インフルエンス

著者 :
  • 文藝春秋
3.45
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本棚登録 : 1177
感想 : 177
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907581

作品紹介・あらすじ

大阪郊外の巨大団地で育った小学生の友梨(ゆり)はある時、かつての親友・里子(さとこ)が無邪気に語っていた言葉の意味に気付き、衝撃を受ける。胸に重いものを抱えたまま中学生になった友梨。憧れの存在だった真帆(まほ)と友達になれて喜んだのも束の間、暴漢に襲われそうになった真帆を助けようとして男をナイフで刺してしまう。だが、翌日、警察に逮捕されたのは何故か里子だった――幼い頃のわずかな違和感が、次第に人生を侵食し、かたちを決めていく。深い孤独に陥らざるをえなかった女性が、二十年後に決断したこととは何だったのか?社会に満ちる見えない罪、からまった謎、緻密な心理サスペンス。「読者を引っ張らずにおかない独特の謎」「行間からにじみ出る緊張感がすごい」「自分にもなじみのあるこの関係性と舞台に引き込まれた」雑誌連載中から反響続々。「サクリファイス」の著者が女たちの焦燥と決意を描く、傑作長編!!

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの近藤作品でした。
    ここでもやはり不穏な空気感が最初から漂う幕開けだった笑

    前回読んだ「凍える島」よりも上手くなっていて一気読みさせられる作品でした♪

    なにも悲惨だったりグロだったりしないのだけれど、ずっと何か少し嫌なモノがすぐ傍に居るような気持ちになりましたけど、まさに作者の思うツボになっていたのかも知れませんね笑

    うまい具合にやられた と言う巧みさを感じる作品でした♪

  • ★3.5

    大阪郊外の巨大団地で育った小学生の友梨はある時
    かつての親友・里子が無邪気に語っていた言葉の意味に気付き、衝撃を受ける。
    胸に重いものを抱えたまま中学生になった友梨。
    憧れの存在だった真帆と友達になれて喜んだのも束の間、
    暴漢に襲われそうになった真帆を助けようとして男をナイフで刺してしまう。
    だが、翌日、警察に逮捕されたのは何故か里子だった――
    幼い頃のわずかな違和感が、次第に人生を侵食し、かたちを決めていく。
    深い孤独に陥らざるをえなかった女性が、二十年後に決断したこととは何だったのか?

    作家である「わたし」は、興味を引く話があるので会って話を聞いて欲しいとの手紙を受け取る。
    その話とは、手紙を出した人物とその友人二人の関係らしい。
    一旦は無視しようと思ったが、引っかかるものがあり、会って話を聞く事にした。
    それは、幼い4歳の頃から約40年にも渡る、三人の女性の物語だった

    近藤さんらしく、読み始めからずっとずっと不穏な空気感を漂わせていた。
    小説家である私が女性達の40年に渡るお話を聞いて行くという形式だった。
    友梨・里子・真帆の3人の回想シーンが主体だった。
    小・中学生の頃の学校の閉塞感。
    少女達の友情という名の束縛や独占欲や関係性や葛藤が
    とっても息苦しく、緻密に描かれていた。
    幼児虐待・虐め・校内暴力・レイプ・DV・殺人…。
    色んな社会問題が含まれていた。提起されていた。
    とても読み易い文章で彼女達の先が知りたくて一気読みしました。
    こんな殺人まで含んだ友情?愛情?
    繋がり切れない絆…。
    とんでもないって思いながらも、友情ってあっけなく切れちゃったりするので
    どこか羨ましい様な感情が変だけどチラリと心の何処かにありました。
    友情の在り方には考えさせられました。

    緻密な心理描写にやられたー。
    優しい人は踏みつぶされる。
    扱いにくい人間だと思われている方が快適に日常生活を送る事ができる
    という言葉になるほどなぁって凄く感じました。

  • 近藤先生は「食事描写がとてもうまい作家さん(ビストロ・パ・マルシリーズの印象)」というイメージだったが、それ抜きでもどえらい作品を書くのか…とびっくりした。
    終始淡々とした書き味なのに飽きが来ない文章力で、一気に読んだ。
    レベルが違うが、小学生の頃の苦い思い出が蘇ってきて、自分にもダメージが来たりした。

  • 一気読み!!
    夜更かししてひと晩で読んじゃった。
    話の流れも内容も、すらーっと読みやすくてわかりやすくて、おもしろかった。
    私の中で、ちょうどいいサスペンス。

