2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する

制作 : 土方 奈美 
  • 文藝春秋
3.61
  • (10)
  • (36)
  • (21)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 362
レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906409

作品紹介・あらすじ

AI、自動車、バイオ、農業、医療、エネルギー、軍事、VR、拡張現実――。テクノロジー予測で全世界的な信頼を持つグローバルエリート誌が総力をあげて大胆予測!・自動運転車によって、都市の車両数は90%減少する。・人間の脳はインターネットに接続され、図書館やスーパーコンピュータと直接つながる。だが、同時にマルウエアやウイルスまで一緒に取り込んでしまう。・誰もがARグラスを使用するようになる。他言語を話す人との会話はリアルタイムで翻訳され、街からは看板や信号が撤去される。その技術はやがて眼球自体に組み込まれる。・プライバシーは、飛行機のビジネスクラスや別荘のように、富裕層だけの贅沢品になる。・すでに西側のスナイパーの狙撃距離は2475メートルを記録。今後は、空中で軌道を修正できる弾丸の開発で、照準線の向こうに隠れる敵を狙撃できるようになる。【目次】■はじめに 破壊的で大規模な技術の変化「メガテック」〈第一部 制約と可能性〉■第1章 日本のガラケーは未来を予測していた過去、現在、SFで描かれる未来。この3つが2050年を見通すための鍵になる。15年前、スマートフォンの登場を予測した人々は、日本の女子高生に注目した。■第2章 ムーアの法則の終わりの先に来るものチップの極小化によるコンピュータの高性能化(ムーアの法則)は、原子のレベルに近づき限界を迎えつつある。だが、そこからコンピュータの発展の未来が見えてくる。■第3章 第7の波、AIを制する者は誰か?メインフレーム型コンピュータの第一の波を制したのはIBM。第二の波はパソコン。その波を制したビル・ゲイツは、遥か未来のAIの登場について当時考えていた。■第4章 なぜデジタル革命では生産性向上がみられないか?経済学者のロバート・ゴードンは、産業革命と比べると、今日のデジタル革命では、生産性、労働賃金、生活水準はほとんど上がっていないと指摘したが、その盲点は?■第5章 宇宙エレベーターを生み出す方程式どんな技術が実現可能か。物理学者はその答えを導き出す方程式をすでに手に入れている。タイムマシンや光速を超える情報伝達は実現しないが、老化や疾病は克服できる。■第6章 政府が「脳」に侵入する人間の脳はインターネットに接続され、図書館、スーパーコンピュータ、宇宙望遠鏡と直結する。だが同時に、スパムやマルウエア、ウイルスも一緒に取り込んでしまう。■特別SF1 傷つく自由(アレステア・レナルズ)〈第二部 産業と生活〉■第7章 食卓に並ぶ人造ステーキ世界人口は約100億人に達するが、食糧危機は起こらない。細胞培養を通じて、多くの食品が工場で製造されるからだ。牛乳も卵も、生産に生身の動物は必要なくなる。■第8章 医療はこう変わる集中治療室での診断情報の解釈から難易度の高い外科手術まで、学習能力をもったAIが担うようになる。一方、糖尿病、癌などでは予防用ワクチンの開発が進むだろう。■第9章 太陽光と風力で全エネルギーの3割太陽電池は透明な軽量フィルムとなり、自宅の窓やカーテンはもちろん、衣服でも発電が可能になる。原発は先進国では廃炉が進み、中国、インド、ロシアのみに。■第10章 車は編まれ、住宅は印刷される3D印刷の市場規模はまだ67億ドル程度だが、2040年には1兆ドルを超える。その未来を見抜いた中国は、すでに大量生産ラインで活用。建物まで印刷している。■第11章 曲がる弾丸と戦争の未来すでに西側のスナイパーの狙撃距離は2475メートルを記録。今後は、空中で軌道を修正できる弾丸の開発で、照準線の向こうに隠れている敵を狙撃できるようになる。■第12章 ARを眼球に組み込む誰もがスマートフォンの代わりにARメガネを使いはじめる。街からは看板や信号が消え、他言語はリアルタイムで翻訳。その技術はやがて眼球自体に取り入れられる。■特別SF2 博士の救済(ナンシー・クレス)〈第三部 社会と経済〉■第13章 人工知能ができないことAIがわれわれを超える知性を持つことを心配する人は多い。しかし、アルファ碁は対局の最中に火災報知器が鳴り響いても、次の一手を探しつづけるだけだ。■第14章 プライバシーは富裕層だけの贅沢品にコンピュータはすでに医師よりも正確に乳癌の発症を予測できる。だが、その認識パターンは膨大かつ曖昧で、人間の理解を超えている。ゆえに因果関係の把握は不可能だ。■第15章 10億人の経済力が解き放たれるアフリカでは農民のほとんどが女性である。市場価格を知らない彼女たちは、業者の言い値で取引し、貧困状態にとどまっている。彼女たちを救うのはスマートフォンだ。■第16章 教育格差をこうして縮める中産階級の子供が最初の2年で親から語りかけられる言葉の数は、労働階級の子供と比べて数百万語多い。幼児教育から始まるこうした格差を、技術の力でいかに埋めるか。■第17章 働き方は創意を必要とされるようになる私たちは現在、毎日150回以上携帯電話を確認し、メッセージ等の通知に10.5秒に1回の割合で作業を中断させられている。こうした働き方はいつまで続くのか。■最終章 テクノロジーは進化を止めない「産業革命は蒸気電力の開発から始まった」。実は、これは誤解である。技術の誕生は革命の結果に過ぎず、原因ではない。今も昔も、テクノロジーに意思などないのだ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 世界一有名な経済誌と言ってもよい、英「エコノミスト」誌の著名記者などが描く2050年の未来。技術ベースで語っていて、現時点から垣間見える未来を興奮と共に想像させる一冊。
    とはいえ、それぞれの観点で条件付きとなっていることが、ただの絵空事ではない内容に仕上がっている。面白かったのは20,21世紀を通じて最大の技術的転換点はアンモニアの抽出だというくだり。結局ここから現代の技術進化ははじまっているという。

