アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906911

作品紹介・あらすじ

◎米amazon 元チーフ・サイエンティスト◎ジェフ・ベゾスとともに買い物の常識を変えた科学者が明かす巨大データ企業の秘密。Facebook,Uber,Google,Airbnb驚愕の戦略!インターネット検索やグーグルマップ、フェイスブックでの「いいね!」やインスタグラムへの写真の投稿など、意識的、無意識的に残すデジタル痕跡を通じて、あなたがいつ、どこに行ったのか、どんな人とどれくらい親密につきあい、何に関心を持っているかがデータ会社に把握されている。ただ、一人ひとりについて蓄積される膨大なデータは、われわれの日々の意思決定の質を高め、人生を豊かにする可能性も秘めている。【目次】■はじめに データ、データ、データ! すべてがデータになる時代■序章 常識を逆転させたアマゾン「編集者による製品レビューよりもカスタマーレビューの方が役に立つ」。私はアマゾンのチーフ・サイエンティストとしてジェフ・ベゾスとeコマースの価値観を築き上げた。本書ではフェイスブックやウーバーなど巨大データ企業の秘密を解き明かす■第1章 データの積み重ねが財産になる 1節 毎日100億回以上グーグル検索される 2節 データはA/Bテストで毎分精製されるアマゾンでは2000年代初頭に、データ・サイエンティストたちが顧客とサイトとの交信のデータを徹底的に分析、さまざまなことを明らかにした。たとえば顧客がある商品を購入するか否かを予測するうえでは、その商品と他の商品の関連性が大事だ■第2章 「いいね!」はあなたを映す鏡 1節 プライバシーは幻想である 2節 ネット上で「忘れられる権利」フェイスブック上のクリックでIQ、政治信条や性的指向は正確に予測される。あるいはタッチスクリーンの触れ方やスマホを握るときの手の震え方も個人を特定するには十分だ。デジタル世界に刻まれた痕跡があなたという存在を浮かび上がらせる■第3章 そのつながりが経済を動かす 1節 ザッカーバーグが広めた「ソーシャルグラフ」 2節 信頼が新たな市場を生み出すAT&Tによる他者とのつながりを利用したマーケティングでは契約率が5倍になり、米国ではソーシャルなメッセージが34万人を追加で投票に向かわせた。アマゾンも知人から勧められた商品は買うという特性を発見し、新しいプログラムを始めた■第4章 1兆個のセンサーがあなたを記録する 1節 位置も人間関係も感情もすべて読み解く 2節 「偽の自分」はつくれない全米では毎月1億件のナンバープレート情報が集められ、車がいつどこにいたか特定される。肌に貼れる最新の無線センサーは汗からストレスを探知し、視線追跡装置は従業員の注意力を測定。さらに思考の一端を読み取るfMRIスキャナーも登場■第5章 もしフェイスブック・ユーザーが死んだらフェイスブックでは年100万~1000万人が死んでおり、誰がアカウント管理するかという問題が起きている。あるいはエアビーアンドビーでは信頼感を醸成するため政府IDなど幅広い個人情報が要求される。データ企業の透明性を高める方法とは■第6章 ウーバーのドライバーは悩んでいるウーバーで高い評価を確立したドライバーは他の配車アプリにも自らを登録するべきだろうか。あるいは同僚に見られる可能性を承知でリンクトインではどれほどの情報を提供するべきだろう。ユーザーがデータ企業に対して主体性を持つ条件を検討する■第7章 データエコノミー 1節 小売・金融・職場・教育 2節 医療・公正さフェイスブックの友達リストを見て融資可否を判断する金融機関。暗記能力を問うのではなく学生同士の議論を促す教育アプリ。スマホで運動や食事を管理し、医師と記録を共有。膨大なデータから質の高い意思決定を導くための六つの権利を具現化する■エピローグ データをわれわれの手に取り戻す■訳者あとがき

感想・レビュー・書評

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  • Data for the people という原題の方が、この本のテーマをよく現している。
    「人々のためのデータ」「みんなのためのデータ」とか。
    『アマゾノミクス』だと、ナンのことなのかよく分からない。そんなにキャッチーでもないし。題名の付け損ないだ。

    グーグルやamazonやアップルやfacebookは、個人情報を狂ったように収集しまくってるけど。

    個人情報を次々に吸い取られていった当の本人たちが、自分に関する何の情報を、どこに、どのように保存され、どのように、他の個人情報と関連づけられ、どのように利用されているのか、確認できるようにもっと透明性を高めるべきだし、個人が自分の情報にアクセスできる権利を保障すべきだ。

    個々人から、集めまくったデータを、寡占的な企業だけが独占している現状は、卑怯すぎる。

    Data for the people
    という題名の通り

    企業が収集しまくった個人情報は、人々のためにあるべきだ。

  • 元amazonのチーフデータサイエンティストがビックデータについて語る。

    修辞的な文章で、非常に饒舌。
    端的にいうともっと短く語れそうな内容が多い。

    個人的には、能書きはそこそこに、要点をズバズバ述べて欲しいと思った。
    本当に大事なことは、ご本人の心の奥にまだ収めたままなんだろうな。という感じの、公開しても大丈夫な情報だけ庶民に教えてくれているような感触です。

