- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163907581
作品紹介・あらすじ
大阪郊外の巨大団地で育った小学生の友梨(ゆり)はある時、かつての親友・里子(さとこ)が無邪気に語っていた言葉の意味に気付き、衝撃を受ける。胸に重いものを抱えたまま中学生になった友梨。憧れの存在だった真帆(まほ)と友達になれて喜んだのも束の間、暴漢に襲われそうになった真帆を助けようとして男をナイフで刺してしまう。だが、翌日、警察に逮捕されたのは何故か里子だった――幼い頃のわずかな違和感が、次第に人生を侵食し、かたちを決めていく。深い孤独に陥らざるをえなかった女性が、二十年後に決断したこととは何だったのか?社会に満ちる見えない罪、からまった謎、緻密な心理サスペンス。「読者を引っ張らずにおかない独特の謎」「行間からにじみ出る緊張感がすごい」「自分にもなじみのあるこの関係性と舞台に引き込まれた」雑誌連載中から反響続々。「サクリファイス」の著者が女たちの焦燥と決意を描く、傑作長編!!
感想・レビュー・書評
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久しぶりの近藤作品でした。
ここでもやはり不穏な空気感が最初から漂う幕開けだった笑
前回読んだ「凍える島」よりも上手くなっていて一気読みさせられる作品でした♪
なにも悲惨だったりグロだったりしないのだけれど、ずっと何か少し嫌なモノがすぐ傍に居るような気持ちになりましたけど、まさに作者の思うツボになっていたのかも知れませんね笑
うまい具合にやられた と言う巧みさを感じる作品でした♪詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近藤先生は「食事描写がとてもうまい作家さん(ビストロ・パ・マルシリーズの印象)」というイメージだったが、それ抜きでもどえらい作品を書くのか…とびっくりした。
終始淡々とした書き味なのに飽きが来ない文章力で、一気に読んだ。
レベルが違うが、小学生の頃の苦い思い出が蘇ってきて、自分にもダメージが来たりした。 -
一気読み!!
夜更かししてひと晩で読んじゃった。
話の流れも内容も、すらーっと読みやすくてわかりやすくて、おもしろかった。
私の中で、ちょうどいいサスペンス。 -
女性の方なら
「あの子って友達?」
と聞かれたときに
「ああ・・・・知り合いかなぁ」と
濁してしまうこの微妙さが
分かるんじゃないかなぁ
事件によって より誰にも語れない
強固な秘密になっていきます
親友というよりは
共犯者となっていくんですね
そこには 不思議な信頼関係が
あったと思います -
ある作家に友人二人とのことを書いて欲しいと女が現れるが…少女三人の知られてはいけない物語。団地の世界、自分と関係のないものに目をそらすこと、友情、表紙の写真のように不穏な感じでよく書かれていた。読みやすく、一気に読んでしまった。しかし、少々浅いかな。それと、殺人のとこ、そう簡単にいくかしらと。こんなに周りの人が死ぬなんて、おかしいでしょうし。三人はじわじわインフルエンスされてこうなってしまったのね。
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面白かった。子供の頃の親とか周りの大人や同じクラスの生徒とかに感じた思いがよみがえってきた。あぁそうだったな~と思いながら、あっという間に読み終えた。
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なかなか引き込まれる話だった。
ある女作家に私たちのことを小説にしてほしいと手紙が来た。なんとなく引っかかった作家は、その手紙の女性と会うことに。そこで彼女の過去が語られていくのだが・・・。
訥々と語られる内容が実に面白く、それでそれで?と気になり一気に読んでしまった。
でもでも、殺しがあまりにも簡単に起きてしまうし、その辺の葛藤などもほとんどなく、深みがなかったかな。それでも、ちょっとしたどんでん返しが用意されたりしていて満足できる作品でした。
それにしても女同士の関係って複雑だなぁ。 -
友情って何なんだろう?
読み終わった後の率直な感想は、その一言に尽きる。
3人の少女の決して幸福とは言えない半生を、同い年の女性作家に小説にしてもらおうと、当事者の1人の独白形式で物語は進む。
決して、誰から見ても仲が良かったとは思えない友梨、里子、真帆。しかし3人の人生は30過ぎまで絡み合う。
最近はライトな作品が続いた作者が、久しぶりに女性の怖い部分を描いた作品。読後感はあまり良くないけど、いろいろ考えさせられた。 -
京都への出張の新幹線の中で一気に読み終えた。
確かに中学校の時は暴力とかへの恐怖に敏感だったなあ。
殺人ってそんなにハードルが低いもんなのか?と思ったけどそれを差し引いても終盤はリアリティが薄くなってきたのが残念。特に刑事との関係とか有り得ない。 -
少女たちの秘密と罪。彼女たちの関係は言葉で説明しても分かるようで分からない、でも、分かる。分かってしまう。あの頃、私もそうだったように、友だちとの関係は細くあやうく、そして重い。
自分でも持て余してしまうその関係を多くの人は心の奥に押し込んで大人になっていく。
けれど、それができなかった三人の少女たち。それぞれがそれぞれの罪をひきうけ、かばい、秘密を抱えていく。なにかひとつずれていたらこうはならなかっただろう。でもそれは彼女たちが望んだ今だろうか。こういう形であってもつながっていることが彼女たちの関係の完成形だったのかもしれない、そんな気がする。 -
「結局さ、一度レールから外れてしまうと、もう戻れないんだなと思ったよ」
この言葉、この言葉です...
自分で自分を諦める事って意外と簡単なのかも。
3人の運命が1つの球になり、ぐるぐる転がり続けているような感覚
友達として浅はかな関係にも見える3人だけれど、実際は依存し、影響させ合っている
それを見ているのは苦しく、でもどこか羨ましくもある複雑な感情
それでも「傷つこうが、しくじろうが、年を取ろうが、未来はいつだってわたしたちの手の中にある」 -
作家である「私」は、戸塚友梨という女性から、話を聞いてほしいとの手紙を受け取る。その話とは、友梨の他、日野里子、坂崎真帆の小学校時代から30年も続く、彼女たちの関係の話であった。当初は純粋な友情で結ばれていたが、年を重ねるにつれ歪んだ友情へと。。。
団地という空間を含め、3人の摩訶不思議な友情関係がよく描かれていた。女性のドロドロとした、というより達観している感じを受けた。作家までというのは、いま一つぴんと来なかった。