悪左府の女

  • 文藝春秋 (2017年6月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784163906607

みんなの感想まとめ

平安時代を舞台に、女性の視点から描かれる権力争いと人間関係が魅力的に表現されています。主人公栄子は、藤原頼長の手下として宮中での人生を歩む中で、周囲の人々との思いやりに満ちた感情が描かれ、読者に深い感...

感想・レビュー・書評

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  • 武士が政権を握る少し前、琵琶に優れた女の話。
    そんな簡単に男に惚れるのか?とも思ったけど、栄子やその周囲のお互いを思いやる感情が非常に尊かった。

  • とてもたのしく、平安時代の言葉や
    日常生活、人の生き様など知る事が出来ました。

  • 藤原頼長。平安末期の藤原氏で、保元の乱で敗死した人物。貴族から武家へと政治が移り変わる過渡期に、権力争いに奮闘し悪左府の異名をとる。この場合の「悪」は善悪でなく、行動が型破りであることから来ているそうです。破天荒が近いのかもしれない。
    その頼長の権力争いの道具として宮中で行きた栄子の人生。

    頼長は歴史の表舞台からは退場したので、その手下であった栄子も、権力争いでいうと敗北者であるのですが、執念の強さが明らかになるラストが凄まじい。
    あの場面は、どういう感情で読めばよかったのだろうか。恨みの強さなのか、一矢報いたという少しの達成感なのか、復讐の予告であるという嗜虐感なのか。
    鴨長明で登場することから、権力に取り憑かれた人々への無常感を訴えて、哀れんでいるのか皮肉ってるのか、とも思いましたが、頼長の性質を思ったときに復讐だったのか、と思いました。頼長の思いを汲んだ栄子の執念も加わって、凄まじいなと。

  • 圧巻としかいいようもない。平安時代末期ほとんど知らない時代だから読むのに時間がかかったが入り込むと時間を忘れて読み進める。女性の描写もわかりやすく、そして男性もわかりやすい。醜女と言われる女性の一生を軸に話は展開するが宮中のこと、政治、全てあらましがわかり公家から武家への転換点を直に見たかのように体験できた。
    この作者と相性がいいのだと思うが次回も時間が存分にある時に一気読みしたい。

  • 藤原氏長者・内覧である藤原頼長、朝廷の執政として辣腕をふるい、苛烈で厳しいと評判の悪左府と呼ばれていた。
    醜女と言われ、自分が婿を貰わないと春澄家が断絶するという状況下、琵琶の名手である春澄栄子は、近衛帝の咬合・多子の住む土御門殿へ出仕する。
    頼長、鳥羽院、崇徳院、信西、清盛、藤原忠実など、平安末期のオールスターキャスト。
    栄子は、おそらくフィクションであるが、政治と謡、帝と皇后、中郡ら女性達との事が、飽きさせる事なく、うまい具合に進行していくのは流石。

  • 平安時代の美人の基準的にも、醜女が本当に醜いかは分からんよな…
    まあでも一芸あるなら多少お顔があれでも、いいじゃんね…

  • 凋落しつつある藤原摂関家と台頭しつつある武士階級が、権力という蜜を得るために時には手を結び、またある時は裏切るという、魑魅魍魎が蠢く混沌とした平安末期を舞台にしたストーリーは、登場人物が敵味方二転三転するので分かりにくくなるところだが、春澄栄子という没落貴族の娘の視点を軸に置くことで、迷子にならずに読み進められた。
    栄子自身も決して軽くは無い罪を背負っているが故の、彼女の言葉や行動がとても印象的だ。

  • 折しも天皇家・摂関家共に家族間の主権争いが続く上、源平の台頭期が重なり、もう平安の世はぐっちゃぐちゃ。鳥羽院や美福門院は直接描写されず、あくまで影の大物。ゴチョゴチョ動くのは、摂関家の忠実・忠通・頼長の醜い父子、崇徳・近衛・後白河の三帝、藤原多子に信西、そして勿論、源平の皆さん。

    近衛帝と多子が存外に主体的で生き生きしてたのが印象的。特に多子には、二条の后としての人生後半がまだ残ってる。

    醜女醜女…と言われる割にモテるのは主人公故か、春澄栄子。眼病の近衛帝はともかく、後の妙音院に源頼賢とか。清盛にも一応言い寄られてるし。一応だけど。果ては近衛帝の御落胤が鴨長明…とは参ったね。