  • 女性の方なら
    「あの子って友達?」
    と聞かれたときに
    「ああ・・・・知り合いかなぁ」と
    濁してしまうこの微妙さが
    分かるんじゃないかなぁ
    事件によって より誰にも語れない
    強固な秘密になっていきます
    親友というよりは
    共犯者となっていくんですね
    そこには 不思議な信頼関係が
    あったと思います

  • ある作家に友人二人とのことを書いて欲しいと女が現れるが…少女三人の知られてはいけない物語。団地の世界、自分と関係のないものに目をそらすこと、友情、表紙の写真のように不穏な感じでよく書かれていた。読みやすく、一気に読んでしまった。しかし、少々浅いかな。それと、殺人のとこ、そう簡単にいくかしらと。こんなに周りの人が死ぬなんて、おかしいでしょうし。三人はじわじわインフルエンスされてこうなってしまったのね。

  • 面白かった。子供の頃の親とか周りの大人や同じクラスの生徒とかに感じた思いがよみがえってきた。あぁそうだったな~と思いながら、あっという間に読み終えた。

  • 読書備忘録698号。
    ★★★☆。

    ロードバイクレースシリーズで大ファンになった作家さんです。

    表題のインフルエンス。インフルエンサーという言葉の基本形の単語ですが、なるほど。読後にこの影響・影響力という言葉の力をまざまざと見せつけられました。

    物語の冒頭。
    ある作家のところに、自分と2人の女性の稀有な物語を小説にしないかという手紙が届く。そして作家は、手紙を出した本人と会うことにした・・・。
    興味を唆る出だしです!
    そして場面は変わり、大阪の所謂ニュータウンの巨大な団地群。どうやら持ち込まれた物語の内容が語られる構成で進む。

    団地で育った少女、戸塚友梨と日野里子。仲良しだった2人は、里子が発した言葉がきっかけでぎくしゃくしてしまう。
    それは、里子が祖父と一緒の布団で寝ているということ。それが普通だと思っていたこと。要するに幼女に対する家庭内の性悪戯であった。
    里子が晒されている事実から救ってあげられなかった、という気持ちで負い目を感じながら友梨と里子は中学生に。そして、東京からの美女転校生坂崎真帆が登場。
    あか抜けた真帆と友達になれて友梨は有頂天になるが、真帆の母親は選民意識が強く、友梨との友達関係を良く思っていなかった。
    一方、里子は不良中学生の細尾歩とつるんで学校崩壊の元凶となっていた。
    細尾は、友梨が仲良くしていたダウン症の少女を面白半分の暴力で殺害してしまった。そんな様子を里子は笑いながら見ていたことから、友梨は里子と更に距離を置く。そんな時、真帆が団地内で変質者に襲われ、それを助けようとした友梨は変質者を包丁で刺し殺してしまった。しかし、翌日警察に自首したのは里子であった。
    なぜ、里子は友梨の身代わりになったのか?
    少年院から出てきた里子は友梨に自分の祖父を殺してくれ、と脅迫する。
    因果応報。里子が祖父に悪戯されていたことを救えなかった後ろめたさ、変質者を殺したのは自分だと自首できなかった後ろめたさから、友梨は殺害を引き受ける。
    決行の日、里子の祖父をベランダから突き落とし殺したのはなんと真帆だった・・・。しかし、転落事故として処理される。
    時は流れ、東京に就職した友梨の元に真帆から連絡がくる。
    結婚して一女を授かったが、夫からDVを働かれていると。その夫を殺してくれと迫られる友梨。やはり友梨は、里子の祖父の殺害を肩代わりしてくれた後ろめたさから、殺害依頼を引き受ける。そして殺害を実行。
    しかし、友梨が殺したのは、里子と結婚して夫となっていた細尾歩であった。
    なぜ真帆は、里子の夫を自分の夫と偽って殺害を依頼したのか?
    謎が謎を呼ぶ・・・。
    そして、物語の最終局面、ちょっとしたどんでん返しの結末。

    少女特有の、友情の名の元に行われる束縛、友達の独占、独りぼっちなることに対する脅迫的なまでの恐怖心・・・、すごく息苦しかったです。

    終始、陽がささない陰湿で淀んだ空気で満ちる荒廃した団地の描写が気持ちを暗くし、楽しくない読後感でした。笑

  •  なかなか引き込まれる話だった。

     ある女作家に私たちのことを小説にしてほしいと手紙が来た。なんとなく引っかかった作家は、その手紙の女性と会うことに。そこで彼女の過去が語られていくのだが・・・。

     訥々と語られる内容が実に面白く、それでそれで?と気になり一気に読んでしまった。
     でもでも、殺しがあまりにも簡単に起きてしまうし、その辺の葛藤などもほとんどなく、深みがなかったかな。それでも、ちょっとしたどんでん返しが用意されたりしていて満足できる作品でした。
     それにしても女同士の関係って複雑だなぁ。