  • AI、遺伝子、医療、農業、エネルギー、VRなど20の分野に分けて、技術的な観点から2050年がどんなふうになっているかを大胆に予測した一冊。
    基本的にテクノロジーの進化に期待しつつも、テクノロジー自体には進化する意図はなく(AIにおけるシンギュラリティはないと断言)、人間が新しいテクノロジーをどう受け入れ、社会、生活に反映させることができるかがカギと説いているが、これには同感。
    遺伝子治療により医療が急速に進歩し、食糧難は避けられること。AIのサポートによって、長期的には人間の暮らしは最適化することなど、テクノロジーへの期待に満ちた予測が並ぶ中、環境破壊、温暖化については、すでに手遅れとの悲観的な見方がされている。温暖化、環境破壊、そして戦争という大きなリスクに対して、テクノロジーがどのくらいソリューションになり得るかが、2050年に向けた課題だと認識した。この先の人生後半戦、自分なりにこういったテクノロジーに少しでも関わっていければ、と少し気持ちを新たにした。

  • 最先端の現場を取材している編集者から、科学者の権威まで様々な著者が執筆していて非常に面白い。楽観的な予測が中心なのは投資を活性化させてイノベーションの好循環を理想としているからかと想像。しかし軍事面に関しては西側の自由経済民主国が優位性を持続できるか、対テロも含めて新たな局面を迎えると指摘。SFも重要な要素と認識している点も好ましい。歴史についても多くの洞察があり、蒸気機関の発明が産業革命を起こしたのは認識違いと指摘するなど、的を得ている。
    本書に出てくる著者や、紹介されている書籍を改めて読んでみたいと感じた
    世界的に自然エネルギーへの投資・開発が躍進しており、本書でも日本は原子炉の廃炉に進むと予測しているが、腐敗に毒された経済産業省によって原発推進という有り得ない事態が生じている。無能政府によってどんどん取り残されて行くのが心配
    過去のテクノロジーに対する賛否両論についても面白い、古代ギリシアでは紙に書いた文字が懸念の対象だったり、活版印刷でも同様で、ナポレオン時代の機械式電報システムでも詐欺まがいの悪用をする事例があったり・・
    AIでのシンギュラリティは起きないとの主張や、技術革新に対するフェティシズムは幻想だとの見解は、やはりそうなのか・・

  • 2050年の未来をエコノミストの記者が予測した本書
    オムニバス形式

    データなど量が多くて読み切るのが大変だった。
    1章ごとにある章末まとめを読んで気になるところをpick upして読んだほうが良さそう。


    - アジア圏(中国、インド)の台頭 (途中からの鈍化)
    - 世界の高齢化(日本筆頭)
    - 日本のプレゼンスの減少

    などが書かれていた。

    人工が減り、インパクトが弱くなっていく日本の立場について考えされられた。
    (突出した高齢化はチャンス?)

