【2019年本屋大賞 大賞】そして、バトンは渡された

著者 :
  • 文藝春秋
4.20
  • (561)
  • (506)
  • (201)
  • (38)
  • (6)
本棚登録 : 4760
レビュー : 664
  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907956

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる物語。

    みんなからいつも愛されていた優子。ならばなぜ?みんな彼女の元から去って行ったのか(産みの母親のみ死別)、それが気になってしょうがなかった。特にブラジルに行った産みの親のお父さん、どこに行ったの⁉︎

    17歳の今一緒に暮らしているのは森宮さん。まったく血の繋がりのない37歳の父。森宮さんは子供っぽくて少しずれていて父親らしくないけど、いつもそばにいて一緒にごはんを食べてくれる。

    餃子、かつ丼、ラーメン、オムライス、ドライカレー…等。そして出てきたスイーツは数知れず。これがもう本当に美味しそうで、幸せそうで。
    一緒に食べた分、食べた時間だけふたりはかけがえのない家族になっていったんだと思う。

    大人になった優子は、ある事をきっかけに親めぐりをする。今だからわかるそれぞれの愛の深さ。そして、彼らが去って行った理由。

    家族ってなんだろう。他人でもこんなに愛せるって凄いな。そんな人いるわけない…を、いるかもしれないと思わせてくれる瀬尾まいこマジックを楽しみました♪

    この本の中で私の好きな歌が出てきて、それがまたこの作品にぴったり。森宮さんと優子の関係だなと思うと泣けた。

    ただ、ある人のした事を私なら許せるだろうか。「強運の持ち主」でも感じたぐるぐる渦巻く気持ち。

  • 父親が三人、母親が二人いる。
    家族の形態は、17年間で七回も変わった。
    でも、全然不幸ではない…。
    血の繋がらない親の間をリレーされ、四回も名字が変わった
    森宮優子、17歳。
    だが、彼女はいつも愛されていた。

    様々な家族の形態があると思いますが、
    この家族はとっても特別。
    父親が三人、母親が二人…親戚を転々としたわけでもなく
    血の繋がらない親と暮らしている。
    どうしてこうなったのか…どういう事だろうって読み進めた。
    主人公は高校三年生17歳の優子。
    現在は3人目の父親である37歳と少し父親としては若い
    森宮さんとの二人暮らし。
    森宮さんが父親であろうとする姿が一生懸命で、どこかズレてて
    面白くって微笑ましい。
    森宮さん大好きだ

  • 瀬尾まいこ氏の作品は ファンタジー領域にある。
    さりげない日常を切り取ったようでありながら、登場人物はいい人で いい人と巡り合って 平凡だが幸福な時間がそこにある。
    『そして、バトンは渡された』
    これなんて その際たるもの。
    幼い頃に病気で母を失った優子だが、さまざまな事情で次々に交替していくどの親にも大事にされ、芯が強くモノに動じない現代的で生き生きとした女性に育っていく。
    もうカンペキすぎ、ありえない(笑)

    でも、道徳本のカンペキとはちょっと違う。
    このふんわりと優しいお話の向こうには 強い願いと信念が くっきりと見える。
    一人の子供がちゃんと成人するまでには それだけの育てる者の覚悟とエネルギーが必要なんだよ。
    それは地味な毎日の積み重ねだけれども なかなか大したことなんだよ、と。
    我慢も必要、努力も必要。
    でも、それを唱えちゃうのは全体主義者のやること。どうすればたくさんの人に "やってみせるように”伝えられるか。
    その手法が小説なんだろう。

    よかったのはピアノ関連のところ。
    優子は合唱祭のピアノ伴奏をする。
    恒常的にピアノをさらっているわけではない彼女でも 練習すれば弾けそうな曲が選択されている。
    森宮さんにプレゼントする曲も(え?ムリでしょ?)とは思わせない曲。
    そういう地に足がついたディテイルが良い。

    早瀬くんがピアノについて迷う時間も良い。
    アートとしての演奏と、聴衆を楽しませるための演奏と、くっきり分けることはできない。
    それでも、自分はなんのためにピアノを弾くのか?という問いと向き合うことは、将来にいきづまるピアノ・サイボーグをつくらないための課題。
    動機を掘り下げることを厭う傾向が強い日本の教育への問題提起とも言えるかもしれない。

