風と共にゆとりぬ

著者 :
  • 文藝春秋
4.26
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本棚登録 : 2214
感想 : 237
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906683

作品紹介・あらすじ

ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR 2015 1位!(エッセイノンフィクション部門)『時をかけるゆとり』に続く、待望の第二弾。「別冊文藝春秋」「日本経済新聞 プロムナード」掲載分に大量の書き下ろしを加え、計500枚の大ボリュームでおくる傑作エッセイ集!・レンタル彼氏との騙し合い対決・担当税理士の結婚式にて炸裂させた渾身の余興・初めてのホームステイにてマル秘パンデミック勃発・ファッションセンス完全外注の経緯・特別収録!痔瘻の発症、手術、入院――著者の肛門にまつわるすべてをしたためた100枚超の手記「肛門記」……読んで得るもの特にナシ!! 立派な感想文なんて書けっこない、ひたすら楽しいだけの読書体験をあなたに。

感想・レビュー・書評

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  • 朝井リョウさんのおもしろエッセイ集第2弾。

    第一部は「日常」と名付けられた、主に大学卒業後のおばかエピソードで綴られる、まさに”少し長め、かつ、メッセージ性皆無のくだらないエピソードばかりで編まれたエッセイ集”。
    第二部は日経新聞に掲載されていたコラム風の「プロムナード」。
    第三部が持病との闘い「肛門記」。

    前作を読んでいたときから若干触れられていたけれど、朝井さんてガチの兼業作家さんだったんですね。
    知れば知るほど興味深いです。

    空想や妄想を膨らませたり、奇妙な世の中の事象に突っ込みを入れたりする穂村さんや岸本さんのエッセイとは一味違い、現実に体験した出来事をおもしろおかしく抜群の語彙で飾り付けるタイプのエッセイ。
    おそらく少々盛ってはいるのだろうけれど、面白いので全然あり。
    また、やはり時に見せる真剣な洞察がぐっときて、そのギャップにやられる。

    ・人から聞いて面白い話というのは、「日常や世間の常識から少しズレた体験をした話」なのだと思う。そして、自分が主人公の「日常や世間の常識から少しズレた体験をした話」を自分で語るということには、「私はここがズレているんですよ」というポイントを自覚していることになってしまう。その時点で、面白さは半減する。
    ・小説家という職業に就いておきながら、この世に一生到達できない言語が存在するのが辛いのだと思う(男子バレーボールの石川祐希と柳田将洋のスーパープレー後に交わされた言葉無き頷き合いを見て)
    ・好きなものが多い人はそれだけで、語るべき言葉をたくさん持ち合わせているような気がする。

    ほんとだよなぁと思う。

    また、今作は朝井さんのバレーボール愛が随所に伺える。
    初めはおふざけかと思っていたけど、多分本当に好き。
    自分も中学校時代はバレーボールに打ち込んでいたので、またそこで親近感。

  • 複数の読友さんが面白かった!と絶賛する本。小説は自分に嵌らないのだが(『水曜日の南階段はきれい』最後の恋 MEN’Sは大好き)、このエッセイはとても面白かった。途中で出てくる、さくらももこさんのエッセイ、朝井さんが影響を受けたということが随所に分かる。このエッセイではコミカルな内容が続くが、眼科医との戦い、結婚式での本気の余興、偽弟役、バレーボール大会などお腹を抱えて笑った。自分も生活の中で色々バカをやっているが、相手や自分を観察し、コミカルに伝えるのが難しい。朝井さんの文章の「間=ま」に好感を持った。④

  • 朝井さんのエッセイ集第2弾。
    今回もしっかり笑わせてもらった。
    朝井さんの日常も面白いけれど、やはり今回の見処は『肛門記』でしょう。
    かつて読者から「もっと真剣に生きて下さい」と感想が届いたことがあるらしいけれど、こんなに真剣に肛門に取り組んでいるのに!!
    なんてこと!!
    自らの肛門に「ど肛門ガエル」と可愛い名前を付け、そっと寄り添って(痛すぎるから…)生活する様は涙(笑い過ぎて)なくしては読めまい。
    私は幸運にも肛門付近の手術は未体験だけれど、今回の手術・術後の経過・入院生活は出産に似ている気がした。
    共に下半身だし…。

    退院後も通院を余儀なくされている朝井さんの「ど肛門ガエル」が、再びグレないよう祈るばかりである。
    そして踊りとバレーが好きな朝井さん、バレー仲間の方が朝井さんの本をいつか読んでくれるといいですね。

  • 「学生時代にやらなくてもいい20のこと」の読了の勢いそのままに、ゆとりシリーズ第二弾「時をかけるゆとり」を読んでみた。
    前作の学生時代から少し時は進み、兼業作家として過ごしていた社会人時代で起きた出来事を中心にエピソードが綴られている。
    前作にも増しておもしろさはパワーアップ。こちらも前作同様、笑うことなく本を読み終えることは難しいため、公共の場での読書はおすすめしないことを先に伝えておきたい。
    著者のファッションセンスにまつわる話、ビーチバレーでの出来事、社会人生活での出来事等々のエピソードも十分に面白かったが、最終章「肛門記」ですべて持っていかれたような気がする。それ程までにおもしろかった。ここまで赤裸々にありのままに肛門と向き合った話など聞いたことがない。こういった出来事を引き当てる、引き込むことができるのも才能なのだろうか。もちろんこれも著者の痛快な語り口あってのおもしろさなわけだが、前回同様最高に楽しませていただいた。
    この勢いで第三段「時をかけるゆとり」を早速読み始めてみることにする。

  • ブクログの「トップ」タブをクリックすると、「あなたへの新刊情報」が見られるのはご存知だろうか。
    その新刊情報欄に「そして誰もゆとらなくなった」(朝井リョウ・著)が表示されたのは、8月のことだった(多分)。

    あの爆笑エッセイ「時をかけるゆとり」(既読)の続刊かな??とおもい、紹介を読んでいくと…「そして誰もゆとらなくなった」はまさかまさかのゆとりエッセイ3作目だった…!

