米中海戦はもう始まっている 21世紀の太平洋戦争

  • 文藝春秋 (2018年1月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784163907932

作品紹介・あらすじ

◆過激化する中国の海洋進出にどう立ち向かえばいいのか?◆

・公海上空を飛行中の米軍機が中国機に体当たりされた
・海南島に不時着した同機の乗組員は中国軍により全員拘束
・南シナ海で米軍艦と中国空母が一触即発の睨み合い
・米国主催の合同海軍演習に中国軍はスパイ船を連れて登場
・中国は軍事力を背景に南シナ海の岩礁を次々と略奪
・その周囲を埋め立て、滑走路付きの軍事施設を建設している

【目次】

■序 章 米中が繰り広げる新たな戦争
現在、西太平洋で米中は戦争状態にある。東シナ海と南シナ海の覇権を米国から奪
うため、中国が武力を盾に「挑戦」を始めたのだ。現場では何万という米軍兵士が
命をかけて戦っている。本書では彼らの肉声から、その衝撃的な実態を描いていく。

■第1章 中国空母〈遼寧〉に接近せよ
自国の空母から半径45キロ圏内を一方的に「航行禁止海域」に指定した中国。
この暴挙に対し、1隻の米軍艦が南シナ海に派遣された。「航行禁止海域を無視し、
中国空母に接近せよ」。そのミッションに、世界の「航行の自由」がかかっていた。

■第2章 アメリカ一強時代の終わり
第2次大戦終結当時、米海軍は世界の大型軍艦の70%を保有していた。戦後の「海
の平和」は、米国のこの圧倒的な海軍力によって保たれていたのだ。しかし冷戦後、
米海軍の軍艦保有数は半分以下に縮小。その隙をついて、中国海軍は台頭してきた。

■第3章 中国海軍の野望とトラウマ
市場経済への転換後、中国は海上交易路の保護を米国に頼っていた。だが95年の
「台湾海峡危機」を機に、関係は崩壊。旧ソ連製の不良品ばかりだった中国の軍艦
は、12年間で4倍に増大した軍事費を背景に、次々と最新型に置き換わっている。

■第4章 海南島事件の衝撃
01年、南シナ海の公海上空にいた米軍機に、中国機が急接近。危険な挑発行為を
繰り返した末、遂には衝突に至った。制御を失った米軍機は海南島に不時着するも、
乗組員は中国軍によって拘束される事態に。だが、これは始まりにすぎなかった。

■第5章 米軍艦見学ツアーへようこそ
相次ぐ中国の暴走に対し、オバマ政権は「米中両軍の交流」こそが解決の鍵だと考
えた。その一環として、訪米した中国軍人を米軍艦内に招待。船内を巡るツアーを
実施した。そこで中国海軍大将はこう言い放つ。「強力な船ではないようですね」

■第6章 緊急停止!
公海上で〈遼寧〉と遭遇した米軍艦。「即刻この海域を出なさい」「ここは公海です」。
両国の無線のやり取りで、現場は一触即発の緊張感に包まれる。すると、1隻の
中国艦が米側へ急接近。それは衝突を望むように、米軍艦の目の前で停止した。

■第7章 対中強硬派の逆襲
尖閣諸島を含

みんなの感想まとめ

米中間の緊張が高まる中、太平洋で繰り広げられる「暖かい戦争」の実態を描いています。著者は、オバマ政権下での米海軍の動向や、中国の海洋進出に対する米国の対応を詳細に取り上げ、海南島事件やカウペンス事件な...

感想・レビュー・書評

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  •  海南島EP-3、インペッカブル、遼寧、カウペンス、リムパックでの情報収集、空母キラー、南シナ海、航行の自由作戦といった言葉で示される、過去十数年にわたる米中の海上での動きを幅広く取り上げており、これらを振り返るのにもよい(ただ、カウペンス艦については事件自体よりその後の艦長の異常ぶりの記述の方が印象に残った)。
     著者は「オバマ政権の対中融和政策」に批判的で、この間に中国は増長してきた、今や米中は「温かい戦争」状態にある、という主張。原題の「Crashback」(全力後退)は、この批判に対し言い得て妙だ。そしてトランプ政権を迎え、米と米海軍にとって「クラッシュバックの時代は終わった」、との語で締めくくられている。
     ただ、01年海南島でのEP-3乗員拘束の中で「魚は頭と尻尾がついたままだった」がひどい食事の例として挙がっているのには異を唱えたい。

  • 2018年12月4日読了。

    310ページ。

    オバマ大統領時代に、中国に偉大なる勘違いをさせてしまったようだ。
    著者によると、アメリカと中国は現在海戦状態にあるという。
    海戦といっても最初に想像する、ミサイルを撃ちあったり、航空機で攻撃する海戦ではなく「冷戦」とも違った、冷たい戦いである。

