そして、バトンは渡された

著者 :
  • 文藝春秋
4.20
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本棚登録 : 1152
レビュー : 133
  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907956

作品紹介・あらすじ

森宮優子、十七歳。継父継母が変われば名字も変わる。だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。この著者にしか描けない優しい物語。 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作。

感想・レビュー・書評

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  • 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる物語。

    みんなからいつも愛されていた優子。ならばなぜ?みんな彼女の元から去って行ったのか(産みの母親のみ死別)、それが気になってしょうがなかった。特にブラジルに行った産みの親のお父さん、どこに行ったの⁉︎

    17歳の今一緒に暮らしているのは森宮さん。まったく血の繋がりのない37歳の父。森宮さんは子供っぽくて少しずれていて父親らしくないけど、いつもそばにいて一緒にごはんを食べてくれる。

    餃子、かつ丼、ラーメン、オムライス、ドライカレー…等。そして出てきたスイーツは数知れず。これがもう本当に美味しそうで、幸せそうで。
    一緒に食べた分、食べた時間だけふたりはかけがえのない家族になっていったんだと思う。

    大人になった優子は、ある事をきっかけに親めぐりをする。今だからわかるそれぞれの愛の深さ。そして、彼らが去って行った理由。

    家族ってなんだろう。他人でもこんなに愛せるって凄いな。そんな人いるわけない…を、いるかもしれないと思わせてくれる瀬尾まいこマジックを楽しみました♪

    この本の中で私の好きな歌が出てきて、それがまたこの作品にぴったり。森宮さんと優子の関係だなと思うと泣けた。

    ただ、ある人のした事を私なら許せるだろうか。「強運の持ち主」でも感じたぐるぐる渦巻く気持ち。

  • やだ、なんなの、凄くいいお話なんだけど~
    今年の中で1番良かったと言ってもいいくらいに。
    とっても心の中が温かくなったよ。

    優子ちゃんみたいないい子は本当にいるかな~
    実は私も4回苗字変わったけど(4回目は結婚して)、
    突然他人が身内になるって抵抗あったし最後まで心は開けなかったよ。
    優子ちゃんの周りの大人たちは、みんないい人で本当に良かったよ。
    結婚式にはお父さんも来てくれて感動しました。
    本当はちゃんと一緒に暮らして欲しかったけど、梨花さんの愛が大き過ぎたのね。
    森宮さんもね。何でだろう?本当の子供じゃないのに。そう考えたら不思議な話なんだけど、素敵なお話にまとまっててとっても良い。

  • なんだろう、なんだろう、なんでこんなに胸がいっぱいなんだろう。
    優子ちゃんも松宮さんも、梨花さんも泉ケ原さんも、そして水戸さんも、みんなみんなみんな大好きだ。どうしてこんなにみんないい人なんだ。こんなにも誰かのために自分を差し出せる人ばかりなんだ。全日本いい人選手権大会を開いたら、このメンバーば絶対に入賞するよ。それくらいいい人ばかり。でもそのいい人加減がそれぞれに違っててそれがまた心地よくて。
    あぁ、そうか。4人の大人たちがみんないい人なのは、そのいい人さを使いたくなるのが優子ちゃんだからなんだな。
    実の両親の手から離れ、他人と家族として生きていかなきゃならなくなった彼女が身に付けたもの。それが大人にとっては無条件で彼女のために何かをしてあげたいって思わせるんだろうな。誰かと暮らしてもまた自分は一人になってしまうかもしれない。だから誰かに過剰に依存しない、クールにある程度の距離を保って親しくしていく。そんな彼女はそりゃ、放っておけないわね、オトナとして。
    いや、でも誰もが彼女と暮らすことを楽しんでいるんだよね。義理と義務とか、そういうのじゃない。とにかく彼女と一緒に暮らしたいという思い。そこがすごく心に染みる。特に森宮さん!森宮さんの「父親」っぷりが楽しくて楽しくて。真面目で傲慢で一生懸命で真摯で優しくて温かくて。いやもうサイコーじゃないですか。こんな人がいたら即結婚しますわ、私。とにかく森宮さんと優子ちゃんのやりとりをにやにやしながら読んでいるのがすごくすごく楽しかった。
    家族っていいなぁ、と心から思う。血の繋がりなんてどうでもよくなる。そもそも家族ってのは赤の他人が2人で作り出すものなんだから。一緒にいること。一緒にいたいと思う事。それが家族の基本。家族の在り方としてはとてもレアな形だけれど、だけれど、この「家族」はサイコーだ。家族との関係に悩む人がいたら、これを読むといい。悩むってことはなんとかしたいと思っているからだから。家族であるために、彼女たちがなにをどうしていたか。あぁ、いやいやいやいや、そんなこと考えながら読むことない。ただただ優子ちゃんと森宮さんのまじめでおかしなやりとりをにやにやしながら読めばいい。読み終わったときにきっと胸の奥に小さくて温かい何かがあるはず。それが家族のタネだね、きっと。