  • 友情って何なんだろう?
    読み終わった後の率直な感想は、その一言に尽きる。
    3人の少女の決して幸福とは言えない半生を、同い年の女性作家に小説にしてもらおうと、当事者の1人の独白形式で物語は進む。
    決して、誰から見ても仲が良かったとは思えない友梨、里子、真帆。しかし3人の人生は30過ぎまで絡み合う。
    最近はライトな作品が続いた作者が、久しぶりに女性の怖い部分を描いた作品。読後感はあまり良くないけど、いろいろ考えさせられた。

  • 久しぶりの作者の作品。引き込まれるように一気読み。3つの殺人が代理もしくは、誰かのため。この小説家が作者なのか?な訳ないか。

  • つけられるなら星3.5。

    殺人事件や校内暴力、性的虐待の話のはずなのに語り手があまりにも淡々としているから、ものすごく暗くならずに次はどうなるの?と読み進めてしまう。

    語り手の話を聞くうちに、聞き手である作家の「わたし」は話の登場人物が自分の中学の同級生であることに気づき、そして偶然見た卒業アルバムで語り手「戸塚友梨」は本当の戸塚友梨ではないことに気づく…

    3つも殺人事件が出てくる割に、派手な終わりはなく、でもそれはそれで許されてしまうような小説の終わり。

    「たとえ、もう会うことがなくてもその時間に出会えたことに価値がある。そういう友達もいるのだ。」

  • 図書館で。子どもの頃の出会いから長い月日を経ても強くお互いが繋がり合う。友梨も里子も真帆も孤独では無かった。衝撃的なショックな子ども時代を過ごした里子も、きっと友梨が居なければ生きてはいけなかったかも知れない。余りにも強い力で引き合ってしまって反発したり憎んだり疑ったりしながら間違えた道も有ったのだと思うけど。『幸せか、価値があるかということを、誰かの基準にゆだねたりはしない』自分がどう思うか受け取るかだ。本当にそれだけで変われる事が有る。友梨が自首したことできっと3人の繋がりは正しい方向へ(明るい方向へ)向かえるのだと思う。だから友梨にも生きていて欲しかったな。

  • 3人の少女が互いのために男性を1人ずつ殺す…友情なのか?
    あっという間に読めた。今まで読んだ近藤史恵さんの小説とは全く違うタッチで、いろいろな書き方ができる人なんだなと思った。

  • 暗い。声に出せない共感が、身近に感じた。

    「自分の居場所がなく、当たり前のように感じていた。」
    友梨の、自尊心の低さからくる孤独や寂しさが、自分に相応しいと思っている節に、気持ちが重くなった。
    女子が抱くコンプレックスや友達との関係性に、口にしたことはないものの、同感する部分が多かった。
    明るい未来があるわけでもない。でも、嫌な感じがしない。
    彼女たちの、平穏を望んでしまう。

  • 京都への出張の新幹線の中で一気に読み終えた。
    確かに中学校の時は暴力とかへの恐怖に敏感だったなあ。

    殺人ってそんなにハードルが低いもんなのか?と思ったけどそれを差し引いても終盤はリアリティが薄くなってきたのが残念。特に刑事との関係とか有り得ない。

  • 少女たちの秘密と罪。彼女たちの関係は言葉で説明しても分かるようで分からない、でも、分かる。分かってしまう。あの頃、私もそうだったように、友だちとの関係は細くあやうく、そして重い。
    自分でも持て余してしまうその関係を多くの人は心の奥に押し込んで大人になっていく。
    けれど、それができなかった三人の少女たち。それぞれがそれぞれの罪をひきうけ、かばい、秘密を抱えていく。なにかひとつずれていたらこうはならなかっただろう。でもそれは彼女たちが望んだ今だろうか。こういう形であってもつながっていることが彼女たちの関係の完成形だったのかもしれない、そんな気がする。