    「え、エッセイ2作目が、この間に、ある、の…?」

    というわけで慌てて手に取ったのが本書、ゆとりエッセイ2作目の「風と共にゆとりぬ」である。

    冒頭の「眼科医とのその後」は、前著「時をかけるゆとり」から続く眼科医との攻防(?)の話だった。
    がしかし、著者も指摘しているように、前作の眼科医との話があまりにもくだらなくておもしろい話だったため、きれいさっぱり忘れてしまっていた。
    なので読み始めて早々に「風と共にゆとりぬ」を閉じ、「時をかけるゆとり」を開いたのであった。
    そしてどちらの眼科医の話もくだらなくておもしろくて、読み終わってほぼ話は忘れたのに、そこには「おもしろかった」という感触だけが残されていた。
    恐るべし、朝井リョウ…さん…

    中でも爆笑してしまったのが、本書の最後に収録されている「肛門記・前中後編」である。
    いわゆる肛門付近にできてしまったアイツを手術で退治する話なのだが、そこに至るまでの過程がなんとも愉快な肛門記として綴られており、もうなすすべもなくただただ爆笑するしかなかった。
    この話は題材が肛門付近だからおもしろいのではない。
    これは、朝井リョウさんが書く「肛門記」だから、おもしろい、のだ。

    肛門付近に悩まされている方もそうでない方も、医療職の方もそうでない方も、ぜひこの「肛門記」を読んでおもしろさの中に身を委ねてみてほしい。

  • 「マーガレット・ミッチェルに捧ぐ」という献辞から始まるエッセイ集。
    読後、まず頭に浮かんだのは「朝井リョウは本当にこの本捧げていいんかいっ!」という心からのツッコミでした。
    1冊丸々読者を笑わせにかかっているのですが、著者の思惑どおり、涙がにじむくらい笑かされました。

    3部構成で、第一部は日常のエッセイ。
    こんなギャグマンガみたいな日常…すてきすぎ。
    特に応援している俳優への手土産を選ぶエピソードは、笑いすぎて悶えてしまいました。
    日本経済新聞の「プロムナード」の連載を集めた第二部は、掲載媒体を考慮して少し控えめなのですが、ここでためたものを一気に爆発させるかのような第三部がすごい。
    タイトルからして『肛門記』だもの。
    入院・手術も伴う症状の治療は大変だったと思うのですが、もう全部笑いに変えてやる…という著者の思いが迸っています。
    今後の朝井さんの人生において、バーベルを持ち上げる機会が訪れないことを祈っておりますw

    以前読んだ『学生時代にやらなくてもいい20のこと』(文藝春秋)もめちゃめちゃ笑った記憶があるので、未読の『時をかけるゆとり』にも期待大。
    とにかく細かいこと考えずに笑い倒したいときに読もうと思います。

  • あまりにも自分をさらけ出す朝井リョウ、好きです。

    肛門記は、この症状に悩む人必須本ですね。病院に置いて欲しいくらい。いやもう置いてあるかも。

    第一部、第三部が面白過ぎたので、ちょっと真面目な第二部は寝かかってしまった。ごめんなさい。

    ネガティブっぽいけど、心の中はテンション高めな朝井さん。これからも応援します!

  • とにかく楽しかった。
    何も考えさせられない、何も学ばない。読書ってこんなに楽しくて良いんだなあと思えた。

    ふざけたタイトルと素敵過ぎる装丁、そして朝井リョウの名前を書店で見たときに、この人なら何かやってくれるなと思い購入した。なにが今野にマネー・バックだコノヤロウとか、痔にだけは気をつけようとか、人生にそこまで役立たない知識を吸収できて楽しかった。

    「人生には必要なことと不要なことがあって、大人になると必要なことにしか目が向かなくなる。それだけで生きていけるから。でも大人になったからこそ不要なことをしてみる。新しく新鮮なことが受動的に受け取れた子供の頃と違って、能動的じゃなきゃ新しい体験なんてできないけど、そうしなきゃ窮屈な自分になってしまう。広がりのない自分になってしまう」
    という感じのかっこいい文章も書いてあった。まだ私は子供なんだなと感じた文章だった。

    帯通りの本。大満足。是非ともオススメしたい一冊。

  • WBCの決勝、8回表にダルビッシュが!なんて今日がたまたま休日だったんで優雅に興奮しています。あ!ホームラン打たれた!こんな実況してたらレビューがおろそかになっていまう!集中集中!

    はい、「そして誰もゆとらなくなった」から遡ってのこちら。前作でも感じたが、朝井リョウくんがどんどん好きになっていく。もう肛門記なんて自分ならカミングアウトしないだろう恥辱。その他のお話もどれも面白いんだな。あの小説を書く人と同一人物とは思えない。

    やった!ダルビッシュなんとか抑えた!もう最終回!頑張れ侍ジャパン!頑張れリョウくん!このエッセイは面白ので。本人談「ためにならない」と書いてあるけど、読むとほぐれます。

  • 朝井リョウ2作目のエッセイ。
    前回の『時をかけるゆとり』が面白かったので今回も期待して読んだ。文庫になるのを本当は待っていたのだが気になりすぎてハードカバーで買ってしまった。この感想を著者に見られればしめしめと思われるだろう。
    帯に「電車の中で読めない本No.1」「1冊で100回笑える、腹筋崩壊エッセイ」と書いてあったのでとてもハードルを高くして読んだが、前回から変わらずこの人の世の中の見方はとてもおもしろかった。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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