    この環境を大きく変えるのがトランプ大統領だが、本作が欠かれたのが就任後間もなくなので、その後のトランプ政権の政策が反映されていない。

    自分たちはやっても良いが、相手がやるのはダメだという理屈。

  • 米中の東シナ海、南シナ海を巡る戦争(のようなもの)について、
    いくつかの象徴的な事件を具体的に紐解いている。

    オバマ政権の対中政策がいかに愚策だったのか、
    そのもどかしさを感じずにはおれない、そんな内容となっている。

  • 自分自身はパンダハガーでは全くないが、オバマ的な対中協調を重視する考えがあったのは事実。本書を読むとそれがいかに甘いかを実感させられるような事実が示されている。
    米海軍の太平洋部隊の歴史から始まり、1995年の台湾海峡危機と中国海軍の発展、2001年に起きた海南島事件、2013年末に南シナ海で遼寧とその周囲の揚陸艦との間に起きたカウペンス事件、2014年のリムパックに情報収集船が現れた事件、同年8月のポセイドン事件など。
    それに対して力をつける米海軍の話も出ていて、ズムウォルト級、レールガン、無人艦上戦闘機、海軍の増強に乗り出すトランプ政権についてなど。

  • 【228冊目】2000年代以降での西太平洋における米中海軍の衝突を並べ、熱戦でも冷戦でもない「温かい戦争」が現在進行形で発生しているということを示唆する本。購入時の期待よりは面白かった。きっと軽く読むべき本。

     先に読んだ本「中国はなぜ軍拡を続けるのか」が、その軍拡路線にもかかわらず中国人民解放軍の装備資機材や兵士の練度を比較的小さめに認識したのとは対照的に、本書は人民解放軍海軍の振る舞いを脅威ととらえるべきというのが基本主張であるから、その対比として読んでも興味深かった。

     本書で紹介されている最低限覚えておくべき事件は、
    ・2001年「海南島事件」
    ・2013年「カウペンス号事件」
    ・2014年「北極星号事件」(217ページ)

     人民解放軍海軍が西太平洋地域においてかなり強気の姿勢に出ている一方、オバマ政権の対中融和路線(あるいは筆者が及び腰と呼ぶもの)が中国を増長させたのではないかとの印象が読後に強い印象として残った。
     
     本書を読むと中国のことが嫌いになるのは間違いないと思うが(笑)、「一読すれば分かる通り、本書はもっぱらアメリカ側の視点から書かれている。簡単に言えば、アメリカ軍人は正義のヒーロー、中国の政治指導者や軍高官は悪役もしくは準悪役である」と筆者が冒頭で宣言していることから、読む前から頭の中で補正をかけることはできる。ただ、そうであっても、読後の中国に対する印象は最悪(笑)アメリカが常に正しいとも思わないけど。

  • 日本海、西太平洋で以前より一層過激な行動に出ている中国軍。その最前線で対峙するアメリカ海軍がどのような状況にあるのかを、過去に発生した事件(艦艇のニアミスや、航空機の異常接近など)の詳細な内容と、軍高官へのインタビューから描く本。
    かつてソ連と対峙した時には「冷戦」と呼ばれていましたが、その当時はアメリカ、ソ連ともに最前線での小さなトラブルや事件が本格的な戦闘へ拡大しないようにお互いが守るべき暗黙のルールがありました。
    ところが昨今の中国軍の振る舞いには、そのような暗黙のルールは存在せず、アメリカ軍からみると「何をしでかすかわからない」という危機感があり、アメリカ軍がそのように考えざるを得なくなった事例を詳しく紹介しています。
    オバマ政権時代の「中国を対話のステージに引き込み、対話によって御する」という考え方は完全に誤りであったと現職アメリカ軍高官が断言していて、「中国相手には決して弱腰を見せてはならない」という方針に変わりつつあります。
    かつてのソ連より過激な行動をとる中国軍ですが、アメリカ軍相手にはまだ本格的な威圧には至らない一方で、日本やフィリピンなど太平洋沿岸で中国よりも国力の劣る(と中国が認識している)国相手には、艦艇の体当たりなど容赦ない威圧を加えてきています。
    中国相手に主張を通すには、中国が本格的な軍事衝突を躊躇する程度の軍事力が必要ということなのかもしれません。

  • タイトルがちょっと大げさかな。ほぼ既知の情報を時系列に並べただけ。
    あと、一部史実に誤りあり。
    ハリー・ハリス大将に触れている点のみ評価。

  • アメリカ人軍事ジャーナリストが、主にオバマ政権下の太平洋艦隊周辺の取材を基に、太平洋を舞台に繰り広げられている、冷たい戦争でも熱い戦争でもない「暖かい戦争」を書く。
    海南島事件、カウペンス事件、インペッカブル事件など、陸から遠く離れた太平洋上で起きている米中の危険な摩擦の実態がよくわかる。
    原題"Buckrush"は、中国との衝突を避けようとするオバマ政権下で米海軍が強いられてきた「後進」のことだが、これまでみてきた中国の振る舞いから見える彼らの本質を知った以上、次に衝突しそうな事案が生起した際、後進するのは米海軍ではないだろうとする。
    海自の艦艇や空自の戦闘機も、中国軍による異常接近などのハラスメントを受けており、詳細はわからないものの、本書で紹介されている事件と似たような状況であることが推察され、日本としても他人事ではない。
    艦艇は情報収集の際、相手に気付かれぬように電波管制(Emission control:エムコン)を行うことが書かれているが、もしかすると最近の米海軍絡みの海事事故にはこれが絡んでるのもあったりして。

  • 【南シナ海の覇権を巡る「新たな戦争」の内幕】米偵察機乗員の拘束、中国海軍による米国船の包囲。米軍幹部への徹底取材で明かされる、知られざる米中衝突の真実。そのとき日本は?

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