  • おもしろくて一気読み。
    話は読みやすく登場人物の心情が流れ込んで来る感じ…
    次々と事件が起きて、ずっとヒヤヒヤドキドキ。

    作者のところに自分が体験した人生を小説にしてほしいと手紙が届くところから始まる。
    差出人は戸塚友梨…話は小学生のときまで遡る。
    大阪の集合団地に住み、仲良しの友だち日野里子と遊ぶ日々の中で、里子が無邪気に発した言葉…
    「女の子はおじいちゃんと寝ないと行けないんだよ」
    友梨はこの意味をまだわからずにいたが、友梨の両親と祖父は気づいていたし、友梨に里子と距離を取ってほしいと思っていた。
    友梨がこの意味を知るのは高学年になったとき。
    里子を助けなかった両親にも自分にも腹が立った…

    中学になり、里子との距離は自然と広がり新しく転校生の友だちができた。
    東京からきた坂崎真帆。
    ある日、友梨の家から真帆の家に帰る途中で真帆が刃物を持った男に襲われる…とっさに友梨は助けるが男を刺してしまう…
    このことから次から次へと事件が起こるんだけど…

    本当に最後までヒヤヒヤでした。おもしろい!

  • 不穏な空気に引き込まれて一気に読んでしまった。
    思春期の女の子たちが他に方法はないと思い込み、周りに助けを求められずにどんどんすべりおちるように嵌ってく感じが恐ろしくもあり面白かった。
    が、細尾をあんな簡単に殺せるものだろうか?
    それだけ絆のようなものがあったということなのだろうか。

  • ⁡「結局さ、一度レールから外れてしまうと、もう戻れないんだなと思ったよ」

    この言葉、この言葉です...
    自分で自分を諦める事って意外と簡単なのかも。

    3人の運命が1つの球になり、ぐるぐる転がり続けているような感覚
    友達として浅はかな関係にも見える3人だけれど、実際は依存し、影響させ合っている
    それを見ているのは苦しく、でもどこか羨ましくもある複雑な感情

    それでも「傷つこうが、しくじろうが、年を取ろうが、未来はいつだってわたしたちの手の中にある」

  • 意図せず結果的には嘱託殺人となり、それが連鎖していく話

    しかしながら、学生生活の中で、社会の中で、息苦しさを感じながらも、自分たちの小さな幸せを探し求める姿には、ちょっと共感を覚えました

  • 面白くてあっという間に読んだ。
    女性にとってこの世は安全な場所ではない。
    たとえ住み慣れた団地内であっても、家庭の中でさえも。
    それを小学2年生で思い知らされる残酷さに心が締め付けられる。
    女性でなけれぱ経験することもなかった苦しみと、犯すこともなかった犯罪の数々。
    引き返してやり直せば他の道があっただろうか。
    それがあったなら救われるのだが、そんな道は想像できないのだ。
    大人は誰も助けてくれない。
    生い立ちの全然違う彼女ら3人の、単に美しいとはとはいえない複雑な友情関係によって進む話にページをめくる手が止まらなかった。
    女性が日常で感じる理不尽さやもやもやは本当に共感できる。
    彼氏とのやりとりなんてほとんどの人が経験しているのではないか。
    これをそれなりにハッピーエンドだと捉えてしまうほどには十分に、この世界は女性にとって生きづらい。

  • 一気読み。面白かった。ストーリーは小説家の元に自分たち女3人の30年を書いてほしいと女が訪ねて来るところから始まる。多感な時期の女特有の学校での関係、友情などは女性なら少しはわかるかも。友人を守るための殺人。多感な時期の友人との関係は距離感もなく、ごちゃごちゃしてたと思い出しながら読んだ。読み終えてみると殺人よりも女同士の関係感情が印象に残る小説だった。

  • 小説家の女性はある日、自分の経験を小説にして欲しいという女性から連絡を受ける。
    期待せず、彼女と会った主人公はその話に引き込まれていく。
    実は主人公は語り部の女性と同級生。
    そして、彼女の語った話とはー。

    同じ団地で知り合い、親友になった3人の少女。

    体験を語る女性は友梨。
    彼女はどちらかと言えば地味な普通の少女。

    そして、小学校2年生までは仲良くしていた友達の里子。
    彼女は祖父に性的虐待を受けていて、それを知り、徐々に彼女と疎遠になった友梨は罪悪感を感じている。

    真帆は東京から引っ越してきた美少女。
    魅力的だが、最初は孤独だった真帆に友梨は声をかけ仲良くなる。

    やがて、里子はたちの悪い少年と仲良くなり、クラスメートの少女をその少年が殺した時、その場に居合わせたという事で周囲から孤立していく。
    そんな折、真帆が見知らぬ男に連れ去られそうになり、その男を友梨が刺殺すという事件が起きる。
    警察につかまるとおびえる友梨だが、何故か里子がその罪をかぶり、少年院に入る事になる。
    その後、その事により罪悪感を感じる友梨の前に里子が現れ、「祖父を殺して欲しい」と依頼する。
    それを発端にして真帆がした事、大人になった友梨と真帆が再会した時、真帆が友梨に依頼した事とはー。

