清張鉄道1万3500キロ

  • 文藝春秋 (2017年11月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784163907239

作品紹介・あらすじ

松本清張の小説には鉄道に乗る場面がたくさん登場する。

JR全線を乗破した元朝日新聞記者が、現代小説320篇を読み込み、作中の誰が、最初に、どの路線に乗ったのかを徹底調査。デビュー作「西郷札」から没後刊の「犯罪の回送」まで、ちょうど100篇に「初乗り場面」が存在することをつきとめた。

初乗り距離の合計は、旧国鉄とJRが1万2072・9キロ、私鉄が1478・9キロ。

作品発表順に、鉄道地図に描き入れていくと、「清張鉄道」の広がりが鮮やかに浮かび上がった――



清張世界の鉄道場面にこだわった画期的な研究!



(本書は、北九州市立松本清張記念館「第17回松本清張研究奨励事業研究報告書」に加筆したものです)

みんなの感想まとめ

鉄道を通じて松本清張の文学を深く掘り下げる本書は、作品に登場する鉄道の乗車記録を徹底的に分析しています。元朝日新聞記者が、現代小説320篇を読み込んで、清張の作品における鉄道の重要性を明らかにし、初乗...

感想・レビュー・書評

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  • 2017年発行、文藝春秋の単行本。清張の登場人物の鉄道に乗った区間を出すことによって清張の文学を分析する。清張記念館があってそこに論文が多く出されているのだから、いろいろな分析方法はあるのだろうが、「鉄道」ということで一般書籍に出てきたのだろう。意外と集中する地方があるということで、このこと自体は清張の他の分析でも出てきているのだろうが、興味深かった

    他:「清張鉄道1万3500キロ―作品中の鉄道乗車記録詳細と文学的効果の考察』(北九州市松本清張記念館「第17回松本清張研究奨励事業研究報告書」)に加筆したもの

  • 「点と線」をその頂点に松本清張の作品では鉄道が物語の主人公と言えるくらい存在感を示しています。もちろんクロフツが「樽」で確立したと言われる時刻表トリックはミステリーの一大ジャンルだったりしてきたので、松本清張も鉄道という道具立てをフル活用して、自分のミステリー、いわゆる社会派ミステリーを作り上げていったのだと思います。しかし、彼の作品の中での鉄道は小説の部品という存在以上のものだと感じてきました。以前、帝国書院の出した「松本清張地図帖」という本には戦争から後の昭和という時代を動き回るエネルギーの軌跡としての路線図が記されていました。本書はそれをさらに経年変化で追い、作品の中で初登場する乗車区間を「初乗り区間」として地図に加えていくという、まさに「乗り鉄」ならではの手法で、膨大な作品群を分類していきます。超マニアック。そこで見えてきたのは、昭和の庶民の「移動したい!」という欲望だと思います。まるで、移動することが自由の証であり、経済力の証であるように旅します。そして、それは人生の前半部分を九州に押し込められた松本清張自身の欲望だったのだと思います。あの時代の清張作品の大ブレイクは松本清張の欲望と時代の欲望がシンクロしたからなのではないでしょうか?また、改めて感じるのは「点と線」の掲載誌が「旅」とか、「波の塔」の掲載誌が「女性自身」とか、徹底的に読者を意識したことです。そう、松本清張は自分の欲望を読者の欲望に重ね合わせることの出来る稀代のマーケッターだったのではないでしょうか?作品のテーマが利権や不正、権力や過剰な欲望に対する怒りであることも、公正な社会、公正な市場を求めるメッセージに見えてきました。

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