アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

  • 文藝春秋 (2017年7月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784163906911

作品紹介・あらすじ

◎米amazon 元チーフ・サイエンティスト◎
ジェフ・ベゾスとともに買い物の常識を変えた
科学者が明かす巨大データ企業の秘密。
Facebook,Uber,Google,Airbnb驚愕の戦略!

インターネット検索やグーグルマップ、フェイスブックでの「いいね!」や
インスタグラムへの写真の投稿など、意識的、無意識的に残すデジタル痕跡を通じて、
あなたがいつ、どこに行ったのか、どんな人とどれくらい親密につきあい、
何に関心を持っているかがデータ会社に把握されている。
ただ、一人ひとりについて蓄積される膨大なデータは、
われわれの日々の意思決定の質を高め、人生を豊かにする可能性も秘めている。


【目次】

■はじめに データ、データ、データ! すべてがデータになる時代

■序章 常識を逆転させたアマゾン
「編集者による製品レビューよりもカスタマーレビューの方が役に立つ」。
私はアマゾンのチーフ・サイエンティストとしてジェフ・ベゾスとeコマースの価値観を
築き上げた。本書ではフェイスブックやウーバーなど巨大データ企業の秘密を解き明かす

■第1章 データの積み重ねが財産になる
1節 毎日100億回以上グーグル検索される
2節 データはA/Bテストで毎分精製される
アマゾンでは2000年代初頭に、データ・サイエンティストたちが顧客とサイトとの
交信のデータを徹底的に分析、さまざまなことを明らかにした。たとえば顧客が
ある商品を購入するか否かを予測するうえでは、その商品と他の商品の関連性が大事だ

■第2章 「いいね!」はあなたを映す鏡
1節 プライバシーは幻想である
2節 ネット上で「忘れられる権利」
フェイスブック上のクリックでIQ、政治信条や性的指向は正確に予測される。
あるいはタッチスクリーンの触れ方やスマホを握るときの手の震え方も個人を特定する
には十分だ。デジタル世界に刻まれた痕跡があなたという存在を浮かび上がらせる

■第3章 そのつながりが経済を動かす
1節 ザッカーバーグが広めた「ソーシャルグラフ」
2節 信頼が新たな市場を生み出す
AT&Tによる他者とのつながりを利用したマーケティングでは契約率が5倍になり、
米国ではソーシャルなメッセージが34万人を追加で投票に向かわせた。アマゾンも
知人から勧められた商品は買うという特性を発見し、新しいプログラムを始めた

■第4章 1兆個のセンサーがあなたを記録する
1節 位置も人間関係も感情もすべて読み解く
2節 「偽の自分」はつくれない
全米では毎月1億件のナンバープレート情報が集められ、車がいつどこにいたか
特定される。肌に貼れる最新の無線センサーは汗からストレスを探知し、視線追跡

感想・レビュー・書評

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  • Data for the people という原題の方が、この本のテーマをよく現している。
    「人々のためのデータ」「みんなのためのデータ」とか。
    『アマゾノミクス』だと、ナンのことなのかよく分からない。そんなにキャッチーでもないし。題名の付け損ないだ。

    グーグルやamazonやアップルやfacebookは、個人情報を狂ったように収集しまくってるけど。

    個人情報を次々に吸い取られていった当の本人たちが、自分に関する何の情報を、どこに、どのように保存され、どのように、他の個人情報と関連づけられ、どのように利用されているのか、確認できるようにもっと透明性を高めるべきだし、個人が自分の情報にアクセスできる権利を保障すべきだ。

    個々人から、集めまくったデータを、寡占的な企業だけが独占している現状は、卑怯すぎる。

    Data for the people
    という題名の通り

    企業が収集しまくった個人情報は、人々のためにあるべきだ。

  • 元amazonのチーフデータサイエンティストがビックデータについて語る。

    修辞的な文章で、非常に饒舌。
    端的にいうともっと短く語れそうな内容が多い。

    個人的には、能書きはそこそこに、要点をズバズバ述べて欲しいと思った。
    本当に大事なことは、ご本人の心の奥にまだ収めたままなんだろうな。という感じの、公開しても大丈夫な情報だけ庶民に教えてくれているような感触です。

    まあ、そう言われれば、そうだね。という。

  • データを活用した新たなビジネスやその使用に係るリスク、可能性を実際のビジネス及びサービス事例に基づき紹介している。最新のTech動向と主に金融サービス事例にキャッチアップするために購入したが、一番驚いたのはSNSの友達リストで融資のための信用性を審査するというFacebookの特許の話とドイツのP2P保険「フレンドシュアランス」の話。後者は自分でも考えたことがあったが、前者はNetflixで見た英ドラマ「Black Mirror」のエピソード「ランク社会」を想起させるものだった。日本ではまだ新興Fintechサービスは決済、資産運用(ロボアド)が先行、世界的には投資額としてパイが大きい融資はアマゾン、ペイパルなど外資が牽引し国内は楽天など一部に限られている。メガバンク、地方銀行等の伝統的金融機関は、個人向けサービスに関してはプラットフォームを提供するアマゾン、グーグル、楽天など非金融サービスにパイをより奪われることを覚悟し、収益構造転換を図らなければ生き残れない。どこがより早く着手するか、それによって金融サービス企業の下克上が起こる可能性は大いにあると思われる。
    ソースも詳細に巻末に記載されており、事例も豊富で示唆を得られた。