  • 幸せって何?誰が決めるの?
    私は誰がなんと言おうと不幸なんかではない。
    17年生きてきた中で4回苗字が変わろうが、父親が3人母親が2人いようが、たいしたことではない。

    幸せの規範について考えさせられた。
    人は常識を他人に押し付けがち。
    物事の規範は自分が決めるもののはず。
    自分が満足してさえいれば日々を笑顔で過ごせれば、それでいいのだ。

    物語の設定に初めは違和感を感じたけれど、物語を追う内にこれも有りかも、と徐々に思えるようになった。
    親が変わることで4回変えた苗字を、最後は自らの意志で変えた優子。
    育ててくれた親達からバトンを渡された優子の未来を祈る。

    「親子」とは血のつながり等関係ない。
    親になる覚悟を持ち、子供に真っ直ぐ愛情を注げる大人に親の資格があるように思う。
    実の子を平気で虐待する親のニュースを最近よく耳にする。
    親子の在り方について改めて考えさせられる物語だった。

  • 3人の父親2人の母親に育まれて育った優子の独白の形での優しくてほんわかした話。そんな境遇にも拘わらず曲がったり捻れたりすることなく成長したけど大事な思春期の父親は一番らしくない今の若い父親で、好きな人が出来ていざ結婚となった途端に一番反対されてしまう。そんな らしくない彼の独白が最後の締めになっている。
    嫌な人 悪い人 意地悪な人 虐める人など出て来なくて、読み手も幸せ気分になれる小説でした♪

  • 最後の1ページを読んだ時に自然と涙が流れた。
    これが言いたかったことなんだろう。
    そして、本を綴じて、表紙を見たときに、
    この表紙の意味が分かった。
    これは、優子という女の子の未来へのバトンなんだ。

    実子だって時に負担に思うこともある子育てを
    ラッキーだと思えるのが目からウロコ。
    そんな風に感じられるものだろうか。
    でも、親になると
    自分の明日と、
    自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が
    やってくるって言葉が納得で、
    私もラッキーなんだっていつも思いながら子育てできたら、と温かい気持ちになった。
    ファンタジーのようで現実味がない、
    と感じる方もいると思うけど
    軽い感じでかかれているのがいいのだと思う。
    深刻になるばかりがいいわけじゃない。

  • 面白い本と、人に勧めたくなる本。これは後者なのだと思う。それが目に見える形になったのが本屋大賞ということなのだろう。最終章は全ての出来事が収斂したような見事な結びだった。

  • 血の繋がりだけが家族の形じゃないんだと、暖かい気持ちで読めたお話。
    みんながそれぞれ違った愛の形があって、不器用なところもあるけどお互い想い合っているのが素敵。
    読み終わって、私もこんなに愛情溢れた家族を築きたいと思えた。

  • 読みやすくて、あれよあれよと言う間に読み終わっちゃったって感じ

    読みながらこの本はどういう結末になるのか想像つかなかったが、第2章になってゴールが見えてきてほっとした

    たくさんの親がいることも珍しいとは思うけど、その親みんなに愛される優子はどんだけいい子なんだよとは思ったかな

    梨花さんのめちゃくちゃな行動も優子の為だとわかるとほんわかしたし、森宮さんのずれた父親像が面白かったな

    水戸さんがブラジル行くのに、なぜ梨花さんと別れる必要があったのかがよくわからなかったな

    家族、父親ってなんだろう
    小さい子供がいる身からしたら、変なプレッシャーをかけられたみたい

  • 瀬尾まいこさんは大好きな作家さんのひとり。
    教員と作家の二足の草鞋をはきつつ、素敵な作品を生み出されていた頃から、ずっと瀬尾さんのファンです。
    この本は15冊目。

    ついについに「本屋大賞」を受賞されて、とっても嬉しい!

    やっぱり瀬尾さんの本です。
    ゆっくり心に沁みこませながら読みました。

著者プロフィール

瀬尾まいこ(せお まいこ)
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2011年の退職までは、中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行っていた。2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。これまでに映画化された作品に、代表作『幸福な食卓』、『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』。『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位、「キノベス2019」1位に選出、さらに2019年本屋大賞を受賞。2019年6月13日、『優しい音楽』(新装版)を刊行。

【2019年本屋大賞 大賞】そして、バトンは渡されたのその他の作品

瀬尾まいこの作品

ツイートする