ふたご

著者 : 藤崎彩織
  • 文藝春秋 (2017年10月28日発売)
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  • レビュー :70
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907147

作品紹介・あらすじ

大切な人を大切にすることが、こんなに苦しいなんて--。彼は私の人生の破壊者であり想造者だった。異彩の少年に導かれた少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。執筆に5年の月日を費やした、SEKAI NO OWARI Saoriによる初小説、ついに刊行!【著者紹介】藤崎彩織(SEKAI NO OWARI)
SEKAI NO OWARIでピアノ演奏とライブ演出を担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。雑誌「文學界」でエッセイ「読書間奏文」を連載しており、その文筆活動にも注目が集まっている。— ふたごのようだと思っている。 彼は私のことをそんな風に言うけれど、私は全然そんな風には思わない。 確かに、私は人生の大半を彼のそばで過ごしてきた。晴れた日も雨の日も、健やかな日も病める日も、富めるときも貧しきときも、確かに、私は彼のそばにいた。 けれどもその大半は、メチャクチャに振り回された記憶ばかりだ。(本文より)

ふたごの感想・レビュー・書評

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  • これは「小説」だと思って読んでいてもどうしても目の前で苦しみ血を吐くようにあえいでいるのは紛れもなく画面の中で笑顔でピアノを弾いている金髪の彼女だ。
    テレビの中の彼らはとても楽しそうだ。独特の世界観を持った彼らの音楽とその映像はファンタジックでドリーミーでキュートだ。
    だけど、そんな彼らの中心で歌を歌う彼の眼はいつもガラスのように冷たく底が見えない。歌いながら時々見開くその目の向こうには何があるのだろうか、といつも思っていた。
    その目に映っていたものはなにか。その答えがここにあった。彼の世界は、十代の少女が背負うにはあまりにも大きくあまりにも深くあまりにも複雑だ。
    けれどなぜ、夏子はそんなにも月島に惹かれるのか。なぜそこまで傷つきながらも月島から離れないのか。2人はふたごのようだ、という。本当だろうか。私には夏子は月島の母であり、妻であるように見える。子どもを丸ごと引き受け飲み込むグレーとマザーであり、自分勝手な理論で振り回しながらも泣いてすがる夫を常に許す妻に見える。あぁ、違うな。彼女と彼は、同志であり戦友なんだろうな。この先何があっても共に闘い続ける仲間なのだろう。あの苦しい時間を共に過ごしたからこそ、いろんな思いを飲み込んで新しい関係へと一歩を踏み出せたんだろう。
    いやぁ、それにしても彩織さん、よくここまで書ききったよねぇ。この小説を書き続けた時間は自分を生きなおすのに必要な時間だったのだろうね。

  • 直木賞候補になったので読んでみました。
    文章は私にはとっても読みやすかった。
    セカオワの事はほとんど知らず、自伝的小説だと他の方のレビューを読んで思わずウイキペディアで調べてみたりして。

    なるほど~確かに。
    私だったら月島みたいな人はちょっと苦手だけど、月島みたいな人がいたからこそ、こういう話が書けたし、今に至っているんだろうな。

  • 直木賞候補になり、結局、とれなかったが、ほめている書評も多く読んでみた。小説なのだろうけど、自叙伝に近いのではないかと。ピエロのお面が出てきたりするところは、まさに。自叙伝的という意味では、『火花』に近い読後感。もちろん、よく書けていて、大学生のモラトリアム感がよくでている。まあ、自叙伝に近いからなのだろうが、この世代によくある、Hな行爲がでてこないのが不思議な感じ。

  • 直木賞候補作になった作品という事で、手にとったものの、なかなか読む気にならず、積ん読状態だったこの小説。
    表紙を開くまでは正直期待はしていなかったのですが、読み始めた瞬間とまらなくなりました。

    SEKAI NO OWARIの事はネットで流れているような簡単な情報しか知りませんが、限りなくノンフィクションに近いフィクションなのでしょうか。

    実際にこんな青春時代を過ごしていたとしたら、なんて壮絶でドラマティックな人生。
    どこまでが本当にあった事で、どこからが虚構なのか。
    私小説ですね。良いと思います。

    運命というのはこういう風に抗えないものなのでしょう。
    主人公のなっちゃんの感情は特にリアルに響いて、魂の叫びを聞いている様でした。

    文章は変な癖がなく読みやすく明快、内容は重いのに重さを感じさせません。
    私は重い内容の小説を読むと、読後、何かどろりとしたものが自分に残ることが多いのですが、この作品はそんな事が一切なかったように思います。

    シンプルに小説として面白かったです。

  • 私はもうずっとこの主人公、西山夏子のファンの一人です。運命というものは確かにあるのだと感じる時があります。まるで導かれるように、私のそれまでの世界の全てを攫っていくような。彼女にとっての彼がそう呼ぶものでした。破滅者か創造者か、ふたごのように一緒、でもバラバラな個体。甘えでもなく頑張れない人もいるということ、その意味をもっと広く知って理解して欲しい。詞を紡ぐことは誰かに伝える為ではなく、本当は自分が一番言葉という救いを求めていたのかもしれません。独りを恐れ泣いていた少女の全てを、時をかけて居場所という形で彼は守りました。ねぇ、今が世界の終わりなら、明日から新しい世界が始まるね。

  • 話題の本、SEKAI NO OWARIに対してほぼほぼ理解のないまま手に取りました。
    自伝的小説とのこと。読み終えて、改めてセカオワに興味を持った次第。

    第一部、月島(=深瀬)が病気が原因とは言え、夏子(=Saori)を振り回す様子、芸術家肌の掴みどころのない男というイメージに嫌悪感しか感じられませんでした。
    第二部に進み、月島が病気を克服し、バンドが軌道に乗り始めてからは、一気に面白くなり、デビューが決まりそうというラストシーンは、じんわりと鼻の奥がツーンとする感覚を味わいました。

    途中での挫折は許されない話、最後まで読んでこその直木賞候補作だと思います。

    『誰かと美味しいと言いながら食べると、ご飯は美味しくなる。』他、素敵なフレーズが沢山ありました。

  • 割と夢中で読んだけど、読んでて苦しいことが多かった。
    第1部と第2部で、月島がまったくの別人のようにも思えるけど、いつも危うく感じるのは一緒かな。
    月島と夏子の関係がとっても微妙で、仲がいいしお互いを大事に思っているのに言い合いになったりケンカになっちゃうのも、なんだかとっても共感というか、あるなぁ、って思った。

    第1部は、夏子の思いを表す素敵な文章が多くて、ついメモを取りながら読み進めた。
    第2部は、途中から頭の中でBGMが流れっぱなし。「僕らはもう1人じゃない♪」
    こんな風に結成されたんだと知って、応援したくなりました。

  • 読みやすい。思春期〜青年期の危ういところを描いているのに、そこまでヒリヒリした文章じゃないところとか...。どちらかといえば第一部の方が好き。

  • 2部のバンド編ともいう章.結成期の苦しみ,創作の悩み葛藤が生々しく語られて,そこはさすがアーティストという感じがした.なっちゃんと月島の「ふたご」に象徴される関係も,バンドの創作の中で昇華されるといいなあ.

  • 読みだしたら止まらなかった小説でした。

    どうしても作者からセカオワのことをイメージせずにはいられませんでした。
    だからこそ、作者の次の作品を読みたいです。

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