    あと、5Gなどの台頭による「どこでも」働ける社会では逆にどこで働くかが重要視される社会になる
    という逆説も面白かった。(起業家はシリコンバレー、エンジニアはインドなど特化地域に人がますます密集していく構図になるとの見方)

  • 技術の進歩、社会、格差、観念など様々な側面から、2050年がどうなっているかを推測するもの。

    基本的なスタンスとしては、訳者のコメントにもあるとおり非常に楽観的なものとなっている。特にエネルギー政策に関しては、エネルギーは潤沢になりかつ地球環境にも悪くないものである可能性がある、というもの。

    一方で、テクノロジーによる「格差」の問題にも踏み込んでいる。政策立案者に適当に届かないものであれば、現状のとおり格差を広げ続けるものになる、というもの。

    特に「教育」については重要で、労働生産性、賃金との兼ね合い、業務範囲の変化から、今後ますます重要になると思われた。加速する世界の中で、いかに取り残されず、かつ、あくせくせず。そうしたバランスを取っていくためには、やはり知恵が重要になる。

  • 特段目新しい技術や予測はない。
    そもそも予測に対して詳細なソースや数字が提示されてるわけでもなく個人の希望的観測に基づいているのでその辺の個人のブログとそんなに変わらない気がする。
    ある程度テクノロジー系に詳しい人やいろいろ情報を仕入れている人なら特に見る価値はないと思う。

  • 今後の世界を形作るうえで核となる力はなにか?
    本書はそれを見出そうとしている。
    本書は3部構成。第1部 制約と可能性、第2部 産業と生活、第3部 社会と経済。第1部では、テクノロジーの未来の大前提に関わる問題、変化、制約の要因を考察する。
    第2部では、さまざまな基幹産業にテクノロジーがもたらす変化を考察する。特に農業が重要だと著者は語る。
    第3部は、これからでてくるテクノロジーが、社会的、政策的に与える甚大な影響についての考察である。

    テクノロジーがもたらす変化に、企業や経済全体はどのように対応していくべきか? 2050年まで我々が直面する最も重大な課題の一つである。

    自動運転自動車が街を走り、人造ステーキなどによる食品の人造化により食糧難は起きず、医療は、学習機能を持ったAIが外科手術まで行う。全ゲノムから難病を診断。CTIやMRIなどの画像診断システムは分子イメージングが鍵を握る。
    エネルギーは、再生可能エネルギーが増加。太陽電池と風力で全エネルギーの3割を占める。車はBMWのように編まれ、住宅は印刷される。
    そしてAR(拡張現実)を眼球に組み込み、スマホは要らなくなる。

    働き方は創意を必要とされる。

    組織が生き残る鍵は「適応力」。
    ミドルスキルは駆逐される。短期的には、スキルセットやキャリア開発。
    優秀な人材は、正社員ではなく、フリーランスを選択する。




  • 正直実感がわかない記載ばかりであったが、今後技術をフォローするのは重要になるのではと思った。

  • 未来はすでにここにある、均等に行き渡っていないだけだという引用が印象的。技術革新は今後も積み重ねを繰り返し直線的に進んでいく。だからこそ本書のような予測が成り立つのだろうか。

  • 各専門家による未来技術予測。テクノロジーに意思はない。人間の使い方が大事。未来を予測して課題を解決するためにも、もっとSFを読もう!

全36件中 1 - 10件を表示

2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測するのその他の作品

英『エコノミスト』編集部の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ベン・ホロウィッ...
佐藤 優
クリス・アンダー...
リンダ グラット...
トマ・ピケティ
有効な右矢印 無効な右矢印

2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測するを本棚に登録しているひと

ツイートする