飼う人

  • 文藝春秋 (2017年12月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784163907703

作品紹介・あらすじ

さまざまな生き物を飼いながら、人間たちはなぜ生きるのか?

この世界のリアルを、柳美里が描く。戦慄の連作小説集!



夫との生活に疲れた中年女は、家にいた毛虫に「トーマス」という名前をつけて飼うようになった。トーマスへの愛着が深まることで、なじんでいたはずの夫が、いままでとは違って見てくる。

夫の本心とは何か。夫の好きなものは何か。夫は何に関心があるのか。夫は何も関心を持っていないのか。わたしは夫の何に関心があるのか。何もないかもしれない。わたしは自分に対しても、関心を持つことができない。どうしてこんなことになってしまったんだろう。何がいけなかったんだろう。疲れた。ほんとうに疲れた……。

中年女のリアルな心情を細密に描く――「イボタガ」



ウーパールーパーに「アポロ」という名前をつけたコンビニで働く青年の話――「ウーパールーパー」



シングルマザーの母親との軋轢にもめげず、健気に生きていこうとする少年の話――「イエアメガエル」



「トーマスは羽化しませんでした」という謎のメッセージを残して、妻に去られた中年男の話――「ツマグロヒョウモン」。

みんなの感想まとめ

多様な生き物を飼うことを通じて、人間関係や自己認識を深く掘り下げた作品です。収録された四つの短編は、毛虫やウーパールーパー、カエルなど、一般的には飼われない生き物たちを通じて、普通の人々の日常をリアル...

感想・レビュー・書評

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  • ちょいキモい

  • うーん
    なんか中途半端。短編集だからでしょうか。
    途中でパタリと本を閉じました。

    今、他に読むものがなかったので、再度開きましたが
    やはり第一印象は変わらず...

    また閉じてしまうかもしれません。

  • 久しぶりに手にした柳 美里さん

    「イボタガ」「ウーパールーパー」「イエアメガエル」「ツマグロヒョウモン」
    これら4編が収録された連作短編集

    「飼う」とは言っても犬、猫の類ではなく特殊な生き物達です。

    生き物の特殊さとは真逆で描かれているのはどこにでもに存在していそうな
    普通の人々でその日常生活もリアルに描かれています。

    1話と4話は対になっていてそれぞれ妻からの目線、夫からの目線で
    思いが語られて行きます。

    全体的に気怠い空気が流れていて、でもこれってあるよね、と共感する場面も出て来ます。
    少し不思議で感覚的な小説になっていて惹かれる人は凄く好きな作品かも知れません。

  • イボタガの幼虫、ウーパールーパー、イエアメガエル、ツマグロヒョウモン。それぞれ救いがないのだけれど、イエアメガエルを画像検索したらとても可愛らしい姿形だった。イエアメガエルだったら飼いたい。

  • ペットを飼うという切り口の本は読んだことがなかったので興味をもって読み始めるが、4編それぞれ救いがなく、憂鬱な気分になる一冊。一冊目を読んでいるときにすでに投げ出したい気分に。逆に早く手放したくなり一気に読んだ。このような本の需要はあるのだろうか。それぞれのストーリーにおいて主人公たちが飼うことは必ずしも必然ではないなぁ、と読んでいる間中考えてしまった。
    各編で出てくる状況描写は作者らしく、特に除染の仕事など、詳しい取材によるものでしょうけど、不必要に長すぎて読むのが面倒に。

  • やっぱり止めれば良かった。
    苦手な生き物の描写が生々しい。

    夫婦両面から各々の話は面白かったけど。

  • 面白かった。
    イボタガ
    ウーパールーパー
    イエアメガエル
    ツマグロヒョウモン
    の4つのお話だけど、イボタガとツマグロヒョウモンは対になっているお話。
    イボタガの話は、まるで自分のことを書いているのではと思うくらいあまりにも心当たりがありすぎて驚いた。というのは私も庭の幼虫を飼って心の空虚を埋めようとしたことがあるからだ。対象が幼虫でなくても案外何かにすがる、そういう人は多いのかもしれない。
    ツマグロヒョウモンの話に繋がって、話をうまくまとめて終わるのかと思ったら、そうではなかった。
    柳美里さんて人の内面をすごく掘り下げていくんですね。凄いな。
    イエアメガエルは震災の話が絡んだ親子の話。また身につまされる。親も大変だが皺寄せは明らかに子どもに行っている。
    少年には諦めずに生きていってほしいと思った。
    全体的に読みやすいが重いテーマだ。弱っている時に読むと世界観に引きずり込まれそうだ。
    図書館で借りて片手間に読んでしまったからもう一度ちゃんと読もうと思う。

  • 夫との平凡な日常に倦み、何気なく飼い始めた毛虫に名前をつけ可愛がる妻。職場をリストラされた鬱屈、両親との生活にも鬱屈を抱えた男が飼い始めたウーパールーパー。母と2人被災地の除染区域に移り住んだ少年が隣り合わせの死に抗いながら飼う生き物たち。毛虫がいなくなったと家を出て行った妻を理解できないまま壊れていく夫が自ら買い始めた毛虫‥‥
    犬や猫ではなく、毛虫やカエルというところがこの作品の異様な世界を際立たせている。

    どの登場人物も日常に行き場のない閉塞感を抱え苦しんでいる。死に引きずり込まれそうになりながらも、その閉じ込められた暗闇に小さな穴を開けてくれる生き物たち。生き物を飼うという行動が彼らにもたらす大きな意味。
    食べ、糞をし、脱皮し、成長する生き物たちを囚われたように見守り続け、そこに暗闇の出口を見出している彼らの息苦しさがひしひしと伝わってくる。