  • 親が五人もいる女の子、優子。生みの母は小さな頃になくなり、父は転勤で海外に。その父と結婚した女性(梨花)と長く暮らすが、父は2度変わる。そして、梨花は離れて行き、三人目の父(森宮さん)と長く暮らし始める。高校時代があり、恋愛・結婚までの様子が書かれているが、なんて、楽しそうに、明るく、育っているのだろう。もちろん家庭事情で悩み苦しむときがあるが、周りの大人、親たちがみんな暖かい(そして魅力的)。苦しみを背負って、成長もしている。「親子でも離れたら終わり、目の前の暮らし、いま一緒にそばにいる人を大事にしよう」と、強くなってゆく。高校の先生も、良い先生。真剣に付き合えばこそ、ゴタゴタがあり、それが平気なんてつまらない、家族もギクシャクして作られていくなんて、自分にも言われているみたい。そして、また印象に残ったのは、自分の明日と、より未来と可能性を含んだ子供の明日、未来が二倍以上になるっていう宮森さん。考えたことなかった。すごいなあ、森宮さんみたいな方、変わってる風だし、憧れちゃうなあ。女の子なんだから好かれなくてはダメだよ。人に好かれるかどうかで女の幸せは決まる。梨花のセリフもどきっとするし、この本は圧倒的でした。みずみずしく、暖かい家族の素敵な素敵な本でした。

  • 家族愛に溢れた、誰かを大切にしたくなる作品だった!

    父親が3人、母親が2人、17年間で親が7回変わった優子だが、常に新しい親から愛されていた。
    親が変わるたびに別れを経験し、新しい親との出会い、そして慣れた頃にまた別れを経験する。
    そんな中で最後に親になった森宮さんと生活していく中で、家族の繋がりの大切を感じていくお話。

    幼かった自分には流れに身を任せることしかできず、抗っても仕方ない、どこか自分を一歩引いた立場から見るのが癖だった。新しい親は優しいし、みんな愛情を持って接してくれるし、幸せであることには間違いない。だけど子供の頃の寂しさや悲しみ、不安を押し殺して生きている。幸せだけど、なんとなくつっかかりの残る前編の書き方にすごく引き込まれた。
    優子のクラスで浮いた時もどこか他人事な強さが、ほかの作品にはない優子だからこその乗り越え方だとも思ったし、森宮さんも変わった考え方も暗くならず、笑っちゃうところが、設定として暗くなるような感じなのに、明るく展開していく特徴なのかなと感じた。

    家族がいること、子供がいることで未来が二つになる。自分の幸せを追うよりも誰かの幸せを追う方がずっと幸せ。
    子供ができたこから思うのか、すごく心に残る一言だった。

    でもやっぱり本当に血の繋がった父親だけを、おとうさんと呼ぶ優子を見たときは、流れに身を任せて悲しみも乗り越えて、本当に今幸せである優子でもやっぱり本当の父親の存在って大きいんだなと感じる
    親の都合で振り回され、引き離されてしまう子供は抵抗できない分、かわいそうだなと親の身勝手は弱い立場の人を傷つけるんだなと思った。

    かといってそれをマイナスだけでなく、新しく前向こうとして描かれてる本作はやっぱりステキな本だと思う!!
    家族ってありがたい!

  • 父親が三人、母親が二人いる。
    家族の形態は、17年間で七回も変わった。
    でも、全然不幸ではない…。
    血の繋がらない親の間をリレーされ、四回も名字が変わった
    森宮優子、17歳。
    だが、彼女はいつも愛されていた。

    様々な家族の形態があると思いますが、
    この家族はとっても特別。
    父親が三人、母親が二人…親戚を転々としたわけでもなく
    血の繋がらない親と暮らしている。
    どうしてこうなったのか…どういう事だろうって読み進めた。
    主人公は高校三年生17歳の優子。
    現在は3人目の父親である37歳と少し父親としては若い
    森宮さんとの二人暮らし。
    森宮さんが父親であろうとする姿が一生懸命で、どこかズレてて
    面白くって微笑ましい。
    森宮さん大好きだ

