生涯投資家

著者 :
  • 文藝春秋
4.13
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本棚登録 : 630
レビュー : 95
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906652

作品紹介・あらすじ

「お金儲けは悪いことですか?」 2006年6月、ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引を行った容疑で逮捕され、のちに執行猶予つき有罪判決を受けた村上ファンドの村上世彰氏。逮捕間際に言ったその言葉が注目された。以後、表舞台から姿を消したが近年株式取引の世界に復帰。その動向が注目されている。 本書は、その村上氏の最初にして最後の著書であり、半生記であり、投資理念の解説書でもある。灘高―東大法―通産省を歩んだエリートがなぜ投資の世界に飛び込み、いったい何を試みたのか。ニッポン放送、阪神鉄道、東京スタイルなどへの投資において、いったい何があったのか。その投資哲学、日本企業、日本の経営者たちへの見方はどうなのか。そして今後何をしようとしているのか。 村上ファンドを率いて日本に旋風を巻き起こした著者が、その実像と思いを自ら書き上げた話題作。(目次)はじめに――なぜ私は投資家になったか第1章 何のための上場か上場のメリットとデメリット/官僚として見た上場企業の姿/コーポレート・ガバナンスの研究/ファンドの立ち上げへ――オリックス宮内義彦社長との出会い/日本初の敵対的TOBを仕掛ける/シビアな海外の投資家たち第2章 投資家と経営者とコーポレート・ガバナンス私は経営者に向かなかった/私の投資術――基本は「期待値」、IRR、リスク査定/投資家と経営者との分離/優れた経営者とは/コーポレート・ガバナンス――投資家が経営者を監督する仕組み/累積投票制度を導入せよ――東芝の大きな過ち第3章 東京スタイルでプロキシーファイトに挑む東京スタイルへの投資の始まり/十五分で終わった社長との面談/激怒した伊藤雅俊イトーヨーカドー会長/決戦の株主総会/なぜ株主代表訴訟を起こしたか/長い戦いの終わり第4章 ニッポン放送とフジテレビフジサンケイグループのいびつな構造/ニッポン放送株式についてくる「フジテレビ株式」/グループ各社の幹部たちの思惑/本格的にニッポン放送への投資に乗り出す/生かされなかった私たちの提案/私が見たライブドア対フジテレビ/逮捕第5章 阪神鉄道大再編計画西武鉄道改革の夢――堤義明氏との対話/そして阪神鉄道へ/会社の将来を考えない役員たち/阪神タイガース上場プラン――星野仙一氏発言の衝撃/またしても夢は潰えた第6章 IT企業への投資――ベンチャーの経営者たちITバブルとその崩壊/光通信とクレイフィッシュ/USEN、サイバーエージェント、GMO/楽天――三木谷浩史氏の積極的なM&A/ライブドア――既得権益に猛然と挑んだ堀江貴文氏第7章 日本の問題点――投資家の視点からガバナンスの変遷――官主導から金融機関、そして投資家へ/日本の株式市場が陥った悪循環/投資家と企業がWin‐Winの関係になるには/海外企業の事例――Appleとマイクロソフト第8章 日本への提言株式会社日本/コーポレート・ガバナンスの浸透に向けて/モデルケースとしての日本郵政/もう一つの課題――非営利団体への資金循環/世界一の借金大国からの脱却第9章 失意からの十年NPO/東日本大震災について/日本における不動産投資/介護事業/飲食業/アジアにおける不動産事業/失敗した投資の事例――中国のマイクロファイナンス、ギリシャ国債/フィンテックへの投資おわりに

感想・レビュー・書評

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  • 本編を読む前に巻末の著者略歴をみて欲しい。そこにあるのは3行だけのシンプルな経歴だ。成果も栄光も語られていない。村上世彰氏が本書を刊行した理由は言い訳でも正当化でもなく未だ為らぬ日本へのコーポレート・ガバナンスの定着であった点に説得力を感じる。

    私自身は村上氏に対して悪い印象を持っていないが、「ハゲタカファンド」のイメージがつきまとい本人も不本意であったろう。しかし魅力なき者をオリックス宮内氏や西武G堤氏、ISSモンクス氏など超大物たちが可愛がり支援するはずもなかろうから、やはり村上氏は相当魅力的な人物であったことが窺える。

    村上氏は父親が投資家で、自身も小学3年生の時分から投資に慣れ親しんだという恐ろしい経歴の持ち主だが、「期待値」という表現で彼の天才的投資センスが随所に見受けられる。一方で経営センスに乏しい点は自身も認めるところだが、重要判断について語るとき著名人の名をスケープゴートにしたり、株主提案が投資先企業の本業強化とGoing Concernに貢献しているのかというと疑問があったりと、彼自身の狡猾さも感じられるので、その点は割り引いて評価する必要はある。

    彼の行動は賛否両論あろうが、東京スタイルやニッポン放送、ユーシンなど株主統治の意識が低い経営陣らに一石を投じた意味合いは大きい。数々の派手な事件の裏で彼が何を思っていたか、彼が目指していたものは何だったのか、なかなか興味深く面白い本であった。

  • きわめてまっとうな事が書いてある本。読み終わって感じたのは、村上さんって自分の正義(というか価値観)に則って動いている人なんだな、という事。日本の株式市場の考え方は歪んでいるなぁ、というのは改めて感じるし、上場する必要が無い会社はMBOすべきだし、IRRは15%を望むというのも、資金を循環させる事で資本市場を活性化させるという観点からは、なるほどな、と思う。
    村上さんは、慈善活動もやってるし、日本の将来についてもしっかり考えているし、こういう人が逮捕されずにもうちょっと活躍してくれれば、もう少し違った日本が見えていたのかな、と思ったりもした。
    日本の上場企業にコーポレートガバナンスが根付いてくれると、幸せな人が増えて良いな、と個人的にも感じた。まずは、自分が出来ることを着実にやっていきたいな、とそんな事を考えた。この本は本当にオススメ。