  • この数十年で、私たちを取り巻く環境は大きく変わりました。
    スマホを誰でも持つようになって~、GPSで位置が補足されて~、そのくらいかと思っていたら、世界ではもっと大きな革命が起きていました。
    Googleに、Facebookに、Amazonに、Fitbitに。私たちの行動が記録されています。
    スピーカーも常にONになり、監視カメラもどこにでもある時代になりました。
    そうしたデータを分析/精製して活用するデータ会社があります。活用して初めて意味がでてきます。活用することで自分の生活パターンを変えることもできるでしょう。
    データを集められている、という後ろ向きな意味でデータを提供するのではなく、データを提供し、それをお互い活用していく、Win-Winの関係もあるのではないか、ということですね。
    どのように使われているのかわかったうえで個人の行動データを提供するのか、わからずに提供するのか。わかっているのとわかっていないのでは大きく違ってくることでしょう。

  • データのビジネスとしての未来を説く書物は多くあり、一方でまた様々なことがデータ化される社会の危険性を説く書物も多くある。

    しかしこの本では、いま最先端で取り組まれているデータビジネスの考え方を詳しく説明する一方で、そのリスクも明確に説明し、さらにそれを回避するためにはどのようなルール・規制や、我々の行動が必要なのかまで説明してくれる。

    ソーシャルグラフに代表される人と人との繋がりを表現するデータがデジタルで収集されることによって、企業はこれまで大雑把にしか分析できなかった、人の行動の先を読み、促す仕掛けを、分析・計画することができるようになりつつある。

    単にばらばらの個人の選好を計測し、統計的に分析するというだけではなく、個人をネットワークの中に置き、そのネットワークの中での相互作用がその人の行動を左右しているという観点から分析を行うことで、より精度が高い分析をすることができるようになった。いわば、マーケットのセグメントを一人ひとりやそれ以下の単位に設定できるようになったということである。

    このことは、企業と個人の双方にとって有益な情報をもたらし、メリットを生む。一方、そのためには、企業にデータを、しかも他人とのつながりや行動の様々な内容を含むデータを提供しなければ、話が始まらない。

    このような社会でデータ会社と対峙するためには、どのような制度設計が必要なのだろう。

    筆者は、データ会社にデータを預けるにあたって、データ会社の透明性と、データを提供する側の主体性を確保すべきだという。

    透明性の観点からは、データがデータ会社によってどのように分析され、我々にどのような結果を提供するのか?そのことが明確になっている必要がある。また、その企業のセキュリティレベルやプライバシーポリシーについても同様である。

    主体性の観点からは、データを提供する我々は、データを修正する権利、データをぼかす権利、データの設定変更の権利、データをポートする(移す)権利を保持することが必要である。

    特にこの主体性の観点はこれまであまり議論されておらず、本書の非常に重要なメッセージであると感じた。情報を提供するか否かが白か黒で分けられるのではなく、データを共有しながら生きていかなければならない次代においては、このようなデータに関する主体性を新たな権利として議論していく必要があるのであろう。

    アマゾンの元チーフ・サイエンティストとして早い段階からデータ社会の可能性と危険性を見つめ続けてきた筆者だからこそ書き得た本であると思うし、データの未来に対して単純な楽観論でも悲観論でもない、建設的な論点を提示してくれる本であると感じた。

  • 元アマゾンのチーフサイエンティストの本。個人の行動が完全に分析される時代は、知らぬ間にコントロールされているかもしれないという話

  • 著者は、アマゾンの元チーフサイエンティスト。
    アマゾンやフェイスブック、グーグルなど、著者がデータ会社と呼ぶ会社は、我々が垂れ流す情報をどのように集めて、利用しているのか。何となくわかっていたような気がするが、改めて知ると恐ろしいことだ。
    原文のタイトルはDate for the People。著者は、我々自身が主体的にデータに向き合うことが必要だと説く。世に溢れるスマートフォン、センサー、モニターが今でも膨大な情報を収集し、相手は益々巨大に、さらに先を行きつつある。無自覚なのは危険だが、果たして自身で何ができるのだろうか。

  • 端っこまで文字がギュギュっと詰まってるので読みづらそう

  • 世の中にあるデータがどのように使われているのか、詳細に書かれてある。我々の知らないところで使われているデータも存在している。このような驚きや恐怖を感じた。
    無料で SNS を利用できている理由を知ることができた。企業はサービスを提供する。ユーザーは自分の行動データを企業に提供する。というギブ & テイクを行っている。
    今後もっとデータが増えていくので、それを使った分析により、新しい発見が増えていきそう。