  • 3人の父親2人の母親に育まれて育った優子の独白の形での優しくてほんわかした話。そんな境遇にも拘わらず曲がったり捻れたりすることなく成長したけど大事な思春期の父親は一番らしくない今の若い父親で、好きな人が出来ていざ結婚となった途端に一番反対されてしまう。そんな らしくない彼の独白が最後の締めになっている。
    嫌な人 悪い人 意地悪な人 虐める人など出て来なくて、読み手も幸せ気分になれる小説でした♪

  • 瀬尾まいこは、道徳の副読本に載っていそうな話をいつも書いているような気がする。その手の話は積極的に読みたい訳ではないのだけれど、この作家の本はつい手にしてしまう。その魅力はなんだろうと他人事のように考えてみたりする。

    この作家の作品で一番印象に残っているのは、やはり「卵の緒」。瀬尾まいこはこの親と子のいびつな関係というテーマを書き続けているのだと思う。この作品にも共通するが、瀬尾まいこの描く話の主人公の家族には一般的な家庭像にありがちな両親というものがほとんど登場しない。その何かが欠けている状態を受け容れる日常の描き方、妙に淡々と卑屈にもならすに生きている主人公の中にある闇(それは決して表には出て来ることはない)、そんなものが気になるのだと思う。それを極端に喩えれば、グッド・ウィル・ハンティングの主人公がフォレスト・ガンプになったみたいな感じだろうか。もちろん、最後にはマッド・デーモンに代わってトム・ハンクスもロビン・ウィリアムズに心を開いて現実を素直に受け入れる。その部分がきっと話の肝だから。でもそこがどうしても読みたいという訳ではない。

    グッド・ウィル・ハンティングは好きな映画の一つではあるけれど、それはそのエピローグが見たいからではない。そのエンディングは見なくても想像できる。瀬尾まいこの小説のエンディングと同じように。それより、現状を精神的には拒否しつつも日常生活を送る上では受け容れるマッド・デーモンの葛藤が見たいと思ってしまう。その葛藤に共感する気持ちが自分の中にあるということなのだと思う。自分に限らず大概の人もその違和感を感じつつ、大人になる過程で忘れてしまう。だけどいつの間にか薄れてしまったとしても無くなったわけじゃない。それを時々思い出したくて瀬尾まいこを読むのかも知れない。

    もちろん、ロビン・ウィリアムズの肩を借りて涙したからといって全てが解決する訳ではないのだけれど、瀬尾まいこの小説にもそんなエンディングが常にある。それは読まなくても想像できるエピソードだとしつこく言うが、だからといって読まない訳でもない。自分もやっぱりベン・アフレックのように、最後はにやりとしたいんだね、きっと。

  • さらりと読めばいいお話で、
    楽しめるのだけれど、
    ちょっと「それはないよぉ」と思ってしまうと
    どうしよもなくなってしまう。

    複数回、苗字の変わる人はきっとたくさんいるけれど
    でも、「そんなことあるぅ?」と驚きを隠せない設定。

    二人目の母の梨花さんの奔放さは理解しがたい。
    それって母性?そういう母性もあるの?
    でも、読んでると「それもあり」と思ったので不思議なもんです。

    登場人物のとくに親という設定を急にふられる
    人達が皆、一生懸命親であろうとするところは
    瀬尾さんらしいやさしさに溢れていた。

    でも、やっぱりホントのお父さんの水口さんが
    なんだか気の毒だった。

  • やはりの瀬尾まいこ。
    飄々と?生きる、深く考えずに、今を生きることを見つめる主人公と、彼女を愛する血が繋がったり血が繋がってなかったりする親たちの生活の物語。

    子供を持つのって、いいな、と思わされた。ぐ。

    さすがの瀬尾まいこ。
    ラスト付近の結婚のくだりでは、もう、涙が止まらないよ!
    父さんの手紙、森宮さんの早瀬母への手紙、梨花さんの愛、泉ヶ谷さんのどっしりした安心感。
    みんな、他人だからか、遠慮しながら、優子のことを一番に考えながら、生活している。
    愛だ!
    ラストの、だろうね!という展開もありがたい。
    全員集合の、親たちの全員いい人感が溢れてる、ラストに涙が止まらん!

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著者プロフィール

瀬尾 まいこ(せお まいこ)
1974年生まれ。中学校国語講師を務めた後、2005年に教員採用試験合格、2011年に退職するまで中学校で国語教諭として勤務する傍らで執筆活動を行っていた。
2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。
これまでの著作で、代表作『幸福な食卓』、そして『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』が映画化されている。近刊『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補となり、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位に。

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