反戦後論

  • 文藝春秋 (2017年5月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784163906485

作品紹介・あらすじ

1978年生まれの筆者の周囲にあったのは、茫漠たる郊外ーーニュータウンだった。

その出発点から、戦後思想とはどのように映るのか?

大東亜戦争、象徴天皇、三島由紀夫、小林秀雄、福田恆存、柄谷行人、中上健次、

坂口安吾、あるいはロレンス、ピケティ・・・・。思索を深めるにつれ、あらわれて

きたのは「政治と文学」という問題だった。本書は、必ずしも「戦後批判」を志向

していない、端的に「戦後よ、さよなら」と言うものだと考えてもらいたい、と

筆者は言う。さらに、こう続ける。



いずれにしろ、私は「政治と文学」のけじめを曖昧にしながら、

いつかその両者が一致するだろうことを夢見るような「戦後」的な

言葉については何の興味もないことだけは断っておきたい。

私の描きたかったのは、人間の可能性ではなく、必然性であり、

人間の自由ではなく事実だった。 (あとがきより)



いま文芸、論壇界で注目を集める気鋭の批評家が、

戦後思想に新たな問題を提起する画期的論考!

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭で見田宗介による戦後日本を三つの時代区分に分けて認知する取り組みが紹介される。各々を現実との対義語を基に整理し、プレ高度経済成長にあたる敗戦〜1960年を「理想」の時代、高度経済成長にあたる1960〜1970前半を「夢」の時代、そしてポスト高度経済成長期である1970後半以降を「虚構」の時代と表現している。

    敗戦後、経済成長だけを頼りに奔走してきた日本人。アメリカを手本としながら技術・文化を取り入れ、個人が満足できる社会という理想が蔓延していた。しかしながら日本の歴史を完全に無視した施策が続いたことにより、郊外には「地元に縁のゆかりもない民衆の夢を詰め込んだテーマパーク」を彷彿させるニュータウンが浮かび上がってくる。そしてバブルも崩壊し経済成長も見込まれず、地の歴史に根が張られていない浮世だった虚構の街並みが現れるのである。

    戦後80年間は一括りとして語られることが多かったが、タイムスケールを短く区切って現実との対立概念として民衆は何を感じていたのかを論じることにより、当時の空気感を詳細に感じることができた。その人が青春期をどの時代に生きていたかは、相手の人格を理解する上で非常に重要なことだと実感した。歴史を把握すると、相手の思考回路の基となっている種のようなものをうっすらと掴み取ることができるのかもしれない。

    本著の中で批評家として紹介された福田恒弘、小林秀雄、柄谷行人の時代を視る視点、言葉の重みには驚かされるものがあった。今度作品を手に取ってみようと思う。

  • あくまで個人的な印象だが、およそ文芸評論と言われるものほどつまらないものはない。「」や、<>などカッコの多用と引用、本人はよくわかっているようだが、それを読む者にわかってもらおうとするディセンシーが感じられない。将来的に文芸評論なる表現を改変していかないと、文芸評論の存在そのものが消えていくのではないか。

  • 『反戦後論』
    著者:浜崎洋介 

    【書誌情報】
    定価:本体1,800円+税
    発売日:2017年05月15日
    ジャンル:ノンフィクション
    ページ数:288ページ
    判型・造本・装丁:四六判 上製 上製カバー装
    初版奥付日:2017年05月15日
    ISBN:978-4-16-390648-5
    Cコード:0095

    1978年生まれの筆者の周囲にあったのは、茫漠たる郊外ーーニュータウンだった。その出発点から、戦後思想とはどのように映るのか? 大東亜戦争、象徴天皇、三島由紀夫、小林秀雄、福田恆存、柄谷行人、中上健次、坂口安吾、あるいはロレンス、ピケティ・・・・。思索を深めるにつれ、あらわれてきたのは「政治と文学」という問題だった。本書は、必ずしも「戦後批判」を志向していない、端的に「戦後よ、さよなら」と言うものだと考えてもらいたい、と筆者は言う。さらに、こう続ける。
    “いずれにしろ、私は「政治と文学」のけじめを曖昧にしながら、いつかその両者が一致するだろうことを夢見るような「戦後」的な言葉については何の興味もないことだけは断っておきたい。私の描きたかったのは、人間の可能性ではなく、必然性であり、人間の自由ではなく事実だった。” (あとがきより)
     いま文芸、論壇界で注目を集める気鋭の批評家が、戦後思想に新たな問題を提起する画期的論考!
    http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163906485


    【簡易目次】
    目次 [001-003]

    I部―政治と文学
    郊外論/故郷論――「虚構の時代」の後に 007
    三島由紀夫の宿命――〈文学―天皇―自決〉の連関について 032
    「象徴天皇」の孤独 049
    宿命としての大東亜戦争 062
    「戦後」よ、さようなら 072

    II部―文学と政治
    中上健次と私 083
    小説の運命 086
    柄谷行人試論――〈単独者=文学〉の場所をめぐって 131
    福田恆存とシェイクスピア、その紐帯 160
    坂口安吾の「いたわり」 180

    III部―幸福について
    「落ち着き」の在処 217
    ロレンスとピケティ――交換可能なものに抗して 224
    小林秀雄の〈批評=学問〉論 236
    落語の笑い――春風亭一之輔の方へ 243

    あとがき [280-285]
    初出一覧 [286-287]

  • 【戦後思想への新たなテーゼ】「政治と文学」というテーマで、常に語られてきた戦後思想。今世紀を生きる我々に有効な思考とは? 気鋭の批評家による画期的論考!

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著者プロフィール

78年埼玉生まれ。日本大学芸術学部卒業、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻博士課程修了、博士(学術)。文芸批評家、京都大学大学院特定准教授。
著書に『福田恆存 思想の〈かたち〉 イロニー・演戯・言葉』『反戦後論』『三島由紀夫 なぜ、死んでみせねばならなかったのか』『小林秀雄の「人生」論』。共著に『西部邁最後の思索「日本人とは、そも何者ぞ」』など。
編著に福田恆存アンソロジー三部作『保守とは何か』『国家とは何か』『人間とは何か』。近著に『ぼんやりとした不安の近代日本』(ビジネス社)。

「2024年 『絶望の果ての戦後論 文学から読み解く日本精神のゆくえ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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