  • データ利用の便利さの後ろに潜む怖さはとてもよく伝わってきたが、タイトル「アマゾノミクス」から想像していた内容とは程遠いため、がっかり感があった。

  • 今後のプライバシーのあり方をとても真面目にかんがえている本。確かに他の方も指摘されているように冗長だけど、きちんとファクトを積み上げて議論をしようとする著者に好感が持てた。

    蛇足ですが、著者はアマゾノミクスというタイトルで了解したのだろうか?私だったら絶対イヤだと思う。

  • 他の方も書いている通り、邦題より原題のData For The Peopleの方がしっくりくる。

    現代においてはSNSへの投稿、位置情報、カメラ、センサーなどにより個人のあらゆる行動、関心、交友関係、思想にいたるまでデータ化されている。ソーシャルデータは精製、収集する企業のためにあるのではなく、個人が恩恵を受けるために使われなければならない。

    データにより我々の意思決定の質をより高めることができる。プライバシーをいかに守るのかではなく、データを共有することのメリットとデメリットのバランスを考え、また個人だけでなく大衆の利益という生態系の中で考える必要がある。

    そのために、これまでデータ企業と個人との間にあった情報の非対称性を解消すべきで、そのカギとなるのが「透明性」と「主体性」である。

    本書では、Facebookやリンクトインのようなデータ企業がどのようにデータを収集し、還元しているか。どの程度の透明性、主体性を我々に与えているかを説明し、我々がより主体性を持って提供するデータとそれによりもたらされる利益をコントロールするために何を要求すべきかが論じられている。


    #所感
    データを精製し還元する側としての参考になればと思って手にとった一冊であったが、どちらかというと一個人としてこの情報社会、データ社会で生きていくための姿勢を学ぶことができた。さまざまなソーシャルメディアやサービスに自ら、無意識のものも含め、好みや生活の痕跡を残している。そして、その見返りを得ている。そのことをまず理解すべき。

    本書で取り上げられているようなデータ会社にはなかなかなり得ないが、個人の立場を理解することで、データを提供してもらいサービスに還元する側としても気づきを得ることできた。特にプライバシー効率という言葉が心に残った。何でもかんでもデータの共有を求めるのではなく、データを何に使い、どのようなメリットを得られるのかを提示しつつ、主導権は個人に与えられるべき。

  • - 『情報は21世紀の原油である。』原油はそのままでは使えない。ガソリンあるいはプラスチック原料をはじめとする化学製品に変える必要がある。データも統合、分析、比較、選別し精製しないといけない。データと石油の違いは石油が有限のリソースであるのに対して、データが枯渇することはないことである p31
    - **ユーザとデータ企業は対等な関係ではない。**百万人のうち1人のユーザのデータはプラットフォームに影響を与えない。一方で1人のユーザはサービスを享受する機会を完全に失う。非対称な関係 p43

  • 007

    ログデータが増える⇨それを解釈する人が増える

  • 今はもはやGAFA。

  • 「なんとなく」予想できていた企業のデータ活用や仕組み、それが有効である根拠が羅列されている。あらためての事実整理・仕組み整理には有効だったが、ひとつひとつのトピックが冗長で興味が深くないと読むの大変。また2017年出版であるにも関わらず、少なからず古さを感じもっと最新の事例は?と頭の片隅に思い浮かべながら読み進めていた

  • なかなかスリリング

  • FACE BOOKの表示がアプリ側で調整されているとは知らなかった。どんなCMを見せるのか個人別に選択している位のことしかやってないと思っていただけに驚いた!
    スマホを持っているだけで、かなりのデータが取られ、個人が特定され、勝手に使われているかもしれない。
    著者の言う通り、それによるメリットも享受している面もあるようだ。やはり、どんなデータがどう取られ、どう使われるのか認識して、コントロール出来るようにすべきであろう。本当に全てのデータの利用方法が把握できるのか、それを理解してどう対応すべきか判断できるのか、リテラシーを上げる事が必要だ。

  • ソーシャルデータの恩恵を、それを生み出す個人が享受するには何が必要か?
    個人は受け身でいるのではなく、データの透明性と提供する側(個人)の主体性を求め、今まさに進みつつあるソーシャルデータ革命へ参画していかなければならない、という。
    なるほど、防犯カメラで無断で撮影され、ネット検索履歴は承諾なく残る…私に関わるあらゆる情報が知らぬ間にデータとしてとられている。
    その上、便利なネット上のサービスは、一定の個人情報を提供しなければ利用できない。
    意識することのなかった身の回りのあふれんばかりの個人データに驚きつつ、それに主体的に関わることの意味を知った。

    20世紀の最も重要な資源が石油だとすれば、21世紀にそれに変わるのはデータである。

    という点についても深く納得。

    プラトンの洞窟の喩えを引用し、「当初は光のまばゆさに圧倒されるとしても、暗闇にとどまることはもはや許されない」という点にも深く納得。

    データとの向き合い方、データの利用についてとても勉強になりました。

  • 訳本であるため読みにくく、難しかった。
    しかし将来について考えさせられる本だった。

    ビックデータは素晴らしい未来を作ると同時に、不安も大きくなる。我々はそれらとうまく付き合っていかなければならない。

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