- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163906737
感想・レビュー・書評
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世界的に有名でも日本国内では無名だという人は多い。本書で語られている藤田哲也
も、その一人であろう。Mr.トルネードの異名をもつ気象学者であるが、藤田博士の
最大の功績は、マイクロバーストと呼ばれる極小地域で発生する急激な下降気流の解
明である。その解明に原子爆弾の被害調査が役立ったというのは悲しい話だが、マイ
クロバーストを解明する過程は、まさに科学者とはこういう人をいうのだというお手
本である。研究者の端くれとして襟を正しながら、そして航空機の利用者として感謝
をささげながら一気に読み終えた。
世界的に有名でも日本国内では無名だという人は多い。本書で語られている藤田哲也
も、その一人であろう。Mr.トルネードの異名をもつ気象学者であるが、藤田博士の
最大の功績は、マイクロバーストと呼ばれる極小地域で発生する急激な下降気流の解
明である。その解明に原子爆弾の被害調査が役立ったというのは悲しい話だが、マイ
クロバーストを解明する過程は、まさに科学者とはこういう人をいうのだというお手
本である。研究者の端くれとして襟を正しながら、そして航空機の利用者として感謝
をささげながら一気に読み終えた。
(教員 推薦)
(特集:「先生と先輩のすすめる本」)
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https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00541736詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
藤田スケール。この有名な指標はどんな人が作ったのか?人となりがよくわかる本になっている。世界で活躍する(した)日本人に敬意。
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これもテレビをみて興味を持ったので読んでみた。昔は大抵の人が飛行機を怖がっていたように思う。私の記憶によればリトル巨人くんという漫画の中の中畑選手は飛行機に乗るとなればお経を唱え怖がるなんて描写があったくらいだ。つまり飛行機事故の報道も多く覚悟して乗るものでもあったよう。(もちろん今のように身近な交通手段としては高すぎて何回も乗れないものでもあった)その原因の1つであるダウンバーストというものを発見したのがこの藤田である。番組では短くまとめられた藤田哲也がたくさんの証言やら自身のインタビューやら事実から浮かび上がってくる。その業績から研究熱心さから天才的と言われた閃きから…もちろんそれだけの独自性や天才性がある分個性的でもあり彼なりの欠点が人間として科学者としての賛否両論を巻き起こしたという面もきちんと記載されていた。彼は正規の専門教育(大学過程の)を踏まなかった事もあるが日本人と西洋人の考え方というか文化的違いも大いにあったであろう。西洋(というかその時代の科学はじめ学問は西洋中心だったのもあるが)では理論がものをいうが、藤田は観察という経験からくる(その経験も膨大なものではあるが)直感、閃きでの発表であったから。このエピソードをみたときは故任天堂社長の岩田氏がコードを印刷してその並びから不具合を発見するのを思い出した。それは置いといて。あ、もう一つ、藤田は発見ではなく認識だと言っていた。つまりボロブドゥールを発見したのではなくボロブドゥールは常にそこにあったので認識したというのが事実みたいなことか。
それでも、彼の最も大きな業績の1つのダウンバーストを追うところは調査依頼から始まりその発見実証までとてもスリリングだった。息つく間もないくらいと言えるほど。
ドキュメンタリーの方も短くまとめてあるけれどとてもいい。藤田を実際に知っていて付き合っていた人が彼を思い出す表情に涙が出る。ある者は確かに感情を損ねていたがある者は彼の欠点をも含めて懐かしみ愛(といっても友情)していたことがわかる。
類稀な人生を送り類稀な才能を発揮した彼の言葉はそれでも誰の人生にも勇気を与える言葉だと思う。「『恥ずかしがらずに言いたいことを言いなさい』そのうちの半分は間違っているかもしれない。しかし、残りの半分は正しいかもしれない。もし、あなたの主張の50%が正しければ、価値のある人生を送ったということです。幸運を祈ります。」 -
研究は情熱が大事なのだと実感した。査読を排除して批判も恐れず、でも人間くさい藤田博士。面白かった。
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気象学の面から無数の人達への、"意識されない大きな安全"を与えてくれた天才の話。
自伝的な記録からの引用もあるが、敢えて少ない。
実績を上げる為に必須だったと思われる、”アメリカ”という場所と文化。
憑かれたような研究欲、呼吸するがごとく研究に沈溺しながらも、謎の不調に激しく苦悩しながらの晩年。
日本人として、もっと日本で過ごしたかったと思う、自身の人間的な本能。
天才を理解し受け容れ、支えるアメリカ人達の深い思いやり。
書籍としても読み応えが有った。
同時に、自身の行動を一切伴わないで得ている恩恵というのは、認識する機会も無く、教科書にも載らない...、そんな切なさが痛く感じた。 -
竜巻研究で名を馳せ、ダウンバーストの発見で世界の空を安全にした藤田博士の足跡を追いかけた書。関係者へのインタビューを元に、博士の姿を浮かび上がらせる。
博士は物理学出身で地学の助手を経て気象学へ入った異色の研究者。学際的な才能の持ち主であり、そして『ファイター』である。査読や修正などで時間のかかるジャーナル論文は、ほとんど発表せず、世の中に役立てることを優先。学会の批判や反発を招くが、我が道を貫いた。
良書。 -
うーーーん… ほぼ在野で物理学から竜巻研究へ転じアメリカで成功、さらに航空事故を大きく減らす発見をしたという題材としては面白そうだったんだけど… 抽象的な説明に留まってて、もっと掘り下げて欲しかった。没後しばらく経っているからだろうか。
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謎の飛行機事故の原因、ダウンバーストを発見した研究者。空の旅を安全なものにしたその偉業は日本ではほとんど知られていなかった。彼の幼少期からのエピソードを読むと、あまりの天才さに驚く。周りの誰もついて行けない思考と行動力。自分の説に自信があり、批判されることを好まず、査読審査のある雑誌などには論文を出さなかった。どんなときでも研究のことを考え、研究だけが人生だった。こんな人がいたんだなぁ。偉人の話は面白い。
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旧制小倉中学から、明治専門学校(現九州工業大学)を経て、米国シカゴ大学の教授となられた、伝説のタイフーン藤田。様々な伝説に彩られた彼の人生を、垣間見ることができます。お墓は、北九州(苅田)にあるとのこと。