    鳥羽院って3代に亘る院政を敷いたんだから長寿かと思ってた。享年53歳なのね!濃い人生だわ〜。

  • 「悪左府の女」(伊東潤)を読んだ。
    『藤原頼長とか全然知らないし。』と思いつつ読み始めたのだが、これが面白い面白い。
    石田三成とかもそうだが、私は結構『残念な人』に感情移入する癖があって、この藤原頼長さんてかなりの残念な人感があってつい応援してしまう。『おのれ信西!』とかね。

  • 残念ながら退屈な小説、というのが正直な印象。伊藤潤作品にこんな思いをしたのは初めてじゃないかな。といっても伊藤潤の筆が鈍っているわけではなさそう。素材が好みに合わないんだと思う。

    政治家の権謀術数を描いた小説が嫌いなわけではないが、平安末期の貴族たちの争いって、どうしてこうも粘っこくて鬱陶しいのか、これが雅(みやび)というなら雅というのは腐敗臭が漂う閉塞感を現す言葉なのか?

    その中で平清盛が、本能の赴くままに行動を起こしているのが際立つ。やってることはマッチョな悪役なんだが、周りが周りだけに一番カッチョ良い。

    逆に主人公の魅力のなさと言ったら、時代の波に右往左往されて「それはやったらアカンのちゃう」ということばっかり、それも場当たり的にやってしまい、悲劇の主人公を気取る、あげく生き残る。醜女という割にモテモテ。こういうヤな女いるよなぁ~。

    オーラスの仕掛けには唸らされたが、そこに至るまでの辛抱がツラい。やっぱり、宮廷ものは苦手やわ。

  • 平安末期を女性視点から描く歴史小説。

    素材はいいと思いますが、うまく料理しきれていないと思えて残念です。
    主人公の栄子が架空の人物でありながら、本懐を遂げるために時代に翻弄されるという展開なら面白くなるはずが、本懐への覚悟がブレブレなためのめりこめませんでした。
    副主人公ともいえる頼長視点でがっつり政治闘争を描いてほしかったですが、こちらも父離れできない甘ちゃんとして描かれているためがっかりしました。
    せっかく著者の守備範囲を広げる良い機会だと思いましたが・・・、まずは短編でこの時代を描いてほしいと思いました。

  • 悪左府頼長といえばバイで有名だがホモ描写に期待して読もうとしてる人は帰ってください

  • 時は久安、12世紀の物語である。
    名にし負う醜女、春澄栄子。
    しかし当時の醜女というのは、小さな顔に二重の瞳、高い鼻、はっきりした頰の線(諸説あるようだが)。
    つまり、現代でいう美女だ。
    この栄子が政争に巻き込まれ、貴族社会から武家社会へと移り変わる時代を生きる。
    女としての悦びを教え込まれ、悪左府こと藤原頼長の手のものとして使われ、そして……。

    この時代のお約束、源姓と藤原姓ばかりだが嬉しいことに一覧、そして系図付きだ!
    ここに手を挟みつつ読むと良い。
    皇帝、上皇、武家、貴族が、力を求めて争う様は現代と似通う。
    皆が自分の利益だけを求めて生きている。

    それにしても平清盛の悪者っぷりたるや!
    気持ちの良いほど悪者だ。
    栄子の腕を掴み無理矢理にでも我がものにしようとする下りなどは許しがたいが「悪者」そのものだ。
    醜女と言われながら多くの男性に心を寄せられ、特技を持って身を立て、誰かを傷つけ思い悩む栄子の姿は少女漫画ファンにもおすすめだ。
    時代背景には取っつきにくい点もあるかもしれないが、面白い作品である。

  • 途中登場人物が多くてついていけなかったが、最後が面白かった。どこまで史実か興味深い。

  • 平安時代末期、保元の乱につながる政治的な荒波に翻弄された女性の話。
    醜女醜女と言われているが、結構色々な人に言い寄られているので、あんまりそんな感じはしない。現代だと美人と思わせる描写だし。
    言い寄られつつ流される描写に、ちょっと「とはずがたり」の二条を思い出した。
    頼長は悪人だが、打つ手打つ手がどんどん裏目に出るのが途中からかわいそうになった。以前読んだ藤原不比等の話はとんとん拍子だっただけに、始まりと終わりはこれほど運命に差があるのだなあと思った。
    最後、鴨長明って名乗っているのは謎。偽名?