    まあ、そう言われれば、そうだね。という。

  • データを活用した新たなビジネスやその使用に係るリスク、可能性を実際のビジネス及びサービス事例に基づき紹介している。最新のTech動向と主に金融サービス事例にキャッチアップするために購入したが、一番驚いたのはSNSの友達リストで融資のための信用性を審査するというFacebookの特許の話とドイツのP2P保険「フレンドシュアランス」の話。後者は自分でも考えたことがあったが、前者はNetflixで見た英ドラマ「Black Mirror」のエピソード「ランク社会」を想起させるものだった。日本ではまだ新興Fintechサービスは決済、資産運用(ロボアド)が先行、世界的には投資額としてパイが大きい融資はアマゾン、ペイパルなど外資が牽引し国内は楽天など一部に限られている。メガバンク、地方銀行等の伝統的金融機関は、個人向けサービスに関してはプラットフォームを提供するアマゾン、グーグル、楽天など非金融サービスにパイをより奪われることを覚悟し、収益構造転換を図らなければ生き残れない。どこがより早く着手するか、それによって金融サービス企業の下克上が起こる可能性は大いにあると思われる。
    ソースも詳細に巻末に記載されており、事例も豊富で示唆を得られた。

  • この数十年で、私たちを取り巻く環境は大きく変わりました。
    スマホを誰でも持つようになって~、GPSで位置が補足されて~、そのくらいかと思っていたら、世界ではもっと大きな革命が起きていました。
    Googleに、Facebookに、Amazonに、Fitbitに。私たちの行動が記録されています。
    スピーカーも常にONになり、監視カメラもどこにでもある時代になりました。
    そうしたデータを分析/精製して活用するデータ会社があります。活用して初めて意味がでてきます。活用することで自分の生活パターンを変えることもできるでしょう。
    データを集められている、という後ろ向きな意味でデータを提供するのではなく、データを提供し、それをお互い活用していく、Win-Winの関係もあるのではないか、ということですね。
    どのように使われているのかわかったうえで個人の行動データを提供するのか、わからずに提供するのか。わかっているのとわかっていないのでは大きく違ってくることでしょう。

  • データのビジネスとしての未来を説く書物は多くあり、一方でまた様々なことがデータ化される社会の危険性を説く書物も多くある。

    しかしこの本では、いま最先端で取り組まれているデータビジネスの考え方を詳しく説明する一方で、そのリスクも明確に説明し、さらにそれを回避するためにはどのようなルール・規制や、我々の行動が必要なのかまで説明してくれる。

    ソーシャルグラフに代表される人と人との繋がりを表現するデータがデジタルで収集されることによって、企業はこれまで大雑把にしか分析できなかった、人の行動の先を読み、促す仕掛けを、分析・計画することができるようになりつつある。

    単にばらばらの個人の選好を計測し、統計的に分析するというだけではなく、個人をネットワークの中に置き、そのネットワークの中での相互作用がその人の行動を左右しているという観点から分析を行うことで、より精度が高い分析をすることができるようになった。いわば、マーケットのセグメントを一人ひとりやそれ以下の単位に設定できるようになったということである。

    このことは、企業と個人の双方にとって有益な情報をもたらし、メリットを生む。一方、そのためには、企業にデータを、しかも他人とのつながりや行動の様々な内容を含むデータを提供しなければ、話が始まらない。

    このような社会でデータ会社と対峙するためには、どのような制度設計が必要なのだろう。

    筆者は、データ会社にデータを預けるにあたって、データ会社の透明性と、データを提供する側の主体性を確保すべきだという。

    透明性の観点からは、データがデータ会社によってどのように分析され、我々にどのような結果を提供するのか?そのことが明確になっている必要がある。また、その企業のセキュリティレベルやプライバシーポリシーについても同様である。

    主体性の観点からは、データを提供する我々は、データを修正する権利、データをぼかす権利、データの設定変更の権利、データをポートする(移す)権利を保持することが必要である。

    特にこの主体性の観点はこれまであまり議論されておらず、本書の非常に重要なメッセージであると感じた。情報を提供するか否かが白か黒で分けられるのではなく、データを共有しながら生きていかなければならない次代においては、このようなデータに関する主体性を新たな権利として議論していく必要があるのであろう。

    アマゾンの元チーフ・サイエンティストとして早い段階からデータ社会の可能性と危険性を見つめ続けてきた筆者だからこそ書き得た本であると思うし、データの未来に対して単純な楽観論でも悲観論でもない、建設的な論点を提示してくれる本であると感じた。

  • 元アマゾンのチーフサイエンティストの本。個人の行動が完全に分析される時代は、知らぬ間にコントロールされているかもしれないという話

  • 著者は、アマゾンの元チーフサイエンティスト。
    アマゾンやフェイスブック、グーグルなど、著者がデータ会社と呼ぶ会社は、我々が垂れ流す情報をどのように集めて、利用しているのか。何となくわかっていたような気がするが、改めて知ると恐ろしいことだ。
    原文のタイトルはDate for the People。著者は、我々自身が主体的にデータに向き合うことが必要だと説く。世に溢れるスマートフォン、センサー、モニターが今でも膨大な情報を収集し、相手は益々巨大に、さらに先を行きつつある。無自覚なのは危険だが、果たして自身で何ができるのだろうか。

  • 端っこまで文字がギュギュっと詰まってるので読みづらそう

  • データ利用の便利さの後ろに潜む怖さはとてもよく伝わってきたが、タイトル「アマゾノミクス」から想像していた内容とは程遠いため、がっかり感があった。

  • 今後のプライバシーのあり方をとても真面目にかんがえている本。確かに他の方も指摘されているように冗長だけど、きちんとファクトを積み上げて議論をしようとする著者に好感が持てた。

    蛇足ですが、著者はアマゾノミクスというタイトルで了解したのだろうか?私だったら絶対イヤだと思う。

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