  • 一時「村上ファンド」で名を馳せた著者の、自身の投資に対する考えと、日本への提言を記した本。
    東京スタイル事件、ニッポン放送、ライブドア事件の真相もつづられている。
    当時は官僚出身で萩本欽一激似のハゲタカファンドの人、というマイナスイメージしか持っていなかったが、本書を読んで、著者の投資に対する考え方に深く共感、イメージが真逆のプラスに変わった。
    1980年代初頭では、日本とアメリカの上場企業時価総額は、ほぼ同じくらいだったのに、現在では3倍以上の差がついてしまっていることに驚愕。
    著者はその差を埋めるための提言を企業にむけて、また、一般人に対しても投資を行うよう、提言している。
    著者のような投資家が日本でもっと増えれば、経済はもとより、社会も良くなると確信した。
    あと、本書を執筆するに至った事情を書いたあとがきを先に読んでから、冒頭に戻って読み始めた方が本書の深みが増すようにも感じた。

  • コーポレートガバナンスに対する純粋な思いに驚いた。また、著名経営者が実名で登場し、ノンフィクションとしても読みごたえがある。
    IT投資についての距離感も投資家ならではで、経営者とまったく違う視点。

  • 今年株式投資を初めたので、投資に勝つ本ばかり読んでました。

    本のタイトルから株式投資のハウツー本ではない気がしましたが、
    あの村上ファンドの村上氏の本なので読むことに。
    内容は、村上氏の人生とコーポレート・ガバナンスの重要性を謳うものでした。

    恥ずかしながら初めてコーポレートガバナンスの言葉と意味を知り、村上氏のイメージも変わりました。

    この本読み終えて投資の考え方が変わり、視野も広がったので、投資初心者から一歩前進した気がします。

  • 図書館で借りた本。村上ファンドで一時期世間を騒がせた村上世彰さんの自伝。投資にまつわる話が中心。本人の信念と情熱、裏付けされたデータ、筋を通す事を信条に投資をやっている。本人も自分は短気なので言葉の行き違いでの誤解や印象が悪くなった部分も否めないと言ってるが、私はマスコミの印象操作も大きなマイナスになったと思う。今ならツイッターやFBや動画や対談で意思表示できる手段が多いのに当時はテレビだけ、インタビューも都合よく編集されただろうし。本の中でこうしたら良いと言ってるのは、企業の内部資金を巡回させるのは日本経済にとって有意義な事。日銀のマイナス金利やアベノミクスで何とか経済回そうとしてるのは分かる。なぜコーポレート・ガバナンスにこだわるのか?は徹底して説明している。後は国の借金問題、高齢化・出生率減、不動産投資、NPOやNGOなどの解決策案。村上さんが投資を通じてやろうとしてたコーポレート・ガバナンスが今頃、15年後に具現化してくるとはなぁ。東日本大震災で炊き出しに来てた村上さん。本の収益も日本の投資の教育・啓蒙活動に使うそうだ。どんどん人材を育てて欲しい。

  • 1990年代、著者率いる村上ファンドの悪名は有名だった。株式を大量に買い取り、経営陣に難題をふっかけて混乱を巻き起こし、その果実をむしり取っていた。と、誰もがそう思っていた。インサイダーでの逮捕もやっぱりね、という印象。

    が、世界標準の投資や株式、経営視点を知り、本書を読んでみると、当時の著者の行動、発言は投資家として当然だったことに気づく。当時の日本は「投資」をあまりにうさんくさいと、考えすぎていた。

    企業が上場することは誰もがその株式を購入できることであり、経営に誰もが介入できることだ。その覚悟がなければ上場するな、投資家である著者が言いたいことはこれに尽きる。

    そんな覚悟のない経営者が運営する企業は淘汰されてもやむを得ない。そうした企業の代表が本書で登場し、村上ファンドの標的となった、東京スタイル、阪神タイガース、ニッポン放送などなど。彼らは大株主である著者のコーポレート・ガバナンスにもとづいた要求を無視し、対立した。が、こうした企業は生き残り、著者は逮捕された。これが日本投資社会の限界なのだろう。

  • 志高く優秀な人が世の中への表現のされ方次第でこうもつらい目にあわなければならなくなるものなのか。読んでて本当に悲しくなった。

    メディアに本当に嫌気がさす。
    村上さんはとっくにいろいろなことについて諦めてしまってはいるだろうけど、その最高峰の能力・志を少しでも多くの人に伝えて、そういう人材を日本に増やすような活動をしていただきたいと、私は願います。

  • 評判が良かったので購読。当時のあのフレーズで悪役になってしまったが、本書内の氏の言わんとすることには、自分が現在投資しているからなのかストンと納得できた。
    多少の綺麗事はあるにしろ氏の主張に時代が追いついてきたと思うし、逮捕されたのもある意味、時代の生贄的な面があったと感じた。
    ガバナンスを通じての資金流動化により経済を活性化させることは大事だし、同時に個人の金融リテラシーの有無がこの先大きな差として現れることが改めて確信できた。

  • 胡散臭さが満載の村上氏、最後の最後まで胡散臭さは残った。優良投資家達が彼を批判するというのがよくわかった。

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