  • 初出 2015〜16年「オール讀物」

    平安末期の保元の乱を舞台に、権力者の道具とされ波乱の人生を歩んだ女性の物語。

    没落寸前の下級貴族の娘春澄栄子は、近衛帝の中宮に似ているために、悪左府(左大臣藤原頼長)によって手駒にさせられ帝の子を産む役目を負わされる。
    帝の皇后に仕え、帝とは琵琶の合奏により心を通わせる。契る機会は訪れないものの皇家に伝わる「啄木」という秘曲を伝授される。

    院、摂関家の骨肉の権力争い、信西入道らの院司に加え、源氏平氏内部の主導権・所領争いという複雑な状況の中で栄子は恋をするが、近衛帝の急逝(清盛に殺された?)のあと帝の子を身籠っていることがわかる。
    帝の急逝と鳥羽院の逝去で、政局は武力による権力奪取へと向かい、悪左府が破れ、崇徳院が流され、やがて武士の時代を迎える。

    栄子は鞍馬に身を隠し、尼となって輝仁と名付けられた子を育てる。
    後年鴨長明と名乗る琵琶の名手の青年が、平清盛の前で悪心を抱く者が聞くと罰が下るという「啄木」を奏し、清盛は翌年没する。

  • 【女を使って権力を得る! ピカレスク時代長編】冷徹な頭脳ゆえ「悪左府」と呼ばれた藤原頼長が、琵琶の名手を使い暗躍する。保元の乱へと転がる時代をダイナミックに描く!

  • 面白かったー!!
    タイトル通り、悪左府=藤原頼長に関する話。
    多子に仕える女房視点なので、頼長の動向はいまいち分からない(父忠実が悪い差配だ!って言いに来るので分かるみたいな)のですが、どんどん孤立していくのが分かるしどうにもならなくなっていくのが分かります。
    平清盛はすごい怖い人になってて面白かった。信西も。
    源頼賢はあんまり知らない人だけどこういう感じだったのかなぁ?
    武力に頼ったたら武力に支配されて行ってしまうっていうのはその通りだと思うけど。

  • 前にも書きましたが伊東さんの新著「悪左府の女」を土日で読み終えました。


    平安末期は、それほど興味があった時期では ないですが

    この本を読んで俄然好きになりました。

    前に大河でやった「平清盛」ぐらいの知識しかなかったですが

    おもしろいなぁ~

    個人的に主人公とも言える〝悪左府”こと藤原頼長の行動及び系譜


    そして栄枯盛衰ぶりが何とも言えず興味深いです。


    石田三成とかに通じるものがありますが、基本的に仕事、権力、理想

    そういったものにしか興味がない。

    無趣味に近く、政治につながるようなことのみにしか気がいかない。

    ある意味不器用な男です。

    悪辣非道な部分が多いですが、何か憎めない部分がある。




    政治の腐敗、貴族の衰退、武家の台頭。

    そういった中で、とにかくまた藤原摂関家の力を取り戻そうとした中で

    身内に足をひっぱられ、下だと思っていた武士や僧侶に追い込まれていく

    その過程、結果が歴史の怖さであり、醍醐味かなと自分は感じました。



    そして伊東さんらしくただの歴史小説ではなく、最後にあっと驚くひねりがあります。

    こういう読者の想像を駆り立てる作品がやっぱり好きですね。

    歴史ってこうじゃなくっちゃ。

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著者プロフィール

1960年神奈川県横浜市生まれ。私立浅野中学、浅野高校、早稲田大学卒業。日本IBM(株)入社後、おもに外資系日本企業の事業責任者を歴任。
著書に『戦国関東血風録 北条氏照・修羅往道』(叢文社)、『悲雲山中城 戦国関東血風録外伝』(叢文社)がある。
加入団体に『八王子城とオオタカを守る会』『八王子城の謎を探る会』『ちゃんばら集団剣遊会』『三浦一族研究会』等。
趣味 中世城郭遺構めぐり 全国合戦祭り参加 ボディビル エアーギター アマチュア・ウインドサーファーとしてソウル五輪国内予選に参加(8位) 「湘南百年祭記念選手権」優勝等各種レース入賞多数
*ご意見、ご感想等の連絡は下記のメールアドレスへ
jito54@hotmail.com

「2006年 『虚けの舞 織田信雄と北条氏規』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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