コンプレックス文化論

著者 :
  • 文藝春秋
3.24
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本棚登録 : 291
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906829

作品紹介・あらすじ

ミュージシャン、俳優、小説家、芸術家、デザイナー……カルチャーを生み出す当人は、なぜ、その表現活動を始めたのか。「それしかできることがなかったのさ」と気取ったり、「モテるためかな」とはにかんだりするかもしれない。しかしその本当の理由は、自分自身のコンプレックスに潜んでいるのではないか?「コンプレックスが文化を形成してきたのでは」と仮説を立てた著者が、コンプレックスに向き合って、数々の文献を読み解きながらしつこく考察した評論集。その仮説を裏付けるべく、コンプレックスを「キャラ」や「欲」に変えて活躍しているミュージシャンやアーティストなど10名へのインタビューも収録。天然パーマ、背が低い、下戸、ハゲ、一重(ひとえ)、遅刻、実家暮らし、親が金持ち ……だから生まれたものがある!第1回「天然パーマ」ミュージシャン 有馬和樹(おとぎ話)第2回「下戸」ミュージシャン 澤部渡(スカート)第3回「解雇」ハイパー・メディア・フリーター 黒田勇樹第4回「一重(ひとえ)」アイドル 朝倉みずほ(BELLRING少女ハート)第5回「親が金持ち」クイズ女王、昆虫好きの現役慶応大生 篠原かをり第6回「セーラー服」イラストレーター 中村佑介第7回「遅刻」デザイナー・ソラミミスト 安齋肇第8回「実家暮らし」現代美術家 泰平第9回「背が低い」ミュージシャン 鈴木圭介(フラワーカンパニーズ)第10回「ハゲ」臨床心理士 矢幡洋

感想・レビュー・書評

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  • なんとなくパンドラの箱を開けた感があって複雑。失礼極まりないと分かっていながら、つい納得したりディスったり。笑わずに読めと言われたら地獄だ。

  • 「早くに母親が離婚して新しい男に有り金を貢いで私は明日のごはんにも困るくらいだったけどそこから這い上がった歌手」と、「親が金持ちで何不自由なく中高一貫の優秀校に通っていたらお父さんが文化祭に知り合いのプロデューサーを連れてきて目にとまった歌手」、このどっちの音楽を聞きたいかといえば、多くの人は前者だと答えるはず。(「第5回 親が金持ち」)
    思わず吹き出しました。
    しかし、当人(後者ね)にとっては、笑いごとではないかもしれません。
    親が金持ち。
    結構なことではないかと、良くも悪くも中庸の家庭に育った私などは思うわけですが、これはこれでコンプレックスらしいのですね。
    たとえば、冒頭の例です。
    前者か後者のどちらの音楽が優れているかは、本来、それぞれの出自や来歴とは全く関係ないはず。
    しかし、世間はそうは見ません。
    私だって、どっちの音楽を聞きたいかと問われれば、迷わず前者と答えますもん。
    音楽だけでなく、「親が金持ち」の人は、あらゆる場面で、「親が金持ち」であることがひも付けされる宿命を負っています。
    勉強ができるのは、「親が金持ち」だから。
    スポーツが得意なのは、「親が金持ち」だから。
    料理が上手なのは、「親が金持ち」だから。
    禁煙できたのは、「親が金持ち」だから。
    注文したパンケーキが早く来たのは、「親が金持ち」だから。
    成功できたのは、「親が金持ち」だから。
    逆に、つまずいてしまったのは、「親が金持ち」だから。
    これはこれでしんどいだろうな、と思う。
    しかし、世間から寄せられるのは、大半が妬み嫉み。
    ことほどさように、当人が抱えているコンプレックスというのは、外からはうかがい知れないものらしいのです。
    本書は、気鋭のライター武田砂鉄さん(ファンです)が、世の中の代表的なコンプレックスを俎上に載せて、うだうだと考察したもの。
    コンプレックスは、「親が金持ち」のほか、「天然パーマ」「下戸」「解雇」「一重」「セーラー服」「遅刻」実家暮らし」「背が低い」「ハゲ」の全部で10個。
    かつ、それぞれのコンプレックスを抱えた著名人に果敢にインタビューし、コンプレックスの正体と被害の実相を明らかにしていきます。
    いや、実に面白い。
    コンプレックスは文化であることが、よく分かりましたよ。

  • 天パについて、本当に真剣に考察してて、読み始めからおもしろい。笑

    武田砂鉄の本は文章はフランクだし、「この人今真面目な顔して面白いこと、言ってんな」って思わせちゃう文章なんだけど、中身が本当に細かいとこまで調べてたり考察したりしてるから、ただの軽いノリの本ではない。

    天パ、チビ、ハゲ、遅刻グセ、親が金持ち、実家暮らし、一重、下戸。

  • コンプレックスが文化を形成してきたと仮説を立てて、10個のテーマを掘り下げていく。コンプレックスを糧にしている芸能人インタビュー章が考察の間に挟まっているのも面白い。特に安齋肇さんが出ている遅刻章が最高。

  • 単に面白がっているわけではなく、
    ちゃんと当事者とインタビューで話を深めていったりと、
    興味深い本。
    面白おかしい文章で(たまにやり過ぎ感)読みやすい。
    理解できる、と簡単に言えない問題だけど
    関係ないと知らないでいたことを、知るという意味で、
    大事な本だと思う。
    安齋肇の「遅刻」の話は、「悪いと思っている」と言われても
    なんだかよく分かんなかったが。

  • 思索

  • 【投票者イチオシ】武田砂鉄さんのフランクな語り口と鋭いつっこみが笑いを誘う、疲れた時にぴったりの本だと思います。https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001133519/?lang=0

  • あとがきが良かったです。

  • 平成29年11月発行のYAだよりで紹介された本です。

  • 【No.171】「音楽をやっていれば賛否があるのは必然だけど、音楽のことを言わずに、見た目について否定的なことを言われるのは、これから頑張ろうとする自分にとっては、自殺したくなるくらいキツかった。そこをどうやって武器に変えていくかが20代後半の戦いだった。ここ最近、そこに打ち勝った実感があります」「あらゆる話の中で、話者が思っているほど聞き手はウケちゃいない、と相場の決まっているふたつの話がある。”昨日見た夢の話”と”酔っぱらいエピソード”である」「歩くの止めると足がもつれてコケるじゃないですか。だから、どこかにぶつかるまでは、よろよろでも歩き続けようって思いましたね」「いつの時代も苦労話がある程度の潤滑油になるのは、喜怒哀楽全方向に操縦できる可能性を持つから」「成功した側から未熟な側に放たれる”何言っちゃってんだか”という冷たいまなざしを、言われる前から見越しておく姿勢って強い」「意味のないことをしたくないっていう思いが強いんですよね。何かをやるときに一石二鳥ではなく、一石二鳥、三鳥、四鳥じゃないと嫌なんです」

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著者プロフィール

1982年、東京都生まれ。出版社勤務を経て、2014年からフリーライターに。著書に『紋切型社会―言葉で固まる現代を解きほぐす』(朝日出版社、2015年、第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞、2019年に新潮社で文庫化)、『芸能人寛容論―テレビの中のわだかまり』(青弓社、2016年)、『コンプレックス文化論』(文藝春秋、2017年)、『日本の気配』(晶文社、2018年)、『わかりやすさの罪』(朝日新聞出版、2020年)などがある。新聞への寄稿や、週刊誌、文芸誌、ファッション誌など幅広いメディアでの連載を多数執筆するほか、ラジオ番組のパーソナリティとしても活躍している。

「2020年 『災間の唄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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