友人吉五郎の義父で同心の相馬小十郎が多く登場。これまであまり出てこなかった人柄がいろいろわかり面白い。まだまだ続いてほしいシリーズだ。(麻之助の将来はどうなるのかわからなくて、やきもきさせられるから。)

  • お気楽者の跡取り息子、大いに気を病む。 思いがけずに雪見に誘われ、同心の養子となった盟友・吉五郎の様子がおかしいことを悟った町名主の跡取り・麻之助。 吉五郎には一葉という許嫁がいるのだが、その目はほかを向いており……。いつの世も思い通りにならない、人の生死と色事。泣きたいときほど泣けない「まんまこと」ワールド、慟哭の第六弾。 札差の娘と揉めて上方へ追いやられた男。その思わぬ反撃とは。「わかれみち」/盛り場で喧伝された約束が、同心一家に再び波紋を呼び起こす。「昔の約束あり」/麻之助の亡き妻に似た女にもたらされた三つの縁談の相手とは。「言祝ぎ」/火事現場で双子を救った麻之助は、新たな騒動に巻き込まれる。「黒煙」/行方不明の男を探すため、麻之助は東海道へと旅立とうとする。「心の底」/沽券が盗まれた料理屋から、一葉が消えてしまったのは何故か。「ひとめぼれ」

  • 初出 2015〜16年の「オール讀物」の6話
    神田の町名主のお気楽息子と仲間たちのほんわか難題解決シーリーズ第6作。

    吉五郎の養父で定廻り同心相馬小十郎が新登場。実入りの多い同心の家に入ろうとしたり、陥れようとしたり、その影響力を借りようとしたりと、相馬家を巻き込む事件が次々起きる。
    清十郎が嫁にしたお安やお虎も事件解決に力を発揮し、話のスケールがおおきくなってきた。

    小十郎の伯母料理屋花梅屋の大女将お浜の孫で、許嫁が行方不明になったお雪が気になる。今後麻之助に関わってくるんじゃないかなという予感。

  • 今回は、小十郎さんがやけに存在感をはなってたな。そして、最終話の吉五郎の許嫁一葉との顛末はなんだか切ない。
    幼い少女の初めての恋がああだなんて、、、3人組のうち、幸せな結婚をしているのは一人だけなんて、ね。
    早く、みんなに幸せが訪れますように。
    麻之助が無謀にも小十郎に向かっていったシーンがかなりのお気に入り(笑)

  • 「わかれみち」
    吉五郎の義父の同心の同僚,山本家が跡継ぎ不在のため金と引き換えに町人の養子をもらうことになったらしい。しかし武術などの心得がないため相馬小十郎に鍛えるように依頼されたのだ。その男は高須屋の又八郎で,以前親が金を出して分家させようとした店をあっという間に潰してしまった出来の悪い男だった。武術の方も全く見込みがない有様で,周りは途方に暮れていたところ,潰してしまった店の手代だった男に,麻之助たちと一緒にいるところを襲われてしまう。しかもその男が翌日死体となって発見されたために又八郎に容疑がかかる。又八郎が殺しの下手人などということになれば,身柄を預かっていた相馬家にも累が及ぶ。果たして真犯人は見つかるのか。
    「昔の約束あり」
    吉五郎のところに貞が相談事が有るという娘・東国屋のお蝶を連れてくる。お蝶の祖父はかつて千里眼から相馬家に生まれた子供と縁組すると良いと言われたそうだ。
    とはいえ現在相馬家には吉五郎の許嫁の一葉しかいない。果たしてこの話は本当なのか。お蝶の目的は?
    「言祝ぎ」
    吉五郎の従姉妹のおこ乃に立て続けに3件の縁談が舞い込む。ちょっと不自然な状況ということで相馬小十郎から麻之助に3件の縁談相手を調べるように依頼される。
    「黒煙」
    麻之助が用事で出掛けた先で家事に出くわし,逃げ遅れた商家の兄弟を助けた。その商家,唐物屋の菊屋が高橋家に霊に来た際,なぜ店のものが誰も子どもたちを連れて逃げなかったのか理由を知りたいと相談する。一方八木家の支配町では,大店の紅屋と丸田屋が突然喧嘩を始めた。紅屋の娘おかやが丸田屋で高直な櫛を見ていた折に,先の火事が起こり,バタバタしていたところ,その櫛がなくなってしまったというのだ。丸田屋ではおかやが盗んだのだと主張している。おかやは同心との縁談があり,盗みをしたと噂になれば縁談が壊れてしまう。
    麻之助はこれらの問題を解決できるのか。
    「心の底」
    麻之助は,相馬小十郎からの頼みで,商いの旅に出たまま帰って来ない鳴海屋の丈之助の捜索の旅に出ることになった。それに丈之助の許嫁という花梅屋の大女将お浜の孫のお雪が同行したいと言い出す。最終目的地は静岡の藤枝で,そこまでの道中で買える各種の薬を土産にと色んな人に依頼される。しかし結局度は取りやめとなり...。
    「ひとめぼれ」
    お浜の孫の春四郎という男が,相馬家の一人娘,一葉の婿に立候補しているらしい。継ぐ店がないため,金で同心の身分を買うのが目的らしい。小十郎は春四郎の魂胆を見抜いていてよく思っていないようだが,一葉はどうも春四郎の見目にひとめぼれしてしまったらしい。そんなさなか,麻之助達は高級な料理屋,風花屋での雪見に招かれる。しかしそんなうまい話が有るわけもなく,風花屋で最近何者かが店の沽券を勝手に移動した件について相談を受けるのだった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    札差の娘と揉めて上方へ追いやられた男。その思わぬ反撃とは(「わかれみち」)。盛り場で喧伝された約束が、同心一家に再び波紋を呼び起こす(「昔の約束あり」)。麻之助の亡き妻に似た女にもたらされた三つの縁談の相手とは(「言祝ぎ」)。火事現場で双子を救った麻之助は、新たな騒動に巻き込まれる(「黒煙」)。行方不明の男を探すため、麻之助は東海道へと旅立とうとする(「心の底」)。沽券が盗まれた料理屋から、一葉が消えてしまったのは何故か(「ひとめぼれ」)。いつの世も思い通りにならない、人の生死と色事。泣きたいときほど泣けない、「まんまこと」ワールド、慟哭の第六弾。

    令和4年6月27日~28日

  • 小十郎様にいそいそと使われてますね~
    ちゃんとお仕事こなしているうちにまっとうになれるのかしら?
    吉五郎は複雑だろうが、成長しても家族が出来ても仲間でいられるような関係であっていてほしい。

  • 畠中さんの書くものの中で一番お気に入りのまんまことシリーズの本。今回は6編収録。
    今回もまた、やっぱり切なかったですが、麻之助本人よりも周りの人達がいろいろと切ない感じでした。
    お寿ずさんに似ている娘、おこ乃さんの嫁ぎ先を麻之助が探る「言祝ぎ」は、どうなることかと思ったけど、一応縁談話は流れたので、これでまだ二人がくっつく可能性は残った感じ。
    おゆうさんはまた、別の人に嫁ぐことになって、もう思い出の人でしかなくなって。時間が感じられる一冊でした。

  • 20191013〜1018 麻太郎達が段々と時を重ねて大人になっていくのがしみじみしちゃう。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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