    この話、こうやってあらすじを書きだしていくと、どこで大体のあらすじを書くのをやめたらいいのか、それが難しいというのに気づいた。
    この後も主な話が続いているけど、それを書き出すときりがない。
    つまり、とりとめがない。

    ここに出てくる少女や女性たちの気持ちは分かるのもあれば分からないのもあった。
    事が起きる動機のようなものは分かる。
    大人になってもそういうのはあるけど、特に少女の頃はそういう気持ちが隠しきれず、それなのに素直にはなれない。
    友達がいくらでもつくれる人ならそうでもないのかもしれないけど、私にもあの頃そういう気持ちがあったな・・・と思った。
    でも、ここまで究極の要求をするかな・・・とは思う。

    何となくもっと何かあるのかな・・・と期待してた分がモヤモヤしたものとなって残る読後感だった。

  • 作家である「私」は、戸塚友梨という女性から、話を聞いてほしいとの手紙を受け取る。その話とは、友梨の他、日野里子、坂崎真帆の小学校時代から30年も続く、彼女たちの関係の話であった。当初は純粋な友情で結ばれていたが、年を重ねるにつれ歪んだ友情へと。。。
    団地という空間を含め、3人の摩訶不思議な友情関係がよく描かれていた。女性のドロドロとした、というより達観している感じを受けた。作家までというのは、いま一つぴんと来なかった。

  • これは・・・「イヤミス」の部類に入るのだろうか。
    先が気になって一気に読みましたが、読後感は良くない。
    「小説家」が良い話風に解釈しているのも謎・・・。

    主人公ゆりがとても純粋な人物で、心が痛くなる。
    反対に、ゆりの親友「まほ」がサイコパスすぎる。

    ゆりに嘘をついて人を殺させ、自分に疑いがかかると「一番大事な友達」とゆりの名前を警察に出してゆりが疑われるきっかけを作る。
    そしてゆりが自首することにしたら、「守りたかった」とのたまう・・・。

    ゆりはまほと里子を最後まで守ったけど、誰もゆりを守ってはくれなかった。

  • なんという繋がりなのか…これは絆…かな?悪縁という言葉が軽く感じます。ただ、不思議と嫌な感じはなくて、どんどん引き込まれ引き込まれ、そしてラストは安堵感さえ。やっと彼女は解放されたのか。1つのきっかけからズルズルと捕われてしまった、蜘蛛の糸のような嫌な粘りの連鎖から。そう思えました。彼女が最後自ら罪を打ち明けなければ、彼女達の犠牲になる人は増えたのかもしれない。彼女達もまた犠牲者だけど。どこで断ち切るのか、どこで終わらせるのかずっとそれを考えて読み進めていました。すごいな、近藤さん。ほんとすごい。

  • 衝動買いで、一気読み。
    文章が読みやすかった。
    そして、デジャブする中高時代の危うい友達関係。
    あまりに私の記憶と一致しすぎて簡単に風景が浮かんだ。

    犯人がわかった上で、なのでサスペンスなのかな??
    連ドラやったら面白いかもと思ったけど!なんか鬱々としそうでだめですかね。
    内容の割に語り部友梨()がサバサバしていて重くなかった。
    自分が友梨と重なって妙に辛くなった。

    この作者の他の作品も読んでみたい。

    どうでもいいけど、ノンフィクションっぽいフィクション作品最近よく当たる。

  • 殺人の肩代わりで繋がる奇妙な関係と思いきや、そこには確かに友情のような物も存在していて、やっぱり人間は一筋縄ではいかない生き物なのだなと感じた。
    誰一人として共感や感情移入は出来なかったが、こういう関係性も存在するのだと納得させられるだけの熱量があった。

  • 続きが気になり、一気に読みました

    里子のお祖父さんのことは子供だった友梨に責任があるようには思えないし、正直友梨は優しすぎて利用されてるようにも思えてしまった

    ただ里子のお祖父さんにしろ、真帆を襲おうとした男にしろ、身勝手な欲望のせいで3人が傷付き壮絶な人生を歩まなければならなくなったのが悲しい

    これらの事件がなければ3人はもっと純粋に友情だけで繋がることができたのにと思った

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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