【2019年本屋大賞 大賞】そして、バトンは渡された

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 664
  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907956

感想・レビュー・書評

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  • 3人の父親2人の母親に育まれて育った優子の独白の形での優しくてほんわかした話。そんな境遇にも拘わらず曲がったり捻れたりすることなく成長したけど大事な思春期の父親は一番らしくない今の若い父親で、好きな人が出来ていざ結婚となった途端に一番反対されてしまう。そんな らしくない彼の独白が最後の締めになっている。
    嫌な人 悪い人 意地悪な人 虐める人など出て来なくて、読み手も幸せ気分になれる小説でした♪

  • 家族愛に溢れた、誰かを大切にしたくなる作品だった!

    父親が3人、母親が2人、17年間で親が7回変わった優子だが、常に新しい親から愛されていた。
    親が変わるたびに別れを経験し、新しい親との出会い、そして慣れた頃にまた別れを経験する。
    そんな中で最後に親になった森宮さんと生活していく中で、家族の繋がりの大切を感じていくお話。

    幼かった自分には流れに身を任せることしかできず、抗っても仕方ない、どこか自分を一歩引いた立場から見るのが癖だった。新しい親は優しいし、みんな愛情を持って接してくれるし、幸せであることには間違いない。だけど子供の頃の寂しさや悲しみ、不安を押し殺して生きている。幸せだけど、なんとなくつっかかりの残る前編の書き方にすごく引き込まれた。
    優子のクラスで浮いた時もどこか他人事な強さが、ほかの作品にはない優子だからこその乗り越え方だとも思ったし、森宮さんも変わった考え方も暗くならず、笑っちゃうところが、設定として暗くなるような感じなのに、明るく展開していく特徴なのかなと感じた。

    家族がいること、子供がいることで未来が二つになる。自分の幸せを追うよりも誰かの幸せを追う方がずっと幸せ。
    子供ができたこから思うのか、すごく心に残る一言だった。

    でもやっぱり本当に血の繋がった父親だけを、おとうさんと呼ぶ優子を見たときは、流れに身を任せて悲しみも乗り越えて、本当に今幸せである優子でもやっぱり本当の父親の存在って大きいんだなと感じる
    親の都合で振り回され、引き離されてしまう子供は抵抗できない分、かわいそうだなと親の身勝手は弱い立場の人を傷つけるんだなと思った。

    かといってそれをマイナスだけでなく、新しく前向こうとして描かれてる本作はやっぱりステキな本だと思う!!
    家族ってありがたい!

  • 親が五人もいる女の子、優子。生みの母は小さな頃になくなり、父は転勤で海外に。その父と結婚した女性(梨花)と長く暮らすが、父は2度変わる。そして、梨花は離れて行き、三人目の父(森宮さん)と長く暮らし始める。高校時代があり、恋愛・結婚までの様子が書かれているが、なんて、楽しそうに、明るく、育っているのだろう。もちろん家庭事情で悩み苦しむときがあるが、周りの大人、親たちがみんな暖かい(そして魅力的)。苦しみを背負って、成長もしている。「親子でも離れたら終わり、目の前の暮らし、いま一緒にそばにいる人を大事にしよう」と、強くなってゆく。高校の先生も、良い先生。真剣に付き合えばこそ、ゴタゴタがあり、それが平気なんてつまらない、家族もギクシャクして作られていくなんて、自分にも言われているみたい。そして、また印象に残ったのは、自分の明日と、より未来と可能性を含んだ子供の明日、未来が二倍以上になるっていう宮森さん。考えたことなかった。すごいなあ、森宮さんみたいな方、変わってる風だし、憧れちゃうなあ。女の子なんだから好かれなくてはダメだよ。人に好かれるかどうかで女の幸せは決まる。梨花のセリフもどきっとするし、この本は圧倒的でした。みずみずしく、暖かい家族の素敵な素敵な本でした。

  • 面白かった。そしてとても心が温かくなる話だった。

    子どもがいるってことは、明日が二つになる。
    自分じゃない誰かのために毎日を費やすのって、こんなに意味をもたらしてくれるんだ。

    自分の明日と、子どもの明日。そんな風に考えたことなかったけど、改めて考えてみたら、自然とその二つを考えながら生きていることを自覚した。

    ただ、森宮さんがすごいのは、優子ちゃんが自分の本当の子どもでもなく、しかも育てて出したのも15歳からなのに、心の底から親であろうとしていることだ。
    時々ずれている森宮さんのちょっとした言動も面白すぎて笑ってしまった。