    生きていくことはこんなにもしんどいことなのかと暗澹たる気持ちになる。
    妻目線で語られる冒頭の「イボタガ」のその後が、ラストに置かれた夫目線の「ツマグロヒョウモン」で描かれるという終わり方がいい。

  • 柳美里 著「飼う人」、2017.12発行。イボタガ(蛾)、ウーパールーパー、イエアメガエル、ツマグロヒョウモン(蝶)の4話。私は蝸牛を飼ったことがあるし、イモムシが蛹化する様を観察し感激したこともあり、楽しく読了しました。イボタガとツマグロヒョウモンは連作になっています。妻のイモムシ飼いを怪訝に感じてた夫が、妻の家出後にイモムシに餌をやり蛹化~羽化の観察をする姿は、なぜだか胸を打ちました。イエアメガエルの話は、3.11と強い関わりのある話です。

  • 4つの短編からなる連作集。
    ベランダで見つけたイボタガの幼虫を飼い始めた主婦。夫との関係が壊れ始めていたのに気が付く。彼女の気だるさは共感できる。(イボタガ)

    ずっとその会社に勤めていられると思っていた。上司にも気に入られていたのだが、まさか自分がリストラされるとは・・・実家に戻り、コンビニでアルバイトを始めた。ずっとその生活が続くのかもしれなかった。しかし兄ができちゃった婚をすると言う。彼は実家を出なくてはならなくなった。(ウーパールーパー)

    この2作は共感でき★★★★と思ったが、3つ目のイエアメガエルは評価できなかった。
    母親も息子も分からない。
    最後のツマグロヒョウモンは妻に捨てられた夫の話。

  • 表紙の絵とタイトルから何か凄い怪しい雰囲気があったのですが面白かった。
    イボタガでちょっと笑ってしまい羽化したらどうなるのか凄く気になってたらツマグロヒョウモンに繋がってたのは良かった。(最後は切なくなった)
    他の話しも独特で良かった。

  • 生き物を飼う人のはなし。
    ■イボタガ
    「羽化しなければ、別れる」と決めた女性のその後が気になるラストだった。まさか続編が最後にあるとは。
    どんどん噛み合わなくなった夫婦。
    夫に対しての愛情が、全くなくなったわけではなく、どこかで相手に求める部分があったのだろうな。
    ■ウーパールーパー
    職をリストラされコンビニバイトの三十路男の日常が、すごく生々しかった。兄弟が結婚して同居するから、いい加減家を出ていってくれ、という両親の態度。よくあるある。
    四話の中で自分には一番境遇の似た主人公に、共感を感じて最後はどうか救われて欲しい、と思った。
    ■イエアメガエル
    原発事故の起きた町の近くに暮らす男の子と、ちょっとメンタルに難ありの母親の話が、柳さんの実生活がかなり影響しているのではないかと思った。一番ボリュームも多かったと思う。
    作業員の会話が続く場面などは若干飽きたが男の子の大人になろうとする心の「もやもや」が絶妙だった。
    ■ツマグロヒョウモン
    「イボタガ」で登場した女性の、夫。
    思ったより繊細な男性だったし、妻もまた、そうだった。
    てっきりこの夫がイボタガを踏んでしまったと、そう思わせておいてからのラストでガラッと事実が覆された瞬間が気持ちよかった。
    残念だけれど、恐らくこの妻は夫のもとに返ってくることはないだろうと思う。男のほうが案外、傷を負って立ち直れなかったりもする。

  • 3月9日読了、 私も見た。オーシャンブルーに大きな虫、あまりに綺麗なので、ほおっておいたら
    地面に潜って羽化しました。らしい?
    エビガラスズメ?かな 飼う人面白い

  • 表紙が印象的で読んでみた。「イボタガ」と「ツマグロヒョウモン」は面白かったが、イエアメガエルは、入り込めなかった。「イボタガ」は、気づいたら夫への愛情が冷めていた奥さんの気持ちが書かれていて、興味深かった。

  • 途中挫折

  • 登場人物たちには、不在の家族がいたり、信頼していた人を失ったばかりだったりします。その現実を直視しない、もしくは埋めあわせに、幼虫やウーパールーパー、カエル、アロアナなどが各家庭で飼われていったのか。犬猫と違って、短期間で変体したり、寿命が長くない生き物ばかり。お話もスピード感のある登場人物たちの身辺の変化を描いているので、飼われている生き物の様子と並列で見守るような本の読み方になりました。

  • 【これが柳美里の描く「現在」だ!】さまざまな生き物を飼いながら、人はなぜ生きるのか。夫との生活に疲れた中年女が残した謎のメッセージから始まる戦慄の純文学作品!

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著者プロフィール

柳美里(ゆう・みり) 小説家・劇作家。1968年、神奈川県出身。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。女優、演出助手を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、『魚の祭』で、第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1994年、初の小説作品「石に泳ぐ魚」を「新潮」に発表。1996年、『フルハウス』で、第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、「家族シネマ」で、第116回芥川賞を受賞。著書多数。2015年から福島県南相馬市に居住。2018年4月、南相馬市小高区の自宅で本屋「フルハウス」をオープン。同年9月には、自宅敷地内の「La MaMa ODAKA」で「青春五月党」の復活公演を実施。

「2020年 『南相馬メドレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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