インフルエンス

著者 :
  • 文藝春秋
3.38
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本棚登録 : 632
レビュー : 122
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907581

作品紹介・あらすじ

大阪郊外の巨大団地で育った小学生の友梨(ゆり)はある時、かつての親友・里子(さとこ)が無邪気に語っていた言葉の意味に気付き、衝撃を受ける。胸に重いものを抱えたまま中学生になった友梨。憧れの存在だった真帆(まほ)と友達になれて喜んだのも束の間、暴漢に襲われそうになった真帆を助けようとして男をナイフで刺してしまう。だが、翌日、警察に逮捕されたのは何故か里子だった――幼い頃のわずかな違和感が、次第に人生を侵食し、かたちを決めていく。深い孤独に陥らざるをえなかった女性が、二十年後に決断したこととは何だったのか?社会に満ちる見えない罪、からまった謎、緻密な心理サスペンス。「読者を引っ張らずにおかない独特の謎」「行間からにじみ出る緊張感がすごい」「自分にもなじみのあるこの関係性と舞台に引き込まれた」雑誌連載中から反響続々。「サクリファイス」の著者が女たちの焦燥と決意を描く、傑作長編!!

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    大阪郊外の巨大団地で育った小学生の友梨はある時
    かつての親友・里子が無邪気に語っていた言葉の意味に気付き、衝撃を受ける。
    胸に重いものを抱えたまま中学生になった友梨。
    憧れの存在だった真帆と友達になれて喜んだのも束の間、
    暴漢に襲われそうになった真帆を助けようとして男をナイフで刺してしまう。
    だが、翌日、警察に逮捕されたのは何故か里子だった――
    幼い頃のわずかな違和感が、次第に人生を侵食し、かたちを決めていく。
    深い孤独に陥らざるをえなかった女性が、二十年後に決断したこととは何だったのか?

    作家である「わたし」は、興味を引く話があるので会って話を聞いて欲しいとの手紙を受け取る。
    その話とは、手紙を出した人物とその友人二人の関係らしい。
    一旦は無視しようと思ったが、引っかかるものがあり、会って話を聞く事にした。
    それは、幼い4歳の頃から約40年にも渡る、三人の女性の物語だった

    近藤さんらしく、読み始めからずっとずっと不穏な空気感を漂わせていた。
    小説家である私が女性達の40年に渡るお話を聞いて行くという形式だった。
    友梨・里子・真帆の3人の回想シーンが主体だった。
    小・中学生の頃の学校の閉塞感。
    少女達の友情という名の束縛や独占欲や関係性や葛藤が
    とっても息苦しく、緻密に描かれていた。
    幼児虐待・虐め・校内暴力・レイプ・DV・殺人…。
    色んな社会問題が含まれていた。提起されていた。
    とても読み易い文章で彼女達の先が知りたくて一気読みしました。
    こんな殺人まで含んだ友情?愛情?
    繋がり切れない絆…。
    とんでもないって思いながらも、友情ってあっけなく切れちゃったりするので
    どこか羨ましい様な感情が変だけどチラリと心の何処かにありました。
    友情の在り方には考えさせられました。

    緻密な心理描写にやられたー。
    優しい人は踏みつぶされる。
    扱いにくい人間だと思われている方が快適に日常生活を送る事ができる
    という言葉になるほどなぁって凄く感じました。

  • ある作家に友人二人とのことを書いて欲しいと女が現れるが…少女三人の知られてはいけない物語。団地の世界、自分と関係のないものに目をそらすこと、友情、表紙の写真のように不穏な感じでよく書かれていた。読みやすく、一気に読んでしまった。しかし、少々浅いかな。それと、殺人のとこ、そう簡単にいくかしらと。こんなに周りの人が死ぬなんて、おかしいでしょうし。三人はじわじわインフルエンスされてこうなってしまったのね。

  • 面白かった。子供の頃の親とか周りの大人や同じクラスの生徒とかに感じた思いがよみがえってきた。あぁそうだったな~と思いながら、あっという間に読み終えた。

  • 図書館で。子どもの頃の出会いから長い月日を経ても強くお互いが繋がり合う。友梨も里子も真帆も孤独では無かった。衝撃的なショックな子ども時代を過ごした里子も、きっと友梨が居なければ生きてはいけなかったかも知れない。余りにも強い力で引き合ってしまって反発したり憎んだり疑ったりしながら間違えた道も有ったのだと思うけど。『幸せか、価値があるかということを、誰かの基準にゆだねたりはしない』自分がどう思うか受け取るかだ。本当にそれだけで変われる事が有る。友梨が自首したことできっと3人の繋がりは正しい方向へ(明るい方向へ)向かえるのだと思う。だから友梨にも生きていて欲しかったな。

  • 少女たちの秘密と罪。彼女たちの関係は言葉で説明しても分かるようで分からない、でも、分かる。分かってしまう。あの頃、私もそうだったように、友だちとの関係は細くあやうく、そして重い。
    自分でも持て余してしまうその関係を多くの人は心の奥に押し込んで大人になっていく。
    けれど、それができなかった三人の少女たち。それぞれがそれぞれの罪をひきうけ、かばい、秘密を抱えていく。なにかひとつずれていたらこうはならなかっただろう。でもそれは彼女たちが望んだ今だろうか。こういう形であってもつながっていることが彼女たちの関係の完成形だったのかもしれない、そんな気がする。