  • 良書!文句なしの★×5

    殺人事件大好きな私なんかが読んでも、とても胸に染みる一冊。

    これまた会社の方にお借りした本。

    最初の数ページは、簡単な本だな。
    子供でも読めるな。
    内容薄いのかな?と少し懐疑的に見た部分もあったが、暫く読むと本書の主人公である優子の前向きさにどんどん惹かれていく。

    優子の魅力も本書に惹きつけられる要因だが、それだけでなく登場人物の全てが魅力的な人間ばかりだった。

    一癖、二癖ある人物でも、そのどこか足りない人となりまでもがみずみずしく魅力的に描かれている。

    この本は決して難しい本ではない。

    小学校高学年くらいの子であれば読めるのではないかな?
    読書嫌いの人でも読み始めたら楽しめるのではないだろうか??

    読書好きの人にもきっと受け入れられるだろうそんな一冊だった(*^^*)
    後味も凄くヨシ!おススメです!!

  • そこには、大人たちの都合に振り回されて、自分の本当の感情を殺して、淡々と、今だけを生き抜こうとした少女がいた。彼女はまだ10代で、そうすることでしか自分を守れなかったからだ。ただ、ものすごく幸いにも、彼女を振り回した大人たちが全て、自分のことよりも、彼女を幸せにすることに喜びを感じられる“本当の大人”だった。

    本当の大人とは、
    いわさきちひろさんの言葉を借りれば
    「大人というものはどんなに苦労が多くても、自分の方から人を愛していける人間になること」

  • 父親が3人、母親が2人。
    17年間で7回変わった、家族の形態。
    おのおのに事情があり、それぞれの暮らしがあった。

    おだやかな中にもユーモアあり、ぐっとくるものありで、後半は泣けた。

    ふつうではなかったかもしれないけれど、けっして不幸せではない。
    愛し、愛され、たいせつにされ、そして今がある。
    どの親も変わり者だけれど、特に森宮さんのずれっぷりがおかしく、会話にはおもわず吹き出してしまうことも。
    彼を上回るかもしれない、早瀬くんのずれっぷりもまた、たのしかった。
    こころあたたまる物語。

    2019年本屋大賞受賞作。

  • 父親がコロコロ変わり、血の繋がっている本当の父親とは音信不通。本当の母親もいない。そんな、一風変わった、というか、まあ普通では考えられない境遇の主人公に、共感できるのだろうか?と半信半疑で読み進めた。

    血の繋がっている家族と、自分を育ててくれた家族、どっちが本当の家族なのか?というテーマのお話は、本でも映画でもありふれていて、湿っぽくて、正直苦手だったけど。

    どこかコミカルで、少しも湿っぽくならず、最後のバージンロードのシーンではあたたかな涙が流れました。


    主人公の女の子が、いい意味ですごくサバサバしていて、良いお父さんお母さんに育てられたんだなーと感じてしまうような雰囲気が端々に現れていて。
    その辺りの繊細な描写も、さすがだなぁと思いました。


    これは、親としてもだし、子としてもだし、いろんな立場で強く感じるものがある本だと思います。

    題名のように、代々家族で受け継がれていく、そんな一冊にしたいなあ。

  • 家族の話を得意としている?!瀬尾まいこさん。卵の緒を読んで、ほっこりとした気分になれたことがきっかけで、本屋大賞に選ばれたこともあり手にとってみた。
    話の結末を示すようなきっかけはいくつかあり、ネタバレ感は否めないも、チグハグな家族の会話、個性豊かな登場人物、文体どれもが相まって話に引き込まれずにはいられない。
    不思議な家族の心温まるお話

  • 最後の1ページを読んだ時に自然と涙が流れた。
    これが言いたかったことなんだろう。
    そして、本を綴じて、表紙を見たときに、
    この表紙の意味が分かった。
    これは、優子という女の子の未来へのバトンなんだ。

    実子だって時に負担に思うこともある子育てを
    ラッキーだと思えるのが目からウロコ。
    そんな風に感じられるものだろうか。
    でも、親になると
    自分の明日と、
    自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が
    やってくるって言葉が納得で、
    私もラッキーなんだっていつも思いながら子育てできたら、と温かい気持ちになった。
    ファンタジーのようで現実味がない、
    と感じる方もいると思うけど
    軽い感じでかかれているのがいいのだと思う。
    深刻になるばかりがいいわけじゃない。

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著者プロフィール

瀬尾まいこ(せお まいこ)
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2011年の退職までは、中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行っていた。2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。これまでに映画化された作品に、代表作『幸福な食卓』、『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』。『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位、「キノベス2019」1位に選出、さらに2019年本屋大賞を受賞。2019年6月13日、『優しい音楽』(新装版)を刊行。

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