  • 暗い。声に出せない共感が、身近に感じた。

    「自分の居場所がなく、当たり前のように感じていた。」
    友梨の、自尊心の低さからくる孤独や寂しさが、自分に相応しいと思っている節に、気持ちが重くなった。
    女子が抱くコンプレックスや友達との関係性に、口にしたことはないものの、同感する部分が多かった。
    明るい未来があるわけでもない。でも、嫌な感じがしない。
    彼女たちの、平穏を望んでしまう。

  • 一気読み。面白かった。ストーリーは小説家の元に自分たち女3人の30年を書いてほしいと女が訪ねて来るところから始まる。多感な時期の女特有の学校での関係、友情などは女性なら少しはわかるかも。友人を守るための殺人。多感な時期の友人との関係は距離感もなく、ごちゃごちゃしてたと思い出しながら読んだ。読み終えてみると殺人よりも女同士の関係感情が印象に残る小説だった。

  • 小説家の女性はある日、自分の経験を小説にして欲しいという女性から連絡を受ける。
    期待せず、彼女と会った主人公はその話に引き込まれていく。
    実は主人公は語り部の女性と同級生。
    そして、彼女の語った話とはー。

    同じ団地で知り合い、親友になった3人の少女。

    体験を語る女性は友梨。
    彼女はどちらかと言えば地味な普通の少女。

    そして、小学校2年生までは仲良くしていた友達の里子。
    彼女は祖父に性的虐待を受けていて、それを知り、徐々に彼女と疎遠になった友梨は罪悪感を感じている。

    真帆は東京から引っ越してきた美少女。
    魅力的だが、最初は孤独だった真帆に友梨は声をかけ仲良くなる。

    やがて、里子はたちの悪い少年と仲良くなり、クラスメートの少女をその少年が殺した時、その場に居合わせたという事で周囲から孤立していく。
    そんな折、真帆が見知らぬ男に連れ去られそうになり、その男を友梨が刺殺すという事件が起きる。
    警察につかまるとおびえる友梨だが、何故か里子がその罪をかぶり、少年院に入る事になる。
    その後、その事により罪悪感を感じる友梨の前に里子が現れ、「祖父を殺して欲しい」と依頼する。
    それを発端にして真帆がした事、大人になった友梨と真帆が再会した時、真帆が友梨に依頼した事とはー。

    この話、こうやってあらすじを書きだしていくと、どこで大体のあらすじを書くのをやめたらいいのか、それが難しいというのに気づいた。
    この後も主な話が続いているけど、それを書き出すときりがない。
    つまり、とりとめがない。

    ここに出てくる少女や女性たちの気持ちは分かるのもあれば分からないのもあった。
    事が起きる動機のようなものは分かる。
    大人になってもそういうのはあるけど、特に少女の頃はそういう気持ちが隠しきれず、それなのに素直にはなれない。
    友達がいくらでもつくれる人ならそうでもないのかもしれないけど、私にもあの頃そういう気持ちがあったな・・・と思った。
    でも、ここまで究極の要求をするかな・・・とは思う。

    何となくもっと何かあるのかな・・・と期待してた分がモヤモヤしたものとなって残る読後感だった。

  • 作家である「私」は、戸塚友梨という女性から、話を聞いてほしいとの手紙を受け取る。その話とは、友梨の他、日野里子、坂崎真帆の小学校時代から30年も続く、彼女たちの関係の話であった。当初は純粋な友情で結ばれていたが、年を重ねるにつれ歪んだ友情へと。。。
    団地という空間を含め、3人の摩訶不思議な友情関係がよく描かれていた。女性のドロドロとした、というより達観している感じを受けた。作家までというのは、いま一つぴんと来なかった。

  • これは・・・「イヤミス」の部類に入るのだろうか。
    先が気になって一気に読みましたが、読後感は良くない。
    「小説家」が良い話風に解釈しているのも謎・・・。

    主人公ゆりがとても純粋な人物で、心が痛くなる。
    反対に、ゆりの親友「まほ」がサイコパスすぎる。

    ゆりに嘘をついて人を殺させ、自分に疑いがかかると「一番大事な友達」とゆりの名前を警察に出してゆりが疑われるきっかけを作る。
    そしてゆりが自首することにしたら、「守りたかった」とのたまう・・・。

    ゆりはまほと里子を最後まで守ったけど、誰もゆりを守ってはくれなかった。

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著者プロフィール

近藤 史恵(こんどう ふみえ)
1969年大阪生まれの推理作家、小説家。
大阪芸術大学文芸学科卒業後、1993年『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。
2008年、『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞受賞、2008年度本屋大賞部門惜しくも2位、第61回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門候補作になる。これがシリーズ化もされた代表作となった。ほかの代表作に、ドラマ化された『天使はモップを持って』シリーズ。
2006年から、母校の大阪芸術大学文芸学科客員准教授に就任している。

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